航空業界で活躍するグランドスタッフ。CAとは異なり、カウンター業務・ゲート業務など地上のさまざまな業務を担います。たくさんの人の旅を支える仕事であり、航空業界で働きたい方にとって、人気のある仕事のひとつです。 今回は、グランドスタッフについて、仕事内容やなり方、求められるスキル、年収などをたっぷりと解説していきます。航空業界に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
航空業界の仕事というと、まずCAが思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。同じ空港で働く仕事として、グランドスタッフとCAは間違われやすい仕事です。グランドスタッフとCAの違いともに、どのような仕事があるのかを理解していきましょう。
◾️カウンター業務
グランドスタッフは、空港カウンターで時間通りに旅に出られるように、手続きをおこないます。航空券の発券や荷物の受け取り、搭乗案内などを担当します。
搭乗手続き以外にも、問い合わせや電話などにも対応するので、仕事内容は幅広いです。時にはトラブルが起きることもあり、トラブルに対する臨機応変な対応も求められます。
◾️ゲート業務
搭乗ゲートでの案内業務もグランドスタッフの大切な仕事です。飛行機が時間通りに飛び立てるように、アナウンスをおこない機内へ旅行客を誘導していきます。
搭乗予定の旅行客が乗車していない場合は、グランドスタッフが無線などで連絡を取り合いながら探すこともあります。イレギュラーが多くあるので、対応力やチームでの連携が欠かせません。
航空業界で活躍するCAとグランドスタッフは、働く場所が異なります。CAは飛行機に搭乗し、上空でサービスを提供する仕事です。機内食の提供や機内販売、利用客の誘導など、機内で旅を支えています。
一方で、グランドスタッフは、空港全体が活躍の場です。空港において、旅行客が飛行機に乗るまでの業務を担当します。グランドスタッフが旅行客を空へ送り出し、CAが快適な空の旅をサポートするという流れで、連携して業務をおこなっています。
グランドスタッフの年収は?
グランドスタッフの給与・年収は、所属するハンドリング会社にもよりますが、おおよそ250万~400万円ほどとなっています。
ANAの「その他、空港業務委託会社」の募集を見てみると、大学・大学院卒で16万8000円となっており、待遇は必ずしも好待遇とはいえないでしょう。
グランドスタッフはCAと異なり、搭乗手当といった賃金が発生しないことや、航空会社ではなく関連会社の所属になることなどによって、CAと給与・年収に差が生まれています。手続きの機械化・自動化の流れもあり、今後も厳しい状況が続くかもしれません。
グランドスタッフとCAは就職先が異なり、なるためのルートも違ってきます。高校卒業後、進学・就職の道のりを進み、晴れてグランドスタッフになることができます。どのようなルートでグランドスタッフになれるのか、道のりをチェックしていきましょう。
グランドスタッフの就職先は航空会社ではなく、ハンドリング会社と呼ばれる関連会社です。CAやパイロットは航空会社が所属先なので、間違えないように注意しましょう。
ハンドリング会社とは、グランドスタッフの業務を専門に請け負っている会社です。具体的には、ANAエアポートサービスやJALスカイ、CKTSなどのハンドリング会社があります。スイスポートジャパンといった外資系のハンドリング会社もグランドスタッフの就職先のひとつです。
最低限の条件として、専門学校や大学卒業などの学歴が必要になります。専門学校や短期大学、4年制大学に進み、航空業界について学び、採用試験に臨むという流れです。
どの学校に進むかで倍率や難易度は大きく変わりませんが、グランドスタッフになるまでの期間や専門性では、2年間で集中的に学べる専門学校・短期大学の方をおすすめします。4年制大学の人よりも2年早くグランドスタッフになることができるので、なるべく早く働きたいという方に最適です。
また航空業界に特化したカリキュラムが組まれており、より専門的な勉強ができるのも専門学校・短期大学に進むメリットといえます。
グランドスタッフになってからのキャリアとして、CAに転職する方も多くいます。グランドスタッフとして働きながら、試験に向けて準備をすることも可能です。「CAになるのは難しいけど、夢を諦めきれない」という方は、グランドスタッフからCAという道も頭に入れておきましょう。
グランドスタッフとして採用されるためには、応募先での採用試験を受けなければなりません。合格しなければ、グランドスタッフになることができないので、試験について詳しく知ることが大切です。試験概要と合わせて、難易度や倍率もおさえておきましょう。
グランドスタッフの採用試験は、一般的な企業と大きな違いはありません。エントリーシートによる書類選考、WEB適性検査に始まり、グループ面接を中心に採用者の選考をおこなっていきます。外資系のハンドリング会社を志望する際は、英語での面接がおこなわれるので、準備が必要です。
採用試験の難易度は、各ハンドリング会社によって違いがあります。大手航空会社や外資系のハンドリング会社は難易度が高く、その他の国内ハンドリング会社であれば難易度はやや下がるでしょう。
