宅建の資格を取るうえで、どのような参考書が独学に適しているのか、試験内容や資格の詳細を知りたい人も多いのではないでしょうか。 本記事では、難易度や合格率など宅建に関する情報とおすすめの参考書や問題集を紹介します。宅建についての理解を深めて、参考書や問題集選びの参考にしてください。
宅建は、国家資格で「宅地建物取引士」の略称です。宅地建物取引士は、不動産屋で働く人をイメージすると分かりやすいでしょう。
仕事内容としては、土地や建物、賃貸物件の売買や斡旋です。賃貸物件などの不動産は、顧客にとっては非常に高額な買い物になります。
そのため、不動産を購入する顧客が不当な契約をして不利益にならないように、不動産屋で働く人は、不動産を購入するうえで知っておくべき重要な項目について正しく説明できなければなりません。そしてその重要事項を説明する際には、宅建の資格が必要になります。
宅建の資格を取るためには、宅建試験に合格し、宅建試験が開催された都道府県で登録手続きをおこない、資格の交付を受ける必要があります。
宅建は、「宅建業法」「法令上の制限」「権利関係」「税金その他」の4つの科目で構成されています。
出題内容としては、不動産に関係する法律や税金の制度、宅地見物取引士の免許や報酬、統計資料の理解などで、不動産に関する幅広い知識が必要です。問題形式は全50問の4択のマークシート方式になります。
「宅建業法」は、宅建のなかでも最も比重の大きい科目で、宅建業法の86の法文から出題されます。宅建業務についての基本的なルールが問われる科目です。
「法令上の制限」は、土地を購入してから建物を建設する際の制限に関する科目です。特徴として、細かい数字を暗記する必要があります。
「権利関係」は、宅建業に関連する民法や借地借家法、不動産登記法や区分所有法に関する科目です。事例問題などが出題され、難易度が他の科目に比べて高い特徴があります。
「税金その他」は、不動産に関する税金や、上記科目の範囲ではない法律について問われる科目です。住宅に関する減税の制度や、年ごとに発表される統計資料からも出題されます。
宅建の難易度は合格率が約15~17%程度と、国家資格の中では司法書士や行政書士、電験などに比べて比較的難易度が低い資格であるといえます。
しかし、受験者のうち4人に1人程度しか合格できないという見方をすれば、難易度は十分高いと考えられるでしょう。
合格するためには50点満点中、約70%以上の点数を取得する必要があります。何点以上取れば合格という明確な基準が無いことも宅建の特徴です。
令和元年の試験から過去10年の合格点は、50点中最大で37点、最低で31点です。そのため、37点以上取ることを目指して勉強しましょう。試験前の演習で8割近くの得点ができるくらいの実力を身につけることを意識してください。
宅建の勉強には独学と通信教育の2種類があり、どちらもメリットとデメリットがあります。
独学のメリットは、周りに縛られずに自分のペースで勉強ができること、苦手な分野を徹底的に勉強できること、必要な費用が教材代と受験料程度で、費用を安く抑えられることです。
デメリットとしては、自分ひとりで勉強するため挫折しやすいこと、分からないことを調べるのに時間がかかること、法改正に対して自分で情報収集しなければならないことです。
通信教育のメリットは、法改正などに対応した適切な教材を提供してくれること、分からない問題を講師に質問できること、独学よりも挫折しにくいことです。
デメリットとしては、独学に比べて費用が高額になることです。
独学と通信教育のメリットとデメリットを踏まえ、どちらが自分に向いているかを判断して選択しましょう。
宅建の勉強法として、過去問に触れることをおすすめします。
宅建は、過去問と似た問題が多く出題され、引っ掛け問題の出題パターンもほとんど決まっています。そのため基本的な内容を理解したあとは、可能な限り早く過去問に取りかかりましょう。
とにかく過去問を解き、どのような問題が解けなかったのかを把握し、その内容を参考書などで徹底的に勉強してください。この方法を繰り返せば、合格できるくらいの実力がつくはずです。
また、宅建試験は2時間で50問を解かなければならないので、時間配分も重要です。過去問を解く際は、本番の時間配分にも意識してください。
YouTubeでは、宅建に関する動画も多く投稿されており、それらを参考にしながら勉強するのもよいでしょう。
