どんな物もネットショッピングで手に入り、人を介さず買い物ができる便利な時代。ある調査によれば、すでに日本人の9割がネットショッピングを利用しているというデータもあります。しかし物の運搬までは無人とはいきません。そう考えると現代の経済を支えているのは、「トラック運転手」と言っても過言ではないかもしれません。 そこで本記事では、物流の要でもあるトラックドライバーに焦点を当て、免許の種類や仕事内容、給与などについてお伝えしていきます。トラック運転手がどんな仕事をしているのか興味のある人は、本記事内で紹介する書籍にも目を通してみてくださいね。
トラック運転手の仕事
荷物を荷揚げ場所から荷卸し場所へと運ぶトラックドライバーですが、業務の内容は業界や会社によってさまざまです。ここでは走行距離で分類してドライバーの仕事について触れていきます。
◾️近距離
近距離の仕事は片道200~300km程度の距離で、1日で複数の拠点に配送するのが一般的です。そのため積み下ろし作業の回数は多くなりますが、基本的には毎日帰宅することができます。宅配ドライバーもここに属します。
◾️中距離
片道500kmくらいまでの範囲が中距離と呼ばれており、場合によっては泊まり仕事になることもあります。また中距離のドライバーは、時には長距離の配送を任されることもあるようです。
◾️長距離
長距離は片道500km以上を走行するケースがほとんどです。そのため、他の距離の仕事と比べて運転時間および拘束時間が長くなり、場合によってはパーキングエリアなどで車中泊することもあります。納品先が複数になることは少なく、積み下ろしの回数も少ないのが特徴です。
トラック運転手は、持っている免許の種類によって乗車できる車が異なります。ただし全部の免許を取る必要はありません。トラックには小型、中型、大型、大型特殊などの種類があります。
大型免許を持っていればすべてを運転できますし、小型トラックであれば普通免許で運転可能です。中型トラックであっても平成19年6月1日以前に普通免許を取った人であれば、新たに自動車学校に通わなくても問題ありません。いま持っている普通免許で運転できてしまうトラックは意外と多いのです。
大型特殊自動車は名前の通り特殊で、物を持ち上げたり壊したりと作業をおこなう車ですが、ほかは物の運搬を主な目的とした貨物車両です。サイズが大きいほど運搬できる積載量も増し車体も大きくなるため、より高い運転技術が必要になります。
また、会社によっては資格取得援助制度などを導入しているケースも多く、入社後に免許を取得できるところもあります。免許がないと悩んでいた人も、普通免許さえ持っていればすぐにデビューできてしまうので、トラックドライバーの間口は広めであるといえるでしょう。
全日本トラック協会が公開している「賃金実態2018年度」の調査結果によると、トラック運転手の平均年収は33万9500円となっています。賞与を足した1カ月の平均月収は37万500円なので、年収に換算すると400万円台になるでしょう。
しかしこの平均月収は、男性トラック運転手の平均となっています。けん引運転手や大型運転手、普通運転手などそれぞれの平均となると少し違いがみられます。
けん引とはトレーラーのことです。運転できる人が限られるため当然ですが、大型のほうが高収入を得られることが分かりますね。
また近年では女性トラック運転手も増えています。女性トラック運転手の平均年収もあわせてみていきましょう。
女性トラック運転手でも、やはり大型の運転手の方が給与水準は高い傾向にあることが分かりますね。また45~49歳が最も年収が高いとされています。それ以降、給与が下降していくのは、体力の低下による配送量や勤務時間の減少にともなうものと思われます。
真っ先にあげられるのが、自分だけの空間と時間を楽しめるという点です。運転中は人に気を遣うこともないですし、仕事中に音楽やラジオを聞いていてもとがめられることもありません。
特に所帯持ちの人にはプライベートな場所と時間を取れるとあって、ここを一番のメリットとしてあげる人も多いようです。
宅配サービス業務においては、基本給に加え届けた荷物量に応じてインセンティブを支払う歩合制を採用している会社が多くみられます。数をこなして慣れていけば効率も上がり、配送量のキャパも増えていくので、しっかり稼げるようになります。
早朝や深夜出勤があり、生活サイクルが定まらないという辛さがあります。
これは長距離ドライバーや、夜中も営業しているスーパーやコンビニなどへの配送ドライバーが該当します。決まったルートを回って定時に届けるといった固定シフトの場合は、このような心配は少ないかもしれません。
◾️運転が好き
長時間の運転をおこなうトラック運転手は、もちろん運転が好きでなければつとまりません。その上で、運転技術を向上させたり、交通ルールを守ったりと真面目で誠実な態度が必要となります。
◾️1人でも仕事ができる
事務作業などで人と関わることもありますが、トラック運転手の仕事は基本的には1人でおこなうことが多いです。そのため1人で黙々と働くことのできる人は適性があるといえるでしょう。
今回はそうしたトラック運転手の仕事に興味がある人におすすめの書籍を3冊ご紹介します。ぜひ目を通してみてくださいね。
- 著者
- 鈴木 朝生
- 出版日
近年はライフスタイルが多様化し働き方も変化しています。年功序列・終身雇用の組織の中で出世を待つといった働き方は現状と照らし合わしてふさわしくはありません。そこでおすすめなのが『稼ぐ!トラックドライバー』という本です。
本書は運転から荷物の積み下ろしや目的地での顧客フォローにいたるまで、努力や工夫でスキルを高められることを教えてくれると同時に、必要とされるドライバーになるための心構えについても解説しています。
トラック運転手という仕事で、自分らしく働きながらしっかり稼ぎたい人はぜひチェックしてください。
- 著者
- 酒井 誠
- 出版日
トラックドライバーは運転が上手なだけでは、プロとは呼べません。スキル、マインド、マナー・モラルを兼ね備えてこそプロのドライバーです。
本書では、事故を発生させない運転技術、大きな荷物を運ぶための荷扱い技術、心に余裕を持ってハンドルを握る安全意識、荷主の信用を獲得する営業力などを図とイラストで分かりやすく解説しています。
勤める会社の規模によらず、どこでも周りから慕われるドライバーとはどんな人なのでしょうか? 「プロドライバー」を目指す人は、この本で勉強してみるのもいいのではないでしょうか。
トラックドライバーにも言わせて
2020年03月03日
『トラックドライバーにも言わせて』は、テレビやラジオなどで取り上げられているいま話題の本です。元トラックドライバーの女性ライターが、言いたくて仕方ないドライバーたちの本音を世に向けて発信した内容となっています。
強引な幅寄せ、ノロノロ運転と急ブレーキ、堂々な路上駐車など、公道上でとかく悪者にされがちなトラック。そのドライバーは「態度が悪い」と批判の的にされがちですが、内情を知れば複雑な事情があることがわかるのです。
トラック運転手への関心があるけれど、自分の中に少ならからずの偏見がある人はこの本を読んでそうしたもやもやを解決しましょう。
トラック運転手という仕事の間口は広くひらかれています。しかし誤解してほしくないのは、就くのは楽でも、決して簡単な仕事ではないということです。体力も必要ですし、運航スケジュールによっては生活バランスも崩れる可能性があります。また運転は命の危険とも隣り合わせです。
ただし十分なやりがいが得られる仕事であることも事実でしょう。ひと昔前は日本の高度成長を支え、いまでは隆盛を極めるオンラインショッピングの要であることは誰もが知っています。本記事を読んでトラックドライバーにより興味がわいたのであれば、ここで紹介した本なども参考にしてぜひその道を歩んでもらえると嬉しいです。