5分でわかる空間デザイナー!独学でなるには?就職に有利な資格、平均年収など徹底解説!

更新:2021.4.8

店舗をはじめとした商業施設、公共施設から、個人の家まであらゆる空間を依頼者の求めるコンセプトに合わせてデザインする職業が、空間デザイナーです。デザインする対象は屋内だけではありません。屋外の植栽の位置やライトの設置、店舗であれば店外の看板デザインの選定や配置なども、空間デザイナーの仕事です。 本記事では、空間デザイナーの仕事内容、働き方、年収などの基本情報から、独学で空間デザイナーを目指す方法などを解説。記事の最後には、空間デザイナーとしての考え方を学べるおすすめの本も紹介しています。センスと知識を活かした職業に就きたい方は、この機会に空間デザイナーを目指してみてはいかがでしょうか。

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目次

空間デザイナーとは

店舗をはじめとした商業施設、公共施設から、個人の家まであらゆる空間を依頼者の求めるコンセプトに合わせてデザインする職業が、空間デザイナーです。

デザインする対象は屋内だけではありません。屋外の植栽の位置やライトの設置、店舗であれば店外の看板デザインの選定や配置なども、空間デザイナーの仕事となります。

空間コンセプトという抽象的なイメージを、具現化するのに空間デザイナーの力は欠かせないのです。

空間デザイナーの仕事内容

空間デザイナーの仕事は非常に幅広く、設計段階からデザインに携わる場合もあれば、完成した施設の内装をデザインしたり、複合施設のイベントブース一角のデザインのみを担ったりする場合もあります。

設計段階からデザインを担当する場合は、使う床材や壁紙のデザインの選定もおこないます。その空間がどのような印象を与えたいのか、どのような風に空間で過ごしてほしいのか・過ごしたいのか、など細かな要望を顧客からヒアリングし、理想の空間に近づくようデザインします。

まずは実際にどんな流れで仕事をおこなっているのかを説明していきましょう。

空間デザイナーの仕事の流れ

ざっと書き出してみると、以下のような流れになっています。

  1. 顧客から依頼を受ける
  2. 依頼内容のヒアリング・打ち合わせ
  3. イメージモデルをデザインに起こす
  4. イメージや費用を決定する
  5. 使用する物の手配、施工図の作成をおこなう
  6. 現場管理をおこなう
  7. 顧客の確認・受け渡し
  8. アフターフォローをおこなう

デザインをおこなうだけでなく、デザインをすり合わせるための入念なヒアリング、そしてデザインのすり合わせを徹底しておこなうのも空間デザイナーの業務のひとつです。実際に現場で実作業をおこなう施工専門業者への指示を含め、現場の監督も重要な仕事となります。

では仕事の流れ一つひとつを細かく見ていきましょう。

顧客から依頼を受ける

空間デザイナーの仕事は、顧客から依頼を受けることからはじまります。

空間デザインを専門にしている会社に顧客から直接依頼がくることもあれば、建築会社から請負として仕事を頼まれる場合もあります。フリーランスで空間デザイナーをおこなっている場合は、自身のサイトや広告を経由して依頼されることもありますが、自身でコンペに出て選考を勝ち抜いて仕事を得るという方法もあります。

依頼内容のヒアリング・打ち合わせ

依頼を受けたら、まずは対象となる空間と依頼内容のヒアリングのための打ち合わせを重ねていきます。その空間をどのように彩りたいか、というイメージの共有はもちろん、予算や納期、個人宅であれば家族構成や依頼者の趣味、好みなど、依頼者の要望・情報を細かく引き出していきます。

イメージモデルをデザインに起こす

打ち合わせを重ねていくなかで必要となるのが、パースやスケッチ、模型など空間の完成時のイメージモデルです。PhotoshopやIllustratorなどの専用ツールを使ってCG上でイメージを形にしていきます。顧客との認識の相違がないよう、実際にイメージを作りそれを元に打ち合わせをしていくことで、互いに理解を深めていきます。

イメージや費用が固まり最終決定として合意が取れたら、ここからは実作業に入っていきます。

使用する物の手配、施工図の作成、現場管理

家具や植物など使用する品々の手配、実作業をおこなう職人たちに向けた施工図の作成なども、空間デザイナーの仕事です。施工するのは専門の職人ですが、細かな指示を出すために現場管理をおこないます。図面通り・予定通りの施工ができているかどうかの確認も空間デザイナーが担当します。

施工が完了したら、顧客の確認〜受け渡しをおこないます。担当した空間デザインに関してはアフターフォローも責任を持っておこないます。

ひとつの依頼を完成まで見届けるのには数カ月ほどかかります。その間、別の依頼も担当している場合は時間管理が大変となってくることでしょう。

また基本的には就業時間内は打ち合わせや現場立ち合い、下見などをおこないます。そのため資料作成やデザインは残業しておこなうことも珍しくはないようです。

インテリアデザイナー、店舗デザイナーとの違いは?

