アニメの中には少女漫画の名作を原作にしたものもたくさんあります。アニメをきっかけに原作を初めて知ったという方も多いのではないでしょうか?ここではアニメ原作になった隠れた名作少女漫画をランキング形式でご紹介します。 スマホのアプリで無料で読める作品もあるので、気になった方はそちらもどうぞ。
「月にかわってお仕置きよ!」の名フレーズとともに、何年経っても根強いファンを持つこちらの作品。もう何度読み返したかわからないという方も多いのではないでしょうか?可憐な美少女戦士たちが仲間と共に戦う姿に、どハマりすること間違いなしです。
- 著者
- 武内 直子
- 出版日
- 2003-09-22
ドジでちょっとおバカな女子中学生の月野うさぎが、人間の言葉を話す謎の黒猫ルナと出会い、悪と戦う美少女戦士セーラームーンに変身することになります。
彼女のピンチの時に必ず現れる、謎の紳士タキシード仮面をはじめ、仲間になるセーラーマーキュリー、セーラーマーズ、セーラージュピター、セーラーヴィーナスと共に妖魔を退治し、幻の銀水晶と月のプリンセスを見つけ出すという使命のために奮闘するこのストーリー。少女たちの戦いも勿論面白いのですが、セーラームーンこと月野うさぎと、タキシード仮面である地場衛の恋愛の話にも注目ですよ。
「なかよし」で連載が開始されるとほぼ同時にアニメ化され、男女問わず幅広い年齢層に人気があるこちらの作品。完結してから時は経ったものの、いまだに熱狂的なファンも多く、世代を超えて愛されています。登場するキャラクターの個性的で可愛らしい様子、悪と戦いながら強く美しく成長していく姿、前世から未来へと移りゆくストーリー、どれをとっても魅力的!
読んだことがある方も、まだ読んだことがない方も、誰が読んでも面白い作品です。
「セーラームーン」については<『美少女戦士セーラームーン』の魅力を全巻徹底紹介!【懐かしなかよし漫画】>の記事でも詳しく紹介しています。
世界的な財閥であるバーンズワース家の一人娘である花鹿・ルイーサ・陸深・バーンズワース(かじか・ルイーサ・くがみ・バーンズワース)は、ある事情からカリブ海の孤島で、半ば閉じ込められるように隔離されて育ちました。
そんな花鹿が14歳になった時、ようやく島から出られると思っていた彼女に、父のハリー・バーンズワースはある提案を持ちかけます。それは、ハリーの選んだ3人の男性の中から、花鹿自身がこれからの人生を歩む伴侶を見つけるという、「夫捜しゲーム」でした。
最初は渋っていた花鹿でしたが、結局その提案を受け入れ、島を出ます。それから3人の夫候補の男性達と出会い、いよいよゲームは始まるのですが……。
- 著者
- 樹 なつみ
- 出版日
- 2009-02-19
1989年から1994年まで「LaLa」に連載されていた王道の少女漫画です。主人公の花鹿の周りには、いずれ夫になる貴族や王子、幼い頃から側にいる兄のような男性など、少女漫画の王道をいくような美男子のキャラクターがたくさん登場します。確かにお約束的な展開も多いのですが、それがありきたりにならず飽きがこないのは、キャラクター達の背景や気持ちがとてもよく練られ、描かれているからでしょう。
もちろん美男子な夫候補達だけでなく、ヒロインの花鹿もとても魅力的なキャラクターです。幼い頃から隔離されて育っていたこともあり、どこか常識外れなところもありますが、その行動力や真っ直ぐな言動は読んでいてとても気持ちの良いキャラクターです。ヒロインの好感度の高い少女漫画は感情移入がしやすく、つい物語に引き込まれてしまいます。
描かれている世界観も、メインの恋愛ストーリーだけではなく、世界情勢などスケールの大きなサブストーリーまで作りこまれており、物語の深さやスケールの大きさを感じることができるのも、この作品の魅力の1つです。スケールの大きな王道の少女漫画を読みたい方におすすめの作品です。
主人公の水谷雫は、子供の頃から勉強以外に興味のないどこか冷めた少女。それはかつて、「ドライアイス」とあだ名をつけられるほどのものでした。そんな性格は高校に入っても変わらなかったのですが、ある日、雫は担任から隣の席の吉田春に、欠席分のプリントを届けるように言われます。
- 著者
- ろびこ
- 出版日
吉田春は、入学式の日に流血事件を起こし停学になった生徒で、停学期間が終わった後もいまだに登校してこない問題児でした。吉田春、通称・ハルは、本当の友達がいないと言い、プリントを届けてくれた雫のことを気に入ります。勉強が一番の雫はそれを邪魔に思いますが、成り行きで世話を焼いているうちに、ふたりの間にはだんだんと恋愛感情が芽生えていき……。
それまで、成績のために自分から他人との距離を取っていた雫と、友人が欲しいけど暴力的な性格のせいで孤立していたハル。よくある王道な恋愛ストーリーとちょっと違うところは、ヒロインである雫が恋愛に全く興味がなく、むしろ勉強を優先するために恋愛を捨てちゃうくらいの勢いの個性的なキャラクターだというところです。
ハルも、本当はとても優秀なのですが人と接することは苦手で、どこか子供っぽいところもあります。ふたりとも完璧なキャラクターではなくどこか抜けたところがあるのですが、それが彼らを人間味のある親しみやすいキャラクターにしてくれています。そんな恋愛はとても不器用で、戸惑いの連続です。
「勉強も手につかなくなるほどハルを好きになっちゃうのか? って…」(『となりの怪物くん』より引用)
こんなふうに思ってしまうキャラがとても初々しく、読者の胸をときめかせてくれます。作風も全体的にとても明るく、またテンポも良いのでどんどん読み進めることができます。大切な人に本当の気持ちを伝えたくなる、ピュアとときめきに溢れる作品です。
『となりの怪物くん』については<漫画『となりの怪物くん』のキャラ、最終回までの見所を全巻ネタバレ紹介!>の記事でも詳しく紹介しています。
船乗りの父を持つ西見薫は、父の仕事の都合で横須賀から長崎県佐世保市に一人で引っ越すことになりました。親戚の家で居候を始めた薫でしたが、その土地で、川渕千太郎という少年と出会います。「札付きのワル」と恐れられている一方で面倒見の良いタイプでもある千太郎は、ジャズでドラムを叩く少年でもありました。
- 著者
- 小玉 ユキ
- 出版日
- 2008-04-25
そんな千太郎との出会いをきっかけに、薫はジャズの楽しさに目覚めていきます。そして薫は、千太郎の幼なじみである迎律子に心を惹かれていくようになります。しかし律子は千太郎に思いを寄せており、さらに千太郎は先輩の深堀百合香を、百合香は律子の隣人であり千太郎から「淳兄」と慕われる桂木淳一に惹かれていました。
1960年代、アメリカの文化が色濃く薫る佐世保の街を舞台に、ジャズを通して友情や恋愛が交錯する青春ストーリーです。
この作品の見所は、何と言ってもキャラクターの魅力と、そのキャラ達の関係性です。メガネをかけた真面目そうな主人公の薫と、不良っぽい印象の千太郎。薫が想いを寄せる迎律子(むかえりつこ)は千太郎の幼なじみで、千太郎が想いを寄せるのは美しい先輩の深堀百合香です。
彼らの想いはそれぞれすれ違い、なかなか成就することはありません。そのもどかしさから生まれる甘酸っぱさや苦しみは、セリフの中にも描かれています。
「君のこと大好きな奴が、ここにいるよって伝えられればそれでいいんだ」(『坂道のアポロン』より引用)
高校生ならではの青春の雰囲気がよく伝わってきます。
また、この作品では友情も見所のひとつです。特に薫と千太郎の友情はとても深く、恋愛よりも固く信頼の寄せられるものとして描かれています。
「最高じゃないか。一緒にバカやれる友達なんて。大事にしろよ。恋愛と違って友情ってのは一生もんだからな」(『坂道のアポロン』より引用)
読めば恋人はもちろん、友達を大切にしたくなる作品です。
『坂道のアポロン』の魅力を紹介した<『坂道のアポロン』は古くて新しい青春漫画だった!【ネタバレ注意】>の記事もおすすめです。
末次由紀作の『ちはやふる』は、競技かるたにすべてを捧げる少女の青春物語。主人公の綾瀬千早は小学生のときに同級生の綿谷新の影響で競技かるたに出会います。かるたのおもしろさを知った千早は幼馴染の真島太一を巻き込み、かるたクイーンになるべくかるた一色の生活を送ることに。小学校卒業後は離れ離れになってしまった3人ですが、高校で千早と太一はかるた部を設立し、太一との再会を信じてかるたを続けるのです。
- 著者
- 末次 由紀
- 出版日
- 2008-05-13
競技かるたというのは、百人一首を用いて行う競技のことです。静かなイメージがあるかもしれませんが実際は真逆で、スピードが重要なかなり激しい競技なのです。『ちはやふる』は分類的には少女漫画とされていますが、実はスポ根要素が満載の熱血少年漫画のような作品。かるたの試合のシーンはまるでスポーツ観戦をしているかのような高揚感を感じられます。
しかしそこはやはり少女漫画。キュンとする恋愛要素ももちろんあります。千早は美人だが男勝りな性格で、周りからはあまり恋愛対象として見られない女の子です。しかしそんな千早に思いを寄せるのが太一と新。誰よりも千早との時間を多く共有している太一ですが、千早が憧れるのは自分にかるたの世界を教えてくれた新。そんな新も次第に千早に惹かれるようになり、この三角関係も見どころのひとつとなっています。
また本作は前向きになれるセリフが多いことでも有名です。
「あの日悔しくて良かったって いつか笑って言いたい。」(『ちはやふる』より引用)
千早と太一が所属する白波会が大切な試合に負けてしまったときのモノローグです。悔しさを糧にして頑張ろうという気持ちが表れたセリフです。悔しい思いをした日には自分に言い聞かせたい一言ではないでしょうか。
『ちはやふる』は百人一首の知識も増え、競技かるたの面白さを知ることができます。またスポ根さながらの白熱した試合と、青春時代ならではの甘酸っぱい恋模様を同時に楽しむことができるので、一度読みだしたらきっと止まらないでしょう。女性にはたまらない恋愛要素と青春の煌めきをとらえた最もおすすめの作品です!
