トリマーは、犬や猫などの毛や爪の手入れをするペット専門の美容師。トリマーのほとんどは犬や猫を飼っている動物好きのようです。当然だといえばそうなのかもしれませんが、逆に動物を愛おしむ心がないとやっていけない仕事ともいえます。トリマーは大変なことも少なくないため、続けていくには「好き」が重要になることは間違いありません。とは言ってもどんな仕事にも楽しさと大変さはあるので、あまり気にしても仕方ありませんね。 本記事ではトリマーになるための方法をはじめ、仕事内容や給与事情、キャリアステップにいたるまで幅広く解説します。また、おすすめの関連本も紹介。トリマーを目指す方は必ずチェックです!
ペットショップやサロンの店内でスタッフがグルーミングをしている光景を見たことがある人は多いと思いますが、ほかにはどんな仕事があるのでしょうか。またトリマーの方たちはどういったことにやりがいを感じているのでしょうか。トリマーを目指すうえで知っておきたい適性や働くうえで必要な資格の有無、あったほうがいいスキルも一緒に紹介します。
トリマーの仕事は、主にペットのグルーミング。グルーミングとは飼い主さんとの生活を快適に送るための毛やノミとりなどのお手入れのことです。多くは以下のような手順でおこなわれます。※犬のグルーミングの場合
■ブラッシング
コームやスリッカーブラシを使い毛並みを整えたり毛玉やもつれ毛をときほぐします。
■耳そうじ
鉗子という物をつかむのに使うハサミのような形をした器具を使用。耳の汚れやむだ毛を取り除きイヤークリーナーで拭き取ります。
■シャンプー
専用のシャンプーを使用し汚れを洗い流します。
■ドライヤー
ブラッシングしながら乾かします。ペットが熱がらないように気を付けましょう。
■爪切り
歩行の邪魔にならない長さにカットします。
■カット
内股の中央やおしりまわり、足まわりなど汚れやすい部分を中心にカット。また飼い主の希望するヘアスタイルにカットすることもあります。
メニューはお店によって異なり、マッサージや歯磨きなどをおこなうところもあります。
いろんな性格や見た目の犬や猫たちと触れ合えること。動物好きにはたまりませんよね。またトリマーの仕事は、そんな可愛いペットたちの命を救うこともできます。グルーミング中に体の異常に気づき病気の早期発見につながった、なんていう話もよくあるのです。動物たちの健康を守るという意味でもやりがいのある仕事だといえます。
また施術を終えた後に「ありがとう」という表情をするペットもいるようで、その瞬間のために頑張っているトリマーもいると聞きます。
大前提は「動物好き」です。ペットのなかにはシャンプーや毛をカットされることを嫌がり、噛んだりひっかいたりする犬や猫も多くいます。また、大型犬などは抱えたまま手入れをすることもあり、体力的にも厳しい仕事です。そんな大変さも吹き飛ばして続けていくには、動物好きな人でなければ難しいかもしれません。
そのほか、手先が器用さや飼い主からの注文を聞き出すコミュニケーション能力もあるとスムーズに仕事ができます。
トリマーになるために必要な国家資格はありません。ただし、知識や技術を身に着けるために専門学校やスクールに通ってから就職するのが一般的とされています。またいくつかの民間資格があり、取得しておけば就活にも生かせます。そのなかから持っておくとよい資格をご紹介するので、トリマーとしてより腕を磨きたい人はぜひチャレンジしてみてくださいね。
◾️メディカルトリマー
トリミングの技術に加え、別の視点から動物の健康や美容を守りたい人は、一般社団法人メディカルトリマー協会が発行する資格を取得するのもいいかもしれません。
メディカルトリマーとは、ペットの健康を守るために作られた資格制度のこと。動物の体の仕組みを勉強することで、食事や病気などの悩みに自信をもってケア・アドバイスすることができます。通信講座、短期集中講座ともに受講料は8万円と安くはない価格ですが、その動物にあった適切なアドバイスをするためには取得して損はない資格でしょう。
◾️トリマー ペットスタイリスト資格
一般財団法人日本能力開発推進協会が発行する「トリマー ペットスタイリスト資格」は、トリマーとしてより高い技能を得て、将来的にはトリマーとして自宅開業したい人にもおすすめの資格です。
協会が定める認定教育機関などで全カリキュラムを修了した人が受験することができます。受講費用は3万6000円と、7万9000円の2コースが用意されています。受験は在宅でも受けられるため、なかなか時間を捻出できない人にもおすすめだといえます。
