「マンガ大賞2016」大賞を受賞した『ゴールデンカムイ』。北海道の雄大な自然と触れ合いながら繰り広げられる、金・バトル・グルメとてんこ盛りな内容の本作の魅力をご紹介します!!
2014年からヤングジャンプで連載がスタートした『ゴールデンカムイ』。明治末期の北海道を舞台に、金塊を巡った壮絶な争いが繰り広げられています。
まずは『ゴールデンカムイ』のあらすじを紹介しましょう。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2015-01-19
かつて一部のアイヌが軍資金として貯めた砂金が、ある一人の男に奪われました。その量は20貫(約75㎏)で、今の価値に換算すると約8億円相当。
あるとき、ひょんなことからその金塊の存在を知った杉元佐一は、金塊を奪った者に父を殺されたと語るアイヌの少女・アシㇼパと手を組み、金塊を求める旅を始めます。
金塊を探す手掛かりは、網走監獄から脱獄した囚人たち。彼らに彫られた刺青は金塊の在処を示す暗号となっており、杉元たちは囚人たちの皮「刺青人皮」を手掛かりに暗号を探すことになります。
同じく金塊を狙うのは、鶴見篤四郎率いる陸軍第七師団。さらに、戊辰戦争で死んだと思われたいた土方歳三も参戦し、金塊争奪戦は激しさを増していきます。
果たして金塊を手に入れるのは誰なのか⁉
そして、金塊に隠された真実とは⁉
それぞれの思惑が交差する金塊争奪戦は一体どんな結末を迎えるのでしょうか
また、本作品は2018年4月からアニメ第1期が放送されました。その後、第2期が2018年10月から、第3期が2020年10月から放送され、その人気を確固たるものとしています。
『ゴールデンカムイ』のアニメ詳細はゴールデンカムイアニメ公式サイトをご覧ください。
2016年にマンガ大賞を受賞したこともある超人気作『ゴールデンカムイ』。
豊富な知識をもとに描かれる本作品は各方面から絶賛されていますが、なぜか作者について調べると「やばい」「おかしい」といった言葉がちらほら…。そこで本作品の作者・野田サトル先生について調べてみると、確かに「やばい!」と感じる点がいくつかあったので紹介していきます。
まずは『ゴールデンカムイ』の設定でもある、刺青人皮についてです。
金塊の在り処は、網走監獄から脱獄した囚人たちに彫られた刺青に示されています。しかし、この刺青は暗号になっており、24人分の刺青人皮を繋ぎ合わせることによって、初めて暗号としての役割を果たします。繋ぎ合わせるということは、24人の囚人たちから皮を剥ぎ取ることが必要不可欠。つまり、囚人たちは殺される前提で刺青を彫られていたのです。
もうこの設定がサイコパス過ぎますよね。
また、『ゴールデンカムイ』に登場するキャラクターはどこか変態的な一面を持っています。
衝撃的なもの挙げるとするなら、完璧を求めるあまり人の皮で服を作るようになった江渡貝弥作や、大自然を愛するあまりヒグマを強姦した姉畑支遁、人間が死に際に見せる煌めきに魅せられて強者に殺されることを望む辺見和雄など、どのキャラクターも変態的。
ですが、各キャラが変態になった背景として、間違った教育や環境、歪んだ愛情や美徳、行き過ぎた信念などが関係していることが隠されているのです。
野田サトル先生自身は「もっと複雑な変態が書きたい!」と明言していますが、このような変態的なキャラクターを生み出せる野田サトル先生自体が変態といえますね。
雑誌で連載されている漫画は、単行本になるときに多少修正されることがあります。特に週刊連載ですと、締め切りに間に合わず納得出来ない絵が掲載されたり、読者の反応を見て言葉や説明を変えたりすることがあります。
もちろん、ヤングジャンプで連載されている『ゴールデンカムイ』もその例外ではありません。多くの箇所が修正されることで有名な本作品ですが、よく見てみると、なぜ修正したのか理解できない部分がちらほら…。
特に修正が多いのは、谷垣源次郎の胸毛や胸筋、首の太さです。これに関しては『ゴールデンカムイ』の公式ファンブックで特集が組まれており、野田サトル先生のツイッターでも修正箇所の報告がされています。
野田サトル先生はなぜか谷垣源次郎に異様にこだわりを持っているようで、過去には谷垣源次郎のグラビアが掲載されたことも…。ふんどし一丁で海辺を走る谷垣の姿は、当時、読者に相当な衝撃を与えました。
野田サトル先生が谷垣源次郎にこだわる理由は分かりませんが、やばい人であることは分かりますね。
『ゴールデンカムイ』の魅力はこの記事に書ききれないほどありますが、今回はそのうちの4つの魅力を紹介したいと思います。
本作品の魅力を知ってしまったら、あなたも『ゴールデンカムイ』の魅力に引き込まれること間違いなしです!
『ゴールデンカムイ』に登場するキャラクターたちは、とにかくクセが強いキャラクターが多いです。
例えば、網走監獄から脱獄した囚人二瓶鉄造。とある理由で網走監獄に収監されていましたが、元は超凄腕の猟師で二瓶ご飯と称してジビエ料理を振る舞う一面も。彼の口癖は「勃起!!!」で、この一文だけで二瓶のクセの強さが分かると思います。
また、第7師団の鶴見中尉から、刺青人皮の偽物を作るように指示された剥製技師の江渡貝弥作もクセが強い。自身の剥製作品を母から褒めてもらえなかった上に去勢までされるという歪んだ愛情を受けて育ってしまったため、動物の剥製だけでなく人肉剥製や人肉を使った衣服を製作してしまうというかなりクレイジーな人物です。
初めて江渡貝が心を開いた鶴見とともに行う人肉ファッションショーはかなり見ものです。
このように『ゴールデンカムイ』では強烈な個性の人物がたくさん出てきます。自分のお気に入りのクセを持つキャラを探せるのがこの漫画の魅力の1つです。
作中では、アイヌ人との交流も多くあります。杉元と道中を同行しているアイヌ人、アシリパと共に様々なアイヌ文化に触れることで、読者もアイヌ文化に詳しくなれるでしょう。
アイヌの風習やアイヌ語、アイヌがどの様に狩りをしていたのかなど、かなり細かくアイヌ文化のことが記載されています。
作中に多く登場するアイヌ語「オソマ(うんこ)」や「ヒンナ(どうもどうも)」という言葉も、『ゴールデンカムイ』を読むことによって日常的に使えるようになるかもしれませんね。
- 著者
- ["中川 裕", "野田 サトル"]
- 出版日
『ゴールデンカムイ』の中で最も魅力的なものの1つがグルメです。
作中では、狩猟をしているシーンが多く描かれます。狩猟するだけでなく『ゴールデンカムイ』では狩った動物たちをそのまま料理してしまうのです。
そのままでは食べにくい食材を余すことなく食べられるようにする調理法は「チタタㇷ゚」といい、作中に何度も登場しています。また、杉元が、羆や鮭などと山菜を一緒に煮込んだ鍋物「オハウ」に味噌を入れるシーンでは、アシㇼパが味噌を「オソマ(うんこ)」と勘違い。のちに、味噌がおいしい調味料であることを知ったアシㇼパは、味噌中毒かのように味噌に取りつかれてしまいます。
シマリスやカワウソ、羆、ウサギ、アザラシ何から何まで狩って料理し余すことなく食べているシーンを見ると、普段あまり考えないで生活している”食材に感謝して召し上がる”ということを再度考えさせられます。
また、狩猟で得た動物だけでなく杉元一行が訪れた土地の食材を美味しく料理するシーンもあります。『ゴールデンカムイ』を語る上でグルメは切っても切れない存在なのです。
北海道を舞台に金塊争奪戦が繰り広げられる『ゴールデンカムイ』。実は作中に登場する建物は、実在するものがほとんど。
例えば、26巻で登場した札幌ビール工場は札幌駅から徒歩圏内にありますし、土方歳三のアジトとして登場する建物は旧有島家がモデルと言われています。
他にも多くの場所や建物が登場しますが、広い北海道をあちこち回っている暇はありません。そこでおすすめしたいのが、北海道開拓の村と網走監獄博物館です。
北海道開拓の村は、明治時代、北海道各地にあった建物が移築・再現された建物博物館です。ここでは辺見和雄のニシン番屋やラッコ鍋のシーンのモデルとなった建物が存在し、金カムファンからは聖地として崇められています。コスプレイヤーの間では、北海道開拓の村でロケ撮影するのが流行っているとか。
また、物語の始まりともいえる網走監獄は、見学や監獄での生活を体験できる博物館として残っています。
今もモデルとなった建物が残っているのは、ファンにとってうれしい限り。『ゴールデンカムイ』を読んだら、実在する建物を訪れてその世界観を体感したくなること間違いなしです!
