おすすめの映画原作 小説・漫画11選【2022年下半期公開】

更新:2022.6.14

2022年も数多くの映画が公開されています。そのほとんどが小説や漫画を原作とする作品です。2022年上半期でも原作を映画化した作品がヒットしています。2022年下半期公開の映画も原作ものの映画が目白押し。今回はその中から、特におすすめの映画原作を紹介します。

ブックカルテ リンク

2022年下半期公開の映画原作

2022年も多くの映画が公開されています。そんな映画の多くが小説や漫画を原作とした作品です。その数は、圧倒的にオリジナル作品を上回っています。

まず、出版社側は、映画化されることによる書籍の宣伝効果を期待し、映画化されることを望んでいます。映画を出資製作する側にとっても、すでに認知されている人気小説や漫画作品を映画化することで、さらに話題になることを狙っています。こうして書籍と映画の相乗効果を期待して製作される映画の多いこと。

ただし、小説や漫画が人気であればあるほど、映画会社同士による原作権の取り合いとなります。その場合、大手映画会社による原作権獲得が一般的です。

もちろん中には、オリジナルにこだわり製作される映画作品もあります。さらに、映画オリジナル作品でありながら、公開前に映画原作として、先に出版を仕掛ける作品も存在します。この場合は、あくまでノベライズではなく、原作という位置づけにこだわっています。

2022年上半期の公開作品も特に邦画に関しては、ほとんどが原作のある映画作品ばかりでした。今後公開される下半期の作品に関しても、「あの原作が映画化されるのか!」という映画が目白押しです。

そこで、この記事では、2022年下半期公開の映画作品に関して、その原作小説もしくは漫画を紹介します。なかなか面白いラインナップがそろっていますので、話題になることでしょう。その前に、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

【小説】おすすめの映画原作『峠』

2022年6月17日より全国公開を予定している映画『峠 最後のサムライ』。原作は、司馬遼太郎の歴史小説『峠』です。役所広司演じる越後長岡藩の家老・河井継之助が、「最後のサムライ」として生きる姿を描いた物語となっています。

小説『峠』は全3部作。その世界的な視点から坂本龍馬と並ぶリーダーとして周囲の人々から信頼されていた河井継之助を主人公としています。これまで、あまり知られていなかった河井継之助は、この作品により多くの人々に知られることに。

江戸をはじめとし、諸国で知識を得るために旅をする河井継之助は、長岡藩に戻るとさまざまな改革に乗り出します。そんな折、大政奉還の知らせが。封建制度の崩壊を予見しながらも、最終的には新政府軍に対抗する道を選んだ河井の運命を描いた物語です。

監督は『雨あがる』の小泉堯史。黒澤明の助監督を務めた人物でもあり、人間ドラマを丁寧に描ける監督です。本作では、司馬遼太郎が河井継之助を通して問いかける「正義について」、スクリーンにどう描いているのか気になるところです。

著者
司馬 遼太郎
出版日

【小説】おすすめの映画原作『おばけずかん』

子どもたちに大人気の童話シリーズ『おばけずかん』。累計100万部突破とその人気ぶりがうかがえます。学校の図書館でも予約待ち必須です。原作は『ルドルフとイッパイアッテナ』で知られる斉藤洋。楽しい絵柄が人気な宮本えつよしが絵を担当しています。

さまざまなおばけが登場し、そのおばけがどんなに怖いのか、その対処法などを面白おかしく紹介する短い物語集です。「〇〇のおばけずかん」というタイトルで、それぞれの場所に潜むおばけをピックアップ。ちょっと怖くても、なんだか可愛らしいおばけたちがたくさん登場するのが本作のみどころです。

そんな『おばけずかん』を原作に、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズの山崎貴監督が『GHOSTBOOK おばけずかん』というタイトルで実写映画化。ジュブナイル作品好きな山崎監督が、得意のCGを駆使しオリジナル冒険物語に仕上げました。

今回は、キャラクターデザインなども手掛けており、その可愛らしさは今から話題となっています。子どもから大人まで楽しめるエンターテインメント映画になっていることでしょう。

