5分でわかるセラピスト!どんな種類がある?必要な資格や年収についても解説

更新:2021.12.1

「セラピスト」は、さまざまな方法を用いて人の心や体を癒す職業です。「セラピー」という言葉が「療法」という意味を持つ通り、セラピストは薬を使わずに心や体の不調を取り除きます。そして意外にも、セラピストの種類は数多くあります。 本記事では、セラピストを大きく「ボディ系セラピスト」と「心理系セラピスト」の2つに分け、それぞれの仕事内容や年収、資格の種類などを紹介します。ボディ系セラピスト、心理系セラピストそれぞれのスキルを高める上で読んでおきたい書籍もピックアップします。

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セラピストとは

「セラピスト」は、人の心や体をさまざまな方法を用いて癒す職業です。ストレスの多い現代社会では、セラピストといった人の心と体を癒す職業が活躍するシーンは徐々に増えてきています。

セラピストにはアロマセラピスト、リフレクソロジスト、カラーセラピストなど、専門とするセラピー手法がさまざまありますが、それらは大きく「ボディ系セラピスト」と「心理系セラピスト」に分けられます。

ボディ系セラピストの仕事内容と年収

ボディ系セラピストとは

ボディ系セラピストは、人の体に対してアプローチをし、癒しを与えます。実際に顧客にボディマッサージを施したり、ヨガや鍼灸といった西洋医学以外の療法を用いたりと、施術の方法はさまざまです。

似ている職業として「整体師」があげられます。同じく体に施術をする職業ですが、ボディ系セラピストと整体師とでは目的が異なります。

セラピストが「癒し」を与える職業であることに対し、整体師は「体の歪みやズレを直し、全身のバランスを整える」ことを目的としています。整体師は根本的な体の骨格のズレを修正することで、健康な体に導くという民間療法をおこなう専門家なのです。

ボディ系セラピストの種類と仕事内容

◾️リンパマッサージ師

人の全身に巡っているリンパ節をマッサージしリンパの流れをよくすることで、血流をよくしたり、体の老廃物を排出する手助けをしたりします。

本来「マッサージ」を専門とする職業に就く場合には「あん摩マッサージ指圧師」という国家資格取得が必須ですが、リンパマッサージは厳密な意味での「マッサージ」には該当しません。そのため、あん摩マッサージ指圧師の資格がなくとも、リンパマッサージ師になることができます。

◾️リフレクソロジスト

リフレクソロジストがおこなう「リフレクソロジー」は、手を使って足にある多くの反射区を刺激する足裏健康法です。足裏を刺激することで顧客の体の不調を解消したり、老廃物の排出を手助けしたりといった効果が期待できます。

同じく足を刺激するリラクゼーションに「足つぼマッサージ」がありますが、施術内容や歴史などが異なります。足つぼマッサージは足裏のツボ(反射点)をピンポイント押すのに対し、リフレクソロジーは足裏にある「反射区」というエリアごとに押しほぐすという違いがあります。

◾️アロマセラピスト

「アロマテラピー」をおこなうアロマセラピストは、「香り」を使って癒しを与えていく職業です。さまざまな香りのある精油を使用しながら、顧客それぞれに合わせた香りを用い、身体的なアプローチを施しながら、ストレスを緩和させます。仕事内容は、アロマオイルを使ってマッサージを施したり、顧客のカウセリングを通して適したアロマを提案したりします。

ボディ系セラピストの年収は?

