聞いたことのないという方も多い生活相談員という職業ですが、これからの医療・介護においては非常に重要であり、重宝される職業といっても過言ではありません。生活相談員とは、介護・福祉施設に勤務し、そこで必要な援助活動する介護に関する仕事です。 生活相談員にはどうやってなるのか、実際にどこで働くことができるのかということや収入などについて詳しく紹介していきます。また、生活相談員の進路を考えている方には、あわせて読んでいただきたい書籍をご紹介しますので、ぜひ進路決定の参考にしてみてください。
生活相談員(生活指導員とも呼ばれる)とは主に施設に入所している高齢者に対し、各種の相談や援助、援助計画の立案・実施、また、関係機関との連絡・調整をおこなう職業です。医療機関で働くとソーシャルワーカー、介護老人保健施設で働くと支援相談員と呼ばれます。
生活相談員と支援相談員は呼び方は変わりますが、仕事内容や資格については似ています。ただ1つ違うのは勤務先です。生活相談員が介護・支援施設で勤務するのに対し、支援相談員は老人保健施設に配置されることがほとんどです。
2017年10月時点で生活相談員として従事している人数は8万4,463人ほどおり、生活相談員の仕事内容は多岐にわたります。
上記に加えて、施設を円滑に回すための業務もあります。施設内の見回りや実習生の受け入れ、外部のお客様の接待などもありますし、施設の患者あるいは利用者とその家族と話し合い、要介護認定の案内や連携できる関係機関の紹介、支援などもおこないます。
そのため、 医療や介護の知識だけでなくコミュニケーション能力や一般常識など幅広い知識が問われる職業であるといえるでしょう。
生活相談員は、いくつかの施設・事業所で働くことができます。
その他にも、在宅(老人)介護支援センターや老人デイサービスセンター)で働く生活相談員の方もいらっしゃいます。
生活相談員の年収は2017年時点で大卒の場合は月収20万円前後としています。ですが、施設によって異なり、医療機関では少々高い傾向にあります。
基本的に日勤といい8時~9時から始業し、17時前後に終業となりますが、利用者や患者家族と関わる必要もあるため、勤務外に仕事をすることが必要になる場合もあるでしょう。
収入面についてはこのような場合、残業手当をつけてもらえればもう少し高くなることもあります。
参照:福祉医療機構
生活相談員・生活指導員になるための民間資格や国家資格はありません。ですが、一般的には福祉系大学などを卒業後、社会福祉士や社会福祉主事任用資格などの資格を取得してから生活相談員として就職をします。
また、近年では介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得して生活相談員になるケースも増えてきています。それぞれの仕事内容や資格の取り方については、下記のリンク先を確認してみてくださいね。
5分でわかる介護福祉士(ケアワーカー)!仕事内容や資格の難易度・活用法など詳しく解説!→https://honcierge.jp/articles/shelf_story/9052
5分でわかるケアマネジャー!仕事の内容などケアマネという職業を詳しく解説!
→https://honciergejp/articles/shelf_story/9108
やはり医療や福祉の知識が必要となる業務もあるため、無資格未経験での就職は難しい職業です。ちなみに厚生労働省は、生活相談員の資格要件について以下のように定めています。
社会福祉法第19条第1項各号のいずれかに該当する者又はこれと同等以上の能力を有する者
参照:社会福祉法
上記のような指定しているため、資格がなくても慣れる職業とはいえ働くためには一定の条件が必要となります。
この「いずれかに該当するもの」とは大学や専門学校で厚生労働大臣が定めた社会福祉に関する科目を修了して卒業した者 、厚生労働大臣の指定する養成機関や講習会を修了した者、社会福祉士資格所有者、精神保健福祉士などです。
または「これと同等以上の能力を有するもの」とは、自治体や都道府県によって要件が異なります。たとえば、下記のような違いがあります。
このことから、無資格でも仕事について医療や福祉に関わることができるのですが、介護や福祉の資格があったほうが就職はしやすいといえるでしょう。
そのため、すでに介護や福祉の資格を持っているという方には挑戦しやすいのではないでしょうか。ここからは生活相談員がどんな仕事かを知るための書籍を紹介していきます。
- 著者
- 梅沢 佳裕
- 出版日
これから生活相談員になりたいと考える学生向けに書かれた1冊です。著者も介護専門学校の助教員を経て、特別養護老人ホーム・在宅介護支援センターの相談員を歴任しており、生活相談員の経験者であるといえます。
この本では、実際に生活相談員の仕事を経験した著者の視点で生活相談員の仕事内容や、具体的な仕事例、この仕事をしている方の悩みになる事例などをわかりやすく取り上げて解決へと導いています。
この本は実際に生活相談員として働いている方にも愛読者が多く、読むたびに仕事への熱意を与えられているという意見も多く見受けられます。これから生活相談員を目指す方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。
- 著者
- 田中 大悟
- 出版日
生活相談員として介護施設で働きたいという方に読んでいただきたい1冊です。生活相談員が介護施設、特にデイサービスでどのような働き方をしているかが詳しく書かれています。
イラストや図が多いため、視覚的に分かりやすく、生活相談員の仕事や必要な知識についてまだあまり知らないという人でも読みやすいでしょう。
日・週・月・年ごとの生活相談員の業務を解説している部分もあるため就職した後も活用できます。新人だけでなくベテランになってから必要となる業務内容も載っているため、長く活用できる1冊です。
- 著者
- ["芦沢茂喜", "山岸倫子"]
- 出版日
2人のソーシャルワーカーがそれぞれの現場で体験したことを基に、ソーシャルワーカーとはどういう仕事なのか、ソーシャルワーカーは何のために働いているのかというソーシャルワーカーの本質を見出す1冊です。
医療の現場でソーシャルワーカーとして働いている時の様子がしっかりと書かれているため、これから医療現場で生活相談員として働きたいという方の参考になります。
出版が2020年と他の書籍と比較すると新しいため、最新の医療現場でのソーシャルワーカーの事情を知ることができます。医療の現場で生活相談員になりたいと考えている方にはぜひ読んでいただきたい1冊です。
著者がソーシャルワーカーを目指したきっかけなども書いてあるため、これから生活相談員として医療機関で働きたいという方にとっても参考になる書籍なのではないでしょうか。
医療や福祉の現場で多岐にわたる業務をこなす生活相談員。無資格とはいえ自治体によって要件が異なるため、生活相談になりたいという方は自分の居住する地域の要件を細かくチェックしていただきたいものです。
医療の施設で働いても介護の施設で働いても、互いにメリット・デメリットがあります。ぜひ、介護と医療の両方の現場のことを知ってからどちらで働くかを検討してみましょう。生活相談員の仕事を知り、資格の要件に当てはまるという方は仕事の選択肢の1つとなれば幸いです。