「法人営業」とは企業に向けて営業をおこなう職種のことです。日本では「B to B」と呼ぶこともありますね。法人営業は対企業に営業をし、物を買ってもらったりサービスを買ってもらったりします。会社としての契約となるので受注してもらうのは大変ですが、その分受注できた時の喜びは大きな物です。 今回はそんな法人営業の活躍できる就職先や仕事内容、気になる年収事情を詳しく解説します。また、記事の最後には法人営業について知ることができる本を3冊紹介しているので、そちらもぜひご覧ください。
法人営業とは、企業が企業に対しておこなう営業スタイルのことをいいます。また、この営業スタイルをB to B(Business to Business)ということもあります。
また、法人営業のなかでも「新規開拓」と「ルート営業」に分けられ人材業界や金融、メーカー、ITなどさまざまな業界で活躍する場があります。
新規開拓とはまだ顧客ではない企業に対して営業をかけ新規に顧客になってもらう営業です。対してルート営業は既存の顧客に対して新商品を提案したり継続して自社の製品を使ってもらうよう営業をしたりする営業です。どちらも営業力が重要ですがさらに信用を得るための誠実な対応が重要といえます。
法人営業に対して個人営業(B to C)という営業スタイルがあります。こちらは企業が個人に対して営業をかける営業方法をいいます。
これらの違いとしてはまず営業をする対象が違うこと、動くお金の規模や売り込むサービスの内容が違うことがあげられます。また、基本的に法人営業の場合平日勤務で土日が休みになることが多いですが、個人営業の場合は土日が仕事で平日が休みという職場も多いでしょう。
それでは法人営業を担当する場合、どのような業務内容になっているのでしょうか。大きく3つに分けてご紹介します。
営業内容をわかりやすくまとめた資料を用意します。また、見積もりや請求書も作成するためミスなく作成することが求められます。この資料によってその後のプレゼンの出来や契約率などにかかわるため、大事な業務といえます。
法人営業の仕事は契約をとったら終了ではありません。契約内容に関する質問や相談、報告などを受け、信頼関係を築くことが大切です。信頼関係を築くことで今後の営業がスムーズにすすんだり新規の契約につながったりすることもあるため、こまめに連絡をとるとよいでしょう。
商談~商談終了後など事務処理が必要な場面が多くあります。たとえば顧客情報やお金などの管理です。大きい会社になると事務処理専用の部署があることもありますが、事務処理までを法人営業の任務として含んでいる会社もあります。
法人営業で活躍できる場所は多岐にわたります。
たとえば人材会社だと人材を欲しがっている企業への派遣、IT企業ならシステムの構築、銀行ならば融資の提案などです。それぞれ営業する商品や対象は違いますが、自社の商品を使うことによって相手の業績が上がることを目指すという点では共通しています。
やりがいや携わりたい業界によって法人営業か個人営業か決めたり、業界を決めたりするといいでしょう。
法人営業の年収はピンからキリまで。なぜかというと成果型報酬方式をとっている企業が多いため基本給は比較的低めに設定されており、受注やアポの件数で同じ会社でも収入に差が出るからです。
法人営業は経験やキャリアを積み重ねていくことで年収がアップしていく職種です。つまり初めの会社で法人営業としてある程度キャリアを積んだら、基本給がアップする企業へ転職した方が、成果報酬を含めた年収があがるということです。
しかし数多く転職すればよいということではなく、多くの法人営業の方は1度〜2度ほどの転職にとどまっています。年収アップ・キャリアアップともに転職は慎重におこなう必要があるでしょう。
法人営業の職種で働きたいと考えている方のなかには、どのようなキャリアパスがあるのか気になる方は多いと思います。この章では法人営業のキャリアパスについて簡単に解説をしていきます。
営業職として長く勤務し続け実績を残す方はどこの会社でも重宝されます。また、その営業の経験を生かして後輩に指導をおこなうなど後輩育成に携わるのもよいかもしれません。
特に大手での営業経験があると転職に有利になることも多く、新しくできた企業の発足メンバーとして営業の基盤を作るなどしてスキルアップすることも可能でしょう。
営業職として経験を積んだ後は、複数の社員をまとめる管理を目指す方も多くいます。営業時代に成績がよいのはもちろんのこと、社員をまとめるマネジメント能力やリーダーシップなどが必要になります。
人事部や企画部などにキャリアチェンジする方も多くいます。営業職時代の苦労を知っているからこそより働きやすい会社づくりに携わることもやりがいがあるでしょう。
営業力やマネジメント力がついたら独立するという方も多いです。会社に縛られることなく自分の裁量で仕事ができ、やり方次第では多くのお金を手に入れることが可能です。
会社の代表をしながら営業のスキルも持ち合わせているので、企業後に必要となってくる営業ではあまり苦労しないかもしれません。
