気象予報士と聞くと、ニュース番組で天気予報の解説している様子を思い浮かべる方は多いでしょう。それ以外にも、お天気アプリや天候情報サイトを裏で支える気象予報士、自衛隊や気象庁といった公的機関で活躍している気象予報官も存在します。 気象予報士として活躍するには、難易度の高い国家資格試験に合格する必要があります。希少価値の高い資格であることから就職後の年収は高く、お天気キャスターとなれば1000万円以上を目指すことも可能です。 今回は、そんな気象予報士の詳しい仕事内容や年収、就職事情を解説します。天気に関する子どもの頃からの疑問が解けるような面白い書籍もご紹介するので参考にしてみてくださいね。
気象予報士は、気象庁から提供される観測データ・気象レーダーの情報をもとにして、天気・気温・湿度・降水確率、天候を予測する仕事をしています。各地域特有の地形をはじめとした膨大なデータから予測を立てなくてはいけないため、広く深い知識が必要とされています。
自然災害が起きるレベルの天候予測では、自分が発信した情報によって多くの人に影響を与える可能性があり「人々の命を守る仕事」と言われることも少なくありません。
気象予報士は、国家資格試験に合格すると就くことのできる職業です。試験内容はとても難しく、合格率もわずか5%前後。資格保有者のみが、気象を予報する業務を担当することができ、資格を持っていない人が予報の業務に当たることは人命に関わる可能性から法律で禁止されています。
「天気といえば、気象庁では?」と思う方も多いでしょう。実は気象庁で働く気象予報官は国家公務員試験に合格した人たちであり、気象予報士の資格がなくてもなることができます。
逆にいえば、気象予報士試験に合格しているからといって気象庁で優先的に働けるわけではないということです。
平均年収は500〜600万円といわれています。ほかの職業と比べても割と高い収入を得られる仕事です。民間か公務員かの違いで、昇級の仕方・手当ての内容(ボーナスなど)が変わります。目指す会社が決まってる方は各企業や自治体のHPを調べてみてください。
元祖お天気キャスターで、現在もニュース番組で活躍する森田正光さんの最高年収は9000万円以上だったとか。ニュース番組以外に講演会やCMの仕事もしていたため年収が大きくあがったようです。
また石原良純さんの最高年収は5000万円以上。帯番組をもっており、ニュース番組以外にもタレントとして出演したり、自社での収益もあったりと収入源が多いと年収もあがります。
純粋に天気予報士としての仕事のみであれば、年間契約で600万円〜700万円ほど。気象予報士も人気によって年収には差がみられるようです。
合格するのも大変な仕事であるにも関わらず、資格取得後に就職先が見つからないという方もいます。特に正社員での求人を探そうとすると、その数は少なく、競争率も激しいようです。
気象予報キャスターとしてテレビ出演したい場合は、テレビやラジオ局に入社するのが近道でしょう。また、実際にカメラの前で話しているのは、資格を持たない通常のキャスターであることが多く、裏方で「キャスターが読む台本」を作る気象予報士として働くという選択肢もあります。
株式会社ウェザーニュースが運営する『ウェザーニュース』というサイト(アプリ)をご存知でしょうか。気象庁の天気予報的中率が80%と言われているなか、ウェザーニュースは的中率90%以上を誇っており、世間でも利用者の多い情報サービスです。
所属する気象予報士も優秀な人材を積極採用しているため、将来は「裏方で気象予報士として働きたい」と考えている方にとっては、チャレンジしてみる価値は十分あるでしょう。
また、気象予報士資格取得を目指している最中の人も応募できる可能性があります。「取得見込みの方は応相談」との記載もHPにありますので、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。
ここでは、放送局に就職した場合の仕事内容をご紹介します。
このほかにも、異常気象などが起っている現場へリポート要員として出張することもあります。
試験合格のためには「専門知識」「天気図の読み取り」といった分野の知識が必要です。資格試験は年に2回開催され、試験地は北海道、宮城県、東京都、大阪府、福岡県、沖縄県の6都道府県となっています。
受験資格は特に設けられておらず、年齢も学歴も職歴も関係なく誰でも受験が可能です。そのこともあってか、2017年には11歳11カ月で取得した方もいます。この最年少記録はいまだに更新されていません。合格率5%前後の難関を突破するなんてすごいですよね。
試験は学科試験と実技試験をおこないます。学科はマークシート形式で、実技は記述式です。科目は以下のようになっています。
学科試験に合格したけれど実技試験は落ちてしまった方は、合格発表日から1年以内におこなわれる試験において、合格科目の試験が免除になります。