空間デザイナーと同じように空間をコーディネートする職業として、「インテリアデザイナー」や「店舗デザイナー」などが挙げられます。ここでは違いを解説します。

インテリアデザイナー

空間デザイナーと比較されることの多い職業であるインテリアデザイナー 。最大の違いは、担当する空間が異なるという点にあります。

空間デザイナーは建物の室内外のデザインだけでなく、ショーウィンドウやイベントブースなどあらゆる空間をデザインする職業であるのに対し、インテリアデザイナーは室内のインテリアに特化したデザイナーを指します。

建物の内装の設計や壁紙・床材の選定、照明の演出など屋内全体のインテリアを0からデザインするのがインテリアデザイナーの仕事です。同じく似た職業に「インテリアコーディネーター」がありますが、こちらはさらに業務範囲が狭まり、完成した建物に対して、室内をコーディネートします。

インテリアコーディネーターよりもインテリアデザイナーよりも、屋内外や規模を問わずあらゆる空間をデザインする職業が、空間デザイナーです。

店舗デザイナー

空間デザイナーのなかでも、特に店舗のデザインに特化した職業を、店舗デザイナーと呼びます。

空間デザイナーはあらゆるシーン・コンセプトに合わせた空間をデザインしますが、店舗デザイナーはそのなかでも、「売り上げをアップさせるため」を一番の目的としている店舗のデザインを担当します。

店舗に訪れるお客さんの導線を考え什器やテーブル・椅子などを配置したり、商品が綺麗に見えるよう・お客さんが快適に過ごせるよう照明演出を工夫したり、インテリア品の選定でブランディングを強化したり。

インテリアの知識だけでなく、マーケティングの知識を織り交ぜながら売れる店づくりを専門的に担うのが、店舗デザイナーの仕事です。

空間デザイナーの年収

空間デザイナーの年収は、経験やスキル、所属している建築事務所・会社によっても異なります。

平均的な年収は、新卒の初心者で約260万円。初任月給で20万円〜22万円とされています。空間デザイナーは、経験を積みスキルを磨いていくことで、収入がどんどん増えていく職業です。

独立して有名になれば、受けた案件に応じて収入があり、年収1000万円を超えることも可能です。基本的に空間デザイナーの仕事では大きい金額が動くので、一つひとつの仕事を丁寧におこなうことで受注のハードルは低くなっていくことでしょう。

空間デザイナーの働き方。企業に就職、フリーランスでの違い

空間デザイナーは、働き方によって収入や受ける案件の内容も変わってきます。ここでは、企業に所属する働き方と、フリーランスで働く場合の違いを解説します。

企業に就職して働く

建築事務所や空間デザイン事務所など、空間デザイナーが所属できる企業はいくつかあります。

未経験者が空間デザイナーとして仕事をしたい場合は、まずは空間デザイン事務所など専門的な企業に就職することをおすすめします。先輩や上司から学びを得たり、空間デザイナーとして仕事をこなしていくためのノウハウなどを知ることができます。

空間デザイン事業を専門としておこなっている企業では、個人宅以外の施設やイベントブースなどの空間デザインを依頼されることも多く、さまざまな規模の商業施設の空間デザインについて実践を通して学ぶ機会が多いでしょう。

対して建築事務所への就職は、建築士やインテリアコーディネーターなど、他職業のプロとともにチームで0から空間を作っていく経験が積める点が大きな魅力です。たとえば個人宅を専門としている建築事務所の場合は、人が住むための空間デザインの勉強ができるなど、企業の規模やターゲットによって学べる内容も異なります。

フリーランスで働く

空間デザイナーは、フリーランスで働くことのできる職業です。自らで担当した案件の収入がそのまま年収となる点や、自身のこだわりを生かして空間デザインをおこなえる点など、自由さがフリーで働く上での大きな魅力です。