羽海野チカ作の『ハチミツとクローバー』は、美術大学を舞台に恋や生き方に悩む美大生たちを描いた青春ラブコメディ。小柄で人見知りな花本はぐみは、父親の従兄弟にあたる花本修司の勧めで長野から東京の美大に通うため上京してきました。そこで出会った竹本祐太、森田忍、山田あゆみ、真山巧らとともに賑やかな日々を送ります。
- 著者
- 羽海野 チカ
- 出版日
- 2002-08-19
はぐみと竹本と森田は三角関係、あゆみは真山に片思い、真山は自身の就職先の経営者である原田に片思い、という、全員が叶わない恋をしているという設定で物語は進んでいきます。そのひとつで心に残る場面が、竹本がはぐみに一目ぼれした場面。
「人が恋に落ちる瞬間を初めて見てしまった。」(『ハチミツとクローバー』より引用)
これは初めてはぐみに出会った竹本を見たときの真山のモノローグです。人が恋に落ちる瞬間って見たことありますか?実際に経験したことがなくても読めばなんとなく分かってしまうような、そんなシーンです。この瞬間から竹本は不器用ながらもはぐみにアプローチするようになり、男子目線の描写が増えていきます。誰かにこんな風に想われてみたいなという気持ちになるはず。
登場人物全員が片思いのため、よかったね、と思える場面は正直多くはありません。日常がハイテンションでコミカルに描かれている分静かなシーンとのギャップが大きく、切なさがより強調されていて、青春時代のあの多感な時期を表わしているように感じます。しかしそういった悩みと戦うキャラクターたちの姿は私たち読者の励みにもなり、勇気づけてくれる作品です。
楽しくてでも不器用な青春時代。もう一度経験してみたいと思うことはありませんか?『ハチミツとクローバー』はそんな青春時代を疑似体験できる作品です。また結末としては少女マンガのお決まりの展開をいい意味で裏切ってくる意外な結末なので、ぜひ一度手にとってほしい作品です。
桃ケ丘音楽学園の生徒・千秋真一は才能を兼ね備え、プライドが高いピアニストでしたが、本当になりたいものは指揮者でした。幼少の頃にお世話になっていた指揮者・ヴィエラの弟子として指揮の事を学びたかったのですが、日本から出ることが出来ず、もどかしい日々を過ごしています。彼は過去に体験した事故のトラウマから飛行機も船も乗れないのです。
ある日講堂を歩いていると、ピアノの音が聞こえてきます。この音が気になり見に行こうとしますが、彼女に呼び止められそのまま飲みに行く事になりました。酔いつぶれた千秋の夢の中で昼間のピアノの音が響いてきます。目を覚ますと、汚い部屋でキレイな音色を奏でる野田恵(のだめ)がいるのですが、不思議ちゃんなのだめと汚い部屋が耐え難く部屋を飛び出ました。
学校では新しい自分の担当がのだめと同じ先生で、その先生から連弾をするように言われます。ちぐはぐな2人は何度も何度も衝突してしまいますが、のだめの世話をしている中で、千秋はのだめの中に非凡なものがあると確信し……。
- 著者
- 二ノ宮 知子
- 出版日
- 2002-01-08
本作の魅力はなんといってもキレッキレのギャグでしょう。のだめのボケと千秋のツッコミは上質な漫才を見せられているような気持にさせられます。何度読んでもあきません。
主人公の宮沢雪野は高校一年生。成績優秀で運動神経も抜群、おまけに容姿端麗と誰もが認める優等生です。しかしその「優等生」は、実は仮面であり、本当の気持ちを隠した偽の顔。本当の雪野は、人から褒められることに快感を覚える「見栄王」でした。
学校では完璧に見える彼女も、家ではダサいジャージ姿で過ごし、家族からは「変態」と呼ばれるほど規律正しい生活と勉強にいそしみます。それも全て、人から「優等生」と呼ばれるためです。
- 著者
- 津田 雅美
- 出版日
そんな雪野の前に有馬総一朗という男の子が現れます。成績優秀で剣道部インターハイ個人優勝、眉目秀麗と、雪野に負けない完璧な優等生の彼。そんな総一朗に、雪野はひょんなことから自分の本性を知られてしまいます。弱みを握られた雪野は総一朗の言いなりになるしかなかったのですが、そのうち総一朗の「優等生」にも事情があることがわかっていき……。
誰もが持っている自分の「仮面」。雪野は人から褒められたいあまりに「優等生」を演じています。
「『上品なワタシ』はただのソトヅラ! 性格いいなんて大ウソ!! ほんとは私は誰より人に尊敬されたりアコガレられたり特別扱いされたりちやほやされたり一番をとるのが大好きなだけの――『見栄王』なのです」(『彼氏彼女の事情』より引用)
主人公の雪野は、ここまで自分で言い切ってしまっています。見栄を張るという行為は、もしかすると自分では認めたくない部分かもしれませんが、雪野はこうやって自分で「仮面」を被っていることを清々しいまでに認めているので、とても好感度の高いキャラクターになっています。
また、雪野に負けず劣らず優等生の総一朗には、物語が進むに連れて家族間の問題があることがわかってきます。基本的にはテンポがよく笑える箇所もたくさんある漫画ですが、シリアスな展開なども含まれていて飽きることがありません。
そして、時々不意にぐっと心に迫る台詞や、考えさせる台詞が挟まるのも魅力の1つです。
「心のバランスが取れなくなるから恋愛でしょ。カッコつけてうまくやってるうちはまだ本当じゃない」(『彼氏彼女の事情』より引用)
これまでずっと仮面を被って生きてきた雪野と総一朗が、互いに本当の自分をさらけ出しながら育んでいく恋愛は、どこか不器用でもどかしいですが、その分2人が一歩前進する度にときめきが生まれます。漫画を楽しむ一方で、自分自身の仮面についても考えることのできる良作です。
吉岡双葉は、美人で可愛いものが好きな少女。おとなしく、すぐにちょっかいをかけてくる男子を苦手としていました。ただし中性的な魅力を持った田中くんだけは別で、気にかけているうちに、互いに目で追うようになっていきます。淡い思いはありましたが、田中くんはすぐに転校してしまい、疎遠に。その後双葉はおとなしい性格を、猫をかぶっていると女子から誤解され、クラスの中で孤立してしまいます。
高校生になった双葉は心機一転。中学時代の自分のことを誰も知らない高校に入学し、わざとガサツに振る舞い、鞄を汚くするなど、女子に嫌われない努力をしていました。ある日、学校に見覚えのある男子の姿を見つけます。そこにいたのは、中学時代に別れたきりだった田中くん。今は馬渕洸と名乗った彼もまた、照れ屋だった少年時代の面影を失い、クールで少し意地悪な少年に変化していました。
- 著者
- 咲坂 伊緒
- 出版日
- 2011-04-13
同性に否定された経験から、嫌われないように努力をする双葉に共感できる本作。双葉は努力の方向性が違うことに気が付き、徐々に本来の自分に戻ろうと修正していくのですが、その過程で落ち込んだり迷ったりする場面での洸の寄り添い方が絶妙。励ますのではなく、頑張っているところを認めてくれるところに、見ていてくれるのだな、と胸がきゅんとします。
傍にいる時も触れるか触れないかの微妙な距離。心は近いのに、触れてはいけないと戒めるような距離が象徴的です。想いは互いにあるのに、なかなかくっつかない二人ですが、事故チュー後のキスのやり取りが秀逸。
不意打ちのキスに照れて憤慨する双葉に、洸は事故じゃなければよいのか、と提案します、黙ってしまった双葉に顔を寄せ「イヤじゃないなら目閉じて」と顔を赤らめながら言うシーンは、瞼を閉じるまでの視線の絡まり方にドキリとしてしまいます。
付き合っていないのが不思議なくらいですが、離れていても互いを大切に思っていることは伝わるふたり。それぞれの抱える悩みを克服しようともがきながら、ひたすらに前に進もうとする姿は、まさに青春。本作は、青春の輝きに満ちています。
長い黒髪に色白の肌、そして不気味な笑顔を浮かべる女子高生・黒沼爽子のあだ名は「貞子」。その陰気な雰囲気のせいで周りからも敬遠されてしまい、それどころか呪いをかけられるとか霊が見えるとか、根も葉もない噂を立てられてしまいます。
