水辺や田んぼが多い場所を訪れると、中型の大きさで首の長い鳥がじっとしていたり、餌を捕まえようとしているのを見かけたことはないでしょうか。 カラスやスズメよりは身近ではないけれども、たまに見ることができる身近な鳥、それがアオサギです。 今回は、アオサギの生態とサギの魅力が詰まった本について紹介していきます。
ペリカン目サギ科アオサギ属に分類される鳥類で、大きくいうとペリカンの仲間なのです。
全長は100cmほどの大きさになり、羽を広げると160以上にもなり、日本最大級のサギです。
コサギ、チュウサギ、ダイサギ、日本にはサギの仲間が19種類程がいますが、アオサギは身近にみられるサギ類の一つです。
全体的に灰色っぽい姿をしていて後頭部に襟足のような黒い毛が生えています。
首や脚が長いのでツルと間違えられることがありますが、ツルと比べると体は小さく、サギ類は首を曲げて飛ぶのが特徴的です。また、ツルは木に止まりません。
ヨーロッパからアジア・アフリカ大陸にかけて分布していて、日本では北海道から本州、佐渡、四国、九州、対馬などで繁殖しています。
適応能力が高く主に水辺に生息し、河原や湿原、干潟、水田、湖や沼など、エサが取れる環境ならどこでも暮らしています。都心でも水辺などがある公園では出現することが度々あります。
鋭い嘴で挟んだり突いたりして獲物を捕まえます。
主食はドジョウなどの魚以外にもバッタやトンボなどの昆虫やエビやカニなどの甲殻類、カエル、ヘビなどの両生類、時に鳥のヒナを襲うこともあります。
動いているものは加えてしまう習性があり、大きな魚なども捕まえることがあるようです。
蒼鷺という名前でありながらも羽の色は灰色です。
英語名ではGreyHeronと言われ、名前に灰色が入っています。
日本でのアオサギの名前の由来は諸説あります。
蒼という言葉はもともとは目立たない色を表し、そこには灰色も含まれていました。
顔面蒼白、蒼白い顔などに使われる時の「蒼」は、一般的な青ではなく目立たない色や灰色などを意味しているとも言われています。
ちなみに白いサギのことを白鷺と言いますが、正式には白鷺という名前の種類はいないです。その場合コサギ、チュウサギ、ダイサギのいずれかのことを指していることが多いです。
繁殖期になると、異性にアピールするため眼先、脚、クチバシの色が変わります。特にクチバシは色の変化がわかりやすいです。通常は黄色いクチバシですが、繁殖期になるとピンク色が増していきます。
アオサギの変わった特徴は日光浴にもあります。羽を三角形に折り畳むような形で、カワウなども羽を広げて日光浴をすることがありますが形が違います。カワウなどが日光浴する理由は、カワウは泳ぐように体が作られていないため、カモや海鳥と違い翼に油が少なく、水で重たくなった翼を乾かしています。この作業をしないと飛ぶことができないのです。
ただ、青鷺に関しては水に潜って捕食をするわけではないので、体表の殺菌や羽の健康状態を保っていると考えられます。
アオサギは、自分達の種以外のサギ類とともに集団営巣することがあります。
その集団のことをコロニーや鷺山といいます。鷺山は1000羽以上を越すこともあり、集団で暮らすことで天敵から身を守っているのです。開発などにより生息地域が減ることで一つ一つのコロニーの数が多くなっていると言われています。
サギといえばよく聞く言葉が「姫路城」を言い換えた言葉で「白鷺城」とありますが、いくつか白鷺と呼ばれる理由があるようで、鷺山という場所に築城されたこと、白漆喰で塗られた城壁の美しさや、その地に白鷺が多く住んでいたことなどの説があるようです。
人間の生活範囲内でコロニーが作られることがあり、ヒナや夜間の鳴き声、糞やヒナの死体の臭いなどが発生するため近隣の住民が頭を悩ませている地域も多いようです。
追い払ったり、巣となる木を切り落としてもまた別の場所にコロニーを形成してしまうので、解決策がなかなか見つかってない状況です。
またサギ類による農作物被害もあります。直接農作物を食べるわけではないのですが、カエルやドジョウなどの捕食するために水田に入り、田植え後の稲を踏み荒らす被害が発生しています。
養殖場などでの漁業被害もありますが、農作物被害の方が圧倒的に多いようです。
- 著者
- 佐原 雄二
- 出版日
アオサギにフォーカスを当てた非常にマニアックな一冊です。ヨーロッパと日本でアオサギのイメージがあるということに驚かされます。生息地の広いアオサギだからこそ比較できる内容。いずれにしても多くの国に影響を与えてきたことが伺えます。
- 著者
- 水中 伸浩
- 出版日
アオサギではありませんが、サギ類の中でもまた違った一面を見られる鳥です。アオサギ以上に出会いにくい鳥でありながらも、その可愛いらしい大きさやフォルムからファンも多いようです。
ゴイサギファンにはたまらない一冊となるでしょう。
理由ははっきりしていないようですが、アオサギは年々増え続けているそうで、都会でも見やすい野鳥になっています。ただ、人間との共存関係が求められることにもなってきます。