科目や項目ごとにスクールさながらの解説がなされ、独学で勉強する人にとっては非常に心強いツールです。参考書で理解できなかった点を掘り下げて学ぶ際にも非常に有効です。
初心者は宅建の参考書を選ぶ際、見やすさと読みやすさを重視して選んでみてください。
参考書が読みづらいとモチベーションも下がりかねません。そのため、本屋などで参考書を選ぶときは、ページをめくって見やすさと読みやすさをチェックしてから決めることをおすすめします。
解説部分にイラストや図が使用されている参考書、フルカラーで見やすい参考書、実際に文章や解説を読んでみて理解しやすい参考書、などがいいでしょう。
宅建の参考書を選ぶ際に大切なことは、法律のプロが書いているかを確認することです。
参考書を選ぶときは、必ず著者の経歴や資格の欄をチェックし、宅建取引士であることを確認してください。また、弁護士や司法書士などの法律のプロが書いているものもあるため、その点も確認しましょう。
法律のプロが書いている参考書は法律に対する理解が深く、宅建に関する法律だけではなく、法律関係のさまざまな事例に纏わる経験を交えながら説明しているので、情報の信頼性という点でも安心できます。
宅建試験で民法に関する問題の出題数は約10問と、大きなウェイトを占めます。
しかし、民法の出題範囲は非常に幅広く、1000以上の条文の中から出題されます。そのため、民法の勉強用に分かりやすい参考書を1冊用意しておくとよいでしょう。
法律に関する問題は内容が難しいので、可能な限り理解しやすい参考書を用意することをおすすめします。
また2020年4月より、債権法が大幅に改正されました。そのため、改正に対応している参考書を選ぶようにしてください。
ここからは宅建の勉強におすすめの参考書を紹介します。
基礎がしっかり学べる参考書はもちろん、音声付きのものから問題集まで、バリエーション豊富な参考書が揃っています。
- 著者
- 宅建ダイナマイト合格スクール 大澤 茂雄
- 出版日
テキストの楽しい解説文と35時間以上の音声講義が特徴の参考書です。
2020年度の民法改正に対応しており、かつ対話形式の解説と豊富な例えがされていて非常に分かりやすい1冊です。
音声講義ではラジオ番組のような軽快なトークを楽しみながら要点を理解できるうえ、暗記に重要なフックが多く散りばめられているので、宅建合格に必要な知識を定着させることができます。
- 著者
- 滝澤 ななみ
- 出版日
「みんなが欲しかった!」シリーズのなかでも、はじめて宅建を受験する人向けの参考書です。
最初の2章で宅建についての詳しい解説が書かれており、合格のために何をするべきかをすぐに理解できます。
法律や不動産に関する知識がまったくない人でも、この参考書に書かれている基礎的な内容を理解できれば、過去問やほかの問題集にスムーズに取りかかれるでしょう。
全ページがカラーで、解説には分かりやすい図やイラストが豊富に使用されており、見やすさにも定評があります。
- 著者
- ["宅建スピード合格研究会", "此林 ミサ"]
- 出版日
「宅建ってそもそもなに?」という人向けに、漫画で説明している参考書です。
宅建の試験に出る重要なテーマについて、パラパラ読むだけでもざっくりと理解することができます。
内容をざっくりと理解することで、試験の全体像を把握できるため、過去問や問題集へ取り組みやすくなるでしょう。
- 著者
- ["東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部", "東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部", "友次 正浩"]
- 出版日
宅建をはじめて受験する人が合格レベルの実力をつけられるように、大手の資格スクール・東京リーガルマインドの人気講師が執筆した参考書です。
2020年の民法改正にも対応しており、改正による変更点も詳しく解説しています。フルカラーで、図やイラストも多用されているので理解しやすいでしょう。
出題傾向に合わせて問題がランク付けされているので、試験直前などに集中して勉強したい人にもおすすめです。
- 著者
- TAC宅建士講座
- 出版日
資格のスクールで有名なTACの合格ノウハウが詰まった、フルカラーで読みやすい参考書です。
持ち運びしやすいように参考書を4冊に分割できます。暗記用の赤シートも付いているため、隙間時間の勉強にも最適です。