そんな状況の中でも、ただ1人、クラスの人気者である風早翔太だけは、爽子に優しく接してくれて……。
- 著者
- 椎名 軽穂
- 出版日
- 2006-05-25
アニメ化のみならず映画化など幅広いメディア展開もされている人気作『君に届け』。読んだことはなくても、タイトル名を耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
主人公の黒沼爽子は、名前とは対照的に陰気な雰囲気を醸し出す女子高生。おまけに笑うのが下手で、本人的には笑顔を浮かべているつもりが不気味な笑いにしかならず、余計に周りを怖がらせてしまいます。そんな爽子でしが、実は、どんな些細なことにも深い喜びを覚え、人の役に立つと自分も嬉しいというとても純粋で優しい性格の持主。そして、爽子はクラスメイトの人気者・風早翔太に憧れを抱いています。
風早は、とても爽やかで人なつっこく、どんな人からも愛されるタイプ。もちろんクラスでも人気者です。そんな風早も、とあることから爽子のことを気にしていました。
メインとなる2人がとても性格が良いので、物語全体もとても爽やかでピュアな印象を受ける本作。特に爽子は、周りからどんなに疎まれようとも前向きに努力をするタイプなので、読者も自然と応援したくなってしまいます。
また、爽子と風早のピュアな恋愛の行方はもちろんですが、周りから敬遠されていた爽子が少しずつ受け入れられ、友情を育んでいく様子も必見ポイント。心が洗われるような爽やかな漫画を読みたい時に、ぜひ手に取ってみてください。
名前とは対照的に、真っ赤なリンゴの色のような赤髪を持つ少女・白雪。白雪はタンバルン国というところで薬剤師として働きながら暮らしていましたが、その珍しい赤髪がタンバルン国のラジ王子に気に入られ、愛妾になるように言われてしまいます。
王子から逃げるため、白雪は長い髪を切り国を出ます。辿り着いた先は隣国クラリネス王国の森。そこで白雪はゼンという少年と出会い……。
- 著者
- あきづき 空太
- 出版日
- 2007-12-05
一国の王子と町の娘との恋という少女漫画では王道な作品です。
主人公の白雪は、名前とは対照的に真っ赤な美しい赤髪を持っていますが、その珍しさからいろいろな災難を呼び寄せる人生を送っていました。その最たるものと言えるのが、白雪の故郷でもあるタンバルン国の王子から妾になるように言われたこと。王子の命令とは言えど受け入れがたいその現実に、白雪は自ら髪を切り、国を出ることを決意します。
そんな行動からもわかるように、白雪はとても強い性格で、何事にも物怖じしない芯のある少女。自分の生き方や目標を決めたらそのために努力を惜しまない姿は、思わず応援したくなってしまいます。
そして、白雪の相手でもある王子というのが、森で出会ったゼンという少年です。ゼンはタンバルン国の隣国・クラリネス王国の第二王子。何かと理由を付けては城を抜け出しているのですが、その時に偶然、白雪と出会うことになりました。ゼンも、白雪とは立場が違いますが、自分の生き方を貫こうとする姿勢は白雪と同じタイプのキャラクターです。
一国の王子と町娘という身分違いの恋的な要素ももちろんありますが、そんな立場の違いがありつつも、2人ともそれぞれの夢や目標に向かって頑張っていく物語に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。
また、白雪やゼンを取り巻くサブキャラクターも丁寧に描きこまれており、それがまた作品の魅力を上乗せしています。王道で力強い作品なので、元気になりたい時、頑張って前に進みたい時などに読むのもいいかもしれませんね。
ゴリゴリの体躯にありえない身体能力を持ち、男気溢れる猛男は男子からモテモテ。高校生ですがその貫禄は中年感すらあります。そんな彼とは正反対にイケメンでクールな砂川とは実は小さい頃からの大親友。周囲からは意外がられますが、何だかんだと仲良しです。猛男はその見た目と純情すぎる性格、そしてイケメンすぎる砂川が隣にいる影響でなかなか好きな人とは結ばれませんでした。
ある日、猛男は電車で痴漢に困っていた凛子を助けます。猛男は彼女に一目惚れ。しかし今までの経験通り、彼女も砂川が好きなように猛男には見えて……。
- 著者
- アルコ
- 出版日
- 2012-03-23
実写映画化やアニメ化がされた人気恋愛漫画です。本作は何と言っても猛男のキャラクターが面白すぎます!まずはその顔。太すぎる眉毛に団子っ鼻、たらこ唇で髪型は角刈りと、いつの時代の男かと疑ってしまうほどインパクトのある見た目をしています。しかも服装も作務衣のようものに下駄。とうてい恋愛漫画の主人公とは思えません。
しかし、彼はとても純情。凛子に微笑まれるだけで顔面蒼白になってフリーズ。しかし心の中ではストレートな「好きだ」という思いが止まらないのです。
実は凛子も猛男が好きで、この後ふたりは晴れて結ばれます。その後のバカップルぶりもかなり面白いもの。ふたりはうぶすぎてどこかずれているのですが、どちらもずれているから何だか不思議にぴったりとハマる関係なのです。凛子も実はなかなかにいいキャラをしている本作。猛男と凛子への砂川のツッコミ(時には無言)に笑いながらピュアな恋愛漫画を楽しんでみてください!
幼い頃に母親と死別した女子高生・桃園奈々生は父親と2人暮らしをしていました。しかし、その父親がある日、ギャンブルで作った借金を残し突然蒸発!
そのうえ借金取りに家まで取られ、奈々生は女子高生の身でホームレス状態になってしまいました。
途方にくれる中、奈々生は犬に追い立てられて困っている謎の男・ミカゲと遭遇します。ミカゲは、犬を追い払って自分を助けてくれた奈々生の身の上を知ると、いきなり「家を譲る」と言い出し……!?
- 著者
- 鈴木 ジュリエッタ
- 出版日
- 2008-09-19
主人公の桃園奈々生は、ある日突然、ギャンブル好きの父親が借金を作ったあげくに蒸発してしまうという不幸に見舞われます。借金取りに家も取られ、女子高生の身の上でまさかのホームレス状態に。
ひょんなことから仲良くなったミカゲに「家を譲る」と言われ、半信半疑のまま指定された場所へ向かいますが、そこにあったのは、何と神社。しかも見るからに廃れたボロ神社です。実は、ミカゲは神社の土地神で、奈々生はミカゲから神社と共に土地神という立場も譲られていたのです。
こうして奈々生の神様生活が始まりました。家を失いいきなり神様という立場になってしまった奈々生ですが、そんな中でも前向きに頑張ろうという気持ちを持ち続けることのできる姿に、読者も思わず応援したくなってしまうかもしれません。
神社には、巴衛という神様に仕えている神使や、鬼火童子の鬼切、虎徹という人ならざる者も住んでおり、奈々生は彼らと衝突したり協力したりしながら、少しずつ神様としての仕事も覚えていくことになります。
巴衛というのは、もともとミカゲに仕えていた野狐ですが、ミカゲがいなくなってからはずっと神社を守ってきた存在です。口も態度も悪く、当初は奈々生とも衝突ばかりしていましたが、隠れたところで彼女の世話を焼くなど優しい面もあるキャラクター。俺様系ツンデレキャラとでも言うのかもしれません。
巴衛や鬼火童子を始め、本作には人ではないキャラクターがたくさん登場します。神道系の世界観もきっちり作りこまれているので、神様や妖怪、和風などのキーワードが気になる方にオススメです。全体的にはほのぼの系な優しい物語。奈々生や巴衛がどう成長し、そしてどういう恋を辿っていくのか、ぜひ手に取って確認してみてください。
私立桜蘭学院高等部――それは、上流階級の家柄の子供ばかりが通う全てがセレブな学校。どこもかしこも豪華絢爛な学校の中で、庶民出身の特待生・藤岡ハルヒは、落ち着いて勉強できる場所を探して校内をさまよった末、第三音楽室に辿り着きました。
しかしそこは、「ホスト部」という謎の集団が「ホストクラブ」を営業中で……!?
