『あの頃。男子かしまし物語』あらすじをネタバレ!ハロプロ好きは映画にも期待

更新:2021.11.27

『あの頃。男子かしまし物語』はハロー!プロジェクトのアイドルオタクたちの何気ない生活を描く青春物語。2021年2月に映画公開が決まり、主演の松坂桃李が「あややで泣く」と話題です。 この記事では、気になるあらすじをネタバレとともに紹介。個性的な登場人物たちがくり広げるゆるいエピソードが詰まっていますよ。

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『あの頃。男子かしまし物語』が映画化!原作をネタバレ

『あの頃。男子かしまし物語』は劔樹人による自伝的コミックエッセイ。作者自身が松浦亜弥に惚れてしまい、ハロー!プロジェクト(以下ハロプロ)のファンになります。愉快な仲間たちとアイドルに夢中になった日々。そんな青春をゆるい絵と作者の率直な言葉で描いています

この原作をもとに映画『あの頃。』として2021年2月に映画化が決まりました。主人公の劔樹人を演じるのは、松坂桃李です。松坂自身、公式ツイッターで遊戯王を熱く語ってしまうほどのゲームオタク。オタクの気持ちをよく理解している彼が本作品ではオタクを演じるということで、熱のこもった演技が期待できます。

映画化で注目すべきは制作陣。監督が、若い女性から大好評の『愛がなんだ』(2019年)を手掛けた今泉力哉。そして脚本を担当するのは冨永昌敬。人気作『南瓜とマヨネーズ』(2017年)では、大人のラブストーリーを繊細に描き出しました。『あの頃。』はこの2人がタッグを組みます。上記の作品のように、静けさの中にも感情を揺さぶられる瞬間がある邦画が好きな方におすすめです

誰であれ何か一つのことに人生を捧げる姿は、キラキラ輝いて見えます。それはハロプロにありったけの情熱を注いだ男たちだとしても。原作『あの頃。男子かしまし物語』はオタクたちの輝かしい思い出が詰まった、人間味あふれるアルバムのような書籍です。映画に興味を持った方にはぜひ味わっていただきたい1冊です。

著者
劔樹人
出版日

作者・劔樹人を紐解く!人生のどん底で出会ったハロプロオタクへの道

本作は作者・劔樹人のことを知ってから読むとより楽しめます。様々な分野で活躍する彼の人生を少し紐解いてみましょう。

劔樹人はバンドプロデュースや自らバンド活動もおこなう、業界にとっては欠かせない存在。「神聖かまってちゃん」や「撃鉄」をマネージャーとして支え、個性的で唯一のバンドへと押し上げた立役者でもあります。

始まりは、高校生のときにベースを手にしたこと。その後大阪の大学に進学し、その傍ら音楽サークルの仲間たちと熱心にバンド活動に取り組みます。

しかしそこからはけして順調な毎日ではありませんでした。院進学を狙うもうまくいかず、お先真っ暗な生活に落ち込んでいました。そのとき、伝説のアイドル・松浦亜弥こと、あややと出会います。すっかりあややに夢中になってしまった劔樹人。

やがて、あややが所属するハロプロ(ハロー!プロジェクト)のオタクが集う「ハロプロあべの支部」のメンバーに。その仲間たちと音楽活動のために「恋愛研究会。」を結成します。作品タイトルが示す「あの頃」とは、「この頃」のことなのでしょう。

また一方、大阪から上京した際にバンド活動を始めます。バンドのマネージャー業もこなすようになったのはそのあと。「神聖かまってちゃん」のドラム担当・みさこが結成したバンドにもベースで参加しました。

劔樹人にとってハロプロは人生のどん底を支えた救世主。相当な思い入れがあるに違いありません。『あの頃。』の映画化を機に、さらにハロプロ愛を見せてくれるはずです。そしてこれからの活躍にも期待しましょう!

彼のことをもっと知りたくなった方には、公式インスタグラムがおすすめです。活動や宣伝だけではなく、プライベートや家族の写真も公開しています。個性溢れる投稿がたくさん見られますよ。

松坂桃李があややに熱い涙!ハロオタ主人公・劔樹人を紹介

『あの頃。男子かしまし物語』の作者であり、主人公でもある劔樹人。映画『あの頃。』で彼を演じるのは松坂桃李です。

松坂桃李は2009年に『侍戦隊シンケンジャー』で俳優デビューをします。その後、2012年の主演映画『ツナグ』でアカデミー賞を受賞。2020年に女優・戸田恵梨香との結婚が報じられたことでも話題になりました。2021年には出演映画の公開が3つも控え、第一線で活躍する俳優です。