さまざまな種類のあるボディ系セラピストは、取得している資格や経験年数によって年収が異なります。給与約16万〜22万円、年収は約200万〜300万円とばらつきがあるのが特徴です。

またボディ系セラピストは固定給と歩合給の大きく2パターンがあり、勤務するサロンなどにより給与形態は異なります。ボディ系セラピストとなってから日の浅い新人さんは、安定性のある固定給の職場がおすすめです。

対して指名も多く資格も持っているベテランさんは、施術した分だけ給与が上がる歩合給の職場を選ぶといいでしょう。

ボディ系セラピストの働き方

ボディ系セラピストは、サロンに勤務するスタイルが主流です。街にお店を構えるリラクゼーションサロンやスーパー銭湯に併設しているサロンなど、勤務場所はさまざまあります。

研修制度の整った店舗や、未経験者歓迎としている店舗など、未経験の人でも働くことのできる店舗も多くあります。

心理系セラピストの仕事内容と年収

ボディ系セラピストが体に直接施術をし癒しを与えることに対し、心理面からアプローチをおこなうのが心理系セラピストです。「心理セラピスト」「心理療法士」などの名称でも呼ばれ、顧客の心の負担や抱えている悩み・不安をさまざまな方法で解消させ、さらに癒しを提供します。
 

心理系セラピストの種類と仕事内容

◾️カラーセラピスト

カラーセラピストは、名称の通り、色の持つ意味・力を活用しセラピーをおこないます。カラーセラピーの種類はさまざまあり、日本ではカラーボトルを使ったカラーセラピーが主流です。顧客が選んだカラーボトルの色から、心の負担や深層心理を読み解き、問題解決へと繋げていきます。

民間資格はさまざまあり、カラーボトルを使ったセラピー方法に特化したもの、色彩の持つ力を知識として身につけられるものなど、試験内容に違いがみられます。

◾️アートセラピスト

アートセラピーは、欧米の精神医療のなかで研究・発展していた心理系セラピストのひとつ。絵画、音楽、陶芸、ダンスなど、芸術を用いて心理療法をおこなう専門家をアートセラピストと呼びます。

たとえば絵画を使ったアートセラピーでは、顧客が抱いているストレスを、絵を描くことで解放させ、思考を整理させます。アートセラピストは顧客が描いた絵のタッチや配色などから本人が気づけていない深層心理を読み取り、顧客の自己発見などをサポートします。

◾️快眠セラピスト

心や体のコンディションに大きく関係している「睡眠」に関する専門家です。快眠セラピストの仕事内容は、さまざまなことが原因で起こる睡眠障害を改善させ、顧客が快適に睡眠できるようサポートすることです。

心理系セラピストの年収は?

心理系セラピストは、専門とするセラピーの種類によって給与や年収が大きく異なります。平均年収は300万〜400万円ですが、比較的簡単に資格が取得できるカラーセラピストなどは、年収150万円程度といわれています。

心理系セラピストの働き方

また、心理系セラピストはボディ系セラピストと違い認知度がまだまだ低い職業でもあります。カラーセラピスト、アートセラピストなどはサロンなども数が少なく、自身で開業したり、病院や施設で心理セラピストとして勤務したりといったスタイルが主流です。

ボディ系セラピストになるには?持っておきたい資格

セラピストには、ボディ系・心理系問わずさまざまな資格があります。ですが、必ず持っておかなければセラピストとして働けないわけではありません。多くは民間資格であり、セラピストを目指す上で持っておくとよいとされる資格がほとんどです。

セラピストの種類によってそれぞれ民間資格が設けられていますが、ここでは人気の資格を紹介していきます。

アロマテラピーアドバイザー

アロマテラピー関連で唯一の公益法人である「日本アロマ環境協会(AEAJ)」が主催する「アロマテラピーアドバイザー」。AEAJではさまざまなアロマテラピーに関する検定・資格制度を設けており、アロマテラピーアドバイザーは「アロマテラピー検定」の1級を取得することで受験できるようになります。

アロマテラピーアドバイザーの資格を得ると「アロマテラピーの基本知識を正しく社会に伝えられる能力」が認められることとなり、さらに「アロマテラピーインストラクター」「アロマセラピスト」など、より専門的な資格検定を受験できるようになります。

