いまや日本の社会基盤となった情報技術。パソコンの操作やデータ処理ができることは、社会人としてのスタンダードスキルとなりました。ITパスポート試験は、ITを正しく理解し、業務に効果的に利活用できる「IT力」があることを証明する試験です。この記事では、資格取得のメリットや試験内容、合格率などをわかりやすく解説していきます。
ITパスポート試験は、情報処理の促進に関する法律にもとづき、情報処理推進機構が実施している国家試験です。2009年に認定されました。現代社会で求められ、世界に羽ばたけるような人材を産み出したいという願いから、「パスポート」とう名称がつけられています。
ITといっても、情報系の知識だけが問われるわけではありません。文系や理系に関わらず、どんな職種でもITと経営に関する総合的な知識が必要だとして、社会人として身につけるべき幅広い内容が問われます。
ITパスポート試験は、ITを正しく理解し、業務に効果的にITを利活用することのできる「IT力」があることを証明できる試験なのです。
学生であれば、就職活動時に情報リテラシーが身についていることをアピールできるでしょう。企業コンプライアンスや法令遵守に貢献する正しい知識、経営戦略や財務など経営全般に関する基礎知識、さらには業務に必要なITの基礎知識がついている証拠にもなります。
大手企業でもITパスポート試験の取得を推奨しているところが多く、エントリーシートなどでスコアを確認する企業も増えているのが現状。また多くの大学で、ITパスポート試験の合格が単位になるなど、授業やカリキュラムに活用されているのです。
社会人であれば、ITを活用した業務効率化やビジネスの拡大を図れます。また組織のIT力向上、コンプライアンス強化などにも役立つでしょう。社員研修に導入している企業も多いようです。
テレワークの急速な拡大などもあり、今後はひとりひとりの情報処理スキルがこれまでにない勢いで求められていきます。ITパスポート試験の勉強をすることは、適切に変化を受け入れ、正しい情報を取捨選択できることを証明する新しいスタンダードスキルになるでしょう。
ITパスポート試験は、全国47都道府県の101会場にて通年実施されているため、受験者は都合の良い日時や会場を選択することが可能です。 座席数が決まっているので、早めに申し込むとよいでしょう。
試験は、コンピュータに表示された問題にマウスやキーボードを用いて解答する「CBT方式」。受験者ごとに異なる問題が出されます。
120分で、四肢択一問題が100問。合否は試験終了時にわかり、合格した場合、郵送で合格証書が届きます。
試験の内容は以下のとおりです。
ストラテジ系では、企業活動における会計の仕組みやコンプライアンス、著作権などの知識が問われます。ITの試験とはいえ、一般的に社会で必要とされる内容が多いのが特徴です。
マネジメント系では、システム管理やプロジェクトマネジメントなどの体系的知識を、 テクノロジ系では、2進数から10進数への変換、アルゴリズムなどの知識を問われます。
ITパスポート試験では、1問あたりの点数が決められているわけではなく、回答結果にもとづき配点がされる「IRT方式」が採用されています。
総合評価が1000点満点中600点以上、なおかつ分野別の評価がそれぞれ1000点満点中300点以上で合格です。
合格率は以下のとおり。
受験者数は初回から増え続けていて、2019年度は10万人を超えました。認知度が高まり、注目が集まっている証拠です。
ただ、国家資格のなかでは合格率は高めです。またいつでも受験できるので、学業や仕事との両立もしやすいでしょう。初学者に必要な勉強時間は、およそ180時間だといわれています。
- 著者
- 高橋 京介
- 出版日
なによりも効率的な学習を目的に、イラストを駆使したビジュアル重視のITパスポート試験の参考書。初学者にもおすすめです。
時代とともに新しく増えるカタカナ用語や英略語の羅列も、意味を理解しながら暗記できる構成。ITパスポート試験対策の半分は、暗記対策といっても過言ではありません。隙間時間を利用しながらベストなインプットとアウトプットができる一冊です。
- 著者
- 富士通エフ・オー・エム株式会社 (FOM出版)
- 出版日
ITパスポート試験に向けた対策テキストと、問題集がひとつになった作品。特に今後重要になるといわれている、セキュリティ関連の解説が好評です。
購入特典として、800問の解説付きWeb問題やポイント解説動画などのコンテンツを利用できるので、独学でもしっかりと学習を進めていけるでしょう。
ITパスポート試験では、新しい用語が急激に増えたり、出題傾向が頻繁に変わったりすることがあるため、常に最新の問題に多く触れておく必要があります。購入の際は、年度などを確認してください。