カッコいいと女性の支持を集める爽やかな印象ですが、私生活ではかなりのゲーマー。後輩のラジオで「遊戯王」を熱く語るほど、オタク気質を公にしています。

そんな松坂桃李だからこそ演じられる劔樹人。作中では松浦亜弥の大ファンという設定です。感激のあまり、あややを見て涙を流してしまいます。また、ハロプロ愛を伝えるためにバンド「恋愛研究会。」を結成しました。

個性爆発のハロプロオタク仲間たちに囲まれて、推しにとてつもない情熱を注いだ劔樹人。松坂桃李がこの1人の実在の人物を熱演します。

松坂桃李のその他の出演作を知りたい方には、こちらの記事もおすすめです。

松坂桃李の出演作は「攻め」揃い!実写化した映画、テレビドラマの魅力を発掘

また、ハロプロが好き、ハロオタにとってぐっとくる作品をもっと読みたいという方には本作の続編として描きおろされたこちらの作品もおすすめです。

著者
劔 樹人
出版日

『あの頃。男子かしまし物語』の登場人物たち。キャストも紹介

劔樹人は大阪に住んでいた頃、ハロプロオタクの集まりである「ハロプロあべの支部」のイベントに出向きます。そのときに出会ったオタク仲間たちとの楽しい思い出を綴ったのが『あの頃。男子かしまし物語』。このセクションでは、その仲間を紹介します。

コツリン

劔樹人とは大の仲良しだった人物。人を見下すことがたびたびあり、器も小さいです。肺がんを患い他界してしまいます。ネット弁慶で死ぬ直前まで何かとSNSで名言を残していました。映画では「コズミン」という名前に変わっています。仲野太賀が演じています。

ロビ先輩

見た目がとてもワイルドで常にサングラスをかけています。外見に限らず、内面も男気溢れる人物です。とあるAV女優との記念撮影のときに、自分のジャケットを彼女にかけて肩を抱くというエピソードも。モー娘。の石川梨華の大ファンでした。映画では山中崇が演じます。

イトウさん

ロビ先輩の大学の先輩。優しそうな面立ちですが、1番奇想天外な行動を取る男。とにかく周りからいじられてしまいます。モー娘。の鑑賞会は必ずイトウさんの部屋で行われました。ロッチのコカドケンタロウが映画のイトウさんを演じています。

西野さん

「ハロプロあべの支部」の中心的存在。ハロプロに対する熱は人一倍負けません。依頼された学祭のモー娘。企画の舞台をプロデュースしました。勢いはすさまじく、オタクたちが暴れ出すパフォーマンスです。コツリンを風俗にハマらせた、風俗の熟練でもある人物です。映画では若葉竜也が西野さん役です。

ナカウチさん

笑顔で不謹慎なことを言ってしまうこともしばしば。ある日、劔に言った言葉が「若い頃の、学生の頃が人生のピークって寂しくないですか」(『あの頃。男子かしまし物語』より引用)。今が1番楽しいと豪語する姿は思わず感心してしまいます。映画でのナカウチさんは芹澤興人が務めています。

『あの頃。男子かしまし物語』のあらすじ

際立つキャラクターが勢揃いの『あの頃。男子かしまし物語』。気になるあらすじや面白エピソードも紹介していきます。

主人公の劔樹人は大学院受験に失敗。好きで始めたバンド活動ですが場の雰囲気が悪く、楽しいことがこれっぽちもありませんでした。途方に暮れていたそのとき、大学の友達から1枚のCD-Rをもらいます。これには伝説のアイドル・松浦亜弥が収められていました。衝撃を受け、思わず涙を流します。

この出来事から、あややとハロプロのアイドルを追いかけるオタクになります。そして、1人で追い続けることに寂しさを覚えていた頃。ハロプロオタクの集まり「ハロプロあべの支部」のイベントに参加しました。

このイベントをきっかけにオタクたちと仲良くなります。コツリンやイトウさんほか、個性的な彼らとのちに「恋愛研究会。」という音楽グループを結成。さらにハロプロを盛り上げるべく、活動していきます。

ゆるく読めて面白い、エピソードをネタバレ!

