主に飼い主の自宅を訪問し、ペットのお世話やしつけをおこなう職業がペットシッターです。担当するペットは、犬や猫をはじめとした種類を問わない動物たちであり、爬虫類や熱帯魚なども対象です。人気のペットシッターとして活躍したい方は、動物に関する幅広い知識が必要となります。 今回は、ペットシッターの仕事内容や働き方、必要な知識の身に付け方から収入事情などをご紹介しながら、ペットシッターの仕事について解説してきます。また気になる資格についても言及しています。 動物が好きな方や興味のある方は、ぜひ参考書籍と合わせてチェックしてみてくださいね。
ペットシッターは、親の不在時に子どもの世話をする「ベビーシッターのペット版」というと分かりやすいかもしれません。
飼い主の留守をストレスに感じてしまわないよう、ペットが暮らす自宅でお世話をするパターンが多いのも特徴です。
ペットシッターは依頼主の自宅を訪問し、飼い主に代わってペットの世話やしつけをおこないます。また、犬や猫といった代表的なペットの種類だけでなく、ウサギ・爬虫類・熱帯魚まで、幅広い種類の動物が対象となります。
ちょっとした旅行や、飼い主が出張や入院をすることになった場合に、ペットシッターが出動します。とくに長期の留守を預かるという点から、人間である飼い主からの信頼も得ていなければ、務まらない仕事といえます。
海外では当たり前のようにペットシッターがいますが、日本は普及が遅れ気味です。
しかし、共働き世帯の増加や高齢者の飼い主も増えていること、何よりペットの飼育数の増加から今後も需要が増えていく可能性が高い職業といえるでしょう。
健康管理の面では、持病のあるペットや高齢のペットの場合、薬を飲ませるなどの業務も含まれていきます。その他の生き物は、水槽の水の取り替えや室温・水温調節など、細かな環境の調整が命に関わる動物もいることを覚えておきましょう。
それ以外にも、以下のようなペットと関わらない事務的な仕事もおこなう必要があります。
ペットとよい関係を築くだけでなく、飼い主とも良好な関係を築くことが大切です。飼い主が留守にしている間のペットの様子を詳細に伝えることで、安心感と信頼を与えることができるはずです。
代表的な勤務先をいくつかご紹介します。
他にも、ドッグトレーナーをしながらフリーランスのペットシッターとして副業をしている方もいるようです。
ペットシッターは単に動物が好きでは務まらない仕事です。動物との関係の築き方、基本的なお世話の仕方など専門的な知識を有している方のみがペットシッターとして活躍することができるのです。
収入については、平均年収は200〜300万円ほどといわれており、働き方によって金額には差があります。また時給制で働く場合、東京都内であれば時給1000〜3000円が相場といわれていますが、地方になると時給800円前後まで低くなるところもあるようです。
どちらにせよ大きな収入額はのぞめないため、本業ではなく副業として取り組んでいる方や、派遣に登録することが一般的な働き方となります。
残念ながら、現在ペットシッターとして認められる国家資格はありません。ただし、ペットシッターに関する民間資格を取得することは可能です。この章では取得をおすすめする資格をいくつかご紹介します。
今回はこれらの認定資格のなかから「認定ペットシッター」の資格について詳細をご紹介します。
ビジネス教育連盟:全国ペットシッター協会「ペットシッタースクール」の認定資格です。同協会が実施している認定ペットシッター養成講座を受けた後、講習最終日の修了試験に合格すると、全国ペットシッター協会に登録申請・認定してもらうことが可能です。
働きながら取得したい方向けのコースが充実しているのが特徴のひとつです。
コースによって講座費用は異なりますが、どのコースを受講しても動物取扱業に必要な「保管」「訓練」の登録条件を満たすことができます。また認定ペットシッターの資格も取得が可能です。
講座は2カ月〜3カ月にわたっておこなわれます。ペットシッターとしての心構えから栄養学、ペットに関する法律から医療に関連することまで幅広い範囲を学ぶことができます。ペットシッターとしての基本知識を身に付けたい方におすすめの認定資格といえるでしょう。
参考:ペットシッタースクール
