5分でわかる和菓子職人!活躍できる就職先・転職先とは。取得すべき国家資格についても解説!

更新:2021.5.12

和菓子職人は、日本の伝統的な和菓子を一つひとつ手作業で仕上げていく芸術的な職業の側面を持ち合わせています。世界から日本への観光ブームとともに、日本人の手仕事にも注目が集まっています。国内外を問わず多くの人々が、職人の手によって丁寧に作られる作品に価値を見出す時代に入っているのです。 本記事では、そんな和菓子職人の仕事内容や就職先、収入面について解説します。なかなか知る機会のない和菓子の種類も簡単に解説しているので、ぜひ学ぶような気持ちで記事に目を通してみてくださいね。記事の最後には和菓子作りの参考になる書籍もご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

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和菓子職人とは

数ある菓子のなかでも、和菓子を専門にしている職人のこと。練り・蒸し・焼きなどの技術だけでなく、味覚や美的センスも必要とされる職業です。お店の形態によっては、仕入れや販売(接客)をおこなうこともあります。

和菓子の種類

まず、私たちの周りにある和菓子の種類について説明していきましょう。和菓子には、大きく分けて3種類あります。

  • 生菓子
  • 半生菓子
  • 干菓子

生菓子は、水分量が多くあまり日持ちしない饅頭・大福・羊羹などです。主に餡子を使った和菓子のことです。半生菓子は、生菓子と干菓子の中間で、最中や石衣など。干菓子は乾菓子とも呼ばれ、水分量が少ない煎餅・八ツ橋・金平糖などを指します。

和菓子が出される場所ごとに名前が異なる

冠婚葬祭、さまざまな場面で和菓子は親しまれています。その場面によって、名前も異なります。

茶席菓子

茶会で出る和菓子は茶席菓子と呼ばれ、茶道とともに発展してきた京菓子です。一席ごとに作られ、季節に合わせたお菓子であることが多いです。

引き菓子

引き出物として渡す和菓子のことを、引き菓子と呼びます。結婚式や祝賀会などお祝いの場で渡されるため華やかな見た目のお菓子が多く、センスのよさなどが求められます。

蒔菓子

蒔菓子(まきがし)とは、舞踊、長唄、清元、小唄、琴など和物の発表会でお土産として渡される菓子類のことです。発表される楽曲を題材にして作られます。

和菓子職人の仕事内容

実際の和菓子職人が、毎日おこなっている基本の業務の例をご紹介します。

  • 前日までの予約商品や店頭用のための生菓子、半生菓子作り
  • 干菓子や日持ちする焼き菓子作り
  • 仕込み
  • 見習いや後輩の指導
  • 新作の和菓子を試作、研究
  • 清掃

和菓子職人は早朝に出勤するのが基本です。午前7時より前に出勤して仕込みをしたり、遅くまで残って和菓子の試作、研究をすることも少なくありません。

特に、生菓子は基本的に作り置きができないため、毎朝作りたてを用意する必要があります。繁忙期は大量の和菓子を作るために、早朝から深夜まで通して働くこともあります。

和菓子職人が活躍できる就職先・転職先

和菓子職人の就職先は、和菓子専門店や流行りの和カフェなどが主流です。今は、工場で和菓子を大量生産することも可能ですが、和菓子職人と呼ばれる人が働くのは和菓子を専門に扱っているお店の職人さんを指すことがほとんどです。

大手菓子メーカーの和菓子を扱う部門に就職するパターンもありますが、和菓子を一からすべて自分の手で作るのは難しく、希望の部署に配属されるかも人事によって決められます。

先ほど就職先として紹介した、和菓子専門店と和カフェ。それらが一緒になっている老舗和菓子店をご紹介します。

成城あんや

大正7年創業「成城風月堂」が運営している店舗のひとつが「あんや」です。

各業界人が手土産としても購入していくなど、幅広い客層から根強い人気があり、現代風な和カフェスペースも設けられています。

店内の大きなガラス越しには、実際に職人が和菓子を作る様子を見ることもできるので、和菓子職人を目指している方であれば、一度お客さんとして利用してみるのもよいでしょう。

参照:成城あんや

和菓子職人の年収事情

和菓子職人として就職した場合の初任給は12〜15万円。一人暮らしをすることを考えると、生活をするだけで精一杯の水準です。大手菓子メーカーなどであれば、初任給20万円前後のところもあり、就職先によってかなり差がある業界といえるでしょう。