- 著者
- 葉鳥 ビスコ
- 出版日
- 2003-08-05
アニメ化やドラマ化もされている『桜蘭高校ホスト部』。タイトルにもなっている桜蘭高校は、日本でも上流階級の家柄、つまり超金持ちの子供達が通うセレブな学校です。そんな中で、主人公の藤岡ハルヒは庶民出身、学費を免除してもらえる特待生として入学した1年生。ボサボサの髪に眼鏡の地味な少年にしか見えないハルヒですが、実は「女の子」です。
きちんと身なりを整えると可愛らしい顔をした美少女なのですが、性格はサバけていて面倒くさがり。悪気なく毒舌を吐いたり相手の好意にまったく気が付かなかったりと淡々とした性格です。そんな彼女が、ある理由から「ホスト」としてホスト部に入部することになるところから物語は始まります。
ホスト部に所属するのは、ナルシストでバカだけど明るく人気の高いホスト部部長・須王環(すおうたまき)を始め、金銭にうるさいクール系や、イタズラ好きの双子、ロリショタ系、ワイルド系と個性の強い面々ばかり。
主人公が紅一点のいわゆる逆ハーレムものですが、ヒロインが「女の子」であることはホスト部だけの秘密であり、周囲からは「男の子」として扱われているところが、他作品とはちょっと違うポイント。性格もサバサバ系で、自分で何でもやってしまうタイプなので、可愛いだけのヒロインじゃないあたりもいいですね。
基本的にはテンションの高いギャグ要素も強い作品ですが、バランス良くシリアスなシーンも入るので、長いストーリーも飽きることなくどんどん読むことができるでしょう。
高華王国(こうかおうこく)のたった1人の皇女・ヨナは、豊かで恵まれた境遇の中、幼馴染で従兄妹のスウォンに片想いをしながら、幸せに暮らしていました。しかし、そんな幸せも、ヨナが16歳の誕生日を迎えた日に崩れ去ってしまいます。
信頼し好意を寄せていたスウォンが反旗を翻し、ヨナの父で高華王国国王のイルを殺し、王位を奪ったのです。皇女として命を狙われる立場になってしまったヨナは、もう1人の幼馴染で護衛役でもあるハクに助けられるのですが……!?
- 著者
- 草凪 みずほ
- 出版日
- 2010-01-19
朝鮮王国を思わせるような世界観の「高華王国」を舞台に、1人の皇女ヨナと、ヨナに仕える四龍を巡る物語です。物語の始めでは、ヨナは国王である父や側近から甘やかされて育っていたため、我がままで気の強い世間知らずな少女として描かれているので、その時点では読者も好みの分かれるキャラクターかもしれません。
ですが、本作の見どころは、そんなヨナが過酷な旅や人々との出会いを経て成長するところにあります。父を失い、自分を守ってくれるハクの姿を見て自分も戦うと決めた後のヨナの姿はとても魅力的なので、まずはそこまで読んでみることをオススメします。
紆余曲折を経て、ヨナは四龍と呼ばれる特殊な力を持った者達の助力を得るため、各地に存在しているであろう彼らを探す旅に出ることになります。旅の先々での出会いや事件はシリアスなものも多く、暗いトーンになることも多いですが、その中で、ヨナやハクはもちろんのこと、旅の仲間である少年・ユンや四龍達の成長やストーリーが丁寧に描きこまれており、読んでいるうちに思わず引き込まれてしまうことも多いでしょう。
ストーリーや設定自体は王道ファンタジーで、ファンタジーを読みこんでいる方にとっては既視感もあるかもしれませんが、各キャラクターが魅力的で物語の完成度が高い作品になっています。
また、ハクや四龍を始めとしたアクションシーンも多く描かれています。恋愛パートももちろんありますが、恋愛をメインに読みたい! という方には少し物足りないかもしれません。恋愛だけじゃないハイファンタジーな少女漫画を楽しみたいという方にオススメです。
『暁のヨナ』について詳しく知りたい方は<漫画『暁のヨナ』の登場人物と名言を24巻までネタバレ考察!無料で読める!>をご覧ください。
真っ赤な大きいリボンをつけた姫ちゃんと、ライオンのポコ太、何と言ってもこのキャラクターが可愛くてたまりません。もちろん当時も大人気でしたが今でもなお、このキャラクターに癒される方が続出なのです。読んだことがあるという方にも、読んだことがない方にも、是非読んで癒されていただきたい作品です。
- 著者
- 水沢 めぐみ
- 出版日
姫ちゃんこと野々原姫子は、魔法の国の王女エリカの修行に協力する代わりに、「魔法のリボン」という他人に変身出来るアイテムを貸してもらうことになります。それと同時に赤ちゃんの時から持っていたポコ太というライオンのぬいぐるみが喋れるようになり、姫子のお目付役になるのです。このリボンを使っていろんな人に変身し、色々な問題に遭遇する日常を通して、次第に成長していく姫ちゃんの様子が描かれているのがこの作品。
変身ものではありますが、変身ものと言っても変身して戦うという戦隊系ではなく、姫ちゃんの学園生活やドキドキするような恋のお話がメインになっています。そんな姫ちゃんの恋のお相手は、小林大地という同じ学校の男の子。あることがきっかけで、姫子のリボンの秘密を共有することになった彼と姫子が、お互い助け合い、次第に恋に落ちる様子はドキドキやキュンキュンが止まらないので必見ですよ。
「りぼん」での連載開始から大ヒットのこの作品、いつ読んでも何度読んでも楽しめる要素がたくさん詰まっています。恋や友情、学園での生活を通して大人に1歩1歩近づいてゆく姫ちゃんの姿を是非ご覧下さい!ストーリー、キャラクター、どれもこれもが素敵ですよ。
矢沢あい作の『NANA』は、もつれあう人間関係と音楽の世界を生きるバンドの葛藤を描いた恋愛・友情物語。作品の主人公である小松奈々と大崎ナナの二人の「なな」は偶然の出会いから同居することになります。ナナが所属する「BLACKSTONES(ブラスト)」と、ナナの恋人であるレンが所属する「TRAPNEST(トラネス)」、この2つのバンドを交えて物語は展開していきます。
- 著者
- 矢沢 あい
- 出版日
- 2000-05-15
奈々は素直で人懐っこく、犬のような性格であることから「ハチ」と呼ばれています。かなりの恋愛体質で周りが見えなくなってしまうため、つらい恋愛を何度も経験してきました。成長できない自分に悩む親しみやすい女の子です。
ナナはボーカリストとしてバンドの成功を誓い精進する毎日。サバサバとした男勝りな性格のナナは、誰かに依存しないと生きていけないようなハチにとってあこがれの存在であり、大切な親友になっていくのです。
見どころのひとつとしては複雑に交錯するキャラクターの恋愛模様。ハチは地元からの付き合いである章司、ブラストのノブ、トラネスのタクミらと恋をします。嘘や裏切りに何度も傷つきながらも人の温もりを忘れられないハチの弱さは、恋する女性が共感できるポイントではないでしょうか。
一方ナナの恋愛においては、ブラストの元メンバーであるレンとの関係が切なく描かれています。同じ道を歩んできたふたりだからこその葛藤からは目が離せません。一途であるがゆえに傷ついてばかりのハチ、一見強そうに見えて本当は誰よりも繊細な面を持っているナナ。ほとんどの女性が二人のどちらかに当てはまるのではないでしょうか。
『NANA』は名言が多いことでも人気を集めています。
「人生にはやり直しがきくって人はよく言うけど、人間は積み上げた過去を土台に生きているんだから、そう簡単にはいかないのよ 」
「遠くなる程よく見えるのに近くなるほど見失うんだよね」
「たまには道を大きく踏み外さないと自分や周りを客観視する事は出来ないんだよ」(『NANA』より引用)
などなど、ここでは紹介しきれないほど名言が多いです。きっと人生の教訓にできる一言が見つかりますよ。
