医薬品について学ぶ学問である「薬学」には、多少難しいイメージがあるかもしれません。しかし私たちが健康的な生活を送るには、薬学を取り扱う資格を持つ、薬剤師や登録販売者などの存在が必要不可欠です。 薬学を学ぶには薬学部や医学部に進学しなければなりません。しかし薬学を学び資格を取得すれば、就職先や働き方はかなり多様性があり、また責任感ややりがいも感じられる仕事であることは間違いありません。 この記事では、薬学に関するおすすめの書籍もご紹介しますのでぜひ参考にしてみてください。この機会に薬学のイメージが変わり、より身近に感じられるかもしれません。
薬学とは、医薬品の効果・効能、製造方法、管理、供給といった薬そのものについて、そして薬と人のかかわりについて学ぶ学問です。
薬学には2つの側面があると考えられています。1つ目は医療をサポートするという側面、2つ目は新しい薬の研究開発と薬の製造です。薬学を学ぶことでこの2つをおこない、世の中に貢献していくことができるといえます。
薬学として学ぶ分野は全部で4つあります。
◾️製薬学
製薬学では、医薬品の開発や製造、安全性の研究といった分野について学びます。安全な薬を世に出すために副作用や効果の研究をするのがこの分野です。
◾️医療薬学
医療薬学では、病院や薬局で薬剤師として活躍するための医薬品の調剤・使用・管理などを学びます。病院で薬剤師として働きたいという方には必須となる学問です。
◾️衛生薬学
衛生薬学では、公衆・環境衛生の食品衛生などの面から化学物質の安全性や影響について研究していきます。薬学というと、薬を作ったり処方をしたりというイメージがありますが、病気の予防について学ぶ約学が衛生薬学となります。
◾️生物薬学
生物薬学は、自然界の微生物をはじめとする生物をワクチンや治療薬として利用する研究をする学問です。ほかにも、薬の構造や機能を分子レベルなどでけんきゅ数るのもこの学問です。
この4つを基盤としつつさらに応用、発展したを学び、薬のプロフェッショナルとして活躍できる人材を育成していくのが薬学です。
冒頭でもお伝えしたようにやはり「薬学」と聞くと難しい、頭が良くないと学べないと思っている方が多いようです。学問ですので、最初っから頭がよくなければ学ぶことができないということはありません。また、薬が好き、理数系が得意という方にとっては学ぶことがとても楽しい学問といえるでしょう。
薬学を学ぶためには、薬学部のある大学へ入学して、専門的に学ぶケースが一般的です。薬学部や薬学科のある大学は、2019年時点で日本全国に74大学あります。
公立・私立のほとんどは6年制しかありませんが、実は国立のほとんどには4年制の学科も設置されています。しかしこの4年制は薬学研究者の養成が主な目的とされています。そのため、4年制の薬学部を卒業しても、薬剤師国家試験の受験資格は得られないので注意が必要です。
薬学部のある大学について詳しく知りたい方は、「薬科大学(薬学部)学科別一覧」を確認してみてくださいね。
薬に関わってみたいけれど、薬学部に入れないかも、薬剤師ではない職業で働こうと思っている、薬学を少しだけ学びたいという方は看護学部や医学部の授業の薬理学で薬学を学んだり、独学で学んだりという選択肢もあります。
薬学を学ぶことでなれる職業は、医療系が最も多いとされています。
ほかにも、薬学を薬学部以外で学んだ方では、医師や看護師の資格を取得されてお仕事をしています。
登録販売者などは国から認められた公的資格のため、独学でも資格取得ができます。そのため、薬の調剤や研究ではなく、薬の販売に関わりたいという方には薬学を学んだあとに活かしていく選択肢のひとつとして検討されてみてはいかがでしょうか。
しかし、調剤や研究など薬に深くかかわりたい方は、国家試験を受けて薬剤師の資格を取ることが必要になります。
薬剤師の免許を取得された方は、医療機関や調剤薬局で働く人が多いのですが、そのほかにもさまざまな働き方をされている人がいます。
薬剤師の免許を持っていると多様な働き方ができ、働ける場所も幅広くあるのです。
またほかにも研究職や、持っている資格によっては下記のような働き方も可能です。
なかには大学院に進学し、薬学をきわめていくという方もいます。
薬学を学ぶことで未知の感染症のワクチンや治療薬の研究、ドラッグストアで相談を受けるなど、世の中に役立つ仕事が多く、その活躍の場は幅広いことが特徴です。責任感、やりがいが強く得られる仕事であることは間違いありません。
薬学を学ぶ上で気になるのが、薬学に関する資格です。最も有名な薬剤師の資格に加え、登録販売者や薬学検定の違いについて解説します。
薬剤師は、医薬品に関わる知識や調剤技能を持つ薬品のプロです。薬剤師の資格は国家資格として定められており、その職務は薬剤師法によって規定されています。