しかし大企業の場合は、自分が希望した部署に配属されるとは限りません。自分の手で餡炊きをし、和菓子完成までの工程をすべて自分の手でおこないたい方は、和菓子専門店(または和カフェの工房など)へ就職するようです。

一人前として認められれば、一般的な会社員と同じくらいの年収300〜400万円ほど稼げるようになります。

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独立を目指す人も多い業界

収入面のアップも含め、自分の店を持ちたいという和菓子職人は多いのです。それを目標に、数年間は修行の意味も込めて、和菓子専門店で働くことを選択し仕事に励むようですね。

和菓子職人になるには。おすすめの資格

和菓子職人になるために、学歴や資格は問われせん。ただし将来、独立したいと考えているならば、資格の取得を検討しましょう。

以下のような資格を持っていることで、自分でお店を出したときにも、和菓子作りの技術や品質をお客様に保証することができます。

製菓衛生師

「製菓衛生師」は厚生労働省で実施している国家資格です。製菓衛生師法により定められた名称独占資格で、都道府県知事の免許を受け菓子製造業に従事する者としての証明となります。受験資格は以下の通りに定められており、試験は各都道府県にて実施されています。

  1. 学校教育法(昭和22年法律第26号)第57条に規定する者であって、都道府県知事の指定する製菓衛師養成施設において1年以上製菓衛生師として必要な知識および技能を修得したもの
  2. 学校教育法第57条に規定する者であって、2年以上菓子製造業に従事したもの

基本的には、製菓衛師養成施設にて必要な知識および技術を獲得しており、かつ菓子製造業に従事したことのある方が受験する資格だと考えておくとわかりやすいでしょう。

また試験科目は以下の通りになっています。

  1. 衛生法規
  2. 公衆衛生学
  3. 栄養学
  4. 食品学
  5. 食品衛生学
  6. 製菓理論
  7. 製菓実技

合格ラインは100点満点中、原則60点以上。合格率は都道府県ごとに異なりますが、基本的には70%〜80%と高い傾向にあります。

参照:製菓衛生師

製菓製造技能士

「製菓製造技能士」は、日本菓子教育センターが実施している国家資格です。技能検定に合格した方に資格が与えられ、働く人の能力を高め、専門的な技術力の高さを社会に広めることも目的に作られました。

製菓製造技能士には「洋菓子製造技能士」「和菓子製造技能士」があり、それぞれ1級と2級の階級が設けられています。受験するには原則、一定年数の実務経験が必須で、2級受験者は2年の実務経験、1級受験者はそれに加えて職業訓練歴や学歴も求められます。

試験は学科と実技です。例年の合格率が50%以下ということから、試験内容の難しさが分かるかと思います。試験詳細については、日本菓子教育センターにてご確認ください。

参照:菓子製造技能士

和菓子職人になるには。進学を考えている場合

和菓子職人の世界は、高校卒業後すぐでも見習い(新入社員)として受け入れてくれるところは多いです。

しかしなかには、和菓子職人としてさまざまな知識や技術を身につけてから就職したいという方もいるでしょう。その場合は、専門学校の他に短期大学・4年制大学への進学も検討してはいかがですか。

専門学校へ進学する場合は「和菓子コース」などが設けられている学校がおすすめです。4年制大学・短期大学の場合は「製菓学科」「食物栄養学科」といった学部も存在します。

日本大学短期大学部食物栄養学科

こちらは短期大学ですが、途中で4年制大学への編入も可能となっています。和菓子に関すること以外も学びたいと考えている方は、このようなタイプの学校も検討してみるとよいでしょう。  

参照:日本大学短期大学部

日本菓子専門学校

製菓衛生師資格の受験資格を得たい場合は、製菓衛師養成施設への進学を検討しましょう。特に東京都には養成施設が多く、和菓子製造・販売の実務経験が積める店舗も多いので、資格取得がしやすい環境が整っているといえます。

たとえば、日本菓子専門学校には製菓技術科があります。最終的に先述した2種類の資格取得をゴールとしており、資格取得のサポート体制も整っています。1年次にはお菓子作りの基礎を学び、2年次は洋菓子、和菓子のコースを選択して専門的な知識と技術を身につけることができます。