法人営業を目指すにあたって学部や学歴は関係ありません。しかし、大卒の資格を取得していたり、ビジネスやお金の流れを知るために経済学部や商学部、ビジネス学部へ進学していると就職で多少有利でしょう。
競争率の高い大手企業への就職を検討している場合、大手企業では高学歴な方も多いため、学歴面を考えて大学を選ぶのもありでしょう。学歴だけでなくプレゼン機会の多い大学や多くの人と関われるサークルに入るのも、営業職への就職を目指す場合には有利かもしれませんね。
法人営業になるのに必要な資格はありません。また資格の有無によって手当がついたり、昇給したりということもありません。
しかし資格取得によって営業に関する知識を身につけることができ、業務のステップアップに繋がるという意味では、余裕があれば取得するのもよいでしょう。
2021年2月時点で法人営業で知識を使うことができそうな資格はこちらの3つです。
他にもたとえば金融業界であれば「証券アナリスト」、不動産業界であれば「宅地建物取引主任者」の取得を検討するのもよいかもしれません。どの資格もその業界で必要な専門的な知識を習得することができるので、機会があれば挑戦するのをおすすめします。
法人営業はプレゼンに取引先とのやり取りなどやることがたくさんあります。また、取引先の都合で予定が変更になることもあるためそれを見越した臨機応変な対応が大切になります。
取引先の社員や社長など大勢の前でプレゼンすることが多くあります。そのため、大勢の前でも表現できる人や分かりやすく説明できる人は活躍することができるでしょう。
初めから完璧にプレゼンやアポイントメントができる人はいません。また、話すら聞いてもらえなかったなんてことも多くあります。失敗しても諦めず反省や改善を繰り返せる人や万全の準備ができる人は向いているでしょう。
営業とは拒絶から始まる世界一やりがいのある仕事です。はじめからうまくいかないからこそ契約ができたときの喜びは大きいでしょう。
営業について語られている著書は多くありますが言っていることがそれぞれ違ったり間違っていることを紹介していたりすることも多いためどの本を読めばいいか迷う方も多いのではないでしょうか。そんな方におすすめの本がこちら。
- 著者
- ["フィリップ・デルヴス・ブロートン", "岩瀬大輔", "関美和"]
- 出版日
フィリップ・デルヴス・ブロートン氏著作の『なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか?』という本です。ハーバード・ビジネス・スクール出身のジャーナリストで、営業についての研究を世界中でおこなった著者が、実際に見て感じた営業のリアルを学んでみませんか。
方法というよりも営業に対する考え方や姿勢を学びたい人におすすめの著書となっています。営業職に興味のある学生や営業を始めたばかりの方におすすめです。ぜひご覧くださいね。
お客様から「もう一度会いたい!」と思ってもらえる営業の特徴って何かご存じですか?
それは「わかってくれる」営業をすることです。誠実さやレスポンスの迅速さ、知識も大切ですがそれ以上に相手のニーズを汲み取り相手にとって一番いいものを提案できる「ズレない」営業をすることが営業において差をつけることのできるポイントです。
その「わかってくれる」営業について詳しく解説した本がこちら。
- 著者
- 高橋浩一
- 出版日
高橋浩一氏著作の『無敗営業 「3つの質問」と「4つの力」』という本です。この本では東大の卒業生およそ3万人の営業指導をしてきた異色の経歴を持つ著者が「コンペで8年無敗」のノウハウを詳しく解説しています。
実績のある営業コンサルからライバルと差をつけることができる営業方法を知りたい方にはおすすめの1冊となっています。
「ドリルを売るには穴を売れ」という言葉はマーケティング業界でよく言われており、この言葉には「商品を売るには顧客にとっての価値から考えよ」という意味があります。
そのイメージが湧きやすく、マーケティングについて理解することができる本でおすすめなのがこちら。
- 著者
- ["佐藤 義典", "佐藤 義典"]
- 出版日
佐藤義典氏著作の『ドリルを売るには穴を売れ』という本です。この本では売り方の基本と平行して新人マーケッターが閉店寸前のレストランを復活させるサブストーリー付きでイメージをしながら理解することが可能です。
マーケティングや営業との関係について知りたい方におすすめの1冊となっているのでぜひご覧ください。
今回は法人営業の仕事内容や活躍の場について詳しく解説しました。法人営業は契約する内容やサービス、動く金額が個人営業に比べて大きいため、その分専門的な知識を持っていたり、営業内容に信頼性がなければなかなか売上につなげることは難しい職種です。
しかしその分やりがいは大いにあります。何度もアタックして契約をしてもらえたり、未開拓の企業へのアプローチが成功した際には法人営業の素晴らしさを実感することができます。
そんな法人営業への就職を目指す方は、記事の内容を参考にしつつ、記事の最後に紹介した本もぜひ一読してみてください。