5分でわかる歯科医師!転職事情や開業事情、気になる年収から資格概要までをご紹介!

更新:2021.12.2

歯科医師は、医師のなかでも若い世代から高齢者までさまざまな世代が関わることも多いため、誰にとっても馴染みの深い職業でしょう。歯の治療だけをおこなう職業というイメージがあるかもしれませんが、歯科医師はお口にまつわるプロフェッショナルなので、治療以外にもさまざまな治療をおこなっています。その専門性の高さから年収は一般平均に比べて高く、開業している歯科医院の数も多いです。 今回は歯科医師という職業について国家資格の内容や転職事情まで詳しく紹介していきます。また、あわせて読んでいただきたい書籍もご紹介しますので、歯科医師になりたい方はぜひ読んでみてくださいね。

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歯科医師とは。仕事内容は?

歯科医師とは

歯科医師は、法的な定義で以下のように定められています。

厚生大臣の免許(歯科医師免許)を取得して歯科医業を行う者(行うことの出来る者も含む)であり、歯科医療及び保健指導をつかさどることにより、公衆衛生の向上・増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する任務を担っている者

歯科医師の仕事内容について

歯科医師の仕事は、歯に関する治療や保健指導です。

私たちがいちばん歯科医師に関わる機会があるのは、虫歯の治療や歯科検診ではないでしょうか。他にも冠・差し歯、入れ歯、詰め物などの製作と装着、歯並びの矯正、抜歯やインプラントなどの外科的治療をおこなう際にお世話になっています。

また歯の治療だけでなく口腔内の検診もおこない、口腔がんなど病気の早期発見をおこなうということも歯科医師の重要な仕事です。

近年では歯をきれいに見せるために治療をおこなう審美歯科、入れ歯など高齢者特有の歯の悩みに向かい合う高齢者歯科、障害者が治療を受けやすい環境を整る障害者歯科など対象領域を限定しておこなうところもあります。

歯科医師と医師の違い 

普通の医師と歯科医師の違いは、法的な定義にもあるように歯科医療をおこなえるかどうかです。医師免許のみで歯に関する治療をおこなうことはできないのです。

歯科医師は医師と同じ6年間の勉学が必要とされ、歯に関する治療ならば麻酔をかけたり呼吸管理をしたり死亡診断書を書くこともできます。ですが、歯に関係しなければこれらの業務すらおこなうことができません。

一方、医師は歯の診療以外であればすべての分野においてこれらの仕事をすることが可能です。人間の体全体を診ることができるか、歯だけを診るか、これが医師と歯科医師の大きな違いといえるでしょう。

歯科医師の年収。開業医は1000万円を超える

場所を選ばず働けて安定した収入を得られる

歯科医師の年収は勤務医か開業医かで年収が大きく異なり、平成27年時点では勤務医で600万円程度、開業医では1000万円を超えるデータが公開されています。勤務医の月給平均は約50万円(平成27年度)でした。

サラリーマンの一般平均年収に比べると高収入ということがわかりますよね。しかし他の専門医(医師など)と比べると低い部類に入ってしまうという状況もあります。

求人は正社員だけでなくパートや委託契約など豊富にあるため、資格があれば結婚や育児などによる生活スタイルが変わってしまっても長期的に働いていけるというところが特徴です。

参照:賃金構造基本統計調査の職種別賃金額

歯科医院の開業は短期間での経営安定が鍵に

2021年現在、歯科医院の数はコンビニの店舗数より多いと言われています。これは1990年代に勤務医より開業医の方が稼げるというイメージが流布されたため、半数以上の歯科医師が開業をしたためと言われています。

しかしその20年後の2010年代には開業する医師の数は2割ほどに減少しています。これは歯科医院数の増加により集患の競争が激化したため、多くの歯科医院が安定した経営を続けられなくなっていることによるネガティブイメージを持ち始めた方が多くなったからです。

そういった現状のなかでも開業を考える方は、短期間での収益の黒字化が最優先です。コンビニの店舗数よりも歯科医院の数が上回る現状では、銀行融資の基準が厳しくなっています。長期の運転資金が得られない間も経営を続けるためには、黒字化が絶対条件となるのです。

歯科医師になるには。歯科医師国家資格の内容

大学で6年間、臨床研修を1年受ける

歯科医師になるためには、歯科大学や大学の歯学部で6年間の教育を受けた後に歯科医師国家試験に合格することで、歯科医師資格を取得することができます。さらに2006年4月より、資格を取得した後に、研修施設の指定を受けた病院・診療所などで1年以上の臨床研修を受けることが義務付けられています。

歯科の養成校は全国で29校しかありません。全国に点在しているというわけではないので、自分の住んでいる地域に歯科の養成校があるのかをまず確認することが必要です。

歯科医師国家試験の合格

国家試験は毎年2月初旬におこなわれ、3月中旬に合否の発表があります。2020年の歯科医師国家試験の合格率は65.6%でした。毎年65%前後で推移しており、歯学部でしっかりと学び、こつこつと学習をしてきた方が合格をつかみ取っている傾向にあります。

歯科医師の男女の割合は平成28年の調査において男性76.7%、女性23.3%となっています。近年、女性歯科医師数が増加傾向にあります。特に30歳代というライフスタイルが変化する年代の女性において増加傾向にあります。

これは、歯科医師が結婚や育児などでライフスタイルの変更を余儀なくされる女性でも働きやすい職業であることの裏付けでしょう。

歯科医師数が増え続けている

そんな女性でも働きやすい職業である歯科医師ですが、大変な一面もあります。一部ニュースなどで、歯科はコンビニよりも多いという報道をされているのを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は歯科医師数は年々増加にあり、これに合わせて歯科診療所の数も増えているのです。

