新時代の営業教育や企業の姿を書いた『営業強化はAI上司に任せなさい』。近年話題のDX(デジタル技術による、暮らしや仕事の変容)の概念を用いて、数年~数十年後に起きる営業の変化を解説している書籍です。 最先端のデジタル技術や、営業力を高める方法を知りたい方にぴったりな本書の内容を、4つのポイントに絞ってご紹介します。
お掃除ロボットや自動車の運転機能など、私たちの身近で活躍するAI。『営業強化はAI上司に任せなさい』は、企業がAIを活用することのメリットや、AIがもたらす未来の営業活動の変化を私たちに教えてくれる本です。
著者の本郷理一氏は、AI・ITによって企業のセールス活動を支援する「株式会社サルエド」の代表取締役として活動するAIの第一人者。本郷氏は、未来ではAIによって営業に関する講師や上司は不要になり、営業管理もデジタルツールが担う仕組みに変化すると述べています。
今回は本書の内容の一部から、企業が営業力を高める方法や、将来の営業教育の姿を説明します。
- 著者
- 本郷理一
- 出版日
企業の営業力を高めるためには、具体的にどのようなことを実践すればよいのでしょうか。本書では、「セールスイネーブルメント(営業で継続的・安定的に成果を出すための取り組み)」の特徴として6つのポイントを挙げています。
※書籍p54を一部引用・要約
これら6つの方法は、「優秀な営業人材の育成」×「IT・AI技術の活用」など、互いに組み合わせることで大きな効果を発揮します。
6つの施策を横断的にカバーするために役立つのが、AI上司とIT上司という2つの存在です。
本書では、デジタル化によってこれまでの営業教育が様変わりし、営業を教えるだけの講師や上司は不要な存在になると述べられています。
大きな要因のひとつが、パソコンやスマートフォンで受講できるe-ラーニングの台頭です。講師に依頼するよりも低コストかつ手軽に研修を行うことができるため、多くの企業がe-ラーニングを導入しています。
外部講師だけでなく、社内の上司も不必要になるかもしれません。マンツーマンでの営業指導に取って代わるコンテンツとしてVR(仮想現実)が登場したためです。映像によって営業の現場を追体験できるので、高い教育効果を期待できます。
AI上司とは、営業活動において社員自身が気づいていない反省点を、客観的な視点で発見できるツールのことです。
本書のメインテーマであるAI上司は、重点施策「人材育成」で活躍することで企業の利益アップに貢献します。実際の場面において、AI上司はどのような役割を担うのでしょうか。
AI上司の主な役目は、社員の営業活動を分析し、アドバイスを行う「営業社員の教育役」となることです。企業に所属する営業社員は、取引先との会話音声や映像をAIが組み込まれたスマートフォンなどに移行し、さまざまな観点からAIによるフィードバックを受けます。
顧客との面談の振り返りにおいては、自身の言動が相手に与えた影響を把握することが重要です。AI上司は声のトーンや間合いから顧客の感情を推察し、「どの発言が相手に好印象を与えたか」「社員の身振り手振りは適切だったか」などのポイントをチェックします。
従来のアナログな教育に代わり、社員の営業力を高める新たな教育方法として普遍化していくと考えられます。
IT上司は「企業全体を支える営業の総合サポートツール」です。AI上司と異なり、企業全体の活動に関するサポートを行います。営業に関するさまざまなデータを取りまとめて分析することにより、企業の収益増加に貢献できる点が特徴です。
IT上司が営業分析において重要視する点がKPI(重要業績評価指標)です。企業が達成したい最終目標をKGI(重要目標達成指標)に位置づけ、KGIに至るまでのプロセスのそれぞれにKPIを設定します。
IT上司の力がとくに発揮されるのが、KPIが目標値から大きく外れている場面です。社員の営業活動の成果が芳しくない場合、営業を行った各社員の能力を個別に分析し、重点的な教育が必要な社員を選択します。
売り上げを上げるためには、まず案件を受注することが重要です。IT上司は受注につながる可能性が高い顧客を事前に推測し、優秀な営業力を有する人材を有望な見込み客との面談に割り当てます。
企業全体のデータを俯瞰的に捉えることで修正点や改善点が明確になり、営業活動のPDCAサイクルを回しやすくなるのです。
本記事の内容以外にも、『営業強化はAI上司に任せなさい』ではAI上司とIT上司の効果的な連携方法や、AI上司・IT上司の導入方法についても詳しく言及されています。
AIを活用した営業力の強化や企業のDX化に興味がある方は、ぜひ本書を読んでみてください。
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- 本郷理一
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