5分でわかるタクシー運転手!二種免許の試験内容や給与体系、働き方などを解説!

更新:2021.12.1

普段よくお世話になっているタクシーと、タクシー運転手。しかしその仕事の種類や必要な資格、多様な働き方など、知らない部分は意外と多くあります。給与体系が一般の企業とは異なるため、年収や稼ぎ方も運転手によってさまざまで、とてもやりがいある職業です。 そんなタクシー運転手の仕事内容を紐解きつつ、後半にはおすすめの本も紹介しています。記事の内容でイメージをつかんだ後、よりリアルな情報や成功へのストーリーを知ることができるはずです。

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タクシー運転手の仕事には4種類ある

タクシー運転手の4種類の仕事

タクシー運転手といえば誰もが知っている通り、乗客を目的地まで安全に送り届けることが仕事です。また、タクシー運転手と言っても、大きく分けて4種類のタクシー運転手がいます。

 

  • 一般的なタクシー
  • VIPを送迎するハイヤー
  • 介護が必要なお客様を送迎する介護タクシー
  • お客様の車を代わりに運転する運転代行

 

タクシー会社がどのようなタクシーを主に事業としているかによって対応する業務が異なります。

人の役に立っていることを実感できる

タクシー運転手は、直接お客様と関わるお仕事です。そのため、人の役に立ちながら働くことができます。

観光に来た方のご案内から、介護が必要なお客様の送迎、妊婦や子育て中の方のサポートなどをおこなうことがあります。もちろん、乗客を無事に送り届けることが前提となるので責任はありますが、「丁寧な運転ありがとう」などと感謝された時は大きな喜びを感じます。

タクシー運転手に必要な第二種免許について

タクシー運転手になるには二種免許が必要

タクシー運転手に必要な資格は、「二種免許」です。また、東京・神奈川・大阪の一部の都心エリアでタクシー運転手として働く場合は地理試験の合格が必要となります。なお、法人タクシーと個人タクシーとでは必要な資格は同じです。

二種免許は旅客自動車の運転に必須の資格

事業として乗客を運び、その対価としてお金を頂く場合には「二種免許」が必要となります。旅客自動車に当てはまるのは下記の車です。

 

  • バス
  • タクシー
  • 介護タクシー
  • ハイヤー
  • 民間救急車

 

第一種免許との違いはお客さまを乗せて走ることができるかどうかです。命を取り扱う資格であることから、第一種免許よりも難易度は高くなっています。

採用後にこれらの試験の合格までサポートしてくれる企業もあります。そのため、場合によっては入社時には資格を取得していなくても就業することが可能です。

二種免許の取得には学科・実技試験を受ける

二種免許の取得方法は2つあります。1つは独学で勉強し運転免許試験場にて一発試験に合格する方法です。もう1つは、教習所に通いながら取得する方法です。一発試験で挑戦する方は少ないと思いますので、今回は教習所に通いながら取得する方法を解説します。

試験には、学科試験と実技試験があります。それらを合格した後、応急救護処置講習と旅客者講習を受けることで、晴れて資格取得となります。

二種免許の受験資格

二種免許の受験資格も詳しく説明します。

 

  • 年齢:満21歳以上
  • 視力:片眼で0.5以上、両眼で0.8以上
  • 色彩識別:赤・黄・青(緑)が識別できる
  • 聴力:日常の会話を聴取できる、10mの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえる
  • その他:第一種免許を取得してから3年が経過している

 

これらの受験資格に該当している方のみが二種免許の試験を受けることができます。基本的には運転経験がなければ二種免許の取得は不可能と考えてよいでしょう。

都心で働く場合には「地理試験」に合格する

さらに都心で働くためには「地理試験」の合格が必要となります。

地理試験の正式名称は「輸送の安全および利用者の利便の確保に関する試験」であり、試験科目としては「指定のエリアに関する地理に関する内容」と「タクシー事業に係る法令、安全および接遇」の2科目が設定されています。

▶︎輸送の安全および利用者の利便の確保に関する内容

こちらの科目では、営業エリア内の道路や交差点の名称などをはじめ、有名な建物の所在地などの知識が問われます。このほか、目的地まで向かう際の最短ルートなどが出題されます。

▶︎タクシー事業に係る法令、安全および接遇

こちらの科目では、運転をする上で知識として必要な法令や、事故発生時の安全管理、乗客への対応や、タクシー運転手としての心構えについて出題されます。

二種免許の合格率は40%程度

二種免許の合格率は30〜40%台が例年の数字となっています。これは普通免許の取得から時間が経過しているのに加え、学科試験に「旅客輸送」の科目が増えることが関係しています。

さらに実技試験の基準点も高く設定されています。お客さまを乗せて走る二種免許の運転手は、高い運転技術がなくてはならないのです。

普通免許を持っているから大丈夫と軽く見たりせず、過去の勉強内容をしっかり復習・新しい範囲の知識もきちんと身につけるようにしましょう。その上で日々の運転でも技術を磨けるよう集中して取り組むことで合格への道が開けるはずです。

タクシー運転手はさまざまな給与制度がある。年収は300万円前後

タクシー運転手の平均年収は300万円前後

厚生労働省が公開している平成27年度〜平成25年度の「賃金構造基本統計調査の職種別賃金額」によれば、タクシー運転手の月額給与額は下記のようになっています。

 