国家試験を受験するにはまず6年制の薬学部を卒業することが必須であり、その後、国家試験に合格することで資格を取得することができます。
薬剤師の資格を保有していることで扱える業務は多岐にわたります。調剤や医薬品の提供以外に、下記の業務をおこなうことができます。
これは薬剤師資格を保有する方のみが扱うことのできる業務です。登録販売者や薬剤検定の合格者などは該当しません。
薬剤師国家資格の取得を目指す方は「5分でわかる薬剤師のなり方・仕事」の記事を読んでみてくださいね。仕事内容などが簡単にわかるはずです。
ドラッグストアなどでよく耳にする「登録販売者」は、医薬品の販売が主な仕事です。この資格を保有していることで、そのドラッグストアに薬剤師が不在の場合でも、登録販売者が薬を販売することができるのです。
資格は試験に合格すれば誰でも取得することができます。しかし都道府県ごとに資格が異なり、資格が利用できるのも登録した都道府県内のみという特徴があります。そのため、他の都道府県で登録販売者として働く場合は、資格を取得し直す必要があるのです。
登録販売者を目指す方は「5分でわかる登録販売者のなり方・仕事内容」の記事をチェックしてみてくださいね。扱える医薬品の種類や働き方、詳しい資格取得方法などがきっとわかるはずです。
薬学の知識レベルを証明する検定として「薬学検定」があります。ただしこの検定は仕事にダイレクトに活かせるものではなく、あくまで薬学に関する知識をどれだけ身に付けているのかを評価する検定です。
薬剤師や登録販売者のように、専門的に扱える業務などはありません。ここが注意すべき点ですね。
検定は誰でも受験が可能となっています。コンビニなどで販売されている医薬品を、自分の判断のみで正しく使用する時にこの検定が役立つと言われています。
- 著者
- ["児島 悠史", "坂口 眞弓", "神田 佳典"]
- 出版日
薬には、似たような名前や似たような効果のある薬がたくさんあります。その薬の見分け方や効果の違いについて解説している1冊がこちらです。
薬に関わる仕事をしている方にも読者が多い1冊です。テーマは100個と多岐にわたるため、病院で使う薬や処方される薬の多くを網羅しています。薬局で販売されているようなお薬の説明も丁寧に書かれています。初めて薬学を学ぶ方でも見たことがある、使ったことのあるお薬が載っているため、とっつきやすい内容です。
薬剤師、薬学修士の方のブログの内容を追加して書籍化された1冊で読みごたえもあります。薬学を学んでみたいという方はぜひ目を通してみてください。
アンサングシンデレラ 病院薬剤師 葵みどり (1) (ゼノンコミックス)
2020年04月01日
総合病院で働く病棟薬剤師のお仕事について描かれている漫画『アンサングシンデレラ』は、現在テレビドラマでも放映されているため、知っている方も多いかもしれません。
この本では、病棟薬剤師をメインテーマに扱っています。病棟薬剤師がどのようなお仕事をしているのか、薬学を活かしてどのように活躍しているのかを知ることができるため、薬学を学びたいと考えている方や、薬剤師の仕事を知りたいという方にはおすすめの1冊です。
薬剤師の仕事についてだけではなく、お話の中に薬学についてのも出てくるので、薬学も一緒に学べるところがポイントです。
漫画なので読みやすく、本を読む習慣がない方でもとっつきやすいといえるでしょう。内容はドラマとほとんど変わりませんが、ドラマでは取り上げられなかった内容もあるため、ドラマを見ているという方でも、楽しめるのではないでしょうか。
原案を病院の薬剤科が担当しているということもあり、より実際の現場に近い内容になっています。
- 著者
- ["くるみぱん", "くるみぱん"]
- 出版日
薬剤師1年目の著者が実際に学生時代に自分自身の勉強で使っているノートをインスタグラムにあげていたところ、「分かりやすい!」と好評になり書籍化された1冊です。 販売前にすでに重版もされています。
薬学について専門用語を使いつつも詳しく解説しているので、国家試験対策にも使える1冊です。イラストも豊富で読みやすく、薬学を学ぶ学生という立場で作っていたこともあり、資格を持っていない方でもわかりやすい内容になっています。そのため、薬学部の学生から薬学を学びたい医療従事者からも好評の本です。
薬学を学ぶということはもちろんですが、薬剤師になった後に患者さんへの資料を作る、ポスターを作る等他の用途でも活用しやすい本です。これから薬学を学ぶという方には特におすすめな1冊です。
薬学は難しいというイメージが先行されがちですが、奥が深く、もっと学びを深めたくなる学問です。自分の生活にも、世の中のためにも役立つ学問ですし、学ぶことで資格取得やお仕事にも活かすことができます。
まずは書籍で薬学に触れてみて、イメージをつかみ、さらに薬学への学びを深めてみてはいかがでしょうか。