「ナニー」という職業に聞き馴染みがある方は、日本ではまだ少ないかもしれません。ナニーとは、住み込みで子どもの面倒を見ながら、しつけや教育などもおこなう、乳母のような役割を担う職業のこと。海外では職業として確立されている国も多いですが、日本でのナニーの仕事は未だ認知度が低いのが現状です。似ている職業にベビーシッターや保育士がありますが、プラスαの教育をおこなう点では、それらの職業とは仕事内容が異なります。本記事では、そんなナニーの仕事内容や海外との違い、年収や資格の有無などを参考書籍とともに解説していきます。ナニーという職業に興味がある方は、ご紹介した書籍にもぜひ目を通してみてくださいね。
ナニーとは、母親に代わって子育てをする女性の職業です。言葉の意味を調べると、以下のように表示されます。
ナニー(nanny):乳母。住み込みで子供の面倒をみる、育児や教育の専門知識を持った女性。
出典:goo国語辞書
最近では、男性の「マニー」と呼ばれる職業も海外で出てきています。海外セレブを中心に、ナニーとボディーガードを兼ね備えた男性を雇っている方が多いようです。この背景は定かではありませんが、有名人に雇われたナニーが夫と浮気することを避けるためなのではないかと書かれたゴシップ記事も存在します。
19世紀イギリス、ヴィクトリア朝の裕福な家庭において「乳幼児の教育係(世話係)」として若い女性を雇っていたのが始まりと言われています。
今も昔もナニーは、幼児教育の専門家として活躍しています。海外では、依頼主の家に住み込みでナニーが雇われていることも珍しくありません。
子どもが朝起きるところから、寝かしつけるまで。長時間にわたって子供を預けられ、幼児教育やつけも任せられているナニーは、世間からの信頼を得ている仕事といえるでしょう。
海外では住み込みのケースも多く、専属の子守といったイメージがあります。一方、日本では、ナニーに住み込みで働いてもらう文化はほとんどありません。これらの違いから、日本と海外では、ナニーがおこなう仕事内容には異なる部分も多くあります。
ここでは、日本でナニーをする場合におこなう仕事内容を中心にご紹介します。
たとえば、両親が共働きで夜遅くまで帰ってこない家庭で働く場合は、掃除や洗濯もおこなう可能性は高いでしょう。保護者が4〜5時間のパートに行っている間など、短時間の子守であればそこまではしなくてOKという場合もあります。
海外では、上記の仕事内容のほか、テーブルマナーや身のこなしのトレーニングをナニーがおこなうこともあるようです。
日本では住み込みはほとんどないため、依頼主の自宅を訪問するケースが大多数です。そのため、正社員という雇われ方は少数派であり、アルバイトやパートが多いのが現状です。
アルバイトの場合、時給は1000円〜1600円ほど。特別高給であるとは言い難い時給ですね。
日本では、ナニーに関する定義がほとんど統一されていないのが現状です。ベビーシッターと同じと思っている方も少なくなありません。
それ以上のサービス、子供の教育に関わるしつけ、プラスαのピアノや英語のレッスンなどもおこなうことができる、ナニーという職業自体を知らない方がほとんどでしょう。
いざ子供を預けようと考えたとき、日本の保護者は保育園や幼稚園、ベビーシッターといったワードで預け先を検索することがほとんどです。そのため、ナニーの情報までたどり着かずに終わってしまうことも多いのです。
実際には質の高い保育を必要としている保護者はとても多く、うまくナニーと繋がっていない現状は今後改善されるべき問題でしょう。
ナニー発祥の地であるイギリスには、ナニーの国家資格試験が存在します。しかし、日本には国家資格がありません。
資格がなくてもナニーを名乗ることはできますが、小さな子供を預かり、教育する仕事ということもあり、保護者の安心材料になるような資格を持っておくことをおすすめします。
上記の資格に興味がある方は、ぜひ詳しく調べてみてください。
国家資格ではないものの、民間のナニー認定資格を取得することは可能です。一般社団法人日本ナニー協会HPでさまざまな情報を閲覧できますので、こちらもナニーを目指す方であれば、一度チェックすることをおすすめします。
認定資格はレベル別に分けられており、どのレベルを目指したいかを考えながら見てみてください。
業界未経験者も可。今後、保育士等の資格取得や保育経験を積んでいくことを目標にしている方で、ナニーとしての素養を身に付けたいと思っている方。(250時間程のカリキュラム)
業界経験者のみ。実践的なナニーとして、高い能力やノウハウを身に付けたいと思っている方。子育てのプロとして、経験やスキルは必要。(50時間程のカリキュラム+250時間程の現場実習)
実践的なナニーとして、高い能力やノウハウを身に付けたいと思っている方。ベビーシッターにプラスアルファを考えている方対象。
実践的なナニーとして、高い能力やノウハウを身に付けたいと思っている方。ベビーシッターにプラスアルファを考えている方対象。
参照:日本ナニー協会HP
ナニーの仕事は、受け持ったその子の将来に影響を与える可能性も大いにあり、責任は大きい仕事といえます。
その反面、その子の成長を間近で感じられたり、大きくなった姿を見て、自分も子育てをサポートした事実を誇りに思える瞬間もあるでしょう。
教育に関する体操、楽器、語学など、何らかの分野で子供に教えられるものがあると、ナニーになるにはプラス要素となります。子供が好きということはもちろん、自分は何が得意なのかもぜひ掘り下げてみてください。
- 著者
- ["トラバース", "安野光雅", "岸田衿子"]
- 出版日
ディズニー映画としても有名な『メリー・ポピンズ」』の主人公でもある女性の職業が、ナニーだったと知っていましたか?
こちらは実写映画『メリーポピンズ』の原作にもなった『メアリー・ポピンズ』を、現代向けに読みやすくしたものです。可愛いイラストとテンポのよい翻訳で、気負いせずナニーの仕事ぶりを感じ取ることができます。
空からやってきたお手伝いさんが子どもに見せる真新しい世界。大人が読んでも心ワクワクする夢が詰まった1冊です。
- 著者
- チャイルドマインダー 谷 加奈子
- 出版日
著者は、ナニーではありませんが、実際にチャイルドマインダーとして活躍しているプロです。託児所も経営しており、その目線から子どもを「預けるコツ」や「預かるコツ」について綴っています。
本書では、安心して預けたいママたちの声を知ることができ、ナニーになった時にママたちへどんな安心感を与えればいいのかを著者の実体験を通して学ぶことができます。
- 著者
- 伊勢雅臣
- 出版日
この記事を読んでいる方のなかには、教育の分野に興味がある方が多いのではないでしょうか。
本書は日本の教育について書かれた1冊ですが、著者が海外に長く住んでいた経験から、世界の教育と比較して日本の教育のよさについて解説しています。
世界から日本はどう思われているのか、日本の教育が抱える課題は何かといった疑問を抱く方におすすめです。
ナニーは日本での知名度はまだ低い職業ですが、共働き世代の保護者たちには、保育や教育の場を探している方が大勢います。海外では、男女関係なくナニーの仕事がおこなわれるようになってきているため、日本でもポピュラーな職業として広まる日も遠くはないかもしれません。
少子高齢化社会が進む日本だからこそ、今いる子供たちに質の高い教育をしてあげたいと考える方は多いでしょう。子供の教育に興味がある方は、今回ご紹介した書籍やホームページも参考にしてみてくださいね。