ただし、自身で仕事を受注し、打ち合わせを重ねてパースなどのイメージから見積書まですべて作成し、自身で施工会社を手配し、工事の現場管理をおこなう必要があるため、人脈や経験・スキルのある人でなければ、独立は難しいといえます。

そのため、まずは企業に所属し空間デザイナーとしての実務を積み、スキルを向上させてから独立を検討しましょう。

空間デザイナーになるには

空間デザイナーになるための方法は、大きく分けて2つあります。1つ目はデザインを専門とする学校に通う方法、2つ目は独学で資格を取り、知識を身につける方法です。

専門学校に通う

デザイン初心者が空間デザイナーを目指すための一番の近道は、専門学校に通うことです。

美術系の専門学校であれば空間デザインを専門とする学科を設けていることも多く、デザインの基本から、空間デザインを考えるでの基礎知識を身につけることができます。空間デザイナーになるために必要なツール(Photoshop、CADなど)の勉強も学校のカリキュラム内で学べます。

専門学校に通う最大のメリットは、実習・演習などを通して、自身の空間デザインやパースの描き方をプロに評価してもらい、スキルを高めていくことができることでしょう。ただ知識を得るだけでなく、実践に活かせるデザインセンスや技術を身につけられます。

また、専門学校を卒業していれば空間デザインの事務所に新卒で就職できる可能性も高まります。なるべく早く確実に空間デザイナーになりたい方は、専門学校へ通学することをおすすめします。学校によっては、マーケティングやまちづくりの設計など、空間デザインに関する幅広い知識を教えている学校もあります。

独学で学ぶ

空間デザイナーは、独学でも挑戦できる職業です。参考書を購入し勉強したり、通信講座を受けて知識を得たりと、独学で空間デザイナーに必要な知識を身につけていくことは可能です。

メリットは、自分のペースで勉強ができる点と、専門学校に通うよりも費用を抑えられる点。別の仕事をしながら空間デザイナーにキャリアチェンジをしたいと考えている方には独学がおすすめです。

対してデメリットは、パースや空間デザインの演習ができないことと、専門学校に通うよりも知識習得までに時間がかかることです。専門学校が2年で卒業できるのに対し、独学は平均してその倍以上の時間がかかると考えておきましょう。

空間デザイナーとして就職するのに有利な資格

空間デザイナーになるために必ず取得しなければならない資格はありません。ですが、独学で空間デザイナーを目指す場合や新卒でデザイン事務所に入る場合など、自身のスキルを保証するものとして資格を持っていると就職時などで有利になります。

ここでは、空間デザイナーが持っていると有利な資格を4つ解説します。

空間ディスプレイデザイナー

日本デザインプランナー協会(JDP)がおこなう「空間ディスプレイデザイナー認定試験」は、家具や照明などインテリア・エクステリアを効果的に使って空間をデザインする力を測ります。

家具の配置やディスプレイの陳列の知識、色彩の演出などの技能を持つと認定され、空間ディスプレイデザイナーの資格を取れば、就職や仕事上で有利になるだけでなく、講師活動などもおこなえるようになります。

試験は年に6回。1級と2級の資格級があり、いずれも受験料は1万円(税込)です。在宅で受験できるため、気軽に挑戦できる認定試験といえるでしょう。

参照:日本デザインプランナー協会

インテリアコーディネーター

インテリア産業協会が認定する「インテリアコーディネーター資格」も、空間デザイナーが持っておくと有利です。インテリアコーディネーター資格試験では、インテリア用品の知識だけでなく、人間工学に基づいた家具・家内設計などについても学べます。

同じく空間をコーディネートする空間デザイナーにとって、知っておくべき知識をたくさん取得できる資格です。

試験は年に1回、全国の12地域でおこなわれます。資格級はありませんが、一次試験を合格した人のみ二次試験を受験できる資格が付与されます。合格率は30%ほどと難易度は高め。事前の学習をしっかりおこなってから、臨みましょう。

参照:インテリア産業協会

建築士

住宅など建物の設計から関与し空間デザイナーとして活躍したい場合は、「建築士」の資格も有利となります。

建築士には一級建築士と二級建築士という階級がありますが、空間デザイナーとしてはまずは二級建築士の資格を持っていれば十分に有利といえます。建築士は建築工学に基づいた建築物を作るだけでなく、周辺環境との調和を図るなど、高いスキルと知識が必要な資格です。