本作の主人公。顔には大きな傷があり、陸軍に所属していたころは『不死身の杉元』として名を轟かせました。
親友との約束を果たすためにゴールドラッシュの北海道に足を踏み入れ、金塊争奪戦に参戦することに。鬼神のような戦闘力と驚異的な回復力で第七師団と激しい戦いを繰り広げます。
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日露戦争終結間際の北海道を舞台に、不死身と恐れられた元帝国陸軍の杉元とアイヌの女の子・アシリパを中心に描かれる『ゴールデンカムイ』。メインはサバイバルアクションですが、グルメ漫画の要素も持ち合わせた一風変わったストーリーが魅力的で、アニメ化もされました。 本作のあらすじと、主人公杉元佐一の人となりについてご紹介しましょう。ネタバレも含まれますので、ご注意ください。また、本作はスマホアプリで読むこともできるので、気になった方はそちらもどうぞ。
10代前半のアイヌの少女。父親譲りの青い目を持ち、父が関与していた金塊の謎を解くべく、金塊争奪戦に参戦。見た目や年齢に反して聡明で豪快な性格で、自らをアイヌの新時代を担う存在だと考えているようです。
アイヌの文化や風習に詳しく、その知識で幾度となく杉元や白石の命を救ってきました。作中ではたびたび変顔を披露しており、『ゴールデンカムイ』を象徴するキャラクターといえます。
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『ゴールデンカムイ』は北海道を舞台にしたサバイバルバトルマンガです。莫大な埋蔵金を巡って運命的な出会いを果たす、青い目をしたアイヌの少女・アシリパと切ない理由で大金を欲する杉元。狩ったり食べたり戦ったり裏切ったりと、さまざまな出来事が2人を待ち受けます。 この記事ではそんな主役アシリパさんにまつわる謎や取り巻く環境、可愛すぎる変顔まで、その魅力をまとめてお届けしましょう。
度重なる脱獄と強盗で収監されていた囚人。のっぺらぼうに刺青を入れられた、入れ墨囚人の一人でもあります。
自在に関節を外せる特異体質を持ち、優れた観察能力と持ち前の器用さで『脱獄王』と呼ばれた彼は、当初は杉元と手を組むつもりはありませんでした。しかし、共に旅を続けるうちに杉元とアシㇼパの志に感化され、金塊だけではなく2人のために尽力することになります。
元第七師団所属の谷垣源次郎は、二瓶鉄造との出会いをきっかけにマタギの道に立ち返ります。義理堅く実直な谷垣は、自分の命を救ってくれたアシㇼパやフチのために自らの役目を全うすると心に決め、金塊争奪戦に身を投じることに。
ちなみに作者の野田サトルは谷垣源次郎に異常なこだわりを持っており、単行本修正では胸毛を書き足し、胸筋と尻をムチムチにするという奇行を繰り返しています。
よく当たると評判の謎の美女占い師。その出で立ちと言動から、アシㇼパからは『イカッカㇻ・チロンヌㇷ゚(たぶらかすキツネ)』と呼ばれています。
孤児の彼女は幼いころから占いで生計を立てて各地を放浪。ある時、小樽でアシㇼパの父・ウイルクと出会って一緒に放浪することになりますが、ウイルクがアシㇼパの母になる女性と出会ったことをきっかけにウイルクの元を離れました。金塊とアシㇼパのために金塊争奪戦に参戦しますが、真の目的は異なるようです。
アシㇼパの父・ウイルクの友人で、ロシア系の少数民族出身のアイヌ。登場時は何の変哲もないアイヌの男性かと思われましたが、実は極東民族の独立運動に携わったパルチザンということが判明。
優しくおおらかな性格をしていますが、その笑顔の裏には何かが隠されていて…!?