可愛い絵柄とは裏腹に衝撃的な展開が多い『NANA』。いろんな視点から描かれているため、まるでジェットコースターにでも乗っているかのようなハラハラドキドキした気分が味わえます。作者休養のため2009年から連載はストップしていますが、女性向け漫画の名作のひとつでしょう。
小学6年生の主人公・倉田紗南(さな)は、映画やドラマに出演する人気子役タレントで、人気作家でお金持ちの母親との2人暮らしです。
小学校では、クラスメイトの羽山(はやま)が首謀して男子が暴れまわり、学級崩壊していました。紗南が羽山の荒れている原因の調査をすると、羽山の母親は、羽山を産んですぐに死んでしまい、お前を産んだせいだ!と姉から、虐待を受けていた事がわかります。理由を知った紗南は羽山を励まし、やがて2人に友情が芽生えます。
実は沙南は捨て子でした。拾ったのが今の母親で、いずれ本当の母親を探すために、紗南が劇団に入って普通の子供より少し有名になり、母は作家として人気がでるように頑張るから、2人で有名になったら、本を出して、本当の母親に名乗り出てもらおうという約束を5歳の時にしました。
- 著者
- 小花 美穂
- 出版日
やがて本当に母が自叙伝を執筆し、紗南が捨て子であることが世間に知らされます。覚悟はしていたものの、母の本当の真意がわからず、羽山の前で本音を吐いて泣き出すシーンや、「泣きたくなったら俺んとこにこい」と羽山が言うシーンには思わず泣けてしまいます。
りぼんで扱っていいのかな?とさえ思ってしまう、暗くなりがちな話題が豊富にでてきますが、紗南の明るい切り返しで話はテンポよく進んでいきます。恋愛音痴な紗南に突っ込みたくなるところもあり、りぼんっ子時代には少しイライラしていたような気もしますが、今読み返すと幼い頃に感じていたのと違う気持ちで読めるので新鮮で楽しいです。
紗南にキスする羽山にドキドキしたり、お互い気持ちがすれ違い人と付き合ってしまったりと、紗南と羽山が子どもから大人になるまでのラブあり感動ありの少女漫画をぜひご覧ください。
どっぷりハマった人多数!懐かしいと思う方も多いこちらの作品は「なかよし」にて連載されると同時にたくさんの読者の支持を受け、連載開始から間も無くアニメ化されたほどです。何と言ってもマンガ界で絶大な人気を誇るCLAMPの迫力ある描写は、誰が見ても引き込まれる作品。
- 著者
- CLAMP
- 出版日
異世界であるセフィーロという世界を救うため、異世界に突然飛ばされた3人の少女、獅童光、龍崎海、鳳凰寺風。この3人が魔法騎士として成長し、神官ザガードに捕らわれたセフィーロの姫を救うために、いろんな敵と戦いながら冒険を進めていくというストーリーです。この、戦いながら冒険をするというドキドキワクワク感が面白く、1度読み始めると止まらなくなるのがこの『魔法騎士レイアース』なのです。
そしてこの物語、終盤には誰もが驚くような展開が待ち受けていて、長編にも関わらず本当に最後まで飽きさせずハラハラさせてくれるところも、また魅力の1つですよ。漫画では1章に続き2章があるのですが、1章を読み終えた後は衝撃の展開から、続きである2章についつい手が出てしまうほど面白いです。発売当時、誰もが驚いたこの展開、この衝撃を是非実感していただき、3人の魔法騎士の織りなすストーリーにどっぷりハマっていただきたいです。
主人公3人の成長や、3人の成長に合わせてそれぞれの武器の形や大きさが変化する様子など、かなり細かい所まで作り込まれているのでじっくりと読んでみてください。
『魔法騎士レイアース』については<『魔法騎士レイアース』登場人物の魅力を徹底考察!【懐かしなかよし漫画】>の記事で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
祖父の家へ遊びに行っていた竹川蛍は6歳の夏、入ってはいけないと言われていた森に入ってしまい、迷子になってしまいます。何とか出口に辿り着こうと歩き回りますが、とうとう疲れて動けなくなっていたところ、お面を付けた不思議な少年ギンが声をかけてきました。
人に会えた喜びから思わず抱きつこうとする蛍ですが、ギンはそんな蛍を避けてしまいます。勢い余って転んだ蛍に謝りながら、ギンは、自分は人に触れられると消えてしまう妖怪なのだと説明した後、蛍を森の出口まで送ってくれました。
それから蛍は、毎年夏になると森へ行き、ギンと交流を重ねるようになります。
- 著者
- 緑川ゆき
- 出版日
山神様と妖怪達が住んでいるとされている森は、村の人達から、「入れば心を惑わされ帰れなくなる」、「行ってはいけない」と言われている場所です。人に触れられたら消えてしまうという少年ギンと、人間の少女、蛍との淡く切ない交流を描いたストーリーは、全編を通してまるでガラス細工のような透明感と儚さで包まれています。
蛍とギンは交流を重ねるうちに、お互いに淡い恋心を抱くようになりますが、人に触れられたら消えてしまうギンに蛍は触れることはできませんし、その逆ももちろん無理です。お互いが触れ合った時が別れの時になってしまうという設定が、この物語の何よりの魅力でしょう。
全1巻で完結するので、何度でも読み直したくなります。2人の迎えるラストは涙なしでは語れません。ふたりの結末を、ぜひ手に取って確認してみてください。
主人公キョーコは年頃なのにおしゃれする事もなく、アルバイトを掛け持ちしながら、幼馴染の歌手不破尚のため地元京都から上京し高校へも通えず青春のすべてをかけて、尽くしています。キョーコにとって尚ちゃんは幼いころからのヒーローで大好きな人だったから。しかし、潜入したテレビ局で、尚がキョーコの事は好きではなく、便利だから家政婦がわりに連れてきただけだという、衝撃の真実を聞いてしまいます。
信じてきた人に裏切られ、復讐に燃えるキョーコですが、今や尚は芸能人となっており、会うことも難しい存在になっています。キョーコは尚に復讐するために芸能人となる事を決意するのです。そんなキョーコの芸能界サクセスストーリー。
- 著者
- 仲村 佳樹
- 出版日
- 2002-07-19
人一倍、純粋なキョーコが復讐に取りつかれ、ブラックキョーコになってしまうギャグ要素も満載ですが、手をかけきれいになっていくキョーコが先輩蓮と出会い演技に目覚めていく姿は圧巻です。
キョーコが演じるドラマや映画の設定も、登場人物たちの人生とリンクする内容になっており、飽きさせません。キョーコの周りのキャラクターは、15年続く作品中にも数えきれないほど登場しているにもかかわらず、一人ひとりのバックボーンまで描かれ、個性豊かに作品を彩っています。
気持ちのよい、まっすぐなキョーコを誰もが応援したくなりますよ。
デザイン学校の服飾科に通う実果子はマンションのお隣さんのツトムと幼馴染。芸能人に似ているというだけでなんでこんな猿みたいなやつがモテるんだ?と思いながらも、だんだん彼を大事に思う気持ちが友情だけではないことに気づき……。
- 著者
- 矢沢 あい
- 出版日
ヒットメーカー矢沢あいの代表作のひとつです。自身が服飾学校に通っていたこともあり、とにかく登場人物たちの服装が可愛い!主人公の実果子は自分のブランドを立ち上げたいというくらいのこだわりの持ち主なので格好が独特。
くるんくるんの髪に大きい飾りのついたヘアゴム、超厚底の靴に派手な柄など、実際にいたらびっくりしてしまいそうなスタイルです。しかしその独特な格好が彼女の明るくハッピーな性格にぴったりでこの格好をすべくして生まれてきたような気さえしてきます。
彼女はポジティブな様子が通常運転ですが、ツトムとのことになると自分で抑えられないほど不安になることも。その様子は普段の元気いっぱいな様子と対比的に描かれ、恋の苦しさを見事に表現しています。
おしゃれでハッピー!時々苦い。矢沢あいの手腕が光るおすすめ少女漫画をぜひご覧ください!
