ファッションの仕事や、ファッション自体に興味がある方は、各ブランドのシーズンごとのコンセプトもチェックしているのではないでしょうか。それらを考えたり、コンセプトを実現するための計画や商品の買い付け指示を出したりするのが、ファッションコーディネーターの仕事です。 人気の職種であり、求人の数はあまり多くないので、求められる能力や競争率は非常に高いといえます。その分プロとしてのやりがいは間違いなくあるはずです。 今回は、ファッションコーディネーターの仕事内容や新しい働き方、収入事情などを解説していきます。記事最後にはおすすめの書籍も紹介しているので、そちらにもぜひ目を通してみてくださいね。
ファッションコーディネーターとは、主にアパレル企業において「商品がどうすれば売れるか」「今季のコンセプトはどうするか」といった、販売促進のための営業戦略を立てる仕事をする人のことを言います。
時にはバイヤーに仕入の指示を出したり、自身が買い付けに同行することもあります。おしゃれでセンスがいいだけでは務まらず、マーケティング力や営業能力が必要となるポジションです。
またブランドによってはコーディネートを消費者が再現しやすいように、買ってもらいやすい価格や商品を作るための試行錯誤をおこなうこともあります。実際に販売される商品を使ったコーディネート提案をおこなうことも必要となります。
アパレル企業や大手衣料メーカー、百貨店などがメジャーな就職先です。百貨店の場合、特定のブランドを扱うというよりは、各フロアのコンセプトや企画などを担当することが多くなります。
大手アパレルメーカーは一体どこなのか気になる方もいるでしょう。アパレル企業の売上ランキングトップ3の企業をご紹介します。
どれも聞いたことのある、世界で大規模展開しているアパレルメーカーですね。世界に店舗が存在するだけあって、ユニクロやZARAなどは私たちにも身近なブランドでしょう。
この後にGAP、Lブラウンズ社と続きます。どちらも世界的に知られているブランドを抱えるアパレル企業です。
この章では、ファッションコーディネーターが、日々おこなっている業務をご紹介します。その職業名からはイメージしづらいような業務も担当しているという特徴があります。
体力仕事とデスク業務、その両方をこなしていることが分かりますね。データの分析やリサーチなど、デスク業務もそれなりに業務比率があることが分かります。
これは、どの職業においてもいえることですが、会社に所属するだけが現代の働き方ではありません。会社やブランドには属さず、一個人(クライアント)のコーディネーターとして活躍するという方法もあります。
ファッションコーディネーターは、限られた予算内で「クライアントが一番輝くようにするにはどうしたらいいのか」の提案をおこないます。仕事の特徴から「パーソナルコーディネーター」という呼ばれ方をすることも少なくありません。
クライアントという存在をブランドに当てはめ、販売戦略を考える。クライアントの買い物に同行しコーディネートの提案をする。対象が違うだけで、業務内容は企業に勤めるファッションコーディネーターと大きくは変わりません。
ファッションコーディネーターの仕事のみで働いている人の公式データはありません。
多くの方はアパレル企業に就職し、ファッションコーディネーターとして活躍されているので、今回はアパレル企業の収入をもとにご紹介していきましょう。
一般的に、アパレル企業に就職した場合の初任給は18万円〜20万円前後。店舗で経験を積み、いちスタッフから店長に昇格するなどしながら昇給する制度になっています。
実績・経験ともにある中途採用者のケースでは、はじめから年収500万円以上もらえることもあります。
ファッションコーディネーターを目指すうえで、「ファッションビジネス能力検定」「カラーコーディネーター検定®︎」など検定に合格することで、就職に有利になるケースもあります。それぞれの試験の詳細もチェックしてみてください。
一般財団法人日本ファッション教育振興協会が主催する検定です。
受験資格は設けられていません。難易度は決して高くないですが、試験問題の数に比べて試験時間が短いため、しっかりと知識を頭に入れてから試験にのぞむ必要があるでしょう。初心者の方は、3級からの挑戦がおすすめです。