素潜りの達人で、膝まである長髪とサスペンダー姿が印象的。手の間には河童のような水掻きがあり、長時間潜水することが可能。その能力を生かして人を水中に引き込んで溺死させ、放火や傷害事件なども起こした重罪人。
ちなみに本名は大沢房太郎。
元新選組鬼の副長本人。歴史上では箱館戦争で戦死したことになっていますが、作中では、素性を隠して樺戸集治監に幽閉後、犬童四郎助によって網走監獄に移送されたことになっています。
のっぺら坊と共謀し、刺青囚人たちの脱獄を主導。北海道を独立させ多民族国家を築くべく、金塊争奪戦に参戦。
土方歳三と同じく実在した人物で、土方歳三からは『ガムシン(我武者羅な新八)』と呼ばれています。普段は温厚ですが、一度キレると手が付けられないほど。
樺戸集治監で剣術指南をしていたところ、偶然、土方歳三と再会。若き日の恩義に報いるため、土方の旅に同行することに。
刺青囚人の一人で、かつて10年間もの間無敗だった柔道家。『不敗の牛山』の呼び名は伊達ではなく、羆や馬を軽々投げ飛ばすほどの怪力と屈強な肉体を持っています。
異常な性欲から、定期的に女を抱かないと理性を失うことも…アシㇼパに陰茎の見分け方を教えたことがあり、彼女から『チンポ先生』と呼ばれて慕われています。
黒髪で口元のホクロが特徴の美女。しかし、その正体は天才外科医の老人男性。美と若さを求めており、中国医学の『同物同治』の信念から人間の該当部位を食べることに固執しています。
土方歳三に同行した後も、若くて端正な顔立ちの人間を見ると食欲が湧く異常者。ちなみに『カノ』は偽名で、本名は『親宜(ちかのぶ)』です。
網走監獄の看守部長。実父が土方歳三と共に戦った旧幕府軍の一員で、自身も土方と繋がる内通者。幸運とは無縁の生活をしているように見えますが、実はものすごい強運の持ち主。本人は気づいていませんが、持ち前の運の良さで命の危機を脱したことも。
他のメンバーに比べるとさほど戦闘能力は高くありません。
盲目の按摩。左右の耳に集音用の覆いをつけており、舌を鳴らして反響する音から周囲の状況を把握することが出来ます。暗闇でも戦闘はもちろんですが、敵地に侵入した際の情報収集にも役立つ人物。
犬童四郎助と、自分たちの視力を奪った鉱山会社に対して激しい恨みを持っています。
蝗害で困窮したコタンを救うために土方の下で働くことになったアイヌ。
二瓶鉄造と一緒に狩りをしたことがあり、エゾシカ惨殺事件に二瓶の銃が使われていたことから、二瓶の銃を使う谷垣を犯人として勘違い。後に姉畑が事件の真犯人だと知り、谷垣とは和解しています。
元・日泥組の用心棒。ヤクザ同士の抗争に乱入した土方歳三に惹かれ、相棒の亀蔵と共に土方の旅に同行することに。しかし、第七師団との戦いで亀蔵は死亡。
作中で数少ない”普通”の感覚を持った人物。
鶴見と土方、両陣営に利用された男。日露戦争に参加したアイヌで、有古力松は和名です。本名はイポプテなので、有古イポプテと表記されることも。
菊田はともに塹壕から月を見上げた戦友で、戦後、彼と一緒に登別で療養していました。
自らの野望を実現するため、様々な方面で金策に走る野心家。奉天会戦参加時に頭がい骨と前頭葉を欠損し、ホーロー製の額当てで欠損部分を覆っています。感情が高ぶると額から謎の液体が漏れ出すことも…
類まれな情報分析力に加え、高いカリスマ性と人心掌握術を持つため、鯉登や江渡貝のように彼に心酔する者も多数。
目の下のしわと低い鼻が特徴の鶴見の側近。任務にストイックで、鶴見からロシア語を習得しろと言われた際は、死ぬ気でロシア語を習得。しかし、任務に真面目に取り組むあまり、「なぜこんなことをしているのか」とよくわからない状況に陥ることも…
出身地である新潟の佐渡では、父のせいで島中から忌み嫌われていました。唯一、『いご草ちゃん』と呼ばれていた幼馴染とは仲が良く、駆け落ちの約束をしたほど。
杉元と死闘を繰り広げた双子の片割れ。常に行動を共にしていた洋平の死後、杉元に復讐を誓い、しつこく付きまといます。しかし、あまりにも執着するあまり、土方の一撃を浴びて右足を失いました。
江渡貝が作ったヘッドギアについた耳を洋平に見立てて会話するという異常なクセがあり、常に情緒不安定。
見た目に反し、かなりの武闘派。のっぺら坊の情報を得るために網走監獄に潜入していましたが、門倉にバレて逃走。鶴見に報告に行った際、口元にある2つのホクロに落書きをされましたが、喜びのあまり刺青にしてしまうほど鶴見に心酔しています。
海軍の司令官を父に持つエリート。褐色の肌で端正な顔立ちをしていますが、鶴見を前にすると奇声を上げ、早口に薩摩弁で話すクセの強いキャラクター。
お坊ちゃん育ちのため自分勝手な性格で、部下である月島を困らせることもしばしば。
作中では数少ない常識人。鹵獲マニアで、上着の下には日露戦争で鹵獲した多数の銃を隠しています。
知略に長けるベテラン兵で、都丹と戦った時は片目を眼帯で覆い暗闇に目を慣れさせるなど、用意周到な一面も。
アシㇼパの父で、少数民族独立の野望を持つ樺太アイヌ。北海道に渡る際に『ホロケウオㇱコニ』という名を授かりました。名前の由来は彼が憧れる狼からきており、狼と同じく冷酷無慈悲な性格をしています。
ロシア近代を目指す反体制組のリーダー。貴族階級の出身ですが、若いころにウイルクと出会い革命戦士として戦うことを決意しました。
樺太で国境を警備していたロシア兵。尾形との狙撃対決で顔の半分を失ったため、目から下を布で覆っています。仲間を見殺しに出来る冷血さと臆病ともいえる慎重さ、そして一発必中の狙撃の腕前は尾形も認めるほど。
元第七師団所属の上等兵。鶴見に反旗を翻して第七師団を抜けた後は土方陣営に行ったり、キロランケと行動を共にしたり、単独で動いたり、各陣営を引っ掻き回しています。
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日露戦争から生還してきた兵士たちが、金塊のありかをめぐって奮闘や争いを描いたギャグ&時代&バトル漫画が『ゴールデンカムイ』。これでもかというほどに魅力的な要素を詰め込んだ闇鍋的な面白さのある作品です。 アイヌ民族から金塊を奪った男・のっぺら坊の噂を聞き、その所在を探すべく主人公たちが動き出したなかで出会ったのが、尾形百之助です。同じく金塊を狙う陸軍第七師団と対峙する場面で初登場を果たします。 この記事では常に冷静で、掴み所のない尾形百之助をご紹介。また、下のボタンのアプリから読むことができます!
日露戦争で鬼神のような戦いぶりを見せた杉元佐一。『不死身の杉元』として名を馳せた彼は、ある目的のために大金を欲し、ゴールドラッシュで沸く北海道に足を踏み入れました。
川で砂金を掘っていると、とある男性からアイヌが隠した莫大な金塊の存在を知らされます。
かつて一部のアイヌたちが軍資金としてこっそり砂金を貯めていました。しかし、一人の男が他のアイヌを殺し、金塊をブン盗ったのです。
盗られた金の量は20貫。アイヌから奪われた莫大な金塊は北海道のどこかに隠され、在り処を示すのは網走監獄から脱獄した囚人に彫られた刺青の暗号のみ。
はじめは男性の話を信じなかった杉元ですが、この男性に金塊の在り処を示す刺青が彫られていたため、金塊の存在が信ぴょう性を持ち始めました。
杉元は刺青囚人を探す過程でアイヌの少女・アシㇼパと出会います。彼女の父は、金塊に関わって殺されたアイヌの一人。杉元は金塊のために、アシㇼパは父の死の真相を知るために金塊争奪戦に参戦することに。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2015-01-19
1巻では杉元の因縁の相手である尾形との出会いや、後に杉元・アシㇼパ陣営になくてはならない白石の登場が描かれています。物語の始まりとなる第1巻をぜひお楽しみください。