ただ、ハンドリング会社に関わらず、グランドスタッフの倍率は非常に高いです。業界全体では約15~20倍と言われています。空港の顔として働けることで人気の職業なので、入念な準備をし、多くのライバルに勝たなければなりません。
グランドスタッフの条件として、一定の英語力が求められるだけでなく、必要なスキルは他にも多くあります。グランドスタッフとして活躍するためにも欠かせないスキルを4つご紹介します。
海外の旅行客に接客をすることもあり、一定の語学力が求められます。応募の際に、英検2級以上またはTOEIC550点程度が設定されていることが多いです。ハンドリング会社によっては、韓国語ができることやコミュニケーションが取れるレベルであることなど条件に違いがあります。
留学経験があった方がよいかも気になるところでしょう。留学経験がなくても合格した方は多いので、選考に影響することはほとんどありません。
実際に働くとなると、英語で問い合わせを受けたり、トラブルの対応したりする場面に出会うでしょう。英語の知識だけでなく、実用的な英語を身に付けていると活躍できますよ。
グランドスタッフは空港の顔となる接客業です。旅行客が気持ちよく旅に出られるように、笑顔で円滑に対話できるコミュニケーション力が求められます。
CAやグランドスタッフの仲間とのコミュニケーションも大切です。時間通りに飛行機が出発できるように、仲間同士で助け合う必要があります。相手や状況を理解したコミュニケーションができると、楽しく正確な仕事ができるでしょう。
カウンター業務やゲート業務では、イレギュラーな事態が起きます。予約客が来ない、預かり荷物の手続きをしていないといったトラブルはもちろん、天候不順や機体トラブルなどがあるでしょう。
トラブルが起きたときに混乱せずに、状況を整理して行動する臨機応変な対応力が求められます。いま必要なことをすぐに判断できたり、すぐさま仲間と状況を共有したりすることによって、旅行客も安心してトラブルの解決を待つことができますね。
グランドスタッフは、フライトに合わせて早番・遅番のシフト制になっていることが多いです。早番は早朝から昼まで、遅番は昼から深夜までといったように、不規則な勤務体系になっています。
仕事は立ち仕事で重い荷物を持つこともあり、体力仕事の側面が多いです。利用客や職場の仲間と円滑に接するためには、精神面も強くなければいけません。華やかに見える反面、体力・精神力も求められることを覚えておきましょう。
- 著者
- 京極 祥江
- 出版日
『グランドスタッフになるには 』はさまざまな仕事へのなり方を解説した「なるにはBOOKSシリーズ」の1冊で、グランドスタッフになる方法を詳しく解説しています。
グランドスタッフの仕事内容についても紹介されていて、チェックインや搭乗手続きなど細部まで仕事内容を知れるのが特徴です。
なり方、適性・心構えや現場に立つまで、就職の実際まで網羅されているので、実際にグランドスタッフを目指すときに役立つ1冊になっています。
空港という場所でサービスの最前線に立ち活躍しているグランドスタッフの現場とは、どんな感じなのでしょうか。気になる人はぜひのぞいてみてください。
- 著者
- TOKYO VIC ACADEMY
- 出版日
『外資系・国内系エアライン客室乗務員に一ヵ月で合格する本』は、空港の地上職を目指す方向けのエアライン採用試験に役立つ1冊です。
TOKYO VIC ACADEMYという有名エアラインスクールが発行する参考書で、合格者への取材や過去17年間のデータの分析を生かし、質の高い傾向と対策がまとめられています。
面接対策にも触れられており、面接官がどこを見ているか、ディスカッションで何が評価されるのかなどを知り、面接に強くなれるでしょう。試験対策にぜひ持っておきたいおすすめの参考書です。
- 著者
- 重田 みゆき
- 出版日
テレビ番組にも出演する、面接指導のカリスマトレーナーがCA・グランドスタッフのために面接対策を紹介した本です。
エントリーシートや面接、自己PR、ディスカッションなどについて、試験に生きるコツをこれでもかと紹介しています。マナーやボディづくりも紹介されているので、試験に向けて徹底的な準備ができるはずです。
付録として、面接シーンを再現したDVDが付いています。文章だけでなく、映像で学ぶことができるので、面接官の目線で合格する人がどんな人かを知ることができるでしょう。
面接の具体的なイメージができれば、あまり緊張しないような対策もできるかもしれませんね。
グランドスタッフは、空港のカウンターやゲート、ラウンジなどで地上業務をおこなう仕事です。海外の観光客にも対応する必要があり、一定の語学力が求められます。他にも、気持ちのよい接客をするためのコミュニケーション力や不規則な勤務に耐えられる体力・精神力なども欠かせません。
グランドスタッフになるためには、専門学校や短期大学、4年制大学を卒業し、ハンドリング会社の採用試験に合格する必要があります。グランドスタッフになってから、CAに転職することもできますよ。
航空業界やグランドスタッフの仕事に興味がある方は、おすすめの本も参考にして、ぜひグランドスタッフを目指してみましょう。