ペットシッターとして独立開業したい場合は「動物取扱業」の届出が必要であり、登録申請をおこなうことが義務付けられています。動物取扱責任者としての要件を満たすためには、以下のいずれかの項目に該当している必要があります。
営もうとする動物取扱業の種別ごとに半年間以上の実務経験または実務経験と同等と認められる1年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ動物取扱業の種別に係る知識および技術について1年間以上教育する学校その他の教育機関を卒業していること。
営もうとする動物取扱業の種別ごとに半年間以上の実務経験または実務経験と同等と認められる1年間以上の飼養に従事した経験があり、かつ公平性および専門性を持った団体がおこなう客観的な試験によって、営もうとする動物取扱業の種別に係る知識および技術を習得していることの証明※を得ていること。
進学を検討している方は、動物関連の専門学校・大学に通い、動物に関する専門的な知識を学ぶのがおすすめです。
特別な資格が必要ないことから、転職のハードルはそこまで高くはないでしょう。また、年齢や学歴・職歴も関係ありません。
扱う動物に関する、最低限の知識と深い愛情があれば、十分つ務めることが可能な職業です。そのため、ペットの飼育数が増えているいま、副業でペットシッターを始める方も増えています。
正社員として働き生計を立てるのは難しいのが現状ですので、本業+副業ペットシッターの働き方を目指すことをおすすめします。
これは、この職業における第一条件といえるでしょう。動物に対する深い愛情がなければ、務まらないのがペットシッターの仕事です。
ペットの命を預かるということはもちろん、依頼主の自宅の鍵を預かるケースもあります。社会人全員にいえることではありますが、人としての信頼や責任感がないルーズな印象の人は活躍できません。
ペットのしつけをおこなったり、お世話をするときのコミュニケーションはもちろん、飼い主との丁寧なやり取り・安心感を与える人柄なども、ペットシッターとして長く活躍するためには必要な要素です。
- 著者
- ["全国ペットシッター協会", "ペットシッターSOS"]
- 出版日
カリスマペットシッターの話を聞いてみたいという方は、ぜひ手に取ってみてください。
ペットシッターになったら、お世話をする子が必ずしも、元気で若いペットという訳ではありません。障害を持っていたり、持病があるペットもたくさんいます。ペットシッターとしての現実を知ることができる貴重な体験談に、目を通してみてください。
- 著者
- 春名孝
- 出版日
まずは、利用者としてペットシッターの依頼をしてみたい!という方にも、おすすめの1冊です。
著者は、実際にペットシッターとして活躍しています。ペットシッターを利用する側にも分かりやすいサービスの流れやペットシッターになるための方法も細かく書かれています。
ペットシッターとしてではなく、依頼する側の気持ちになることで質が高く、快適なサービスを提供できるようになるでしょう。
- 著者
- ハンス ウィルヘルム
- 出版日
読書の時間があまりないという人にも、読みやすいボリュームの絵本をご紹介します。
こちらの絵本は、学校の教科書などで読んだ・読んでもらったという方もいるかもしれません。飼い主の目線で書かれたこの絵本では、彼らがどんなに大切にペットのことを想っているのかを、短いお話の中から感じとることができます。
実際に自分でもペットを飼っているという人は、涙なしには読めない内容になっているでしょう。
動物に関わる仕事をしている、もしくはする予定の人は「責任を持って仕事をしよう」とあらためて思える1冊です。
高齢者の飼い主が急な入院をすることになったり、共働き世帯の人が急な出張になってしまったり、どんなにペットを愛していても、止むを得ない事情で家を空ける方は少なくありません。
ペットシッターの仕事は、お世話を担当するペットからの信頼だけでなく、飼い主さんからも厚い信頼を受け感謝される仕事です。
動物に苦手意識がなければ、働くためのハードルは高くありません。難しく考えずに、職業選択のひとつとして、ぜひ詳しい民間資格の情報なども調べてみてくださいね、