金塊を求めて動き出したのは杉元だけではありません。
新選組『鬼の副長』として恐れられた土方歳三も金塊争奪戦に参戦していたのです。彼はかつて網走監獄に収容されていた牛山辰馬を仲間に引き入れ、ある目的のために金塊を追い求めることに。
一方、負傷した尾形から『不死身の杉元』の名前を聞いた鶴見。彼もまたアイヌの金塊を探し求めていました。杉元が何かしらの情報を持っていると知り、部下を使って杉元を探し出します。鶴見は杉元に仲間になるよう勧誘しますが、杉元は首を縦に振らず……
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2015-02-19
2巻ではアシㇼパの暮らすコタンでアイヌの生活様式を知ることができます。大自然と共に生きるアイヌは身の回りのすべてにカムイ(神)が宿ると考え、動物や樹木、自然現象、あらゆるものに敬意を払って生活しています。物語の内容もさることながら、アイヌ文化を深く知ることができる貴重な漫画といえますね。
第七師団にとらわれた杉元を救うべく、アシㇼパが動き出しました。彼女は、日本最後のエゾオオカミであるレタㇻ、網走監獄の脱獄囚人・白石と共に杉元を助け出そうと尽力します。
一方、土方はかつての新選組の同志・永倉新八と合流。土方と永倉が大量の武器を集めていると知った牛山は、2人がただの金塊目当てではないことに気付きます。土方は自分の目的のため、ならず者を束ねる渋川善次郎を仲間に引き入れることに。しかし、交渉は決裂し、土方は渋川を手下諸共皆殺しにしてしまいます。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2015-05-19
3巻では刺青囚人の一人・二瓶鉄造が登場します。彼はマタギとしての魂を奮い立たせる最後の獲物を追い求め、網走監獄から脱獄。その最後の獲物として狙いを定めたのが絶命したはずのエゾオオカミ、レタㇻでした。異常なまでの獲物への執着を見せた二瓶と、食物連鎖の頂点に立つレタㇻの戦いは必見です。
情報収集を口実に街に出た白石は牛山と遭遇。実は土方も永倉と牛山を引き連れて街へ繰り出してたのです。白石は牛山につかまっては面倒だと逃げ出しますが、逃げた先には第七師団が待ち構えていました。第七師団と牛山をバッティングさせて難を逃れる白石。
そのころ、土方は金塊争奪戦の軍資金とかつての愛刀を得るために銀行へ押し入っていました。土方の計画に気付いた鶴見も銀行に駆け付け、両者一触即発の形勢に。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
4巻では今までふらふらしていた印象の白石が活躍します。彼は杉元&アシㇼパと行動を共にしていますが、2人のような確固たる信念があるわけではありません。そんな白石は土方から、杉元陣営の情報を流すよう求められます。彼がどんな選択をするのか注目してご覧ください。
あちこちの漁場で季節労働者が殺されていると聞き、犯人が刺青囚人の一人・辺見和雄だと睨んだ白石。さっそく杉元とアシㇼパと情報を共有し、積丹のニシン漁場にやってきました。白石の予想通り、ニシン漁場には辺見が潜伏していましたが、辺見の顔を知る白石は杉元・アシㇼパと別行動に。杉元とアシㇼパが辺見の案内でニシン漁場を見学していると、同じく刺青囚人を追う鶴見が乱入してきます。
一方、フチのコタンで傷を癒す谷垣のもとに、第七師団の尾形と二階堂がやってきました。これ以上フチに迷惑をかけられないと思った谷垣は二瓶が残した村田銃を持って山へ逃げ込みます。しかし、二瓶の銃にはたった一発の弾しか残されていません。
谷垣はたった一発の弾でフチとコタンを守ることができるのでしょうか?
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2015-12-18
5巻の見所は、死に抗おうとする人間の美しさが垣間見える2つの戦いです。人間が死に際に見せる煌めきに取りつかれた辺見和雄は、杉元との戦いで命を煌かせて散っていきました。そして、たった一つの弾で狙撃の名手・尾形に挑んで勝利した谷垣も、その命を輝かせます。ぜひこの2つの戦いに注目してご覧ください。
アシㇼパの父の昔の友人・キロランケから「のっぺらぼうはアシㇼパの父親」だと聞いた杉元一行は、真偽を確かめるために網走へ向かうことになりました。小樽から網走の中間地点に第七師団の本部があるため、まずは札幌で武器をそろえることに。武器店の主人から評判のいいホテルがあると聞いた一行は、さっそく件のホテルへ向かいます。
しかし、そこにいたのは恐ろしい殺人鬼・家永カノ(本名:親宣)でした。彼は永遠の美を求めるあまり、自身の性別を変え、若くて美しい客を襲って食べていたのです。網走監獄にいた白石がやってきて驚く家永ですが、実は、杉元一行がやってくる数刻前に牛山もこのホテルを訪れていました。自分の正体がバレたと焦る家永。
一方、土方歳三は刺青囚人の噂を聞きつけ茨戸を訪れていました。そこでは2つのヤクザが抗争を繰り広げており、土方と永倉はひょんなことから抗争に巻き込まれてしまいます。さらに抗争には尾形も関わっており、事態がどう転ぶのか全く予想できない展開に……
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2016-03-18
6巻の見所は、ヤクザの抗争で永倉新八が真の力を発揮するシーンです。どうしても土方ばかりに目が行きがちですが、実は永倉新八もかなりの手練れ。普段は好々爺に見える永倉の戦闘シーンは圧巻です。
網走へ向かう道中、杉元一行は未来や過去が見えるという不思議な女性・インカㇻマッと出会います。はじめは半信半疑だった杉元達ですが、アシㇼパが父親を探していること言い当てたため、その力を信じるように。しかし、彼女はアシㇼパの父と何か関わりがある様子。
インカㇻマッと別れた後、一行はアイヌ相手に詐欺をしているエディー・ダンというアメリカ人のもとを訪れます。彼はアシㇼパの大伯母の大切な衣服を違法な値段で買い取っていたのです。アシㇼパは金を返す代わりに衣服を返してほしいと要求しますが、交渉は決裂。しかし、エディー・ダンから、不死身の羆を倒してくれたら買った値段で衣服を返すとの提案が……果たして杉元一行はエディー・ダンの提案に乗り、羆を退治することができるのでしょうか?
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
7巻では、だれも予想できない禁断のBLが繰り広げられます。実はゴールデンカムイは腐女子からの人気がとても高い作品。そんな作品が、公式でBLエピソードをぶっ込んできたのです。ファンがキャラ同士をカップリングすることはあっても、公式で堂々と男性同士の恋愛を描くことはないはず。ぜひ、禁断のBLをお楽しみください。
今まで息をひそめていた第七師団も動き始めました。
鶴見はある目的のため、腕のいい剥製職人がいると噂される江渡貝剥製所を訪れました。工房にはたくさんの剥製が飾られており、そのどれもが素晴らしい出来栄えです。江渡貝の腕を見込んだ鶴見は、刺青人皮争奪戦をかく乱させるために、偽の刺青人皮を作ってほしいと提案。
こうして精巧な偽の刺青人皮が作られることになりましたが、またしても尾形の登場で事態は急変してしまいます。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2016-08-19
8巻では谷垣が第七師団へ入隊した経緯が明かされます。『カネ餅』という谷垣の地元・秋田に伝わる非常食を中心に話が展開し、話の端々から谷垣の家族思いで優しい性格がひしひしと伝わってきます。そして、自分の役割を見つけたという谷垣。これからの彼の行動から目が離せません。
