煌びやかな世界で活躍する「ジュエリーデザイナー」。細やかな装飾や宝石の種類を選定・デザインするのが彼らの仕事です。特別な資格や学歴は必要ないことから、名乗るだけであれば誰でもなれる可能性のある職業ともいえるでしょう。しかし、ジュエリーデザイナーとして活躍するためには、卓越したセンスや宝石を見る確かな目、そして世間が求めるデザイン力が必要です。 今回は、そんなジュエリーデザイナーの仕事内容や収入面、就職事情について解説していきます。将来、ファッション業界に関わりたい方やジュエリーショップの経営に興味がある方は、ぜひ参考書籍と合わせてチェックしてみてください。
ジュエリーデザイナーは、宝飾デザイナーとも呼ばれています。世の中にはさまざまな分野のデザイナーが存在しますが、ジュエリーデザイナーは「ジュエリー製作を専門とするデザイナー」を指します。
センスと実力がともなわなければ活躍は難しい世界であり、簡単に稼げる職業ではありません。また、ジュエリー自体が景気に左右されやすいという側面をもつため、そのあたりの経済感覚も必要です。ジュエリーと聞くと女性がつけるものという印象が強いかもしれませんが、男女関係なく活躍できる世界です。
2015年「インターナショナルダイヤモンドジュエリーコンペティション」では、ジュエリーデザイナーの小寺智子さんが日本人初となるグランプリを受賞する快挙を達成しています。国籍は関係なく、やはりセンスと実力がものをいう世界のようです。
この2つの違いが気になるという方も多いのではないでしょうか。詳しい違いをみてみましょう。
同じ意味で呼ばれていることもありますが、もともとは『アクセサリー』はネックレスや髪飾り、ベルトなど、使用素材に制限がないものを総称して呼びます。一方『ジュエリー』は地金が金銀、プラチナ、天然の宝石など、希少価値の高い素材を使用したものです。つまり『ジュエリー』は、『アクセサリー』のなかでも希少価値の高い、限定された素材を使用したものです。
引用元:株式会社ツツミHP
日本の大手ジュエリーメーカーであれば、「株式会社ツツミ」「株式会社ミキモト」などが有名です。学生や新社会人でも手に入れやすい価格のブランドには、「agete(アガット)」や「Ahkha(アーカー)」などがあり、高い人気を誇っています。
海外のメーカーを含めると、その数にはキリがありませんが、カルティエ・ブルガリ・ハリーウィストンあたりは知っている方も多いのではないでしょうか。
上記の企業以外にも、デザイン会社・フリーランス・独立して自分でデザインから製作・販売・経営までおこなっている人もいます。
いまは趣味を仕事にする人も多くいる時代。作品に使用する材料の仕入れ・制作するための技術があれば、自分で製作・販売をおこなうことも可能です。もちろん工房を構えず、自宅で製作することもできます。
ジュエリーデザイナーだけで暮らしていくのは不安という方は、副業からスタートするのもいいかもしれませんね。
デザイン画は手書き、もしくはパソコンを使用して作成します。デザイン画以外でも、今はほとんどにパソコンを使った作業が含まれるため、デザインのみを担当する場合もパソコンが使えないことには仕事になりません。最低限のパソコンやネットのスキルはつけておきましょう。
ジュエリーメーカーに就職した場合の平均年収は、おおよそ300〜500万円です。なかには経験を積んで独立したあと、起業して1000万円以上稼ぐ方もいます。
副業の場合、クラウドソーシングのサイトでは時給1500円〜2000円ほどで仕事を受注している方が多く見受けられました。
作業の内容にもよりますが、平日は本職、休日にジュエリーデザインの副業を4〜5時間ほどと考えたら、月に5万円前後の収入になります。しかし安定的に仕事を受けるのは難しいため、収入を安定させるのは難しいでしょう。
ジュエリーデザイナーになるために、持っていないといけない資格は特にありません。
しかし、宝石や貴金属の知識、デザインおよび製図等の専門知識・技術、ジュエリーで最も重要な「宝石の良し悪しを見極める目」を養わないことには、売れっ子デザイナーになることは難しいでしょう。
宝石を見る目を養うのも、ジュエリーデザイナーにとって大切な能力です。実際、仕事をするうえでも役立つ資格をご紹介します!