著者
["斉藤 洋", "宮本 えつよし"]
出版日

【小説】おすすめの映画原作『線は、僕を描く』

2020年の本屋大賞第3位やブランチBOOK大賞2019受賞などで一気に人気に火のついた小説『線は、僕を描く』。水墨画に魅了されていく大学生を描いた物語です。原作は自身も水墨画家として活躍する砥上裕將。本作で第59回メフィスト賞を受賞しデビューを果たしました。

主人公・青山霜介は両親を交通事故で失くしたことで深い喪失感の中にいました。そんな時、アルバイト先で水墨画と出会います。師匠となる篠田湖山の内弟子になり、水墨画の道に進むことに。さまざまな絵師たちと出会い、触発されていく霜介。水墨画に魅了されていくことで、「命」と向き合い自らを取り戻していきます。そんな青年の再生の物語です。

この小説を原作とする同名映画が公開されることに。主人公を演じるのは、数々の映画賞にて新人賞を総ナメした横浜流星。本作にて初の「水墨画」に挑戦しています。監督は、『ちはやふる』などで知られる小泉徳宏。青春映画を得意とする小泉監督が新たな青春映画の金字塔を世に送り出します。

1年以上もの時間をかけて「水墨画」に取り組んだ横浜の演技が、本作の一番のみどころではないでしょうか。実際に、スクリーン上で水墨画を目にするのが楽しみですね。

著者
砥上 裕將
出版日

【小説】おすすめの映画原作『ある男』

「自分の夫がまったくの別人だった!」という衝撃の内容で話題となった平野啓一郎原作の小説が『ある男』です。読売文学賞を受賞しました。

ある日突然、事故で命を落とす「大祐」。父を失くした悲しみに打ちひしがれる家族でしたが、大祐の兄から全くの別人であることを告げられます。夫だと思っていた男がどこの誰なのか。妻の里枝は弁護士の城戸に頼ることに。そこから徐々に明らかになっていく男の素顔。

城戸を通して描かれる「人が人を愛するということ、生きるとは」という問い。平野啓一郎が作家生活20年目に描いた記念すべき代表作です。

この小説を原作に同名の映画が2022年秋に公開されます。城戸を演じるのは妻夫木聡。里枝には安藤サクラ、大祐には窪田正孝という豪華キャストが集結しました。

監督は『蜜蜂と遠雷』の石川慶。オールスターキャストはもちろんのこと、独特の感性で描く石川慶の演出プランが加わることで期待も高まります。

映画『愚行録』でもタッグを組んだ妻夫木×石川。日本映画史に新たな1ページを加えてくれることに違いありません。

著者
平野 啓一郎
出版日

【小説】おすすめの映画原作『母性』

大ヒットメーカー湊かなえ原作の『母性』。2012年に発表された「母と娘」を巡るミステリーです。「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説」と語るほど、作者が心血を注いで書いた物語。

ある県営住宅の中庭で、女子高生が倒れているのを母親が発見し、警察に通報しました。4階にある自宅から転落したとして、事故と自殺の両方で原因を調べられるという新聞記事で始まる本作。

この記事に興味を持った女性教師は母性に関して考え始めるのでした。物語は、母親の手記と娘の回想で構成されていいきます。一筋縄ではいかないのが、湊かなえの作品。大きな仕掛けがありますが、それは直接確かめてください。

この小説を原作とする映画が2022年秋に公開されることに。キャストはまだ発表されていません。監督は『ヴァイブレーター』や『余命1カ月の花嫁』などの廣木隆一。女性描くことに定評があります。廣木監督の描く「母性」とは。キャストの発表とともに公開が楽しみですね。

著者
湊 かなえ
出版日
2015-06-26

【小説】おすすめの映画原作『収容所から来た遺書』

2022年冬に公開が決定している映画『ラーゲリより愛を込めて』。この映画の原作となったのが辺見じゅんの小説『収容所(ラーゲリ)から来た遺書』です。大宅賞と講談社ノンフィクション賞のダブル受賞に輝いた珠玉の作品。

第二次世界大戦が終結した1945年から約2年半。スベルドロフスクの収容所(ラーゲリ)で俘虜生活を送った500名の日本人を乗せた帰還(ダモイ)列車はシベリア鉄道を走っていました。ようやく日本に帰れると思った矢先、山本幡男元一等兵は再度、シベリア収容所へ連行されてしまいます。

過酷な状況下でも希望を捨てず、みなを励まし続けた山本幡男を描いた実話です。この山本を演じたのが二宮和也。クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』でも太平洋戦争下の若き陸軍兵を演じました。