高校2年生に進級した春。双子の兄弟、浅羽悠太と祐希が友人の塚原要と松岡春と一緒に屋上で昼ご飯を食べていたところ、話題は新しいクラスのことになります。双子の弟、祐希と要は初めて同じクラスになったのですが、そこでの祐希の振る舞いに要は不満を隠せません。
祐希は、クラスの誰から話しかけられても一切返事をしない、コミュニケーション能力も協調性も一切ないタイプだったのです。さすがにそれは……と思う春と、別にいいんじゃない、と思う双子の兄、悠太達を横目に、要は祐希の性格を矯正するべく祐希を部活動に入れようとするのですが……。
- 著者
- 堀田 きいち
- 出版日
双子の兄で何かと淡々としている浅羽悠太と、双子の弟で協調性のない浅羽祐希、秀才で案外面倒見の良い塚原要、女子っぽい男子の松岡春の4人を中心に、男子高校生の日常を描いたこの作品は、キャラクターもストーリーもとてもゆるいのが特徴です。大事件が起こるわけでもなく、不思議な展開が待っているわけでもありませんが、そんな脱力系の日常こそが特別に思えてくる雰囲気は読みだすとクセになってしまいます。
恋愛要素も時々ありますが、青春の中にある恋愛を切り取ったような感じで、少女漫画らしい大恋愛のようには描かれていません。ハラハラドキドキするよりも、ほのぼのゆるゆるしたい方にぜひ読んで頂きたい漫画です。
受験戦争真っ只中の夕城美朱(ゆうきみあか)は、難関高校を目指して猛勉強中。全ては女手一つで育ててくれた母の期待に応えるためでしたが、本当に行きたい高校は母が期待する所とは別にあったのでした。
ある日、美朱は親友の本郷唯(ほんごうゆい)と、図書館で一般閲覧は禁止されている本が収納された部屋を見つけます。つい入ってしまったふたりがそこで見つけたのは、「四神天地書」と書かれた中国の小説らしき本。何気なくページをめくっていると、いきなり大きな地震が起きます。
地震も収まりホッとした顔をあげると、そこは図書館でも何でもない全く見たことのない広大な大地が広がる場所でした。呆気に取られている彼女たちを、今度は人さらいが襲います。危機に陥ったふたりを助けたのは、額に「鬼」と書かれた青年でした。
- 著者
- 渡瀬 悠宇
- 出版日
中学3年生の美朱は、食いしん坊で明るい性格である一方、女出ひとつで育ててくれた母が、「来年の春には城南学院の制服姿、お母さんに見せてね」と言うので、「お母さんの期待に応えたいから、とうとう『四葉台受けたい』って言えなかったけど…」と遠慮してしまうような優しい女の子です。そんな彼女が親友の唯と共に異世界へ迷いこんだところから、物語は始まります。
異世界に迷い込んでしまう現代の中学生というスタイルは、典型的なファンタジーの形です。しかし、だからといってありきたりな話なのかと言われればもちろんそうではありません。古代中国の四神や二十八宿などの考え方がモチーフとされており、読者の中にはこの作品をきっかけに中国の歴史に興味を持ったという方も多いでしょう。
少女漫画らしく主人公の周りにはイケメンがたくさん登場しますが、美朱が食いしん坊な設定もあり、笑える要素がたくさんあります。笑える少女漫画や異世界ファンタジーが好きな方は手に取って損はない作品です。
主人公の小石川光希は、ある日突然、両親から「離婚する」と告げられます。しかもその離婚は、何と旅行先のハワイで仲良くなったという松浦夫婦と、互いにパートナーを入れ替えて再婚するためのものものだというので、光希は驚きを通り越して怒ってしまいます。
- 著者
- 吉住 渉
- 出版日
そこで光希は、松浦夫婦の息子・松浦遊と一緒に両親の離婚と再婚を阻止しようとしますがうまくいかず、結局二組の夫婦と遊と一緒に暮らすことになってしまいました。光希は、美少年、成績優秀、スポーツ万能と完璧だけど意地悪な遊に振り回される日々を送りながらも、だんだんと遊に惹かれていき……。
二組の夫婦が離婚をして、さらにパートナーを交換して再婚するという驚きの展開から始まる物語です。そして連れ子同士である光希と遊は一緒に生活することになり、お互いに惹かれていきます。遊は美少年で成績優秀でスポーツ万能で、でも意地悪で……と少女マンガの王道をいくようなキャラクターです。
一方、光希は明るく快活な女の子で、2人の恋愛模様は常に明るい雰囲気を保って描かれており、読者を明るい気持ちにさせてくれます。とはいえ、もちろん2人の間には様々な障害もあります。自分達の出生や、2人の周りに現れる恋敵達など、近くなったと思ったらまた離れてしまう、そんな恋愛ストーリーを楽しむことができます。
他にも、脇を固めるキャラクター達には先生と生徒の禁断の愛なども描かれており、甘いけど苦い王道な恋愛要素がたくさん盛り込まれています。実はそんなストーリーの魅力は、タイトルにも隠されています。このタイトルに秘められた意味について、作中で光希がこんなことを言っています。
「ほんとはすっごく苦いとこあるのにみんなうわべの甘さに騙されて気づいてないの。ママレード・ボーイ! ね、ピッタリでしょ!?」(『ママレード・ボーイ』より引用)
苦いけどやっぱり甘い、そんな王道恋愛ストーリーを楽しみたい方におすすめの作品です。
2学期開始直前に風邪をひき、みんなとは3日遅れで学校に来た冴島翠は、知らぬ間に生徒会役員候補に推薦されていました。午後から行われる立会演説のために講堂へ行き、立候補者はステージ横に集められ、くじでスピーチの順番を決めていきます。そんな中、会いたいと思っていたリーゼント頭の男子生徒の須藤晃も集まってきました。
くじで最初になった翠は、友人の応援演説で勇気をもらいスピーチに成功しますが、戻ろうとするときにマイクコードに足を引っ掛けて転倒します。その上スカートがめくり上がってパンツを全校生徒に見られてしまいます。しかし、晃が機転を利かせてくれて翠はその場を後にすることができました。
投票の結果、会長・須藤晃、副会長・冴島翠、会計・瀧川秀一、書記・麻宮裕子、書記・河野文太の5人が選ばれ……。
- 著者
- 矢沢 あい
- 出版日
- 2000-10-30
本当に王道の少女漫画です。翠が晃を気になるきっかけは、雨の中晃が子猫を拾っていたところを目撃したから。今で言うところのギャップ萌えでしょうか。また、恋愛100%ではなく、女同士の友情もストレートに表現されていますし、読者のその時の心情で泣き所が毎回変わるというのも特徴です。単行本は全8巻とそこまで多いわけではないので、一気に読み終われる作品だと思います。
幼稚園から大学まで一貫学校である聖プレジデント学園は、名士や名家出身の子息令嬢が通う超名門校です。この学校の生徒会は暇を持て余していることから「有閑倶楽部」と呼ばれていました。
- 著者
- 一条 ゆかり
- 出版日
剣菱財閥の令嬢で、ワイルドなトラブルメーカーの剣菱悠里や、宝石商の一人娘でセクシーな男好きの黄桜可憐、日本画の大家と茶道の家元を両親にもつクールな男嫌いの白鹿野梨子ら3人の女の子と、大病院の御曹司で作戦参謀の一面をもつ野梨子の幼馴染菊正宗清四郎や、警視総監の息子だが不良関係に顔が広い松竹梅魅録、駐日スウェーデン大使の息子で女好きの美童グランマニエら3人の男の子を合わせて6人がこの有閑倶楽部のメンバーであります。
そんな暇を持て余した彼らに様々なトラブルが舞い込んでき、彼らの知恵や人脈、行動でトラブルを解決するという、基本的に1話完結型の作品です。外部からのトラブルが多いのですが、超個性的な6人による倶楽部内での結婚問題や仲間割れ問題が起こるなど、展開に飽きが来ずに楽しめます。少女漫画に多い恋愛要素がほとんどないのも特徴でしょう。こちらも、時代を超えて楽しめる作品です。
『有閑俱楽部』については<『有閑倶楽部』やっぱり名作!また読みたくなる7つの事実をネタバレ【無料】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
この作品は、1962年に始まった初期の作品(原作第1期と言われています。)と、1968年にアニメの第1話にあわせて始まったリメイク版の作品(原作第2期と言われています。)があり、また、1988年には出版社を変え、2度目のアニメ化にあわせて始まった作品(雑誌名からなかよし版と言われています。)もあります。その度に設定が異なる部分も出てきていますので、世代によって細かい部分での食い違いが出てくるかもしれませんね。
- 著者
- 赤塚 不二夫
- 出版日
- 2009-01-24
原作第1期では、変身願望の強いアッコはいつも何かになりたがっていました。学校の先生や、お相撲さん、シンデレラに憧れを抱いているのです。そんなある日、お留守番中のアッコは縁側でお気に入りの自分の鏡とママの化粧ポーチでお化粧していました。その時、外から飛んできたボールが鏡に直撃し、鏡が割れてしまうのです。
犯人を捜しに外へ出るも、誰もいません。仕方なく家に帰り、鏡をボンドでくっつけようとしますが上手くいかず、八つ当たりでボールを投げ飛ばします。その投げ飛ばしたボールは黒いスーツの男に当たってしまいます。彼は鏡の国の住民で、鏡を大切に使ってくれたアッコに鏡の交換を申し出るのです。また、アッコの変身願望を知っていたこの男は、変身が出来るように魔法の言葉を教えてくれます。ただし、変身している間に鏡を見ると、変身が解けてしまうので、鏡は見てはいけないそうです。
こうして、みなさんお馴染みの鏡で変身して人助けをするアッコが活躍する、笑いあり涙ありのコメディー漫画として進んでいくのです。
ちなみに、あの有名な魔法「テクマクマヤコンテクマクマヤコン」は、「テクニカル・マジック・マイ・コンパクト」の略だそう。元に戻るときの「ラミパス・ラミパス・ルルルルル~」はスーパーミラーを逆から読んだだけみたいです。知らない人は知らないので、言ってみるとトリビアになるかもですね!
