私たちの生活に欠かせないライフラインを支える「電気工事士」という仕事。鉄道やあらゆる建物において必要不可欠な業務のため、継続して安定した需要がある社会的意義が高い国家資格を持つ仕事です。仕事をするのに欠かせない「電気工事士資格」は誰でも受験できるため、取得することで転職にも有利となります。汎用性が高く、最も人気の資格でもあるんです。 この記事では、仕事内容や資格の難易度、電気工事士に興味を持った方に役立つ漫画やテキストなどの本3冊をわかりやすく紹介していきます。
電気工事士とは、建物や鉄道の配電や配線の工事をおこない、電気設備の設置・施工・メンテナンスを担う技術者のことです。一般住宅・ビル・店舗などの照明や病院・工場などの機械などの電気や機械設備が安全に問題がなく機能するようにサポートしています。
電気工事士は、「電気工事士法」に基づき1960年に定められた国家資格であり、電気工作物の工事に関する専門的な知識とスキルを有していることを証明しています。電気設備に不備がある場合、日々のライフラインに支障が生じるだけでなく火災や感電などの危険に晒される可能性があるため、電気工事をおこなう上で必須の資格になっています。
資格には、「第一種」と「第二種」の2種類があり、下記のように携わることができる工事の範囲が異なります。また、「第一種」は携わることができる工事の範囲が「第二種」より広く、上位資格として位置づけられています。
電気工事士の仕事内容は、大きく下記2つに分類され、他の建設作業者と連携しながら業務を遂行することも多くあります。
電気系統の施工や管理をおこなう全ての業種で必要な職種であるため、活躍の場は電気工事会社以外にも、建築・建設会社やビル管理会社、電力会社、鉄道会社、テーマパークや商業施設などの大規模施設の運営会社など多岐にわたり、業種や設備などに応じて工事規模もさまざまです。
電気工事士の仕事は、継続的な需要が見込めるため安定性が高く、私たちの生活に必要不可欠な電気を支えている社会的意義が高い仕事だといえるでしょう。
年収に関しては残念ながら公的なデータはありません。求人に記載されている金額を見る限りでは、400万〜500万円が平均年収といえそうです。
しかし前述したように電気工事士の仕事は多岐にわたり、また工事規模も現場によって異なります。そのため、就職した電気工事会社の大きさや、何を専門的におこなうかによっても給料にはひらきがあるといえそうです。
腕に自信のある人のなかには業務委託として仕事をおこなう人もおり、会社ベースか個人ベースか、働き方によっても年収は変わります。
電気工事士試験は、「第一種」が年に1度10月〜12月間におこなわれ、「第二種」が年に2度6月〜7月の上期と10月〜12月の下期にて実施されています。昨年2019年の受験者数は、「第1種」が4万8906人だったのに対し、「第二種」が16万6013人と圧倒的に「第二種」の受験者数が多くなっています。
受験資格は、「第一種」「第二種」ともに設けておらず、学生や業界未経験者など年齢や学歴、経験を問わず誰でも受験が可能です。電気工学や通信工学、機械工学などの関連する学問を大学や短大、専門学校などで学んでいる方は、資格取得の勉強においては有利といえるでしょう。
ただし、「第一種」は試験合格後の免状取得に条件を設けており、下記条件のどちらかを満たしていない場合は免状を発行できないため注意が必要です。
試験内容は、「第一種」「第二種」ともに筆記試験と技能試験の2つです。
筆記試験は、一般問題30問と配線図問題20問で構成される計50問を4つの選択肢から選ぶマークシート形式です。技能試験は、実際に作業用工具を使用し配線図で与えられた問題を完成させる実技試験であり、事前に「第一種」は10問、「第二種」は13問の候補問題が公表されます。
電気工事士試験の合格率は、以下のようになっています。
筆記試験より技能試験の方が10〜15%ほど合格率が高く、上位資格である「第一種」の方が10〜15%ほど合格率が低い傾向にあります。他の国家資格と比べると難易度はそこまで高くなく、きちんと対策を立てれば受かりやすい資格といえるでしょう。
この記事とあわせて読みたい電気工事士試験を受験する際に役立つテキストなどもご紹介していきます。
電気工事士の資格は汎用性が高いため、現場資格系のなかでも取得者の多い人気資格です。誰でも受けられる資格のため、未経験からの転職の際には取得しておくことをおすすめします。
電気工事士の資格を持っていることで以下のような仕事に就くことが可能です。
資格を取得していれば十分、転職に有利になりますが、実務経験があればさらに有利になるでしょう。
また体力が必要とされる仕事ですので、転職するなら早めの方がよいかもしれません。電気工の年齢割合は30台が最も多く、40台後半ともなると10%をきります。できれば30台前半のうちに転職し、バリバリ働いて年収アップやキャリアアップを目指したいですね。
- 著者
- ["ツールボックス", "藤瀧 和弘"]
- 出版日
電気工事士の仕事について知りたいけれど、どこから手をつけたらいいか分からないという方におすすめの1冊です。第二種電気工事士の基礎をわかりやすく漫画で説明した入門書となっています。
基礎的な内容をイラストと身近なストーリでまとめているため、この本を最初に読むことで他の参考書に記載されている内容の理解がしやすくなり学習が進むことは間違いありません。
また、付属のDVDは実演による技能作業が収録されており、独学では難しい技能試験対策も実際に観ながら練習ができます。もちろんこの本だけで合格するのは難しいですが、技術面がより詳しく書かれた本のサブテキストのような感覚で手元に置いておくのもよいでしょう。
- 著者
- 藤瀧 和弘
- 出版日
独学で初めて試験にチャレンジする方でも簡単に理解ができるよう、写真とイラストで技能に必要な基本作業を一から丁寧に説明しているテキストです。
また、本誌から切り離して携帯できる「書き込み式公表問題複線図の練習帳」は、スキマ時間や外出先での学習に便利です。試験の時間内に確実に課題を仕上げることを目的に、合否に関係のない無駄な情報は排除し、公表候補問題の合理的な作業手順を詳しく説明しています。
2週間練習すれば、全候補問題がおのおの20分で完成させられるようになります。先に紹介した漫画と組み合わせて勉強に励めば、合格までの道のりがきっと見えてくるはずです。
- 著者
- ねしめ 重之
- 出版日
10年以上の講師経験があり、受講生から絶大な支持を得ている筆者が「最短で確実に合格」するためのノウハウをまとめた1冊です。
試験の特性上、回路図や計算式などが多く出てくるため、試験勉強がなかなか捗らないという方もなかにはいるはず。こちらの本は色やイラスト、写真などを最大限、駆使して書かれたテキストのため、印象として視覚的に残りやすい点がとてもおすすめなんです。
初めて勉強する人でも最大6回の講習だけで合格できるよう独自のカリキュラムを組んでいる著者ならではの試験対策本をいえるでしょう。頻出過去問を徹底分析し詳しく解説しているため、過去問対策もこの1冊あれば安心です。
電気工事士は、生活に欠かせないライフラインを担うやりがいが大きい仕事です。視覚取得後は社会的信頼も厚く、働き方は電気工事会社以外にも業務委託などがあり、自分の実力に応じた年収を得ることができるでしょう。試験の合格率は60〜70%と比較的高く、まったく知識のない人も積極的に資格を取得していてチャレンジもしやすいです。さらに電気工事士への理解を深めるためにも、ぜひ紹介した本を読んでみてください