本試験でもよく出題される事例に関して、ケーススタディ形式で非常に分かりやすく解説しています。本番でよく出題される内容には超重要ポイントとしてマークがされているので、試験直前の確認にも便利です。
- 著者
- ["東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部", "東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部"]
- 出版日
宅建の出題科目の1つである「権利関係」について、徹底的に解説した参考書です。
宅建受験者から長年支持されている「出る順」シリーズは、学習の進め方を簡単に理解することができる「学習内容のポイント」により、最適な学習ができます。
法律の条文がしっかりと解説部分で紹介されているので、本質をしっかりと理解できるでしょう。
- 著者
- 滝澤 ななみ
- 出版日
難しい言葉を使わず丁寧に説明していることから、非常に読みやすいと評判の参考書です。
各セクションのはじめに、そのセクションの内容が一目見ただけで理解できるように視覚的にまとめたページが特徴です。最初に大まかな内容を把握してから、スムーズに学習をすすめることができます。
- 著者
- ["東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部", "東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部"]
- 出版日
ロングセラー「出る順」シリーズの、宅建の科目の1つである「権利関係」に絞った過去問題集です。
出題傾向をもとに重要な問題を厳選して、その過去問を徹底的に解説しています。持ち運びしやすい大きさで、隙間時間の勉強にもおすすめです。
大手資格スクールの東京リーガルマインドが集計した、宅建合格者と不合格者の問題正答率が各問題に掲載されているので、現在の実力の把握にも役立つでしょう。
- 著者
- 宅建学院
- 出版日
わかりやすさと覚えやすさに重点を置いた参考書です。
条文では非常に堅い表現で書かれている法律用語を、日常会話で使用するレベルの簡単な表現に言い換えて書いているので、初心者でも理解しやすいでしょう。
また、参考書の各所に記憶に残りやすい図表が掲載されているほか、思わず口ずさんでしまう語呂合わせも数多く掲載されています。
- 著者
- 中村 喜久夫
- 出版日
膨大な宅建の試験範囲から、試験に出る部分に絞って解説している参考書です。
合格に必要な力を効率よく身につけることができます。4つの科目ごとに参考書が分けられるので、持ち運びにも最適です。隙間時間の勉強にも活用しやすいでしょう。
初心者でも分かりやすいように図やイラストが多用されており、問題をスムーズに理解しやすいところも特徴です。
- 著者
- ["東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部", "東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部"]
- 出版日
過去30年の宅建の過去問から、合否を大きく左右する良問を厳選し、6回分の本番試験形式で収録した問題集です。
長年、宅建士試験の受験指導をおこなってきたLECがデータベースから徹底的に分析した、本当に重要な問題のみが掲載されています。
過去問だけでなく、2020年に変更になった民法についての問題や詳しい解説も掲載されているので、最新の傾向を踏まえた学習も可能です。
- 著者
- ["東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部", "東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部"]
- 出版日
可能な限り短期間で宅建に合格できるように、必要な項目だけを抜粋した参考書です。
重要な知識だけをコンパクトにまとめた別冊「虎の子」が付いているので、隙間時間も利用して効率よく学習しましょう。
また、重要度に応じてABCの3つでランク分けされているため、時間が無いときは重要なものに絞って勉強できます。
- 著者
- 東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部
- 出版日
短期間の学習で宅建に合格できるよう工夫された参考書です。