江渡貝製作所を訪れた杉元一行は、ついに土方たちと顔を合わせます。杉元は土方に、手を組むか、この場で殺し合うか、2つの選択を迫られますが、金塊よりも網走監獄で確かめたいことがあると打ち明けます。
協力関係となった一行は贋作の判別方法を求め、刺青囚人の一人・熊岸長庵に会いに行くことに。しかし、証拠隠滅を図って第七師団が襲来したため、杉元と土方は2手に分かれて樺戸監獄を目指すことになります。
土方たちは彼が収監されていた樺戸監獄を訪れますが、脱獄を企てたため射殺されたと知らされます。刺青を判別する手立てを失い、次の計画を練る一行。
一方、杉元たちは樺戸監獄へ向かう道中、アイヌのコタンで少し休むことに。しかし、このコタンには刺青囚人が2人隠れていたのです。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2016-11-18
9巻の見どころは白石の恋の行方です。物語に必要とは思えないエピソードですが、より白石の魅力を感じられる内容となっています。白石以外の刺青囚人は狂人ばかりですが、白石は別ベクトルで狂っていると思い知らされます。
杉元たちが偶然立ち寄ったコタンで鈴川清弘を発見したころ、白石は第七師団に拘束されていました。
普段役に立たない白石ですが、偽物の刺青で暗号が解けなくなった際、のっぺらぼうに接触して金塊の在処を聞きだすには欠かせない存在。土方はキロランケと共に白石を奪還しようとしますが、なぜか白石は作戦に乗らず、第七師団に再び拘束されてしまいます。
樺戸に到着し、道中の出来事を報告し合う一行。白石の刺青はすでに書き写し済みのため、白石抜きで先に進む流れになりますが、杉元だけは白石を奪還すると主張。天才詐欺師である鈴川清弘を使って第七師団に乗り込むのでした。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
10巻の見どころは、杉元が白石のために危険を冒すシーンです。普段役に立たないと思われがちな白石。もちろん、杉元も例外なく白石の存在を軽んじていました。そんな杉元が白石を助けたいと言い出したのです。変化しつつある2人の関係に注目して読んでいただきたいですね。
無事、白石を奪還できた杉元。しかし、第七師団から逃げる過程で土方たちと別行動になってしまいます。
一方、鶴見率いる第七師団は白石と鈴川清弘の刺青を手に入れたものの、杉元や土方たちに比べると後れを取っていました。そこで、刺青囚人の一人が強盗を繰り返しているとの情報を頼りに小樽へ向かいます。小樽で強盗をしていたのは刺青囚人の一人・坂本慶一郎でした。彼は同じく極悪人・蝮のお銀と夫婦になり、銀行や郵便局で犯行を繰り返していたのです。
強者ぞろいの第七師団に奮闘するものの、坂本とお銀は死亡。2人の遺した子供は鶴見によりアシㇼパのフチのもとで育てられるのでした。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
11巻にもなり、そろそろ各勢力がどうなっているのかわからなくなってきた人もいるでしょう。
現時点で杉元勢力は、杉元、アシㇼパ、白石、尾形の4人。持っている刺青人皮は7枚。
土方勢力は、土方、永倉、牛山、家永、キロランケの5人。持っている刺青人皮は7枚。しかし、その内の1枚が偽物である可能性も……
一方、鶴見勢力は5枚の刺青人皮と5枚の贋作(偽物)を所持しています。刺青人皮の数が少ない鶴見ですが、偽物の判別方法を知っているので、他勢力より多少優勢といったところでしょうか。
また、11巻では本作の人気キャラである尾形の生い立ちが明かされます。中将だった父と、そんな父に望まれて生まれてきた腹違いの弟・勇作。2人が尾形に与えた影響に注目してご覧ください。
アシㇼパを追ってきた谷垣が、とある事件の犯人だと誤解されてアイヌに捕まってしまいました。知らせを受けた杉元たちは谷垣を助けるために真犯人を探すことに。
事件の内容から犯人が刺青囚人の一人・姉畑支遁だと気付いた杉元は、アシリパと共に山を監視して姉畑を捕まえようとします。アイヌから提示された期限となる3日目。ついに姉畑が姿を現しました。しかし、彼は自分の願望を叶え、絶頂のまま息を引き取ります。
アイヌの誤解は解け、無事、谷垣も解放されました。杉元一行は谷垣と、彼と共にアシㇼパを追ってきたインカㇻマッ、チカパシを仲間に加えて先へ進みます。男たちがキロランケと合流する中、インカㇻマッはアシㇼパに、ウイルクの死の真相を告白するのでした。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
12巻は本作の中で最も狂気じみた内容となっています。動物への尊敬が歪んだ愛情へと変わり、残忍な犯行を繰り返すようになった姉畑の行い。そして、ラッコ鍋を囲んだ男たちの末路。どちらも、野田サトル先生だからこそ書くことができたのではないでしょうか。姉畑の行いはテレビアニメでは放送できず、のちにDVD特典としてアニメ収録されたほど。その狂気的なエピソードを存分にお楽しみください。
刺青囚人の一人・都丹庵士が率いる盲目盗賊団に襲われた杉元一行。暗闇での戦いは困難を極めますが、土方の登場で事態は急変します。土方が、犬童四郎助に恨みを持つ都丹に「ともに犬童に喧嘩を売ろう」と提案したのです。
土方の誘いに乗った都丹は、自らの能力を使い網走監獄への侵入を先導。すぐに看守たちに見つかるものの、杉元、アシㇼパ、白石の3人はのっぺらぼうのいる独房にたどり着きます。
ついにのっぺらぼうと対面を果たしたアシㇼパ。しかし、そこにいたのは犬童四郎助が用意した偽物で…!?
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
13巻にして物語が大きく動きましたね。アシリパは、アイヌを殺して金塊を奪った犯人が父なのか確かめるために旅を続けてきましたが、のっぺらぼうが偽物だと分かった今、ここで離脱するのでしょうか?
といっても、杉元の目的を達成するためにはアシㇼパの協力が必要不可欠。これからの彼女の動きに注目する必要がありますね。
インカㇻマッが鶴見に情報を流していたため、第七師団も網走監獄に到着しました。杉元が鶴見と対峙する中、アシㇼパは「父に会わせてやる」という土方の言葉を信じ、本物ののっぺらぼうが隠される場所へ向かいます。
のっぺらぼうの居場所を聞き出したアシㇼパは、すぐに土方のそばを離れて杉元のもとへ引き返します。
杉元はアシㇼパにのっぺらぼうを会わせるべく奮闘。その甲斐あってアシㇼパはのっぺらぼうが父・ウイルクであることを確認しますが、その直後、のっぺらぼうは撃たれて絶命してしまうのでした。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
ついにのっぺらぼうがアシㇼパの父・ウイルクであると判明しました。しかし、彼はアイヌを殺していないと主張。では一体誰がアイヌを殺して金塊を持ち去ったのでしょうか?
ウイルクが死亡したことで真相は闇に葬られ、金塊の暗号を解けるのは彼の娘・アシㇼパだけ。それぞれの思惑が交差する金塊争奪戦はどうなってしまうのでしょうか!?
杉元と父が死んだと聞いたアシㇼパは、金塊に繋がる手掛かりを求めて樺太へ。しかし、その裏には、自分の目的を果たそうとするキロランケの思惑が隠されていたのです。
一方、死んだとされていた杉元は生きていました。彼はアシㇼパを奪還するために鶴見と手を組み、鶴見の部下である鯉登音之進、月島基と共に樺太を目指すことに。また、フチの恩に報いるために行動する谷垣も樺太行きを決意するのでした。
アシㇼパを目撃したという樺太アイヌに協力を仰ぎ、樺太の大地を駆け回る4人。果たして広大な樺太でアシㇼパを見つけることは出来るのでしょうか?
