狩猟鳥獣の捕獲などを認められる資格「狩猟免許」。取得をすれば、銃や網、わななどを使用して鳥獣を捕獲することが可能です。この記事では、日本の狩猟の歴史を紹介したうえで、免許の種類や費用、狩法、道具、試験内容、難易度などをわかりやすく解説していきます。
通称「鳥獣保護法」と呼ばれる「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」にもとづき、狩猟免許を取得した人には鳥獣を狩猟することが認められています。
狩猟とは、その名のとおり山や森などに入って鳥獣を捕獲すること。日本では旧石器時代や縄文時代など、古くからおこなわれてきました。
明治時代になると法整備が進み、狩猟期間や狩猟方法、狩猟鳥獣などが定められます。さらに大正時代の法改正で狩猟免許が制度化されました。
現在、日本に生息する野生鳥獣はおよそ700種。このうち、生息状況への影響や農林水産業への影響を考慮して、鳥類28種、獣類20種のあわせて48種が狩猟の対象となっています。
では狩猟免許の種類を、狩法や道具ごとに紹介していきます。
狩猟免許の種類
また銃を用いて狩猟をする際は、免許だけでなく「銃の所持許可」をとらなければいけません。各都道府県の公安委員会で手続きをする必要があります。
狩猟免許の取得にかかる費用
各都道府県ごとに違いはありますが、狩猟免許の申請手数料が5200円、試験を受ける際に必要な医師の診断書が約3000円、合格後の狩猟者登録に1800円が必要です。さらに免許の種類によって狩猟税を納めなければなりません。また銃器による思わぬ事故など、特殊なケースに対応した損害保険への加入証明も必要です。
合計すると、網猟やわな猟を始めるまでには約4万円が必要。そのほか猟具の自作、購入にも費用がかかります。
銃猟を始めるまでには、鉄砲所持許可申請手続きに約6万円かかるため、合計で約11万円が必要。また銃と弾、保管庫など実装備品には数十万円かかることもあります。
なお、狩猟免許と鉄砲所持許可はともに更新が必要です。講習や申請に約1万2000円かかります。
道具の維持費も必要なため、狩猟免許を取得する前にしっかり計算をしておきましょう。
狩猟免許の試験は各都道府県が実施しています。日程は免許の種類ごとに異なるので注意が必要です。
また受験資格として年齢制限が設けられていて、網猟免許とわな猟免許は18歳以上、銃猟免許は20歳以上となっています。
ただ麻薬などの中毒者、「鳥獣保護法」の違反者、統合失調症などの疾患がある場合は受験ができません。各都道府県により細かな基準が異なりますが、東京都の場合は「うつ病」に罹患していると受験不可です。
狩猟免許の種類は大きく分けて「知識試験」「適正試験」「技能試験」の3つがあります。それぞれ紹介していきましょう。
知識試験
問題数30問、試験時間90分、三者択一式、正答率70%以上で合格です。
適正試験
各基準を超えれば合格です。
技能試験
減点方式で、30点の原点で失格です。
狩猟免許試験の難易度は高くなく、合格率は80~90%。受験自体ができれば、そこまで難しくはありません。
ただ普段生活するうえでは触れることのない法令や、野生鳥獣への知識、猟具の知識を幅広く問われるため、事前の勉強は必須です。各都道府県では狩猟免許予備講習会も実施しているので、役立ててみるのもよいでしょう。
いざ狩猟免許を取得することができれば、趣味としてはもちろん、役所からの捕獲依頼にも対応できます。目的は農作物への被害防止など。1件あたり数千円~数万円の収入を得ることが可能で、地域によって異なりますが、たとえばカラスは1000円、アライグマは5000円、サルは2万円ほどです。
野生の鳥獣を捕獲する際は危険が付きまといます。自身の身を守ることはもちろん、法令にもとづいた行動をとりましょう。
- 著者
- ["外川 英樹", "東雲 輝之"]
- 出版日
狩猟を始めるまでにかかる費用、わな猟と銃猟の向き不向き、ジビエなど、狩猟に関するさまざまな知識をまとめて解説した作品。狩猟免許の取得を検討した際に抱く疑問を一冊で解決できるでしょう。
なによりもカラー写真が多用されているのが魅力的。狩猟可能な鳥獣もわかりやすく、試験前の対策にも役立ちます。
- 著者
- 輝之, 東雲
- 出版日
狩猟のなかでも、散弾銃猟とライフル猟に焦点を当てて本格的に解説した作品。狩猟免許の取得に関すること、法令、銃猟の装備、実際の獲物のとり方、そして料理法までまとめられています。
図解やイラストを多用してビジュアルから理解できるようになっているのが特徴。初心者はもちろん、経験者も手元に置いておきたい一冊です。