ライブハウスや映画などから流れてくる音を、適切なタイミングや音量で操るのが「ミキサー」という職業です。アーティストのレコーディングに立ち会ったり、人によってはアニメに関する音響を専門にしています。整音に関する知識と現場での判断力や技術力がなくては務まらない専門的な職業です。 本記事ではミキサーという仕事に興味のある方に向けて、どんな働き方があるのか、仕事内容や収入事情などを内容を解説しながら、音楽や音好きにとって参考になる書籍もご紹介します。ミキサーの仕事に興味がある人や、舞台・コンサートに関わる仕事がしたい人も、ぜひチェックしてみてくださいね。
音楽業界で活躍する、調音装置(装置自体もミキサーと呼ばれる)を操作して複数の音のバランスを調整し、求められるイメージに合った音像を創り出す仕事をおこなっているのが「ミキサー」です。
ざっくりと「音響スタッフ」「音声さん」と呼ばれることもあります。ディレクターや演出家・アーティスト自身の理想とする音を再現するために、相手のイメージや意図を掴む能力も必要とします。
アーティストのライブやコンサート・舞台・イベント会場などの裏でも、ミキサーが活躍しています。
その他、レコーディングスタジオやアニメのアフレコ現場でも、「音」に関しての重要な役割をミキサーが果たしていることがほとんどです。アニメ製作にも興味があり、ミキサーの仕事もやってみたいという人は、アニメ制作会社に入社するのもひとつの道でしょう。
作曲家は音楽自体を作る仕事ですが、ミキサーは収録時の音のバランス調整やマイクの種類・設置場所などを決める役割です。極端な話、作曲家は楽器ひとつあれば曲を作れてしまう芸術的な一面が強いですが、ミキサーは芸術性に加えて複数の機材を同時に操る技術職的な一面が強くなっています。
ミキサーとして働くためには、どんな会社への就職を目指せばいいのでしょうか。
上記の働き方以外に、フリーランスとして活動しているミキサーもいます。また、ミキサーの仕事にはアルバイト採用の場合もあり、時給制で働いているという人もいます。
大手レコード会社や放送局の正社員のケースでご紹介すると、年収は600万円ほどとなっています。アルバイトの場合は、時給1000円前後が相場となっています。フリーランスのミキサーのなかには、不安定な生活をしている方もいるようですが、ほかの仕事(副業)を持っていれば生活に問題はないといえるでしょう。
音楽や音が好きで、ミキサーへの転職を考えているという方もいるかもしれませんね。ミキサーの仕事は、知識と技術があれば、学歴・職歴に関係なく転職が可能です。しかし、大手レコード会社や放送局の採用試験は、かなりの難易度と高倍率であるということは覚悟しておきましょう。
フリーランスとして働き始める場合も、高い技術と業界内への強い人脈がないとスタートはなかなか厳しいようです。この章では未経験でミキサーへの転職を目指す場合のルートや、準備しておきたいことをご紹介します。
どの職種にもいえることですが、転職の際に知識がまったくない状態から始めるのは難しいでしょう。未経験の場合、専門学校に通って整音に関する知識を付けながらアシスタントとして働き始めるのが一番おすすめです。
アシスタントは正社員ではなく契約社員やアルバイト、インターンという雇用形態になります。しかし2年〜3年ほど現場を経験することで座学で得られる知識と実務を通して得られる知見が蓄積され、一人前のミキサーとして活躍できるレベルに達します。
未経験の場合、ミキサーの仕事に活かせる資格取得が転職活動の際に有利になります。本職の仕事をおこないながらの資格取得は厳しい時もありますが、実務経験がない分、専門知識を有していることの証明になるので可能であれば取得することをおすすめします。
厚生労働省管轄の国家試験である「舞台機構調整技能検定」があります。
この検定では3級〜1級までレベル分けされており、取得するための試験内容は、ミキサーとして働く上で必要な要素が多くなっています。より大きいホールや劇場でミキサーをやりたい、大きな会社に入社したい場合にぜひ挑戦してみてください。
民間資格のなかで取得しておくと役立つ資格をご紹介します。
JAPRSが主催するこの認定試験は、音楽とテクノロジーの融合する時代にもっとも大切な要素は人材の育成にあることを基本として 、音響の理論、電気音響とスタジオシステム、レコーディング技術と先進技術、音楽・音楽著作権・音楽録音の流れ、録音の歴史などを試験範囲として実施されます。
資格以外に、ミキサーになるために必要なスキルとはなんでしょうか。就職・転職の際に身に付けておきたいスキルをご紹介します。
音楽的センスにいたっては、ミュージシャンやアーティスト並みのレベルが要求されるため、スキルアップの特訓が必須です。
音楽関係といえば「音大」のイメージが強いかもしれません。もちろん、音大へ進学することができればベターではありますが、それが難しいという人は、音楽系の専門学校や短期大学もおすすめです。芸術系の学部がある4年制大学も、進学先の選択肢として問題ありません。
機材ごとの音の響き方や、音の大小・楽器のチューニングを聞き分けるため、ちょっとした違いにも気付ける耳の良さが必要です。
仕事中には、同じ曲や音を何回も聞くことも少なくありません。そのなかで、微妙な音の違いやズレを調整する必要があるため、長く集中力を保つことが大切となります。
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実際に、専門学校の教科書としても使われている書籍をご紹介します。少々値段は張りますが、カラー写真も多く、音に関係する仕事をしたい人なら持っておいて損はない1冊です。
音響・照明・映像、すべてを網羅しているため、ライブハウスや劇場などのエンターテイメント業界で働きたい方は、ぜひ手に取ってみてください。
- 著者
- 小方 厚
- 出版日
科学的・歴史的な視点から、音の正体や音が私たちに与える影響について詳しく知ることができる1冊です。
意外な組み合わせに感じる方もいるかもしれませんが、実は深い関係の「音」と「数学」の世界。ミキサーを目指す方の中には、当たり前のように使っている音階の「ドレミ」も、そもそも誰がドレミのきっかけを作ったの? と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。本書では、そういった基本的な音に関する疑問を解き明かしてくれます。
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- マガジンハウス
- 出版日
いろいろな、音好きの人に出会えるムック本です。たとえ仕事にしていなくとも、音にこだわりを持っている方は多くいます。音楽や音響の仕事に興味がある方には、たまらない特集でしょう。
勉強の合間に眺めるのに、ぴったりの1冊ですよ!
デジタル化が進み、高性能な音響機器も数々登場しています。機械好きな方には、これからますます扱える機械の種類や仕事の幅が広がっていくでしょう。
今はアプリ普及の影響などもあり、学生でも音響機器に詳しく、高い技術を持つ人も多くいます。一昔前の世代と比べると、もしかしたらライバルは多いのかもしれません。
まずは、どんなジャンルのミキサーとして働きたいのか、考えるところからスタートしてみるのもよいでしょう。目標が決まったら、ご紹介した技能検定などにも挑戦してみてくださいね!