リフレクソロジー・プロライセンス実技士資格

日本ヒーリングリラクゼーション協会(JHRS)が主催するリフレクソロジストのための民間資格が「リフレクソロジー・プロライセンス実技士資格」です。

1月・4月・7月・10月の年4回認定試験が実施され、合格することでリフレクソロジーの実技におけるプロライセンスを取得できます。

リフレクソロジー・プロライセンス実技士資格は、資格保有者が常にプロレベルの技術を維持できるようにするため、3年ごとに更新する必要があるのが特徴です。

はり師/きゅう師

ボディ系セラピストのひとつである「鍼灸師」として活躍するためには、国家資格の「はり師」「きゅう師」を取得する必要があります。

いずれも鍼灸系専門学校もしくは鍼灸学科のある学校で定められたカリキュラムを履修した人のみ受験資格を得ることができます。毎年2月に資格試験が実施され、いずれも平均70%前半の合格率を誇ります。

5分でわかる鍼灸師!仕事内容や国家資格の取り方、開業方法について解説
https://honciergejp/articles/shelf_story/9288 

心理系セラピストに必要な国家資格と民間資格

公認心理師

心理系セラピストに関する資格の中で、唯一の国家資格であるのがこの「公認心理師」です。

心理系セラピストの中の民間資格としてはもっとも認知度の高い「臨床心理士」と比較されることが多いですが、公認心理士の資格は2017年に施行されたばかりと比較的新しい資格です。

また最大の違いは臨床心理士となるためには大学院卒業が前提であるのに対し、公認心理師は大学卒業と一定の実務経験を積むことで受験資格を取得できます。

カラーセラピスト

カラーセラピーに関する民間資格はさまざまあります。資格により検定試験で扱うセラピーの手法が異なるため、自分の身に付けたい知識・スキルによって受験する資格を選ぶのがおすすめです。

 

  • 日本能力開発推進協会(JADP)
  • 一般社団法人日本色彩環境福祉協会
  • 日本メディカル心理セラピー協会

 

たとえば「日本能力開発推進協会(JADP)」が主催しているカラーセラピストの資格では、カラーセラピーの歴史について学んだ上で「色彩の基本知識」「色のエネルギーと身体の関係」といった色に関する知識を学び身につけることができます。

快眠セラピスト

快眠セラピスト」は、日本メディカル心理セラピー協会(JAAMP)が主催する民間資格です。在宅で受験ができ、70%以上の正答率で合格できます。試験は2カ月ごと、年間6回実施されているため、気軽に受験が可能です。

資格試験に合格することで快眠セラピストとして認定され、カウンセリング施設でセラピストとして活躍できるほか、寝具店で顧客に快眠のためのアドバイスをおこなうなどさまざまな場所で働くことができます。

セラピストになるための勉強方法

国家資格を必要とする職業でなければ、資格を持っていなくてもセラピストになることはできます。

ただし、お客さまに施術をする上での十分なスキル・知識を身に付けている必要があるため、ほとんどのセラピストは専門的な民間資格を取得した上で、施術をおこなっています。民間資格を取得するための勉強方法を紹介します。

専門学校に通う

セラピストになるための一番の近道は、専門学校に通い、スキルと知識を身につけることです。特にボディ系セラピスト技術面のスキルが非常に重要になってくるため、専門学校で必要なカリキュラムを履修する必要があります。

また、民間資格の取得に関しては各資格試験を主催している協会の認定校に通うことで、必要なスキル・知識を学べるため、確実に資格取得ができます。

独学でもセラピストになれる?

受験のために一定の経験や学歴が必要となる国家資格の受験は専門学校に通う必要があります。しかし、受験条件のない民間資格取得は独学でも目指すことができます。通信講座もさまざまあるため、特に知識面が重視される心理系セラピストに関しては、通信講座の利用もおすすめです。

ただし、技術が確実に必要となってくるボディ系セラピストの資格に関しては、独学での受験は難しいといえます。研修制度のそろったサロンに勤務したり、専門学校に通ったりと、資格試験合格のためには技術経験を積む必要があるでしょう。

セラピストに向いている人とは。おすすめの書籍も紹介!