日下部まろんは新体操部に所属する元気で明るい16歳。普通の女の子として生活しているように見えるけれど、実はジャンヌダルクの生まれ変わりとして力を受け、怪盗ジャンヌとして絵画に潜んでいる悪魔を回収しているのです。
- 著者
- 種村 有菜
- 出版日
準天使フィンと共に、魔王が悪を潜ませた美しい絵画を回収するまろんですが、同じ高校に通う都は、なんと怪盗ジャンヌを追う刑事の娘。毎回毎回、都によって邪魔をされながらも準天使フィンを正天使にするために仕事をこなしていくのです。そんな時現れた名古屋稚空という男の子になぜか言い寄られ、そして振り回され、困惑するまろん。
なんと、彼の正体は怪盗ジャンヌに勝負を挑み、散々振り回し仕事の邪魔ばかりする怪盗シンドバッドだったのです。実はその怪盗シンドバッドの彼、はじめはまろんにちょっかいを出すだけだったのですが、少しずつまろんのことが気になりだし、まろんの方も稚空のことが気になるように……⁉︎そんな怪盗同士の2人の恋の行方にも、是非注目して読んでみてください。
女の子が羨ましいなと思う要素がたくさん詰まった完璧な女の子のまろんと、こんな男の子に出会いたいと思うようなイケメン青年の稚空、そんな2人が少しずつ気持ちを寄せ合っていく様子から目が離せなくなります。怪盗ジャンヌとして悪と闘うまろんも、少女として恋する等身大のまろんも、どちらも可愛らしく魅力的で、応援してしまうこと間違いなしです。
桶野まつりが贈る、人間と吸血鬼の学園物語です。アニメ化されたことでも話題となりました。
全寮制の高校「黒主学園」に通う主人公たちを中心に物語が進みます。この学園では、クラスが人間と吸血鬼で分けられていました。吸血鬼はみなエリートで美形ぞろい。普通科に通う人間の生徒たちは、夜間部(ナイト・クラス)の生徒が吸血鬼であるということは知りません。
- 著者
- 樋野 まつり
- 出版日
- 2005-07-05
黒主学園理事長の養子で、主人公の黒主優姫は学園を守る守護係である風紀委員を務める高校1年生です。優姫とともに守護係の錐生零は幼馴染で、吸血鬼ハンターの名家の出身。数年前に家族を吸血鬼に奪われたため、吸血鬼を激しく憎んでいます。
そして夜間部クラス長で、夜間部生徒の寮長でもあるヴァンパイア・玖蘭枢はなぜか優姫に優しく、いつも助けてくれます。実は2人にはある秘密を隠した繋がりがあったのです。優姫がそんな皮肉な運命に翻弄されるこの物語をもっとも表す言葉を発します。
「私さえ生まれなければ…私がいなければ、あなたの”今”はきっともっと違ったのに……」 (『ヴァンパイア騎士』から引用)
この言葉は物語のある重要な部分で出てくるのですが、まさに悲しい物語を象徴したものといえるでしょう。複雑な展開ですが、その分衝撃のラストに涙するのは間違いなし。ぜひご覧ください。
『ヴァンパイア騎士』について紹介した<無料で読める漫画『ヴァンパイア騎士』キャラクターの魅力!【ネタバレ注意】>の記事もおすすめです。気になる方はあわせてご覧ください。
OLの若林伊織は、職場の同僚の日下幅広(ひげはばひろ)のことが好きで、しょっちゅうイタズラをしかけてはからかっています。しかし気持ちを素直に伝えることはできません。
一方、日下はマシュマロが大好きなメタボな中年サラリーマン。伊織からあらゆるマシュマロを使ったイタズラを受けます。伊織のイタズラは周りから見れば好意を寄せているための行動としか見えないのですが、肝心の日下は大好きなマシュマロに気を取られ、伊織の気持ちにはまったく気がつきません。かみ合わないふたりの恋の行方は……?
- 著者
- 音井れこ丸
- 出版日
OLとマシュマロ好きサラリーマンのゆるい恋愛漫画です。いい歳をした中年サラリーマンが、マシュマロを見せられると頬を染めてつられる姿は、シュールなのにどこか微笑ましく、またそんな日下を見て喜んでいる伊織もかわいらしく思えます。あそこまで夢中になれるものがあるなんていいな……と思ってしまう人もきっと少なくないでしょう。
伊織がマシュマロを使って日下にちょっかいを出すのは、もちろん日下の気を引くためです。しかし、マシュマロ以外目に入っていない日下は、伊織がどんなに直球な言葉を言っても通じません。例えば、何をしたいのかと問われた伊織が、「じゃ、子作り」と言ったのを、「ジャコ作り」と勘違いするくらいです。
全編カラーで、基本的には短めのエピソードが並ぶ構成なので、隙間時間に気軽に読むものとしてもピッタリです。読んだらつい、好きな人にちょっかいを出したくなるかもしれません。
片倉桔平は、女の子にモテモテで自分も女の子にすぐ手を出す高校生。授業をサボって女の子とイチャイチャして先生に怒られるような桔平の前に、ある日突然、坂下ゆずゆという女の子がやって来ます。
ゆずゆは桔平の母の妹の娘、つまり従兄妹にあたる子ですが、夫を亡くしたゆずゆの母(桔平のおば)がいきなりゆずゆを置いて失踪してしまったというのです。ひとりになってしまったゆずゆを預かることになった片倉家ですが、桔平は姉の鈴子(れいこ)から、ゆずゆの面倒を見るように言われて……!?
- 著者
- 槙 ようこ
- 出版日
- 2010-11-18
女たらしだけど普通の男子高校生な桔平が、いきなり5歳児の面倒をみるように言われたところから話は始まります。もちろん桔平には両親もいるし、姉と弟もいます。それでも桔平が「お世話係」に命じられたのは、桔平が女の子と遊んでばかりでふらふらしていることに姉の鈴子(れいこ)が怒ったからでした。
最初は、ゆずゆとどう接すればいいのかわからず、幼稚園のお弁当にコンビニのおにぎりを持たせてしまうようなことをする桔平。しかしそれがふたりの間の関係が変わるきっかけとなります。ゆずゆはそれを見て「ママ」に作ってもらったおにぎりのことを思い出し、
「ゆず、いっつもたべきれなくてのこしちゃうから、だからママッ、ゆずのこときらいになっちゃんたんだ………っ(中略)ゆず、ちゃんといいこにするから…っ、ママのとこつれてって…っ」
(『愛してるぜベイベ★★』より引用)
と、それまで我慢していたものを溢れさせます。そんな彼女を見た桔平は、ゆずゆに対して愛情を抱きます。ゆずゆの健気さはもちろんのこと、それまで幼い子供と触れ合ったことのない高校生の微妙な心理がとてもよく伝わってきます。
桔平とゆずゆを中心に、桔平の彼女である徳永心の存在や、様々な家庭問題にもスポットが当てられ、時々重たいテーマを扱うこともある本作。それらと向き合い乗り越えていく桔平達の姿に、思わず感情移入してしまうこと間違いなしです。巻数も全7巻とそんなに多くないので、ぜひまとめて最後まで一気読みしてみてください。
『愛してるぜベイベ★★』については<『愛してるぜベイベ★★』の見所を最終回までネタバレ紹介!無料で読める!>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
祖父と田舎で暮らす佐倉蜜柑(さくらみかん)と今井蛍(いまいほたる)は親友同士。しかしある日、蛍は突然、東京の学校に入ることになり、転校してしまいます。蛍は「アリス」と呼ばれる天才で、そんな天才を集めた「アリス学園」というところへ行くのだといいます。
別れるのは辛いけど、それでも最初はまた会えると思っていた蜜柑でしたが、「アリス学園」というのは一度入ると家族ですら簡単に会うことのできない監獄のような学校であることを知ります。さらに、蛍が「アリス学園」に入った本当の理由を知ることになった蜜柑は、我慢できなくなってとうとう単身東京へ向かって……!?