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2018-09-19
これまで敵対していたはずの鶴見と手を組むことになった杉元。それほどまでにアシㇼパを求めているのでしょうが、それは金塊のためなのか、それとも相棒としてなのか……
15巻では月島の過去と彼の抱える闇が明かされます。「月島がかわいそう」という感想よりも、鶴見の用意周到さや人心掌握術、得体のしれない不気味さに恐怖を抱くはず。何度読んでも鶴見の本心や真相が分からず、どんどん月島が不憫に感じてしまう内容となっています。
アシㇼパがウイルクの軌跡をたどっていたころ、日本に残る土方は「人斬り用一郎」と呼ばれる刺青囚人・土井新蔵を捜索していました。一見するとヨボヨボのじじいですが、スイッチが入ると往年の人斬りに戻る土井。最後は人斬りとして活躍した過去と現在の狭間で混乱し、土方によって切り殺されるのでした。
一方、アシㇼパを追って新しい街を訪れた杉元一行は、サーカスの子供に岩息の刺青の写しを盗まれてしまいます。子供を追いかけてどうにか写しを取り戻す一行。ここで杉元にある考えが……サーカスで活躍すればアシㇼパさんに自分が生きてることを伝えられると考えたのです。
杉元は腹切りショーを成功させ、アシㇼパに自分の存在を知らせることができるのでしょうか?
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
16巻の見所は、なんといっても杉元達のサーカスショーです。団長から才能を認められた鯉登はサーカスの花形である曲芸を、杉元は腹切りを担当。何をやってもダメな谷垣と月島は、曲芸のわきで踊る少女団に入隊して踊ることに。
谷垣が練習を通して少女団と友情をはぐくむシーンは必見です。
自由に国境を行き来できるウイルタ族に変装して国境を越えようとするキロランケ、尾形、アシㇼパ、白石の4人。
しかし、案内を頼んだウイルタ族の老人が銃を持っていたため、国境警備隊に撃たれてしまいます。尾形は国境警備隊の狙撃手・ヴァシリと日露戦争の延長戦を開始。どうにかヴァシリを下してキロランケたちと合流しますが、1日中山にこもっていたため、熱を出してしまいます。
一方、杉元と谷垣はひどい吹雪に襲われ身動きが取れなくなっていました。鯉登、月島とはぐれ、雪の中で暖を取る2人。ようやく見えた灯台の明かりを頼りに進み、無事、鯉登・月島と合流するのでした。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
- 2019-03-19
17巻の注目ポイントは、謎多き男・尾形とその弟・勇作の関係です。尾形を兄として慕う勇作と、そんな勇作を疎ましく思う尾形。熱にうなされる尾形は、自らの手を汚さず高潔なままのアシㇼパに勇作を重ねるのです。
また、キロランケとウイルクの過去や、軽薄だった白石に杉元やアシㇼパとの仲間意識が芽生えるシーンも見逃せません。
アシㇼパと杉元の距離が近付いていたころ、土方一行は次なる囚人を捕らえるべく阿寒湖周辺を捜索していました。そんな中、なぜか土方と牛山が姿を消してしまいます。永倉があまりにも心配するので、門倉とキラウㇱは2人を探すことに。
実は牛山は阿寒湖に潜む囚人・関谷輪一郎と接触して、毒を飲まされていました。土方は牛山を助けるために関谷の提案に乗り、毒を飲んでしまいます。
2人が関谷に拉致されたと知った門倉は、無事、2人を助け出すことができるのでしょうか?
一方、キロランケはかつての仲間・ソフィアが収監されている亜港監獄を目指していました。アシㇼパとソフィアを引き合わせることで、暗号解読の手がかりを掴もうとしたのです。キロランケの指示のもと、ソフィア脱獄計画が始動しますが…⁉
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
18巻の見所は、鶴見の過去とウイルクとの因縁です。これまで語られてこなかった鶴見の過去には、ウイルク、キロランケ、ソフィアの3人が登場。全く接点のなさそうな4人ですが、実は鶴見が樺太で工作員をしていた時に出会っていたのです。
鶴見という人間が抱える闇と思想から目が離せません。
ついにウイルクのかつての仲間・ソフィアと出会ったアシㇼパ。ソフィアはアシㇼパの瞳からウイルクを思い出し、懐かしさと喜びを感じます。
ソフィアを仲間に入れ、キロランケ一行は流氷の上を歩いて大陸を目指すことに。その道中、アシㇼパはソフィアからウイルクに関する話を聞かされます。ウイルクとの出会いや、彼が何を目指して革命運動をしていたのか……自分が知っているウイルクについて話し続けるソフィア。
しかし、その旅も長くは続きません。ついに杉元一行がアシㇼパに追いついたのです。白石を発見した杉元は再会を喜び、アシㇼパの安否を確認。その一方で、谷垣はインカㇻマッの復讐だと言わんばかりにキロランケに襲い掛かるのでした。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
19巻ではついに杉元、アシㇼパ、白石が再会します。再会といえば感動的な演出にされがちですが、3人の再会はまさにゴールデンカムイらしさ全開。感動的なのは間違いないのですが、他作品とはベクトルが違いますね。
今巻で最も注目すべきなのは、ソフィアが語るウイルクの話です。ウイルクが憧れてやまないオオカミと、アシㇼパの母がウイルクにつけたアイヌ語の名前。すべてに伏線が張られていて、鳥肌が立つほど綺麗に伏線が回収されたと感じました。
キロランケが死亡し、再会したアシㇼパと杉元は北海道へ帰ることに。
一方、鶴見陣営に加勢したい菊田特務曹長と有古一等卒は、第七師団御用達の登別温泉で日露戦争の傷を癒しながら鶴見の下で働く機会を狙っていました。鶴見が刺青囚人を追っていると知った2人は、登別に潜伏する刺青囚人を捕まえることに。同じく登別温泉に来ていた宇佐美、二階堂と共に刺青囚人を追いかけます。
実は登別温泉に潜伏していたのは、土方と繋がる都丹庵士でした。雪山に逃げ込んだ都丹は、アイヌ出身の有古に追い詰められてしまいます。
一方、負傷した尾形と月島の治療のために医者へ駆け込んだ杉元たち。密入国者であることがバレつつも、どうにか交渉して治療をしてもらえることになりました。しかし、一瞬の隙を見て尾形が逃走してしまい…!?