監督、脚本は『糸』でタッグを組んだ瀬々敬久と林民夫。「戦争の起こした悲劇が再び起こらないように」そんな強い思いを込めて作られた本作。世界中の多くの人たちに届く作品となることを願います。

著者
じゅん, 辺見
出版日

【小説】おすすめの映画原作『月の満ち欠け』

第157回直木賞受賞した佐藤正午原作の小説『月の満ち欠け』は、月のように生まれ変わっていく男女を描いた愛の物語です。この小説を原作に同名の映画が作られました。監督は、廣木隆一。2022年は『母性』の公開も控えています。映画『月の満ち欠け』は、2022年冬に公開予定です。

小山内堅は、七歳の少女・るりに会っていました。その少女は、小山内の亡くなった娘の生まれ変わりだといいます。にわかには信じがたい事実に戸惑う小山内でしたが......。30年以上に渡る想い。愛の深さゆえなのか、想いを遂げるまで再び生まれ変わる女性・瑠璃。幾重にも重なった奇跡は究極の大団円へと向かっていっていくのでした。

映画では、大泉洋、有村架純、目黒蓮、柴咲コウの4人がメインキャストとして登場。愛が繋ぐ奇跡に遭遇していく人々を演じていきます。

ただ「もう一度あなたに逢いたい」という純粋な願い。映画も原作同様にこのテーマをもとに作られている模様。生まれ変わりの物語ではありますが、人を愛するという清らかな想いを描いた感動作です。

著者
佐藤 正午
出版日
2017-04-06

【小説】おすすめの映画原作『ファビアン あるモラリストの物語』

『飛ぶ教室』や『エミールと探偵』などで知られる児童文学作家、エーリヒ・ケストナー。多くの優れた児童書を世に送り出し今なお愛され続けている大作家が、大人向けの長編小説として描いた作品が『ファビアン あるモラリストの物語』です。この小説をもとに映画化した『ベルリン またはファビアンの選択について』。監督はドミニク・グラフ。本作にて、ドイツ映画賞、最多10部門のノミネートに輝きました。

物語の舞台はドイツの首都ベルリン。ワイマール共和国末期の荒廃したこの街で、会社の広告部に勤務するファビアンは、親友ともに夜な夜な街を徘徊する日々を過ごしていました。自称モラリストのファビアンでしたが、風変わりな人々、忍び寄るナチスの足音、女優志望の女性との恋、自身の失業、親友の死などを経験し徐々にモラルが崩壊していきます。時代に翻弄される一人の男ファビアンを通し、痛切に社会を風刺した物語です。

現代にも通じる本作の持つ先の見えない不安や閉塞感。小説だけなく、映画というメディアを通して、広く観客に投げかけています。今だからこそ読むべき、観るべき作品ではないでしょうか。

著者
["エーリヒ・ケストナー", "丘沢 静也"]
出版日

【漫画】おすすめの映画原作『メタモルフォーゼの縁側』

『メタモルフォーゼの縁側』は、このマンガがすごい!2019 オンナ編第1位、第22回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞、THE BEST MANGA このマンガを読め!第1位などなど多くの漫画賞を総なめにした話題の漫画です。原作の鶴谷香央理にとって、本作が初の単行本化となった作品。期待の新人漫画家として注目を集めています。

75歳の市野井雪は、2年前に夫を失くし1人暮らし。自宅で書道教室を開いていました。しばらくぶりに夫と通った喫茶店を訪ねるも閉店。たまたまた立ち寄った本屋で彼女が出会ったのはBL漫画。

雪が購入したBL漫画を密かに愛読していたのが、同じ書店でアルバイトをする17歳の女子高生、佐山うららでした。このBL漫画をきっかけに交流を持つことになる2人を描いた物語です。

この原作をもとに映画化。監督は『青くて痛くて脆い』の狩山俊輔、脚本は『余命10年』の岡田惠和が務めました。雪を宮本信子、うららを芦田愛菜が演じたことでも話題に。歳の差52歳の友情物語は、漫画の世界から実写映画の世界へと広がっていきます。映画でも、原作同様に心温まる2人の交流が期待できそうです。