二級建築士を取得することで、住宅規模の建物の設計ができるようになります。二級建築士の受験資格を得るためには実務経験が7年以上必要のため、受験できるようになるまで年数がかかるというデメリットがあります。さらに一級建築士を目指すとすると、二級建築士としての実務経験が4年必要になります。

難易度も二級建築士で合格率20%程度と難しく、気軽に受験するのは難しい資格です。高校や専門学校で建築学科を専攻していたなどすでに建築について学んだ経験のある人であれば、空間デザイナーを目指しながら、または働きながら、建築士の資格取得に励んでみてはいかがでしょうか。

参照:建築技術教育普及センター

色彩検定

年2回、色彩検定協会によって試験が実施される「色彩検定」は、色の基礎や配色技法などを学び、色彩を使う上での理論の土台を身につけられる資格です。インテリア・エクステリア用品を使って空間を彩る空間デザイナーにとって、配色はデザインを大きく左右するポイントとなります。

色彩検定は1〜3級、UC級の全4級あり、どの級からでも受験できます。UC級は2018年に新設された資格級で、「UC(ユニバーサルカラー)」に特化しています。

参照:色彩検定協会

空間デザイナーを目指す人におすすめの書籍

空間デザイナーとしてセンスを磨くためには、住宅から店舗、オフィスなど、さまざまな空間の実際のデザインを見て、デザインの考え方を学ぶことが大切です。ここでは、空間デザイナーを目指す方にとってのセンスを磨くヒントとなるような、あらゆる空間デザインの事例をまとめた書籍を紹介します。

日本から世界各地まで。施設・空間を生まれ変わらせたリノベーション事例集

著者
パイ インターナショナル
出版日

古い施設や空間をリノベーションし、現代的なエッセンスを加え生まれ変わった空間のデザイン例を86選紹介している本書。施設だけでなく施設が立つ空間までもデザインしなおすことで、人の流れが変化し活気が生まれるということが、事例の解説を通して学べます。

具体的なコンセプトから、資金の調達方法、準備期間、予算など、空間デザイナーとして仕事をする上で役立つ空間作りの裏側も知ることができます。

全86の事例は日本だけでなく、世界各地のリノベーション例も収録。オールカラーで空間全体の様子から細部まで細かく事例解説をしてくれているため、空間デザインをおこなう上での考え方を、驚きとともに楽しみながら学べる1冊です。

建築家の仕事から店舗デザインのノウハウを学ぶ

著者
パイ インターナショナル
出版日

近年、空き家をリノベーションして新たな価値を創出したり、サードウェーブコーヒーブームが日本に舞い込みおしゃれでスタイリッシュなカフェが多く誕生したりと、近年の建築業界には注目が集まりつつあります。

本書では、現代ならではの柔軟な発想で建築業界を牽引する100人の現代建築家にフォーカスし、それぞれの仕事をプロファイル形式で紹介しています。

それぞれの建築家が空間を創る上で大切にしていること、各店舗をデザインする上で重要視したポイントなどを、美しい写真とともに解説。空間デザイナーのなかでも、特に店舗デザインに注力したい人にとって、新しい発想で空間を生み出す建築家たちの仕事から、さまざまなことが学べるでしょう。

空間デザインの過去、現在、未来の変容を考察する1冊

著者
日本空間デザイン協会
出版日

日本空間デザイン協会(DSA)が2009年に刊行した『空間創造発想帖』の続編として2019年11月に発刊された本書。10年の時を経て、世の中の「空間創り」の概念や在り方がどのように変化したか、空間デザインの過去から現在、そして未来を考察する書籍です。

人々の生活に関連深い9つの動詞(商・祭・旅・遊・学・健・食・働・暮)をキーワードに、90近くの事例を紹介。オールカラーで空間デザインの変容を解説しています。前作を持っていなくても、十分に学びを得られます。これから空間デザイナーを目指す人にとって、ぜひ一度は目を通しておきたい書籍です。

 


空間デザイナーの仕事は、空間のコンセプトに合わせて人々の行動の流れを生み出すことです。食事をする場所であればゆったりとくつろげるデザインに、遊ぶ場所であればワクワクするような仕掛けを備えた空間に。

顧客の依頼に合わせて、さまざまな工夫を凝らしてインテリア・エクステリアをデザインする、やりがいの感じられる職業です。

自分がどのような空間デザイナーになりたいか、どのような働き方をしたいか考え、自分に合ったスタイルで空間デザイナーを目指してください。