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
20巻では鯉登と鶴見の過去が判明します。何者かに誘拐された鯉登。彼を奪還するべく派遣されたのが鶴見でした。鶴見の尽力により救出された鯉登は、鶴見に心酔するように。
しかし、何やら裏がありそうなんですよね。その裏については次巻である21巻で明かされますので、このエピソードをしっかりと覚えておいてください。
杉元達がたまたま立ち寄った敷香で日用品の補充をしていると、白石が誰かに狙撃されてしまいます。杉元は尾形の仕業だと思い、すぐに狙撃手を捜索。しかし、狙撃手は尾形ではなく、尾形が戦ったヴァシリだったのです。ヴァシリは尾形と再戦を果たすため、尾形と行動を共にしていた白石たちを追いかけてきたようです。
しかし、今の杉元たちにヴァシリを気にかける余裕はなく、先を急ぎことに。
一方、都丹の刺青人皮を鶴見に献上した有古。これで菊田と共に鶴見の下で働けるかと思いきや、有古が都丹のものとして献上した刺青人皮は別人のものでした。都丹を追い詰めたあの日、有古は土方から「父の遺志を継げ」と諭されていたのです。しかし、土方と内通したことはすぐに鶴見にバレ、有古は土方陣営に二重スパイとして送り込まれます。
ですが、土方は鶴見の考えを見抜けない男ではありません。有古が持参した5枚の刺青が偽物だと睨み、金塊争奪戦に大手をかけるのでした。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
今巻はかなり読みごたえがあります。上記では紹介できませんでしたが、活動写真家との出会いやチカパシとの別れ、アシㇼパと杉元のすれ違い……どれをとっても秀逸な内容になっています。
その中でも注目していただきたいのが、鶴見に対する鯉登と月島の思いです。月島は、自らも鶴見の人心掌握術で利用されたことを知りつつ、鶴見の行き着く果てを見届けるために尽力。鯉登は誘拐事件が鶴見が仕組んだことと知りつつ、その狡猾さにますます心酔。しかし、ここから二人の鶴見に対する思いは変化していくのです。ぜひ、鯉登と月島の思いの違いに注目しながらお読みください。
「金塊がアイヌのために使われないなら協力しない」
鶴見との交渉は決裂し、アシㇼパは杉元、白石と独自に金塊を探すことに。尾形との再戦を望むヴァシリも加わり、4人は流氷の上を歩いて北海道を目指します。一方、谷垣は、鶴見のもとにいるインカㇻマッと再会するべく、金塊争奪戦から身を引くことに。
北海道に戻った杉元達ですが、土方や鶴見を出し抜くには、当然、軍資金が必要になります。雨竜川で砂金を掘って1日50円も稼いだやつがいるとの情報を聞き、一行も雨竜川へ。
しかし、そこにいたのは刺青囚人の一人・松田平太でした。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
22巻の注目ポイントは、平太師匠の気味の悪いエピソードです。正直、一度読んだだけでは理解ができませんでした。
何度か読むうちに納得出来ましたが、読者を混乱させる仕掛けが至る所に仕掛けられています。平太師匠の家族は平太師匠以外と会話していませんし、時系列がおかしい点も読者を混乱させるのでしょう。
今までとは少し違うホラー回となっていますので、心してお読みください。
鶴見たちが北海道へ戻ったころ、尾形も北海道へ戻り土方陣営に入っていました。彼は樺太での土産話を持って土方陣営に加入。
一方、独自に金塊を探すことになった杉元一行ですが、持っている刺青人皮は白石と平太師匠の2つだけ。土方や鶴見よりも先に金塊を見つけるには圧倒的に不利な状況です。そんな中、白石は、平太師匠の持ち物から彼が刺青囚人の一人・海賊房太朗と接触していたことを知ります。新たな刺青囚人を求めて房太郎が潜伏すると思われる川を捜索することになりますが、上手くいくのでしょうか?
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
尾形が土方陣営に入り、金塊争奪戦がどうなるのか全く想像できなくなりました。
現時点で杉元陣営が持つ刺青人皮は白石と平太師匠の2つだけ。しかし、暗号を解読できるアシㇼパがいるので強いですね。
土方陣営は16枚所持してますが、その内1枚は江渡貝製作所で押収したもの。また、有古が持ち込んだ5枚も偽物である可能性が非常に高いです。
鶴見陣営の持っている刺青人皮は15枚。土方陣営より1枚少ないですが、すべて本物なので金塊争奪戦に大手をかけている状態といえます。
ここから杉元陣営が逆転する可能性はあるのでしょうか?
フチのもとに駆け込み、無事、出産を終えたインカㇻマッ。谷垣は自分の子を腕に抱き、喜びをかみしめます。
一方、刺青囚人の噂を聞きつけた鶴見は、宇佐美と菊田を札幌に派遣。しかし、同じく噂を聞きつけた土方陣営も札幌を訪れており、出会ってしまえば何が起こるか分からない状況に……
その頃、杉元一行は海賊房太朗を探すべく、船で江別を目指していました。しかし、4人の乗る船は何者かに襲撃されてしまいます。なんと、船を襲撃した人物こそ、杉元達が追っていた海賊房太朗だったのです。
- 著者
- 野田 サトル
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ひょんなことから房太郎と手を組むことになった杉元一行。金塊ではなく尾形を求めるヴァシリと、胸の内が読めない房太郎が増えましたが、土方や鶴見を出し抜くことができるのでしょうか?
ちなみに24巻では、ついに杉元に対するアシㇼパの気持ちが明らかになります。今巻に収録された238話で、房太郎が杉元とアシㇼパの関係に茶々と入れるのですが、そのたびにアシㇼパの耳が真っ赤に……
どこか大人びた雰囲気のアシㇼパも、やはり年頃の女の子なんですね。しかし、アシㇼパ自身は、アイヌの未来のためにそういったこと(恋愛感情)は必要ないと断言するのでした。
刺青囚人は残り3人となったころ、奇しくも2人の刺青囚人が札幌に集合していました。
一人はジャック・ザ・リッパーを模倣した札幌娼婦殺人事件の犯人、もう一人は顔に刺青を施した上エ地圭二です。
土方、鶴見、杉元の3勢力は、それぞれ刺青囚人を追って札幌に集結。さらに、樺太からアシㇼパを追ってきたソフィアも札幌を訪れていました。
ひょんなことから土方陣営と出くわした杉元は、網走監獄で土方に嵌められたことを思い出し激怒。そのまま戦闘が始まってしまいますが、アシㇼパの一言で両陣営は手を組むのでした。
- 著者
- 野田 サトル
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25巻の注目ポイントは、杉元とアシㇼパのすれ違いです。2人は21巻でもすれ違っていましたが、あの時は金塊争奪戦における意識と考えが異なっていただけ。しかし、今回はアシㇼパが杉元への想いを自覚。金塊が見つかっても杉元と一緒にいたいと思うものの、杉元は別ベクトルでアシㇼパを大切に思っている点が切ないです。
また、樺太での旅を経て、杉元、アシㇼパ、白石の関係が深まった点にもご注目ください。
ジャック・ザ・リッパーを模倣する札幌娼婦連続殺人事件の犯人を捕まえるため、土方陣営と手を組んだ杉元。
新聞記者である石川啄木が、次なる犯行は札幌麦酒工場でおこわなわれると予想したため、両陣営は現場で犯人を待ち構えます。しかし、同じく犯人を追っていた第七師団とバッティングしてしまい、麦酒工場を舞台に大混戦。
また、これまで身を潜めていた尾形も登場し、宇佐美と死闘を繰り広げます。
そんな中、もう一人の刺青囚人・上エ地圭二が姿を現し、落書きのような刺青を披露。もちろん、のっぺらぼうの彫った刺青は読み取ることが出来ません。これで暗号は解けなくなり、金塊を見つけることは不可能だと叫ぶ上エ地。
一方、アシㇼパは第七師団に捕まってしまい…!?