人と接することが好き

ボディ系・心理系問わず、セラピストとはお客さまひとりひとりに向き合い、日頃のストレス解消を手伝いながら心身ともに癒しを与える職業です。そのため、人と接することが好き、人の話を聞くことが好きなど、他人と向き合うことにストレスを感じない人はセラピストに向いているといえるでしょう。
 

おおらかな性格

また、セラピストは「指名が入らない」「お客様から心ない言葉を言われた」といった精神的なストレスを負ってしまうこともあります。自身がおおらかな性格であり、メンタルを強く保てるかどうかも、セラピストの素質として必要になってきます。

セラピストを目指す人におすすめのテキスト

直接顧客の体に施術するボディ系セラピストは、何よりも「人のからだのつくり」について知識を習得しておく必要があります。ここでは、人の体のつくりを学べる書籍を紹介します。

心理系セラピストになるには、顧客の深層心理を引き出すためのカウンセリング力が大切です。ここでは、心理系セラピストを目指す人におすすめしたい、カウセリング力を身につけるために役立つ書籍を紹介します。

ゆるめのトーンで初心者にもおすすめ!からだの構造が理解できる教本

著者
["有川 譲二", "有川 譲二"]
出版日

体と筋肉のしくみについて詳しく解説された本書は、やさしい表現・言葉で書かれている点が特徴です。

「長時間のパソコン業務で疲れやすい部位はここ」といったように、身近な動作と紐づけて体と筋肉のしくみを解説しているため、顧客に説明する際にも書かれている表現をそのまま活用できます。

医療や解剖学の知識がなくとも十分に理解でき、ボディ系セラピストを目指すために体のつくりを勉強したい人にぴったりの1冊です。

筋肉・骨の触れ方まで学べ技術面でもサポートしてくれる書籍

著者
["Andrew Biel", "阪本 桂造"]
出版日

体の筋肉・骨の部位解説をしている書籍が多い中で、「触診が学べる」教本としてセラピストにおすすめしたい1冊です。

全米のマッサージ学校でも教科書として使用されている『Trail Guide to the Body』を翻訳。掲載されている図版はすべて手書きのイラストで、細部まで丁寧に描き込まれています。

各部位の体の触り方、触った上で「こんな感触がしたら触診がきちんとできている」という指標まで細かく示してくれています。実際にセラピストとして施術をおこなう上で役立つ必携書といえるでしょう。

カウンセリングの基礎を学びつつスキルを高められると評判の1冊

著者
花川 ゆう子
出版日

カウンセリングの手法のひとつであり、アメリカを中心に世界30カ国以上で使われている「AEDP(Accelerated Experiential Dynamic Psychotherapy:加速化体験力動療法)」についての初めての日本語訳書籍です。

AEDPの創始者から直接学びを受け、現在もアメリカの第一線で活躍している花川ゆう子氏が著した1冊。

日本人セラピストにも有効とされているAEDPの基本的な考え方もしっかりと触れつつ、実践する上でのプロセスを細かく分類し解説しています。最終章では実際の4つの事例を元にAEDPという手法のアプローチ方法を紹介。本書を読めば、AEDPという手法をまるごと学ぶことができます。

読みごたえ抜群!伝説のセラピストの言葉から多くの気づきが得られる一冊

著者
祥彦, 諸富
出版日

フロイト、ユング、アドラーといった伝説のセラピストや、日本の臨床家である森田正馬、中井久夫など全25名のセラピストたちの言葉を紹介・解説しています。

約370ページにもおよぶ本書からは著名なセラピストが残した言葉が数々並び、自分が目指すべきセラピストの姿について考えさせられます。セラピストを目指す人にとっても、すでにセラピストとして働いている人にとっても、新しい気づきと感銘を与えてくれる必携本です。

顧客との向き合い方、セラピストとしてどのようにあるべきかを著名人の言葉から学ぶことができます。

一言で「セラピスト」と言っても、そのジャンルや種類は非常に多岐に渡ります。セラピストを目指すのであれば、まずは自身がボディ系セラピスト、心理系セラピストのどちらに向いているかを決めること。さらにどんなセラピーを通して人を癒したいかといった自己分析を通して、自身に合ったセラピー手法を選択しましょう。

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