著者
鶴谷 香央理
出版日
2018-05-08

【漫画】おすすめの映画原作『ビリーバーズ』

その多くの作品が映像化されている漫画家・山本直樹。独自の感性で描く大胆な性描写が特徴で、そこから人間の愚かさや弱さをシニカルに描いています。漫画『ビリーバーズ』もそのひとつ。1999年、「ビッグコミックスピリッツ」にて連載されていた同名漫画を2022年、『性の劇薬』の城定秀夫監督が映画化しました。

「ニコニコ人生センター」という宗教集団に属するある3人組。無人島で共同生活を送る「孤独のプログラム」に参加しています。1人は男性で「議長」と呼ばれ、もう1人も男性で「オペレーター」、紅一点の女性は「副議長」として、それぞれの役割を担っていました。しかし、ある日を境に本部からの食料が届かなくなってしまうのでしたが......。

清く正しく生きることが目的であったはずがいつしかその信仰心は崩壊し、抑えきれない欲望の渦へ。山本直樹得意の醒めた視点で描く問題作です。

長編映画初主演となる磯村勇斗がオペレーターを演じています。副議長には新進女優・北村優衣、個性派俳優・宇野祥平。映画では、城定監督得意の性的な演出も含む濃厚な人間ドラマへと昇華しています。映像化困難と言われた作品にどう挑んでいるのか期待大の映画です。

著者
山本 直樹
出版日

【漫画】おすすめの映画原作『バイオレンスアクション』

WEBサイト「やわらかスピリッツ」にて連載の漫画『バイオレンスアクション』。同サイトにて人気No.1を獲得し、このマンガがすごい!2018オトコ編にてベスト10入りも果たしました。

本作にて漫画原作デビューを飾る沢田新と『バケモノの子』や『プラチナデータ』の浅井蓮次がタッグを組み、「脱力系殺し屋」という新たなジャンルで人気を博しています。

主人公の凄腕ヒットガール、ケイ。彼女はなんと簿記専門学校生の女の子です。殺し屋とは思えぬゆるふわな癒し系でありながら、バシバシとターゲットを仕留めていきます。そんなケイが日商簿記検定2級を目指しながら、殺し屋家業に励む姿を描いています。

この漫画を原作とする映画が、2022年夏に公開されます。主演のケイには橋本環奈。原作のケイのように、愛くるしいそのビジュアルはまさにケイそのもの。

髪型をピンクのボブスタイルに変え、ワイヤーアクションにも挑戦した橋本のキュートでハードなアクションがみどころの映画『バイオレンスアクション』。彼女の当たり役となることでしょう。

著者
["浅井 蓮次", "沢田 新"]
出版日

【漫画】おすすめの映画原作『Gメン』

小沢としお原作の『Gメン』は、累計発行部数180万超えの大人気不良漫画です。「週刊少年チャンピオン」にて、2014年から連載され全18巻で完結を迎えました。

主人公の門松勝太は、私立武華男子校に転校してきました。その学校は女子校に囲まれているため、彼女出来る率120%と噂されています。しかし、勝太のクラスは学校でも最下層のG組。ヤンキー、オタク、バカを集めたクラスでG組だけは、どこの女子校にも相手にされていませんでした。そんな状況下でも、全力で向かう勝太を楽しく熱く描いた青春漫画です。

この漫画を原作とする映画が製作されました。公開は2022年秋。主演は本作で映画初主演となるKing&Princeの岸優太です。監督は、『おっさんずラブ』や『極主夫動』の瑠東東一郎。監督の独特なコメディセンスにより、本作もハイテンションで楽しい作品になることでしょう。

昨今、ヤンキー映画のヒット作が続いています。主なターゲットは女性です。そんな女性陣の狙いは、イケメン俳優が熱く演じる姿を観ること。本作でも岸優太のイケメンっぷりを堪能しながら、未発表のそのほかのイケメン共演者に期待したいところですね!

著者
小沢 としお
出版日

まとめ

今回は2022年下半期に公開予定映画の原作にあたる小説や漫画を紹介しました。原作を読んでから映画を観るか、映画を観てから原作を読むか。悩みどころですよね。小説は小説の、漫画は漫画の、映画は映画のそれぞれの面白さがあります。楽しみ方も人それぞれ。ぜひ、面白さの相乗効果も楽しんでみてください。

U-NEXTで無料で観てみる

この記事が含まれる特集

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
もっと見る もっと見る