試験では、ファッション業界におけるマーケティング・生産・物流に関する知識、マネジメントに関する知識などを見られます。実際の業務で活かせる知識ばかりですので、取得することで一目置かれる存在になれるかもしれません。
東京商工会議所が主催する検定です。検定に合格することで、ビジネスシーン活かすことのできる、色が持つ効果・色の性質・特性など、色彩の知識を身につけることができます。仕事に役立つ実践的な色彩の知識を学ぶことができる検定です。
試験はアドバンスクラス、スタンダードクラスの2種類があります。こちらの検定も受験資格はないので、どなたにでもチャレンジの機会がありますね。
そんな働き方に関連する書籍を、以下でご紹介しています。副業や独立してファッションコーディネーターをやってみたい!という人はぜひチェックしてみてください。
ファッションコーディネーターの求人の数は、そこまで多くありません。また「ファッションコーディネーター」という名前で求人が掲載されていること自体も少なく、大抵は「企画職」「マーケティング職」といった書かれ方で、募集がかかっていることが多いようです。
またこの章ではファッションコーディネーターという仕事に向いている方の特徴をご説明します。
ファッションというと、芸術的なセンスの部分にフォーカスしがちです。しかし、ファッションコーディネーターは利益につながる販売戦略を練ったり、会社の予算との兼ね合いも考慮しなければいけません。感覚的なものではなく、数字を眺めて分析をする場面も多いでしょう。
自分の好きなブランドだけをチェックしているようでは、優れたファッションコーディネーターは目指せません。ハイブランドからファストブランドまで、幅広く関心を持つことが求められます。
数字的なものだけではなく、ファッションに関して「相手が何を欲しているか」「市場のトレンドはどうなっているか」といった内容の情報を集めることが苦ではない、という方はファッションコーディネーターに合っているかもしれません。
- 著者
- 井上 史珠佳
- 出版日
著者は、2009年に一般社団法人日本パーソナルコーディネーター協会を立ち上げた、女性企業家。これからファッションコーディネーターの仕事を始めるにしても、何からスタートしたらいいのか分からないという方にぴったりの内容になっています。
フリーのファッションコーディネーターとして活躍したい方にはとくにおすすめの1冊。未経験でも売り上げを出せるようになる、詳しいノウハウも載っています。
何かしらファッションに携わる仕事がしたい、ファッションを通して人に幸せを与えたい方はぜひご一読ください。
- 著者
- 齊藤 孝浩
- 出版日
現代は、服が売れない時代と言われており、アパレル業界も苦戦を強いられる場面が少なくありません。本書では、「アパレル業界の未来は悲観すべきことだけではない。今がサバイバルをかけた分岐点である」といった内容で話が展開してきます。
いま注目を集める「メルカリ」「ZOZO」などの企業も登場します。今後のアパレル業界の動向を研究するための1冊としても、活用できるでしょう。見やすい写真や図表も多く、業界の仕組みや情報がわかりやすくまとまっています。
- 著者
- 東京商工会議所
- 出版日
検定を主催する「東京商工会議所」から出ているテキストです。図や写真を用いて、わかりやすく解説してあります。 ポイントやキーワードもまとめてあるので、効率的な学習ができそうですね!
カラーコーディネーターの資格は2020年にリニューアルをしています。アドバンスクラスとスタンダードクラスの2クラスにわかれているので、最新版のテキストかどうか、チェックしてから購入したいところです。
大手アパレルメーカーへ入社することができれば、安定した収入も狙える職業です。
しかし、ファッションが大好きというだけでは就職試験の突破は難しくなります。本気でファッションコーディネーター職での入社を希望する方は、今のうちからファッションに関するビジネスの動向や、トレンドのチェックを欠かさないようにしてみてください。
今回ご紹介した書籍以外にも、アパレル業界の動向をテーマにした本がたくさん出版されています。何冊か読み比べて、自分なりの考察をしてみるのもおすすめですよ。