日本での就学や就労を希望する外国人が増えています。それとともに、日本語を指導する日本語教師の存在があらためて注目されはじめました。この記事では、日本語を指導するために必要な知識や能力をはかる資格「日本語教育能力検定」について、試験内容や難易度などをわかりやすく解説。おすすめのテキストや問題集も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。
公益財団法人「日本国際教育支援協会」が実施する「日本語教育能力検定」。日本語の教師となるために学んでいる方や、日本語教育に携わる方に必要な知識や能力をはかるものです。
日本国際教育支援協会のWebサイトには、日本語教育能力検定試験の目的として次のように記されています。
日本語教員となるために学習している者、日本語教員として教育に携わっている者を対象として、日本語教育の実践につながる体系的な知識が基礎的な水準に達しているかどうか、状況に応じてそれらの知識を関連づけ多様な現場に対応する能力が基礎的な水準に達しているかどうかを検定することを目的とする
2020年現在は、大学の日本語教師養成課程を修了するなどのルートで日本語教師として働くことが可能ですが、文化庁により新制度への移行が議論されていて、今後は大学での課程修了とあわせて、日本語教育能力検定の取得が義務化される見込みです。
日本国内における外国人労働力の需要が高まるなか、質の高い日本語教師を育成する必要があります。近い将来、公認の日本語教師として国家資格化される計画に、日本語教育能力検定は大きく関わるといえるでしょう。
外国人労働者が本格的に増え、質の高い日本語を教えられる人が求められています。
日本国際教育支援協会のWebサイトには、次のように記されていました。
日本語教師になるためには、小中学校の教員免許のような国家資格はありません。しかし多くの日本語学校で、日本語教師の採用条件の一つとして日本語教育能力検定試験の合格が求められています。採用条件は各学校によって異なりますので、就職を希望される方は、事前に確認することをお勧めします。
では日本語教師になるとどのような場所で働くことができるのか、いくつかご紹介しましょう。
日本語を教えるだけではなく、対象者に合わせた幅広い知識や教養が必要なうえ、たとえば企業内指導者であればビジネスマナーなどに精通していることが望ましいでしょう。子ども教室であれば、子どもの発達や心理に関する知識も身につけていることが望まれます。どんな場所で働くとしても、文化や宗教の違いなど、多様性を求められるでしょう。
では日本語教育能力検定試験の内容を解説していきます。
年齢や学歴、国籍など特別な受験資格は特にありません。例年10月に全国主要都市にて実施されています。
出題範囲は次のとおりです。
試験は全部で3つあり、上記の範囲が異なる形式で出題されるのが特徴です。
日本語教育能力検定試験の代表的な学習方法は、参考書や過去問題集の使用。独学で試験に臨む人も多いそうです。
近年の合格者数や合格率は次のとおりです。
合格率は20%台で、難易度としてはけっして低くありません。主な受験者層は、日本語教師を目指す会社員や主婦などの社会人。次いで日本語教育関連業、学生です。
- 著者
- ヒューマンアカデミー
- 出版日
日本語教育能力検定受験生のほとんど全員が、このテキストを使って学習しているといわれています。すっかり定番となりましたが、第4版はさらに見やすくてわかりやすいと高評価です。
本そのものが分厚く、ボリューム満点。日本語教育能力検定試験で求められる内容のほとんどが網羅されています。インプット教材としては、これだけを確実にしっかりマスターすれば合格がみえてくるでしょう。多くの受験生から信頼のある、おすすめのテキストです。
- 著者
- ["公益財団法人日本国際教育支援協会", "公益財団法人日本国際教育支援協会"]
- 出版日
日本語教育能力検定試験では、スピードと正確性が求められます。また記述式の問題も出題されるため、時間配分力や集中力の維持なども課題になるでしょう。過去問題をくり返し解くことで、これらアウトプット力が身につきます。
テキストなどのインプット教材を読む前に目を通すのもおすすめ。どのような問われ方をするのかを先に把握できます。