ゆるくたわいもないエピソードを楽しめる『あの頃。男子かしまし物語』。時々登場する衝撃の発言がさらに面白さを増しています。

たとえば、松浦亜弥のコンサートでの出来事。劔は一緒に行くはずだった女性にドタキャンされます。その悲しみを忘れようと、大好きなあややを見て楽しみました。しかし、隣から怖いほど叫ぶ中年のおじさんの姿が。劔は思わず何者なのか、声を掛けます。

すると

「僕はね 20年後の君だよ」
(本書より引用)

とおじさんから真面目な顔で言われます。さっきまで夢の世界でしたが、劔は一気に現実に戻ってしまいました。本当にこのままでいいのかと我に返ってしまうのです。

他にも印象強いエピソードが盛りだくさん。クスッと笑えるオチもこのエッセイの魅力です。

「恋愛研究会。」とは⁉推しに身を捧げる男たちの活躍

「恋愛研究会。」とは劔が結成した、ハロプロオタクの音楽グループです。初めてステージを披露した時から、10人程のおじさんたちが全員同じキャップとTシャツを身に着けるという統一した出で立ちでインパクトを残します。

バンドでアイドルのカバーソングを披露するだけではなく、即興音楽とともにライブペインティングにもチャレンジ。皆の特技をめいっぱい盛り込んでステージを盛り上げたのでした。最後には、モーニング娘。の楽曲「恋ING」を全員で大合唱。これが「恋愛研究会。」の定番となります。まるで学園祭のような青春エピソードだといえるでしょう。

「恋愛研究会。」は徐々に大きくなり、歌唱せずとも盛り上がるステージも多々ありました。メンバーは個性溢れる人ばかりで、独特のパフォーマンスで支持者を集めていきます。

しかし、こういったいい意味での「身内ノリ」の楽しさはそう長くは続かないもの。それぞれの都合で活動の頻度が少なくなっていきました。

そして劔の大切な仲間・コツリンに病気が見つかります。彼の病状は悪化するばかり。そのとき「恋愛研究会。」が再集結するのです。東京で久々のイベントを開催し、恒例の「恋ING」を皆で熱唱。劔は懐かしさのあまり、涙が止まりませんでした。

「恋愛研究会。」は劔たちにとって青春そのもの。好きなものをとことん追求するオタクたちの愛おしい思い出がつまったグループです。似たような経験がある方も、少し遠巻きに見ていたいという方も、作中での彼らの輝かしさにきっと胸を焦がれることでしょう

オタクたちの青春メモリー。『あの頃。男子かしまし物語』の魅力

青春といえば爽やかなラブストーリーや学園物語を想像しがちです。実際思い浮かべてみると、漫画や小説のような定番の青春を味わったことがないという人も、少なからずいるはずです。定番の青春を味わえなくても、まだこれから青春が迎えられるかもしれない。『あの頃。男子かしまし物語』を読むと、僅かにそう思えるのです。

本書に登場するオタクたちの青春物語は常に充実感を感じます。強烈な印象をもたらしている個性的なキャラたちのエピソードは思わず笑えるものばかり。また、くだらないけれども懐かしく、作者にとって1番の青春だったことが読み取れます

オタクたちの青春メモリーが詰まった作品をぜひ手に取ってみてください。好きなことに真っ直ぐに向き合い、夢中になることはいつまでも大切だと気付かせてくれます。くだらないと思うことでも立派な青春だと思える作品です。

著者
劔樹人
出版日

奇跡の男・コツリン。映画の展開に期待!【ネタバレあり】

『あの頃。男子かしまし物語』で登場するコツリン。映画で注目ポイントとなる彼も実在の人物です。

コツリンと劔は大の仲良しで、週末になればお互いの家を行き来するほど。器が小さく、細かい性格でやっかいな人物です。一方、劔が落ち込んで帰ってきたとき、シチューを作り迎えてくれるなど温かな一面も。結局は愛着が湧いてくるキャラクターです。本書では作者がコツリンに愛情をたっぷり込めて書いています。

しかし、コツリンは肺がんを患って亡くなってしまいます。コツリンの病気発覚後のエピソードは面白くも、最後は思わず涙してしまいます。原作ではプロローグでコツリンについて紹介する部分からもわかるように、コツリンとのエピソードがメインの物語でもあります。

映画では「コズミン」という名に変わってコツリンが登場します。演じるのは仲野太賀。劔とハロプロオタクたちとの出会い、「恋愛研究会。」の結成、コズミンとの別れ。映画ではさらに熱く描かれることが期待できます。

まとめ

ハロプロに人生を捧げる姿がコミカルに描かれている『あの頃。男子かしまし物語』。かけがえのない仲間と好きなことに打ち込む日常生活は、輝かしいです。大人の青春はまた一味違う面白さも伺えます。

映画はもちろん、原作エッセイもぜひご覧ください。

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