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
ついに刺青囚人がすべて出揃い、物語が大きく動き出しました。
精子探偵として犯人逮捕に尽力した宇佐美は、尾形との死闘の末死亡。さらに、札幌娼婦連続殺人事件の犯人であるマイケル・オストログと、もう一人の刺青囚人・上エ地圭二も死亡してしまいました。
そして、24人目となる最後の暗号は意外な人物に彫られていたことも判明。
それぞれの思惑が交差し、目を離せない展開が続きます。
大混戦の最中、裏切り者の房太郎にアシリパを奪われた杉元。彼はなんとか房太郎を追い詰めますが、すでに第七師団がアシリパを横取りしたあとでした。
火事に乗じて麦酒工場を脱出した第七師団。杉元・土方らは札幌市内を舞台に必死の追走劇を試みますが、鶴見の放った囮にかく乱され、見失ってしまいます。
一方、同じくアシリパを追っていたソフィアは、第七師団の捕虜となってしまいました。鶴見――かつてロシアで長谷川幸一と名乗っていた男は、自分とウイルクやソフィアの関係、そしてウイルクの目的をアシリパに語り始めました。
- 著者
- 野田 サトル
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刺青人皮はすべて集めなくても暗号が解ける……。衝撃の事実が明かされた前巻から、さらに大きく事態が動いた27巻。26巻までで物語の布石はすべて終わり、ラストへ向けた怒濤の伏線回収が始まります。
房太郎の劇的な退場、杉元と菊田の意味ありげな出会い。そしてなによりも、すべての発端となった7人のアイヌによる埋蔵金争いの真相。
この終盤に至って、ついに『ゴールデンカムイ』のタイトルが作品内で言及されるのも要注目のポイントです。
暗号を解く鍵は、ウイルクのアイヌとしての名前「ホロケウオシコニ」でした。第七師団が暗号解読を進める中、土方と合流した杉元たちは先手を打って行動します。房太郎から伝えられた、アイヌが最初に金塊を隠したという場所へ向かって……。
列車に揺られながら、杉元はふと故郷を捨て上京した時のことを思い出します。彼はそこで恩人である菊田と出会い、知らず知らずのうちに第七師団との因縁を作っていたのです。
杉元の思い出を挟んで、金塊争奪戦はいよいよゴール地点に近づいていました。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
この巻の序盤で杉元・土方一行は、懸念だった偽刺青人皮の判別方法を知ります。暗号解読の最大の障害が取り除かれたことで、人員数や戦力を別にすれば、杉元らと第七師団の優劣は完全にイーブンとなりました。
こうなれば暗号を素早く解読し、隠し場所に先にたどり着いた勢力が勝者になるでしょう。緊迫した展開にハラハラさせられます。
しかし、物語は一旦杉元の過去へ。シリアスが続く中での息抜きに近いですが、コメディタッチの中に現在へと続く因縁がそこかしこに描かれます。因縁の決着がどうなるか、期待は膨らむ一方です。
金塊が隠されていたのは、新撰組終焉の地である函館の五稜郭でした。房太郎の情報のおかげで一歩先んじることができた杉元たちは、地図の示す場所から北海道の土地の権利書を発見します。
アイヌの金塊で北海道全土の権利が、蝦夷共和国(旧江戸幕府勢力の政府)から正式に買われていたのです。金目当ての者たちは気落ちしますが、権利書の購入費用が金塊の半分であると判明。残りの半分がまだどこかに……。
それと前後して第七師団本隊が函館に到着。鶴見は鯉登平二海軍少将の駆逐艦に連絡し、五稜郭へ向けて艦砲射撃を開始しました。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
杉元たちはついにウイルクの隠したものを発見しますが、まさかの土地権利書。北海道の独立を目指すアイヌや土方、鶴見にとって価値はあるものの、金塊に比べるといささか見劣りします。
……しかし、『ゴールデンカムイ』が肩透かしで終わらせるわけがありません。もちろん金は見つかります。それも意外な形で。
杉元は五稜郭の地形を活かした籠城戦を提案。土方はソフィアと手を組んで、武装組織パルチザンを仲間に引き入れます。
風雲急を告げる怒濤の展開。果たして勝つのは守る杉元たちしょうか、それとも攻める鶴見なのでしょうか。
依然として五稜郭を狙う駆逐艦の艦砲射撃。別行動を取った永倉と門倉は、函館山へ隠されていた切り札――旧幕府軍の軍艦「回天丸」の主砲を持ち出し、駆逐艦群に大打撃を与えます。
しかし、迎え撃つ五稜郭側の奮戦虚しく、艦砲射撃の影響で第七師団歩兵の侵入を許してしまいました。
もはや籠城は絶望的。五稜郭を放棄して脱出するしか道はありませんが、そのためには第七師団の包囲網を突破しなければなりません。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
決戦の火蓋がついに切って落とされました。
ド派手な砲撃戦、じわじわ狭まる包囲戦、極限の白兵戦など、五稜郭のありとあらゆる場所で繰り広げられる戦闘。『ゴールデンカムイ』はアクションも魅力の1つですが、この巻は最終決戦に相応しいバトルが目白押しとなっています。
生き残る者、命を散らす者。敵味方の区別なく描かれる、数多くの生死が胸を打ちました。いくつかの因縁にけりがついて、終わりが近いことを感じさせます。
杉元一行は函館行きの蒸気機関車に乗り込むことに成功しますが、乗っていたのは第七師団の援軍でした。車内が騒然とする一方、尾形が運転室を制圧して、誰も知らないうちに暴走し始める機関車。
アシリパと白石を除く杉元、土方と牛山はそれぞれ第七師団に立ち向います。ギリギリ持ち堪えていた杉元一行ですが、一瞬の隙を突かれてアシリパの持つ権利書を奪われてしまいました。そして権利書は鶴見の元へ。
杉元はアシリパとアイヌの未来のために、最後の戦いに挑みます。金塊を巡る争い、ここに完結。
- 著者
- 野田 サトル
- 出版日
冒険活劇と歴史・文化要素、ホラーやグルメにギャグ、そして人を想う純粋な愛。最終巻には『ゴールデンカムイ』のエッセンスがすべて詰め込まれています。そして物語に残されたあらゆる伏線が消化され、見事に幕が引かれます。
本作は軽妙なやりとりに定評のある作品ですが、この巻では山場の台詞が少ないのが印象的でした。おそらくあえて語らせないことで、登場人物の気持ちを読み取らせようという意図的な演出でしょう。ぜひ緻密に描き込まれたページを隅々まで読んで、1人1人の物語を堪能してください。
本作は完結に先立って約1ヶ月間、漫画アプリ「ヤンジャン!」にて全話無料公開が実施されました。おそらくそのキャンペーンで『ゴールデンカムイ』を初めて読んだ人も多いでしょう。
『ゴールデンカムイ』は単行本化の際に加筆修正されるのがお決まり。さらに31巻では、最後に描き下ろしのエピソードが追加されています。本編には直接関係しないある出来事にまつわる逸話ですが、どうやら本編のある人物が関係している様子。
雑誌連載や無料公開キャンペーンで最終話まで読んだという方も、ぜひこの機会に単行本で再読することをオススメします。
「週刊ヤングジャンプ」で連載されていた『ゴールデンカムイ』は、2022年4月28日発売のNo22.23合併号で無事完結しました。しかし、シリーズのメディアミックス展開はまだまだ終わりません。
まず2018年にスタートしたアニメ版。これまで3期制作されましたが、2022年10月に第4期が放送開始予定となっています。
第4期でどの範囲までアニメ化されるかは不明ですが、3期までの放送スケジュールから計算すると全12話で、おそらく20巻から27巻になるはずです。ただし原作が31巻で完結してしまったため、27巻までだと非常に中途半端。ラスト4巻分は完結編として、スペシャル特番か映画の形で公開されるかもしれません。
映画化といえば原作漫画完結の直前に突如、『ゴールデンカムイ』の実写映画化が告知されました。主要キャストおよび公開時期は未定ですが、どんな作品となるか気になりますよね。
このように原作は完結しましたが、まだまだ『ゴールデンカムイ』の話題は尽きません。新しい展開を心待ちにしながら、単行本で作品世界を楽しみましょう。
- 著者
- ["中川 裕", "野田 サトル"]
- 出版日