「動かない鳥」として動物園や花鳥園で人気のハシビロコウですが、一度見たら忘れられないような見た目と不思議な生態を持っています。 謎おおきハシビロコウの生態を紹介するとともに、最後にハシビロコウの魅力が詰まった本を紹介したいと思います。
アフリカの湿地や沼地に生息する固有の鳥で、全長は1.2mあります。鋭い眼光と大きな嘴が特徴です。
この大きな嘴から、英語名では靴のように大きい靴のような嘴という意味で「ShoeBill」と呼ばれています。
さらに足の大きさも鳥類のなかでも最大となっており、これは沼地で沈まない役目があります。
世界的にみても数が少なく、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(絶滅寸前)に分類されており、日本国内では7施設14羽しか飼育されていません。
動かないことで有名なハシビロコウですが、なぜじっとしている姿を見かけることが多いのでしょうか。
まず、ハシビロコウは夜行性です。そのため、動物園などで見ることはあっても動かない姿の方が多く見かけます。
そしてもう一つは彼らの食性に関係しています。ハシビロコウは、肺魚という魚を好んで食べます。肺魚は普通の魚と違い数時間ごとに肺で呼吸をするため、水面に上がってきます。その瞬間にハシビロコウは一気に肺魚を捉えるため、タイミングを伺っているのです。
最長で約6時間動かなかったという記録もあるようです。
ハシビロコウは基本的に鳴かない鳥ですが、鳴き声以外を使ってコミュニケーションを取ります。
それが嘴をカタカタと鳴らすクラッタリングです。
求愛や威嚇、ディスプレイ行動などさまざまな意味を持ち合わせています。
クラッタリングはハシビロコウだけでなくコウノトリなどもおこなう行動です。
また、クラッタリングだけでなくお辞儀のような仕草をするのもハシビロコウの特徴で、クラッタリングとともにコミュニーケーションの際に使われます。
鳴くための機能が退化したから嘴を鳴らし始めたのか、嘴を鳴らし始めたから、鳴かなくなっていったのか。
ハシビロコウが鳴かない理由については、学者達の間でも議論として取り上げられているようではっきりとした答えは出ていないということです。
冠羽(かんう)と呼ばれるもので、頭にある飾り羽根のことを言います。実はインコなどと同様にハシビロコウは冠羽を意識的に動かすことができるようで、こちらも仲間とのコミュニケーションに使われるそうです。寝癖のような冠羽の長さやハネ具合は個体によって違うため、飼育されているハシビロコウにとっては個性になりやすいです。
ハシビロコウはじっとしているイメージが強いため、あまり飛べないと思われがちですがちゃんと飛べます。
ただ長距離移動はあまりせず、近場の移動の際に翼を広げます。比較的活発な動物園や花鳥園ではタイミングがよければ羽ばたいている姿を見ることができます。
ハシビロコウは多く茂った水草の上にアシや草、葉などを使って塚のような形の巣を作ります。基本的に単独行動が好きなハシビロコウですが、繁殖の時期になるとオスとメスが力を合わせます。一度の産卵では3つほどの卵を産み、オスとメスが交代しながら卵を温めていきます。
鳥類のなかでも珍しい行動としてハシビロコウが生息している地域は気温が高いため、嘴で水をくみ、熱くならないように卵や雛に水をかけることがあります。
またハシビロコウは単独行動を好み縄張り意識が強いため、人工繁殖が大変難しい鳥となっています。
国内で飼育されているハシビロコウのなかでも非常に人気が高い掛川花鳥園の「ふたば」。
後頭部の冠羽が双葉のようだからということでその名前がつけられました。
園内でも人気のアイドル的存在であり、キュートな姿からクールな姿まで個性溢れるふたばの写真集です。
ふたばを育てるための飼育日誌や飼育員さんのインタビューも裏話的な感じで興味深いです。
- 著者
- ["南幅俊輔", "掛川花鳥園"]
- 出版日
シリーズ累計250万部を突破する「ざんねんないきもの事典」の今泉忠明先生を監修に迎え、ハシビロコウの魅力を余すことなく詰め込んだ一冊となっています。
ハシビロコウの特徴や習慣はもちろん日本国内12羽のハシビロコウが載っているため、顔つきや冠羽などの特徴を比較しながら読み進めていくことができます。ハシビロコウ好きなら、ぜひ一度は読んでおきたいです。
- 著者
- 今泉忠明
- 出版日
ハシビロコウ関連の最新作!発売前ですが、大変気になる一冊です。
表紙から伝わる神々しさ。他のハシビロコウの写真集よりも珍しい姿にフォーカスしているということです。ハシビロコウファンは必見です。
- 著者
- 南幅俊輔
- 出版日
ハシビロコウを取り上げた著書は意外にも多いのを知っていましたか?
多くの人が自然と向き合うことで、ハシビロコウが過ごしやすい環境が少しでも増えるように願っています。