トリマーの仕事で大切なのは犬種・猫種ごとの知識です。「柴犬は忍耐強いが体を拘束されるのが苦手」など性格・習性を知っておくと扱い方も分かりますし、毛質の知識があればスタイリングにも役立てられます。より質の高い仕事をするにはまず種類ごとの特徴をしっかり把握しましょう。
またよいトリマーの証に「異常に気付ける」という能力があります。病気の症状などについても知っておくとより高い確率で異常を察知できるようになるでしょう。
ここまでトリマーの仕事にフォーカスして伝えてきましたが、働く場所や待遇なども気になるところ。就職先や給与事情についても触れていきたいと思います。
以下の4つが主な就職先です。
それぞれ求められる技術やスタンスが異なるため、自分が何を目指したいかで決めるといいでしょう。
また、経験を積んでからフリーランスで活躍したり、自らオーナーとしてペットサロンやペットホテルを運営したりといった選択肢もあります。
求人の際に提示されている額をみるに初任給は14~20万円前後。年収だと180万~250万円前後がトリマーの給与水準になっているようです。待遇がしっかりしている会社・ショップの場合は、賞与や特別手当がついて年収300万~500万円前後となることもあります。
トリマーが次のステップとして選択するのは、サロンのオーナーやフリーランスなどの独立の道のようです。トリマーはスキルが評価される仕事のため、力をつけて独立開業していくといった人が多いのでしょう。
また今後はペットのための介護施設も増えていくと考えられています。興味がある人は新しい選択肢として調べておくといいかもしれません。
- 著者
- 島本 彩恵
- 出版日
プロトリマーに必要なグルーミングテクニックを教えてくれる1冊がこちら。トリマーとしての基本知識からはじまり応用までを網羅しているため、ずっと使える身近に置きたい本です。
たとえばブラッシングの場合、「ブラシ」「コーム」「スリッカー」などを項目ごとに分けて解説。イラスト付きなので視覚的に理解できるのも初めて学ぶ人にとってはありがたいでしょう。
また技巧的なメソッドだけでなく、コミュニケーションの取り方や犬の感情の読み取り方などにも触れています。
- 著者
- 竹内 和義
- 出版日
施術中にペットの異常に気付けてこそ1人前のトリマーです。本書は遭遇しやすい犬の病気について解説している、トリマーのための獣医学ハンドブックとして使える1冊です。
皮膚や眼、耳の病気の見分け方や対処の仕方に加え、頻繁に遭遇する低温火傷などの応急処置やサロンにおける消毒法や犬の栄養学まで幅広く収載。またサロン内での衛生管理の方法についても学べる内容が盛りだくさんとなっています。
意外と知る機会のない薬用シャンプーの種類やそれぞれの効果、また欠点なども記載されており、実践的な情報が詰まっています。
- 著者
- ["監修:サスティナコンサルティング", "編集:ハッピー*トリマー編集部"]
- 出版日
「いつかはペットサロンのオーナーになりたい!」と考えている人におすすめしたい本がこちらの『トリマーのためのペットサロン開業・経営マニュアル』です。
本書はペットサロンを開業するまでの流れと必要な手続き、人気サロンの開業事例、お店を長く続けていくために 必要な経営情報や売り上げアップのノウハウなどを解説。やるべきことをあらかじめ知っておけば、トリマーの仕事1つひとつに意識して取り組めるし、モチベーションも高まります。
店舗で働く従業員の1人としても知っておきたい知識が豊富に書かれているので、ペットサロンのオーナーを目指していない人も一読しておく価値があるでしょう。
トリマーとして働くために必要な資格はありませんが、誰でも簡単にできる仕事でもありません。動物に噛まれたりひっかかれたりして、傷のたえない仕事です。また、労働時間に対しての給料や待遇が整っていない職場が多いのも現実です。ただ毎日いろんなペットに出会い、健康や美容を守る手助けをできるのは、動物好きにとって誇らしいことでもあります。
そんなやりがいや信頼性の高い仕事ができるトリマーになり、きちんと生活していくためには将来設計が重要です。グルーミングの技術や知識、お店の経営について今からしっかり学んでいきましょう。おすすめした3冊の本があなたの助けになるはずです。ぜひ頑張ってみてください。