- 著者
- 樋口 橘
- 出版日
「アリス」という不思議な超能力を持った少年少女達が活躍する学園もの少女漫画です。空を飛んだり、不思議な発明をしたり、炎を操ったりと様々な能力を持ったキャラクター達が出てくるのですが、一般的な超能力ものにあるような力とは少し違っていて、その力はユーモアに溢れたものもこの作品の特徴です。
その中でも主人公の蜜柑の力は特殊ですが、うまく使えないこともあり学園の中では落ちこぼれの彼女。しかし持前の根性と明るさで頑張る姿は、次第に周りも巻き込んでいきます。
最初のうちは学園ものコメディっぽくおもしろい雰囲気ですが、ストーリーが進むにつれて様々な謎が解明されていき、雰囲気もシリアスなものへとなっていきます。巻数も多く長編ストーリーですが途中で飽きることがないのは、キャラクターの個性と変化するストーリーの魅力にあるのでしょう。少しずつ成長する蜜柑達の結末を、ぜひ手にとって確かめてみてください。
『学園アリス』については<漫画『学園アリス』キャラの魅力を最終回までネタバレ紹介!【学アリ】>の記事で紹介しています。気になる方はぜひご覧ください。
高校生の羽柴夏樹は、クリスマスを前にして初めてできた彼女に浮かれていました。絶対にクリスマスデートを成功させたい夏樹は、いつもつるんでいる松永智也と片倉恵一に相談します。しかしデートの邪魔をされそうな雰囲気になってしまい、夏樹は慌ててふたりから逃げ出すのですが、結局、彼女とのデートに彼らは現れます。
しかしそこで、智也と恵一は、彼女が、夏樹が姉からのお下がりの高級な時計をしているのを見たのをいいことに、クリスマスにブランドものをプレゼントしてもらおうと企てていることを知ってしまいます。ふたりはそのことを夏樹に伝えますが、話を聞いた夏樹は怒ってしまい……。
- 著者
- 水野 美波
- 出版日
少女漫画には珍しい、男の子が主人公の物語です。恋愛に対してロマンチックな妄想を膨らませる夏樹、女好きのチャラい智也、何故かムチを持ち歩いているドSな恵一、それにコミケに情熱を捧げるオタクの直江剛を中心に、男子高校生の日常や恋愛がコミカルに描かれています。
4人の男子高校生がわちゃわちゃとしている様子は、他の少女漫画にはない面白さと、つい「かわいい」と言ってしまいそうになる少年たちの魅力があります。喧嘩することもありますが、サバサバとした感じでそれほど深刻にならないのも、男子高校生が主人公ならではかもしれません。
もちろん女の子達も出てきて、それぞれ夏樹達と絡んで話が進んでいくことになりますが、青春の中に恋愛が含まれているという雰囲気で、恋愛漫画というよりも青春漫画として楽しむことができます。いつもとちょっと違う少女漫画を読みたい方にオススメしたい作品です。
都内の高校に通う女の子本田透は、事故で母を亡くし山でひとりテント生活を始めるのですが、なんと土砂崩れによりテントが崩壊。その敷地が同級生の男の子、草摩由希の家族が所有する土地であったため、ひょんなことから由希の家に居候させてもらうことになることから始まります。
- 著者
- 高屋奈月
- 出版日
- 2015-09-04
一見フツーの高校生のような由希と、その保護者である草摩紫呉でしたが、実は草摩一族には隠された重大な秘密が……。なんと彼らは異性に抱きつかれる事で動物の姿に変身してしまうという12支の物の怪に取り憑かれている一族でした。例えば草摩由希は子(ねずみ)、草摩紫呉は戌(犬)というふうに草摩一族の呪いにかかる1人1人が違う動物に取り憑かれているので、誰が何の動物に取り憑かれているのか、ワクワクしながら読める事もこの作品の魅力です。
そんな異質な体質を持つ草摩の一族と、ひょんな事から居候することになった透との交流や日常を描いているのがこの作品。そんな生活の中で12支に取り憑かれた一族の1人1人が様々な悩みを抱え、取り憑かれている事で傷ついたり葛藤しながらも、自分自身と向き合い成長していく様子には、なかなか考えさせられる部分も多いです。しかしその部分がまた面白く、ついつい読んでしまうのを止められない理由でもあります。
変身は変身でも単純な変身ものではないこちらの作品。可愛い女の子もイケメンも登場する盛りだくさんな漫画となっていますよ。男女問わず面白く読める事間違いなしのストーリーなので、是非読んでみてください。
ウィーンの町のレストランで働く14歳の少女ハニーハニーは、幼いころ両親から捨てられ、シスターに育てられます。オーストリア皇女のフローレル姫が「この宝石を手にした人と結婚する」と、投げた世界的貴石「アマゾンのほほえみ」を、ハニーハニーの愛猫ミミーが飲み込んでしまい、そこから彼女の逃避行が始まります。
舞台はヨーロッパ全土、アメリカ、そして日本まで。彼女を追うのは、フローレル姫の求婚者、そして宝石をねらうお尋ね者の怪盗・フェニックス。彼らとのドタバタ劇が続きます。
旅の途中でフローレル姫はミミーのお腹からアマゾンのほほえみを取り出すことに成功。ここで物語は一つの区切りを迎えます。ところがここからお話は急展開。用済みのハニーハニーをなんとフローレル姫は海に投げ出してしまいました。
フローレル姫の手で海に投げ出されたハニーハニー。海で海賊に助けられますが、その後陸に上がり、火の上を歩くことになります。火の上を歩く彼女の足に「バラの花のあざ」が。そのあざから、ハニーハニーはプリシラ国の王女であることが判明し……。
- 著者
- 水野 英子
- 出版日
脈絡のないストーリー展開の中で、コミカルに話が進んでいきます。ハニーハニーが実は小さな国の王女だったり、途中でアマゾンのほほえみがフローレル姫の元に戻ったのに、ハニーハニーを海に落としたりと、当時の少女漫画のお約束展開があちらこちらに盛り込まれています。
読みながら、あまりの突拍子もない展開に突っ込みを入れながらも、つい夢中になって読んでしまう。そんな古き良き少女漫画ですが、一度読んだらはまってしまう人もいるのではないでしょうか。
1981年にアニメ化もされています。さらにシュミレーションゲーム「アイドルマスター」が主題歌「ハートは大騒ぎ」をカバーしています。ファンはもちろん、興味を持った人はぜひ原作も読んで下さい。
人間と妖怪が共に暮らす日本で、突然、人間側の一方的な暦の改変が行われ、それがきっかけに人間と妖怪の間には亀裂が入ってしまいます。反発する妖怪達は様々な問題を起こすようになり、その対処のために作られたのが、人間と妖怪の代表とが共同で作った「妖人省」でした。
人と妖怪のハーフの少女、西王母桃(ざくろ)は、同じ半妖で幼馴染の薄蛍(すすきほたる)らと共に妖人省に呼び出され、そこで総角景(あげまきけい)という帝国陸軍の少尉と出会います。
最初は王子様のような美青年の景に惚れ惚れしますが、実は、景は妖怪を前にすると頭を抱えて怯えてしまうような大の妖怪嫌い、そしてヘタレだったのです。景に不信感を抱くざくろですが、一方、薄蛍らはパートナーと打ち解け始めていて……。
- 著者
- 星野 リリィ
- 出版日
舞台は大正ロマンの雰囲気が漂う日本ですが、人間と妖怪が共存していたり洋物っぽい雰囲気が混じっていたりする独特なファンタジーの世界カ観となっています。物語は、世の中が「改暦により月の満ち欠けと共に生活を営んでいた我が国が突如として太陽の巡りと共に生きていくことになった」ところから始まります。
胸キュン要素の多い少女漫画ですが、ざくろは可愛らしい容姿とは裏腹に勝気でちょっと男勝りな性格。一方、景は見た目からの予想を外すヘタレと、見た目と性格のギャップがあるのもおもしろいところです。ざくろが乙女過ぎずサバサバしているので、普段少女漫画をあまり読まない方でも受け入れやすいのではないでしょうか。
ざくろと景のパートナーだけでなく、薄蛍と芳野葛利劔(よしのかずらりけん)や、その他の個性的な半妖と人間のパートナーもそれぞれが横で信頼関係を築き始めているのも魅力の1つです。メインだけでなく脇役の個性が光ると、つい想像力がかきたてられてワクワクしてしまいますね。妖怪や大正ロマンが好きな方にはぜひ手に取って頂きたい作品です。
ニノは幼い頃から歌うことが大好きな女の子。隣に住むモモとは大の仲良しで、親が喧嘩している時も楽しい時もいつも彼と一緒に歌うと無敵になれる気がしていました。しかし、モモが何も言わずに引っ越してしまったことをきっかけに不安定になってしまいます。
そんな彼女を救ってくれたのがユズでした。彼のおかげでやっと楽に呼吸ができるようになったと感じた彼女ですが、彼もまた何も言わずに彼女の前から去っていってしまったのです。ふたりに届くように歌に寄り添い続けてきた彼女は、高校になって再びふたりを出会うのですが……。
- 著者
- 福山リョウコ
- 出版日
- 2013-10-18
夢を追いかける中で自然と交わる3人の物語です。みんな幼い頃の記憶を大切にしてはいますが、時間がたった故に変わってしまった関係性に切なくなります。昔は好きと思うだけで力が湧いてきたのに、今では相手の気持ちの見返りを求めてしまうのです。
ニノはモモに別の好きな女性がいることを知り、傷つきます。そこでまたユズは彼女の背中を押すのですが、彼はニノのことが好きなので優しくしながらも辛く感じるのです。そしてモモもまた、ある秘めた想いを持っています。とにかく全員が切ない気持ちを抱えた本作。胸が締め付けられること間違いなしのおすすめ少女漫画です。
いかがでしたか?壮大なファンタジーからゆるい日常まで、少女漫画と一言で言っても内容は様々です。アニメから入った方も、これを機会にぜひ原作を手に取ってみてください。アニメにはない魅力がきっと見つかるはずです。