  • 平成27年度:約19万円
  • 平成26年度:約20万円
  • 平成25年度:約19万円

1年で計算すると220万〜240万円ほどなります。この額にボーナスなどの特別給与額が加算されると、年収は下記の通りになります。

 

  • 平成27年度:約250万円
  • 平成26年度:約255万円
  • 平成25年度:約245万円

低いように感じるかもしれません。しかし基本給が低めに設定されている代わりに、売上に応じた歩合制を取り入れているタクシー会社が多いためこれらの金額より高い年収を稼いでいるタクシー運転手もいます。

 

 

3つの給与制度

タクシー運転手の給与制度はいくつかあります。

 

  • 固定給
  • 完全歩合制
  • 固定給+歩合給

 

どの給与制度を採用しているかはタクシー会社によって異なります。就職の際はどのような制度になっているかきちんと確認しておくのをおすすめしますよ。

 

固定給の会社は少ない

自分の売上の大小にかかわらず、毎月決められた金額が支給されます。一般企業と同様の給与形態になりますが、実はタクシー業界ではあまり取り入れられていない制度です。

売上が給料に反映される完全歩合制

自分の売上の中から、会社で定められた割合で運転手に支給されるのが完全歩合制です。売上が上がれば上がるほど、給与に反映される制度です。タクシー運転手を経験されていた方はこちらの給与制度を志望することが多いです。

一番多いのは固定給+歩合給

多くのタクシー会社が採用している給与制度です。ある一定の固定給(基本給+手当)の設定があり、そこから売上に対して給与に反映される歩合給が上乗せされていきます。一定割合を賞与として受け取ることができる企業もあります。

タクシー運転手の給料は自分次第

タクシー運転手の給与をアップさせる方法としては、いかに歩合給を積み立てられるかが重要となります。ただ、歩合給は稼働日数や乗客数が給与に直接反映されるため、その分うまく乗客をつかまえられないと、給与を伸ばすことが出来ません。

そのため、どこに停車していれば、乗客が利用しやすいのか、長距離乗車してくれる単価の高い乗客をどのように確保すればいいのかなど、頭を使って考えながら勤務にあたる必要があります。

新人の運転手でも、判断のスピードや、乗客を確保するための観察力が優れていれば、高収入を実現することができるでしょう。

自分次第で月額の給与額が変動するのがタクシー運転手という仕事なのです。どれだけ実写時間を増やし、効率よく走れるかを考えながら仕事ができる方には向いている仕事です。

 

すべてのサービス業に通ずるノウハウが詰まった1冊

著者
宇都宮 恒久
出版日

長野市の中央タクシーは「地元の足」として、地元の方に親しまれているタクシー会社です。そして中央タクシーには、利用したお客さまからたくさんの感謝の言葉が届くというのです。

多くの方はタクシーは一度きりの乗車で、同じドライバーさんにあたることもなければ、タクシー会社で選ぶこともないと考えていることでしょう。

しかしこの中央タクシーは、サービス業という観点でタクシーのあり方やお客さまとの関係を20年以上も見直し続け、地元に住む方からの信頼を築き上げました。

成功した部分だけでなく、失敗した部分についても記述されているため、すべてのサービス業にとってノウハウが詰まった1冊になっています。

タクシー運転手として人生大逆転した男の成功術

著者
下田 大気
出版日

直木賞作家の父を持ち、高校時代に華々しく芸能界デビューした、元芸能人の下田大気氏が語るタクシー運転手として成功するまでの道のりがまとまった1冊です。

芸能界へのチャレンジから事業の立ち上げなどをおこなうも、2度の自己破産に見舞われ、タクシー運転手デビューは32歳のとき。

そこから生き地獄を脱し、いまや年収2000万円にまでいたった人生大逆転劇の内容とは。お金もツテも取り柄もなかった状態から、タクシー運転手として大成功するための自己管理術を学ぶことができます。

どうすれば歩合給をあげることができるのか。そのヒントもこの本のなかに隠されています。

13人のタクシー運転手の話が読めるノンフィクション

東京タクシードライバー

2014年02月07日
山田清機
朝日新聞出版

これはどんな職業に就いていてもいえることですが、人にはここまで歩んできた人生の背景があります。この本ではタクシー運転手に焦点を当て、13人のタクシー運転手を取材した内容がまとめられています。

本書では、タクシー運転手という仕事はどのような人にも開かれている職業であると書かれています。タクシー運転手という仕事をやりたくて始める方もいれば、人生の波に押し流され、流れ着くような形でタクシー運転手の仕事を始めた方もいるでしょう。

しかし誰もがタクシー運転手である人生をひたむきに強く生きている。さまざまな人を乗せて走り、お金を稼ぐというタクシー運転手という仕事が、これほどまでに人生と直結しているなんて、この本を読むまでは思いもしなかったことでしょう。

自分の人生観ごと見直したくなる、ノンフィクションの良書です。

タクシー運転手をはじめるためには、新たな資格や、地域によっては地理試験が必要となります。ただし、入社した会社のサポートを受けることもできるので、お金を稼ぎながらサポートを受け、タクシー運転手としてデビューすることもできます。働き方、稼ぎ方もさまざまで、自分に合った方法で効率のいい働き方を考えながら業務にあたることができる方に向いている職業でしょう。 
今回紹介した本についても働き方や成功の秘訣、具体的な稼ぎ方のコツが詰まっているので、興味のある方は一度手に取り、タクシー運転手としての働き方についてリアルに感じ取ってみてはいかがでしょうか。

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