歯科施設数は平成31年に厚生労働省が発表した調査データで6万8477件、コンビニは日本フランチャイズチェーン協会が発表した平成31年12月のデータで5万5743件となっています。そのため、ニュースなどで耳にするこの噂は本当であるといえます。

そうした歯科医師需給問題に関して厚生労働省はいくつかの取り組みをおこなっています。平成19年には「歯科医師国家試験」の合格基準の見直し、平成24年には再度見直しをおこない、さらに各領域ごとの必要最低点の設定などが実施されています。

このように歯科が多い分、競争はものすごく激しいとお考えください。歯科医師になり開業しても、事業が軌道にのるかどうかはその医師の技量や強みがないと難しいということにはなります。

そのため、早いうちから強みとなることを探したり、歯科診療の幅広い知識を入れておくことがおすすめです。 これからご紹介する書籍がそのヒントとなれば幸いです。

歯科医師の転職事情。何を基準にするか

アルバイトしてから転職先を決めるのもあり

転職は何を基準にするかを明確にしてから決めましょう。たとえば歯科医院によって治療の仕方は異なります。インプラント専門、子どもの矯正専門、一般歯科医院、自費診療などさまざまです。

より多くの治療法を知り、それぞれの歯科医院の特徴を知るにはいくつかの歯科医院を掛け持ちでアルバイトしてみるのもよいでしょう。その先により深く学びたいことや目指す歯科医師の姿を明確にイメージできるようになるはずです。

優れた技術が学べる場所に

転職先を探す際に重視することは、初めは給料面や勤務時間かもしれません。しかし今後求められていく歯科医師の像を考えたときに、最も重要とされるのは技術力です。

転職を考え始めた時は、自分はどのような技術を磨いていきたいのか、そして技術を習得した先でお客さんにどのような価値を提供したいのかを改めて考えるべき時と認識してもよいかもしれません。その上でマッチする技術を学べる場所を探すことが、転職を成功させるポイントとなります。

歯科医を希望する方にまず読んでいただきたい1冊

著者
奥原 利樹
出版日

歯科医歴25年、地域の歯科診療を一手に引き受けてきた筆者が歯科医師の仕事について詳しく書いたエッセイです。

先ほどもご紹介した歯科がコンビニより多い件など、近年メディアでも取り上げられる歯科事情を踏まえたうえで、歯科医という仕事のやりがいを書いています。歯科医師を目指す方は昨今の歯科医師の事情を知ることができ、とても勉強になる1冊です。

実際に歯科医師として働いていたという立場から歯科医師という仕事のおもしろさを書いているので、勉強をはじめたばかりの人にとってもわかりやすい内容でしょう。

歯科医の仕事がわたしたちにとって重要であるということが分かる1冊

著者
和田 はつ子
出版日

江戸時代の歯科医師が主人公となる本です。この本はシリーズ小説となっています。

今回ご紹介するこの本はシリーズの初回であり、歯科医師の主人公が仲間たちとさまざまな事件を解決していくというストーリーです。

この時代は歯の病気で命が失われてしまう時代でもありました。小説のストーリーの中で、歯科医という職業が私たち人間にとっていかに重要な仕事であるかが分かる1冊です。実際に昔の手法を用いた治療のシーンも出てくるため、昔の歯科医療について興味のあるという方も楽しく読めるのではないでしょうか。

江戸時代という昔からも歯科医という職業があり、人々の歯の健康を守ってきたっという時代の背景も見ることができます。江戸時代の歯科の治療の方法からも歯科の治療の歴史を知ることができるかもしれません。

歯科医師になりたいという方だけでなく、歴史が好きな方はぜひ一読していただきたいです。

また、シリーズ小説でシリーズによってさまざまな治療が出てきますので興味のある方はシリーズで読むこともおすすめです。

歯科医という職を武器に戦争を駆け抜けたドキュメンタリー

著者
["ベンジャミン・ジェイコブス", "上田 祥士", "向井 和美"]
出版日

1941年、ポーランドの小さな村のユダヤ人家庭で暮らしていた歯科医の勉強を始め1年目の21歳の青年が、ナチス・ドイツの強制収容所へ送られることになります。母は歯科学生の青年に歯の治療用具箱を持っていくよう強くすすめました。

仕事がなければ殺されてしまうという状況でもあったため、青年はこの道具のおかげで仕事ができ、殺されずに終戦を迎えることができます。

実際に著者が経験したことを基にこの本は描かれています。歯科学生であり知識も乏しいながら一般人や軍人の治療をしていくという重圧、さらには物もない時代に試行錯誤での治療をしていくということからも戦争のむごさを知ることができる1冊です。

歯科医を目指す歯科学生が主人公となるお話です。歯科医という仕事に直接関係はない部分もストーリーの中には多いので、歯科医の仕事について学びたいという方にはつまらないかもしれません。

ですが、どんな状況でも歯の治療を続けた志、そして歯学を武器に戦争を駆け抜けた著者がいることをぜひ知ってほしいです。


医師数も施設数も増えてきて、競争率も高まっている歯科医師という職業。しかし競争率が高まっているからといって仕事がない、求人が少ないというわけではありません。むしろ、自分の特技や強みで差をつけていくこともできますので、免許取得後も続けていきやすい職業です。 

同じ医師でも歯に関する治療は歯科医師にしかできないのでやりがいのある仕事ではないでしょうか。女性も増えてきている資格ですので、歯科医師になりたいという方は男性だけでなく女性もチャレンジしてほしいです。 

歯科医師の事情や歯科医師の働きについて知りたい方は紹介した書籍も目を通してみてください。

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