試験は年に2回開催されますから、免除を受けたままその後2回は試験にのぞむことができます。学科試験の勉強の負担がなくなるので、実技試験の対策に大いに時間を割くことができますね。
合格率は先述した通り、例年5%あたりを推移しています。過去5回分の合格率を振り返ってみましょう。
過去には6%台や7%台を記録する年もありましたが、基本的には4%〜6%の間の合格率となっています。また一発合格する方はまれで、多くの方は4回〜7回目の受験で合格しています。
しかし実は第1回の試験では合格率18%、第2回〜第4回までは10%台と高くなっているのです。これは第1回から第4回まではお天気のプロのような方々が受験したからと言われています。つまり元々、実務経験が多く、知識も備えていた方たちが受験したため合格率が高かったというわけです。
気象予報士国家試験は、医師国家試験や司法試験に並ぶ最難関試験のひとつです。しかしこのどちらも合格率は80%〜90%と高くなっています。これはなぜか。
これは本試験を受ける前に受験者の選抜をおこなうシステムがあるからです。医師国家試験は医学部に入学、卒業しなければ受験資格は得られませんし、司法試験に関しては予備試験の合格者、もしくは法科大学院で法律基本科目を習得しなければ受験資格は得られません。
それに比べて気象予報士国家試験は、それらの規定はありません。基礎的な知識を身に付けていなくても誰でも受験することができてしまうのです。このことが気象予報士国家資格の合格率の低さに起因しています。
気象に関して深く学べる学校となると、やはり4年制大学に進学する人が多いようです。ほかにも気象大学校(4年制)という機関があります。これは、気象庁の将来の幹部候補を育成する場所であり、卒業するとほぼ自動的に気象庁への就職が可能となります。
気象予報士になるため大学で専門的な知識を身に付けたいと考えている方は、以下の大学への進学もおすすめです。
「地球惑星」や「地球科」、「地球惑星科学科」では主に宇宙科学や環境科学について学びます。
卒業後は環境や地質、気象関連の情報サービス業への進路も多く、他には調査、専門サービス業への就職も多く見られます。
複数の道がありますが、最も多いのは大学院への進学です。大学院でさらに専門的な知識を習得してから社会に出る方は多いようです。
まず、気象予報士として働きたいのなら、採用試験を受ける必要があります。資格を取得することができれば、他業種からでも転職できる可能性がある職業です。なかには、主婦から気象予報士になったり公務員から転職したというケースも。ただし、非常に狭き門だということは理解した上で挑戦するのが良さそうです。
情報収集をすることや分析するのが得意という方は、気象予報士に向いています。
また、ことわざ・動植物に関する知識・地理・歴史・時事ネタなどに興味があり、調べることが好きという人も役に立つ知識が多いでしょう。学習面では、試験の読み解き問題や理系科目が得意な人も、気象予報士として活躍できる可能性を秘めているかもしれません。参考にしてみてくださいね。
- 著者
- 金子 大輔
- 出版日
天気予報に対する基礎知識を知りたい初心者にも、読みやすい本です。
たとえば、「台風とは?」といった初心者が感じる疑問などを解決してくれるような内容が書かれています。毎日、天気予報をチェックしているという人であれば、必ず何か新しい発見や気象に関する学び直しができるはず。可愛いイラストも載っており、勉強が苦手な方もこれなら気軽に読むことができますよ!
- 著者
- 荒木 健太郎
- 出版日
- 2014-06-23
この本を読めば、気象予報士になるつもりがないという人でも「子供の頃に、雲に対して不思議に思っていたこと」を解決できるかもしれません。
数年前までは、そこまで頻繁にニュースになることがなかった「竜巻」や「ゲリラ豪雨災害」。それらの現象に深く関わりのある「雲」について、図解を使ってわかりやすく解いた1冊となっています。
- 著者
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- 出版日
こちらは、天気予報を正しく理解できるようになりたい人におすすめの1冊です。天気予報の内容を正しく理解し、情報を得られるようになるための「気象予報士入門編」として活用することができます。しっかりとポイントを抑えた解説で、一般の人でも興味を持って読むことができます。
合格率が低い試験であるため、資格を取得することに尻込みしてしまう方は多いかもしれません。今回ご紹介した書籍は、どれもイラストや図解でわかりやすく解説してくれているものを厳選していますので、そちらもぜひ参考書として使用してみてください。
天気や雲ができる仕組みなどに興味・関心がある方は、いきなり難しい問題からではなく、天気予報を正しく理解できるようになるところからスタートするのもよいでしょう。