少人数制で、プロが現場で使うのと同じ道具や器具を使った実習をおこないます。実際に働き始めた際、どのような職場でも対応可能となる技術力が身に付きます。

参照:日本菓子専門学校/製菓技術科

その他にも、和菓子職人になるための知識や技術を習得できる専門学校は全国に多数あります。製菓衛生師養成施設一覧でぜひチェックしてみてください。

参照:製菓衛生師養成施設一覧

資格以外に必要な素養

茶道、俳句、礼儀作法などの知識は今から身につけておきましょう。また、冬至や夏至といった十二四節気の知識も、和菓子職人として働くうえで重要となります。これらの知識から新たな和菓子を生み出したり、お客様の要望に応える場面も出てくるでしょう。

和菓子職人を目指す方であれば、普段の生活から意識しておくとよいですね。また日本の歴史、武芸にも精通していると、新しい和菓子を作り出すヒントを見つけやすくなるはずです。

和菓子職人のやりがい、向いている人の特徴

和菓子職人は、自分のセンスや知識・アイデアを形にすることができる職業です。そしてなんと言っても、お客さんから美味しいと言ってもらえる瞬間は、職人冥利に尽きるのではないでしょうか。

和菓子職人としてのやりがい

すべてにおいて繊細な感覚が重要となる仕事でもあり、気候や素材によっては、レシピ通りに作るだけでは美味しく作れないこともあるようです。それらの塩梅を調整できるようになることで、自分自身に達成感や楽しみを見いだせる瞬間もあるようです。まさに職人ですね。

和菓子職人に向いている人の特徴

その名の通り、職人気質の人が多い業界です。そのため、精神力・体力ともに自身がある人は和菓子職人に向いているでしょう。

また、日本の伝統を継承したいという強い想いがある方、細やかな作業が好きな方も和菓子職人に向いている可能性があります。

製菓衛生師の試験対策テキスト

著者
全国製菓衛生師養成施設協会
出版日

本書は、製菓衛生師の試験対策問題集です。過去3年分の頻出問題をまとめており、過去の試験問題がしっかり分析されているのが嬉しいポイントです。製菓衛生師の試験は都道府県別に実施されるため、自身が受験する都道府県の過去問を繰り返し解いて対策をおこないましょう。

効率よく学習できるテキスト構成となっているため、勉強時間を確保しづらい方にもおすすめできる1冊です。

本格的な和菓子作りのコツを学ぶ

著者
清 真知子
出版日

本書は見やすい写真が多く、作り方も大変わかりやすく書かれている和菓子作りの教科書です。著者は、神戸と東京で和菓子教室を開き、裏千家のお茶の先生としても活躍しています。そのため本書では、季節感のある和菓子作りを中心にまとめられています。

和菓子に興味もあるし作ってみたいけどハードルが高いと一歩が出せない方にもおすすめの1冊です。家で作ることができる和菓子レシピが多く掲載されていますよ。

写真映えする新感覚の和菓子作りがしたい方に

著者
諸星 みどり
出版日

伝統を受け継ぎつつも、現代の要素も取り入れたおしゃれな和菓子が多く掲載されている本書。どら焼きなど日常的に親しまれている和菓子から、干菓子や主菓子まで全34種類の和菓子のレシピが掲載されています。

あまり手間暇かけず、簡単に和菓子を作りたい方に向けて、電子レンジと時短で作ったあんこで作れる和菓子のレシピはとても重宝します。華やかな見た目の和菓子作りももってこい。

本書は写真集のように気軽に眺めることもできます。和菓子を作るときのインスピレーション材料として、普段から空いた時間に眺めるのにもおすすめの1冊です。

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今回は、技術があるだけでは活躍することが難しい和菓子職人について紹介しました。伝統だけでなく、世の中のトレンドや時代に沿った和菓子を作り出すことも必要です。季節感を重視したり芸術的なセンスも必要となるでしょう。 

レシピ通りに作ればうまくいくという訳ではなく、長年の勘や加減が肝となる作業も多いため、第一線で活躍する職人になるためには長い目で業界に関わっていく覚悟も必要です。 

今回ご紹介した和菓子店にも、ぜひ足を運んでみてください。自分の目や口でたくさんの和菓子に出会い、作りたい和菓子のイメージを膨らませて見ることも勉強になるでしょう!

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