労働条件や労働環境の管理と改善に関わる「衛生管理者」という仕事。1974年に制度化された国家資格です。この記事では、資格の概要と仕事内容、試験内容、難易度などをわかりやすく解説。またおすすめのテキストや問題集も紹介していきます。
労働条件や労働環境の管理と改善を担当する衛生管理者。労働安全衛生法により、一定規模以上の事業場には専任が義務付けられている国家資格です。
事業場の衛生管理は医師だけでおこなうことは困難だとして、1947年に日本独自の制度として発足しました。伝染病対策や喫煙対策、過重労働など、時代とともに改定が重ねられています。
衛生管理者は、事業の範囲によって第一種衛生管理者、第二種衛生管理者、衛生工学衛生管理者の3種類があります。
第一種衛生管理者は、すべての業種の事業場で衛生管理者としての業務にあたることが可能です。
第二種衛生管理者は、有害業務と関連が低い業種の事業場でのみ業務にあたることができます。
また衛生工学衛生管理者は、有毒ガスや蒸気、粉塵などが発生する作業場で、衛生工学技術の知識を用いて作業環境の点検、改善をする衛生工学の専門家です。職域としては第一種衛生管理者と同じですが、受験ルートに違いがあります。
常時50人以上の労働者がいる事業場には、衛生管理者を1人以上選任しなければいけない義務があります。労働者の人数によって選任すべき衛生管理者の人数も変わり、たとえば労働者が500人以上であれば衛生管理者は3人以上、労働者が1000人以上であれば、衛生管理者を4人以上選任する必要があるのです。多くの職場から、高いニーズのある仕事だといえるでしょう。
公益社団法人「労務管理教育センター」のHPには、衛生管理者の仕事内容について次のように記されています。
労働災害や衛生課題から、ひとりひとりの心身に関することまで、その仕事内容の奥深さがわかるでしょう。私たちの生活の一部である労働を根底から支えている存在です。
衛生管理者の試験は、公益社団法人「安全衛生技術試験協会」が主催している国家資格です。全国7つの地域で、毎月1~3回実施されていて、日にちは各会場によって異なります。
受験資格は次の3つのうち、どれか1つに該当することが条件です。
では具体的な試験内容を、第一種と第二種それぞれ見ていきましょう。
第一種衛生管理者
第二種衛生管理者
第一種、第二種ともに、3時間の試験で、択一式。6割の得点が合格ラインとされています。
2019年度の衛生管理者試験は次のとおりです。
第一種
受験者数:6万8498 合格者数:3万2026 合格率:46.8%
第二種
受験者数:3万3559 合格者数:1万8511 合格率:55.2%
合格率はおよそ半分。他の国家資格と比較すると非常に高いといえるでしょう。定員制ではなく、基準点を上回れば合格できます。物質の名称などに慣れていない場合は、半年は勉強時間をとったほうがよいでしょう。
合格後は、各都道府県の労働局の、労働基準監督署で免許申請書を受け取る必要があります。その後各自で免許を申請し、免許証が交付されれば無事に衛生管理者として働くことができます。
- 著者
- 村中 一英
- 出版日
衛生管理者の試験に一発合格を目指す人のための、テキストと問題集がひとつになった作品。出題傾向の高い内容にフォーカスし、メリハリのある解説が魅力です。初学者でも重要度を見極めながら、効率的に勉強を進めることができるでしょう。
作者は、衛生管理者試験のベテラン指導講師であると同時に、現役の社会保険労務士でもある人物。法改正にも強く、試験傾向の分析には定評があります。
一問一答集もついているので、インプットとアウトプットをくり返したい時にも役立つでしょう。
- 著者
- 利昭, 加藤
- 出版日
社会保険労務士で安全衛生指導員でもある作者がまとめた、信頼度の高い衛生管理者試験の過去問題集です。
直近6回分の試験問題が収録されていて、丁寧な解説が魅力的。 しっかりと理解して確実に得点に繋げられる内容です。要点まとめがついているので、ポイントの整理にも役立つでしょう。