魚の中でも異質な形をしているコバンザメ。力の強い者にすり寄り、そのおこぼれにあずかる者のことを比喩的に「コバンザメ」と呼んだりしますが、では一体コバンザメはどんな魚なのでしょうか。今回はコバンザメの生態とコバンザメにまつわる書籍を紹介します。
はじめにコバンザメはサメの仲間ではありません。学術的にはスズキ目コバンザメ科に属する魚で、分類的にはスズキの仲間になります。
頭の吸盤の形状が小判に似ていることから「小判鮫」と名付けられました。
英語でもSharksucker(shark=サメsucker=吸盤)という名前がつけられています。
体長は70~100cmほどの大きさです。コバンザメは3属8種類存在していますが、それぞれの種類によって、くっつく相手である「宿主」が異なるそうです。
コバンザメの宿主はサメ、カジキ、ウミガメ、イルカ、マンボウなどの大型の生物がいます。イルカがジャンプするのはコバンザメがついているのがわずらわしいので、振り落とすためであるという説もあるそうです。時に船の船底にくっつくこともあります。
コバンザメの稚魚は吸盤ができるまでは自ら餌を探さなければならないため、他の魚の死んだ皮膚や体の表面についた寄生虫を食べることが多く、サンゴ礁などでは、「掃除屋」としての役割を担うことが多いのです。
コバンザメはどこに生息しているの?
太平洋東部、大西洋北東部をのぞく全世界の暖海、地中海に生息し、日本だと北海道~九州の日本海・東シナ海・太平洋、屋久島、琉球列島というほぼ全国の海で見ることができます。 宿主から離れて単独での遊泳、回遊もあります。
宿主となる大きな魚にくっついて泳いでることを「併泳」(へいえい)と言います。この併泳をする魚には多くのメリットがあります。大型の魚のエサの食べかすや、寄生虫などを食べることができることや、大型の魚にくっついていることで襲われる危険がなくなります。また、移動は宿主がおこなうため自分のエネルギーをそれほど使わなくても移動できるという点があります。
ただメリットも多いですが、間違って食べられてしまうケースもあります。
ちなみにコバンザメが宿主にどんなタイミングでくっついて、いつ離れるかは明らかになっていないそうです。
コバンザメ特徴といえば、やはり頭部の吸盤です。
宿主にくっつくために背中にある背びれが変化したものと言われています。そのため、この吸盤には複数のスリットが入っていて、吸い着くと後ろ向きに倒れるようになっています。
その吸盤には板状のヒダがあり、普段はそのヒダは後方に倒れているのですが、くっつく時はそれを起こします。そうすることで、接着面の内側が真空に近い状態になりくっつくことができるのです。
吸盤はコバンザメが後方に動くとくっつき、前方に動くことで外れる仕組みになっているので、自分で動きたいときは前方に動くと自由に動き回ることができます。
引っ張られればより強く引っ付く仕組みなため、皮が薄くやわらかい魚などは、その部分が小判型に充血して残るくらい吸盤の力は強いです。
子供のコバンザメには吸盤が存在しておらず、コバンザメの吸盤は、第1背ビレといわれる部分が成長とともに変化して出来あがるため大きさが30センチ以上になるまでは他の魚と同様に単独で浮遊しています。
NHKの番組「ダーウィンが来た」で紹介されていた奄美大島の「コバンザメ」は宿主にくっつかず300匹の群れでひっくり返り吸盤に砂に押し付けているコバンザメや、コバンザメ同士がひっついている姿がみられました。奄美大島ではマグロの養殖が盛んに行わており、海の中に餌をまいて育てているため、生簀の目と鼻の先に暮らすコバンザメは、餌のおこぼれを狙って砂地に集まっているということです。砂地は隠れる場所が少なく他の魚は寄り付かないためにライバルも少ないためこのような現象を見ることができるそうです。
- 著者
- ["アクアワールド茨城県大洗水族館", "和音"]
- 出版日
監修は日本一のサメ水族館「アクアワールド茨城県大洗水族館」。何が日本一かというとサメの飼育種数が日本で一番多いんだそうです。サメ好きの方は見逃せません。
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4コマでの説明があるので、子供でも楽しく読み進めることができます。
「サメの歯は食べ物の種類によって形が違う」「実際にどんなサメ事件が起きたのか」「おいしいサメ料理」といったコラムも満載です。
間違いなく魅力的なサメの世界の虜にしてくれるはずです。
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- 著者
- 沼口 麻子
- 出版日
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- 出版日
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誰もが知っているような知名度の高いコバンザメですが、意外な生態も多かったのではないでしょうか。そしてそんなコバンザメはスズキの仲間ということで、白身魚で食べるととても美味しい魚だそうです。一度は味わってみたいですね。また、サメに興味を持った方はぜひ日本一のサメ水族館「アクアワールド茨城県大洗水族館」を訪れてみてください。