米国宝石学協会は、世界で最も権威ある鑑定機関として世界中から信頼されています。この機関で受けられるのが「宝石学修了者」の資格です。
この資格は総合的な宝石学のプロフェッショナルとして、世界中で活躍できる証とされています。この資格を取得することで、鑑別技術・グレーディング・宝石の知識・ビジネスのノウハウなどを取得したと認められるのです。
鑑定の国家資格のない日本において、それに代わる国際的な資格とされているおすすめの資格です。
参考:米国宝石学協会
イギリスにある英国宝石学協会は、世界で最も歴史のある宝石学の教育機関です。ここでは、政府により学士号と同等レベルであると認められる「英国宝石学協会特別会員」の資格を取得することが可能です。
資格を取得するにはまず基礎課程を受講し、試験に合格します。その後、上級課程に進学し理論ならびに実技の試験に合格することで資格を取得することができます。基礎コースは1年もしくは半年、上級コースは半年と取得までに時間はかかりますが、その分みっちりと実際に原石や装飾品に触れながら知識を習得することが可能です。
参考:日本宝飾クラフト学院
上記のどちらも日本では民間資格の扱いですが、持っていると世界で「宝石の専門家」として通用する資格となっています。
宝石宝飾教育振興会は、ジュエリー・アクセサリーのデザイン・技術に関するコンテスト、資格検定事業を通して広くジュエリー・アクセサリー教育の振興と職業能力の開発に寄与することを目的として設立された東京都知事認証の特定非営利活動法人(NPO法人)です。
引用:宝石宝飾教育振興会HP
上記の宝石宝飾教育振興会では、3つの認定資格を受けることができます。どの検定も知識と技術の両方を証明できる検定です。
芸術学部や美術学部がある大学、もしくはデザイン系の専門学校への進学がおすすめです。ちなみに1章でご紹介した小寺智子さんは「京都芸術短期大学日本画科」を卒業していますが、他にもさまざまな大学・専門学校でデザインや服飾について学ぶことができますよ。
ジュエリーデザイナーの通信講座もありますが、きちんと技術を身につけたい方には、先生に近くで見て指導してもらえる環境がよいかもしれません。
販売方法の例として、SNSを利用する人が増えています。代表的なのは、インスタグラム等で販売をおこない、実店舗は持たないやり方です。店舗や在庫を無理に増やさず、リスクを抑えた経営を選択するのも技のひとつでしょう。
実際に、インスタグラムを見ていて「あ!これいいな〜」と思ったことがある方、買い物をしたことがある方も多いのではないでしょうか。
SNSを活用することのメリットを、もう少し深堀してみましょう。
まず、ブランドや販売サイトのHPを作成するのと違って投稿が手軽であるということ。そして、拡散されるスピードが速いのもSNSの特徴です。使用する言語に関係なく全世界の人に見てもらえる・対面接客ではないため投稿を見ている人のストレスも少ないといったメリットがあげられます。
ジュエリーはファッションに合わせてコーディネートされることが多いもの。服との調和が取りやすいジュエリーや、ほどよく主役感のあるジュエリーは人気が高い傾向です。ファッションを総合的にコーディネートできる人は、デザイナーとして活躍するための武器となります。
この仕事をするならば、「ジュエリーが大好き」という気持ちがないと続けることは難しいでしょう。
デザイナー担当であっても、ジュエリー製作に携わることに違いありません。職人に依頼せず、自分で製作する場合はなおさらです。黙々とおこなう細かい作業が苦でないということは、ジュエリーデザイナーとして大切な素質のひとつです。
ジュエリーを身に付ける人にとって「宝石やジュエリーの価値は不変である」といわれることも。しかし、ある程度ファッション業界のトレンドを知っておくことも重要です。
趣味で製作するジュエリーであれば問題はありませんが、利益を見込んだブランド作りとなると、トレンドに左右される可能性も考慮するべきでしょう。
- 著者
- 一郎, 砂川
- 出版日
宝石に関する資格を取りたい方におすすめの本です。
こちらのテキストを使って受けられるジュエリーコーディネーター3級の合格率は、40〜45%程度となっています。
ジュエリーの歴史や製造の過程について、初心者にもわかりやすい解説付き。検定に挑戦する予定のない人でも、ジュエリーの買い物に役立つ情報を知ることができます。
- 著者
- 大橋一慶
- 出版日
ネット上で有効的な「文章術」の本です。
販売目的でなくても、自分の記事や投稿をバズらせたいという方は読んでみる価値がありそうです。売れっ子コピーライターが「見てもらう」「買ってもらう」「共感してもらう」ためのノウハウを披露しています。
- 著者
- 諏訪 恭一
- 出版日
海外で採れる宝石を含め、この本でしか見れない宝石が1000点以上掲載されています。「とにかく写真が美しい」との声も多く、仕事をする時以外でも眺めたくなる魅力ある1冊です。
ただ眺めるだけでなく宝石の見方や鉱物種の関係、歴史と、宝石を深く知るのに必要な知識も学ぶことができます。宝石の美しい写真をみながら趣味の延長線で勉強したい方におすすめできる1冊です。
ジュエリーデザイナーはデザインの仕事とはいえ、センスだけでは一流になることが難しい世界です。実際にたくさんのジュエリーを見て・触って・身につけて得た感覚や知識に勝るものはありません。
また、ジュエリーは好きだけど、洋服には興味がないという場合もよいジュエリーを生み出すのは厳しいと言われています。ファッションに関する幅広い知識、上質な宝石を見極められる目を持つことが、成功へのポイントとなるでしょう。
今回は、将来ジュエリーデザイナーを仕事にするかはわからないという方も楽しく眺められる本もご紹介しました。ぜひ、記事と合わせて読んでみてください!