「逆解き式」という、555個の重要項目を解説し、それらが使われている問題を紹介するという方法を取っているため、ムダな解説がなく効率よく勉強できます。
音声ダウンロードも可能なので、移動中や隙間時間は耳からも学習しましょう。
- 著者
- ["水野 健", "LEC東京リーガルマインド"]
- 出版日
東京リーガルマインドのトップ講師で、18年間宅建の受験指導をしている水野健が、宅建受験の初心者に向けて合格メソッドを分かりやすく伝えている参考書です。
不動産経営者としての実務経験から得られた豊富な事例をもとに宅建試験の解説をしており、途中で挫折しにくい工夫がされています。2020年の民法改正に対応している点も安心です。
- 著者
- ["ユーキャン宅建士試験研究会", "ユーキャン宅建士試験研究会"]
- 出版日
さまざまな資格試験の受験指導で実績のあるユーキャンの講師陣が過去問を分析し、重要な項目をしっかりと勉強できるように作成した参考書です。
豊富な事例とやさしい解説文、イラストや図を多用した分かりやすい解説に加え、それぞれの学習トピックごとに確認問題があるため、知識をしっかりと定着させられます。
経験豊かなユーキャンの講師陣による、独学するうえでの的確なアドバイスも掲載されているので、モチベーション維持にも効果的です。
- 著者
- 吉野 哲慎
- 出版日
宅建の試験で出題される頻出部分に絞って勉強できる参考書です。
各項目は3〜5ページ程度でサクサク取り組めるので、隙間時間でも勉強できます。
難しい法律用語は日常的に使うような言葉に置き換えて解説されているので、はじめて法律に関する内容を勉強する人にも最適です。
- 著者
- ["東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部", "東京リーガルマインド LEC総合研究所 宅建士試験部"]
- 出版日
良質の1000問を一問一答形式で解く問題集です。
特徴は専用アプリがあることで、書籍と組み合わせての学習をおすすめします。アプリには正答率や実力診断機能がついているので、苦手分野の理解や実力の把握にも有効です。
書籍自体もコンパクトサイズで持ち運びしやすいので、いつでもどこでも勉強できます。また、2020年の民法改正にもしっかり対応しています。
- 著者
- ["住宅新報出版", "住宅新報出版"]
- 出版日
宅建試験に必要な知識を網羅していると定評がある参考書です。初心者でもスラスラと読むことができ、講義スタイルで学習する構成になっています。
項目の最初に「ウォームアップコラム」が掲載されているので、詳細を勉強する前にそちらで大枠を理解しましょう。のちのインプットがスムーズにすすみます。
2020年度の民法改正にも対応しており、旧バージョン法律との比較も充実しているため、前年度から宅建を勉強している方にもおすすめです。
- 著者
- 駿台法律経済&ビジネス専門学校
- 出版日
宅建試験で出題されるところだけを掲載しており、少ない時間で効率的に勉強できる参考書です。
「権利関係」「宅建業法」「法律上の制限+税」の3つのテキストに分割することができ、持ち運びしやすいため隙間時間の勉強にも最適です。
また、各章に漫画と体系図が掲載されているので、初心者でも簡単に内容を理解することができます。
- 著者
- 滝澤 ななみ
- 出版日
12年分の過去問が掲載された問題集です。
年度によって合格ラインが違う宅建試験ですが、難易度が優しい順に掲載されており、解きやすい年度の問題から徐々に解いて実力を伸ばすことができます。
解説は結論を先に明示するスタイルで、正しいのか誤っているのかをシンプルに説明しています。そのため、時間をかけずに苦手部分の勉強ができるでしょう。
また、問題ごとに重要度がA~Dで掲載されており、復習の際に力を入れるべき箇所が分かりやすくなっています。
宅建を独学で勉強しようとする人に向けて、宅建についてと勉強法、おすすめの参考書を紹介しました。
宅建試験の合格率は約17%で、合格するためにはかなりの勉強時間が必要です。そのため、使用する参考書や問題集にこだわることも非常に重要です。
この記事を通じて、皆さんが自分にあったベストな参考書や問題集に出会えることを祈っています。そして、その参考書や問題集を使って、効率的に実力をつけて宅建合格を目指してください。よりよい将来に向けて頑張りましょう。