小悪魔女子高生の妹と普通なんだけど何だかエロい姉が可愛すぎる恋愛漫画『繋がる個体』。高橋留美子のエッセンスを踏襲したかのようなピュアラブストーリーです。そんな本作の見所を少しご紹介いたします。ネタバレを含みますので、ご注意ください。
- 著者
- 山本 中学
- 出版日
- 2015-07-23
『繋がる個体』は異母姉妹と主人公の三角関係を描いた物語。THE長女な我慢屋の姉くるみと小悪魔女子高生の妹ここみの間で揺れ動く、30歳の真面目な会社員、井口のラブストーリーを描いています。
はっきり申し上げますと、タイトルの引きに対してエロはほとんどありません。『繋がる個体』というのはどちらかというと精神的な結びつきのことを指しており、優しい絵柄もあいまって純情ラブストーリーとして楽しめる作品となっています。
しかし、じゃぁつまらんと切り捨てるのはもったいない!『繋がる個体』は高橋留美子作品のような、いじらしいピュアラブストーリーと、シンプルな絵なのになぜかすごく可愛く見えるヒロインが魅力的。彼女たちはどこかリアルでエロいのです。
1、2巻の第一部は異母姉妹と井口の三角関係を、3、4巻の第二部はそれから1年後の、ここみと彼氏の千原、そして隣人のお兄さんとの三角関係を描いています。今回は第一部の内容をご紹介。
出典:『繋がる個体』1巻
山田中学のヒロインがリアルでエロいというのは前述の通りですが、ここみはそれでいて男子の理想を詰めこんだようなキャラクターとして動きます。ことあるごとにそれは反則……という可愛さに溢れたここみは最強のヒロイン。女子高生特有の恐れを知らない無敵な勢いで井口にアタックしてきます。
自分が可愛いことを知っているここみですが、好きになると一途。ほおを赤らめて「私好きな人できた」とくるみに報告したり、電話もしばらくためらってからえいっとかけたりして、たまりません。
酔っ払ってホテルに連れ込まれそうになったところを井口に助けられ、余計好きになってしまう彼女。酒はもう飲むなと井口から説教されている最中に、つい彼にキスしてしまいます。事態がのみこめなく、何で?と問う井口にここみはこう言います。
「わかんない!わかんないけど 今すごくしたくなった!」
なにそれ最強……。まっすぐな純真さは井口だけでなく読者もノックアウト。若い女性がかわいく見えるのは、在りし日の青春がそこにあり、思い出補正がかかっているせいもあるかもしれませんね。女子高生はファンタジーです。
出典:『繋がる個体』1巻
そんな自分の魅力や気持ちに素直なここみに対して、くるみはかなりこじらせています。井口ともそんな性格が災いして別れました。そして5年後の作中でも、井口とはすぐには付き合うことができません。
とりあえず、井口とは再燃して1話目でヤるのですが、過去の不倫の経験から自分を欠陥品と思い込んでいる彼女。そんな不完全なものを誰かの人生と繋げられない、と言って付き合えないとひとりで結論づけます。女性にありがちな、深刻に考えてるんだけどちょっと自分に酔っているパターンですね。
このぐずぐず度合いがとってもリアル。そして元サヤに戻るシーンはかなりエロいです。山場のコマ数にして4コマ、流れ的には2ページだけのボリュームなのですが、くるみがめんどくささで覆い隠していた分、露わにされた彼女の心の様子がセクシー。エロさはその人の人間味が滲み出た部分なのかもなぁ、ここみもいいけどくるみもねってな気分になります。まぁ、やっぱりこじらせてるんですが。
実はくるみがこんな性格になってしまった原因は、家庭環境にありました。父親が再婚して新しい家族の形ができあがり、そこで居場所が見つけられなかった彼女。そして気を使いすぎた結果、自分がここにいなければいいのだ、というなんともひとりよがりな結果に行き着くのです。ある意味自分勝手。そして彼女たちの性格の違いがこの三角関係解消の糸口になるのですが……。
- 著者
- 山本 中学
- 出版日
- 2015-07-23
ここみとはホテルで朝チュンからはじまり、同じ1話目で別れたくるみと自宅で再燃したりと波乱万丈な井口。しかし彼は真面目な人物。体よりも心で繋がる絆を大切にします。ここみが押しかけ女房をして来た時や、くるみに振られた時に顕著にその男前さが現れるのです。
普段は冴えないサラリーマンなのですが、実は彼もなかなかに魅力的なキャラクター。ぜひ彼らの物語をご覧になってみてください。