体が入れ替わってしまう入れ替わりものの。入れ替わりものの面白いところは、視点が変わったことで見えないものが見えキャラクター達が成長していくところです。ここでは、入れ替わりものの漫画の中でも男女問わず楽しめるおすすめの漫画を紹介します。
大学進学を機に群馬から上京してきた小森功は、新しい生活に期待を持っていました。しかし、大学に入学して数か月を過ごしても友達ができず1人で過ごす日々を送り、そのまま2年になったある日、大学に行くのをやめてしまいました。
大学に通っていないことを母に隠しながら毎日家に引きこもり、未来に何の展望も持てない功でしたが、ただ1つ楽しみがあります。それは、行きつけのコンビニでよく見かける女子高生の後を尾行することでした。名前も知らないその女子高生を、功は「コンビニの天使」と呼んでいました。
ある日、いつものように尾行をしていた功に、「コンビニの天使」がいきなり微笑みかけてきました。それを見た途端、功は意識を失ってしまいました。次に目覚めた時、功は自分が「コンビニの天使」になっていて……!?
- 著者
- 押見 修造
- 出版日
- 2012-12-07
青年向けの漫画雑誌「漫画アクション」で連載されていた漫画で、単行本は全9巻で完結しています。
主人公の小森功は、親に隠れて大学に通わず、仕送りを頼りに日々自堕落な生活を送る青年です。そんな功は、行きつけのコンビニで夜の9時頃に見かける女子高生を「コンビニの天使」と呼び、密かに想いを寄せています。一方、「コンビニの天使」と呼ばれている女子高生の名前は吉崎麻理といい、功とは正反対に社交的な美少女でした。
入れ替わりものではありますが、他の作品と違うところは、功は麻理の体に入りますが、本物の麻理はどこへ行ってしまったのかわからないという点です。また、もともと自堕落な引きこもり生活を送っていた功が、突然明るい女子高生の生活を送れるわけもなく、麻理のクラスメイトである柿口依(かきぐちより)にあっさりと正体を見抜かれてしまいます。
男性向け漫画で、片思いの女子高生の体になった男という設定もあり、性的描写もある程度の範囲であるので、女性読者は好みが分かれるかもしれません。ただ、女子高生を中心に女性同士の会話や人間関係などはとても細かく描かれているので、共感できる部分もあるでしょう。
「本物の麻理」がどこにいったのか探すといったミステリー要素もあり、読めば読むほど先が気になってきます。物語が進むにつれて明かされる意外な結末は、どうぞ手に取って確認してみてください。
『ぼくは麻理のなか』については<漫画『ぼくは麻理のなか』の魅力をネタバレ紹介!押見修造の話題作>で紹介しています。
赤月町に住む高校1年生の小日向あゆみは、ずっと好きだった相手と晴れて恋人になることができ、意気揚々と初めてのデートへと向かいます。その日は、赤月町の名物である昼間に赤い月が浮かぶ日でした。
デートの待ち合わせ場所へ向かったあゆみでしたが、そこにクラスメイトの海根然子(うみねぜんこ)から電話がかかってきます。然子は、あゆみに向かって自分は死ぬと告げます。驚いたあゆみが然子に言われるまま上を見ると、赤い月を背に屋上に腰掛ける然子が視えました。
そして、然子が飛び下りるのを目撃した瞬間、あゆみは意識を失ってしまいました。次に気が付いた時、あゆみは自分が然子の体になっていることに気が付きます。混乱しながらも必死に周りへ自分は「小日向あゆみ」だと訴えますが、あゆみの体になっている然子にまでも突き放されてしまい……。
- 著者
- 川端 志季
- 出版日
- 2015-02-25
少女向け漫画雑誌「別冊マーガレット」に連載されていた作品で、単行本は全3巻が発売されています。
恋人が出来たばかりのあゆみはとても優しく素直な性格で、家では両親の愛情も一身に受け、学校では友達もたくさんいる女の子です。そんなあゆみと入れ替わった然子は、容姿に恵まれず性格も暗く、学校でも孤独な存在。家庭環境も良いとはいえません。
「可愛い子」と「醜い子」が入れ替わるという設定はやや既視感のあるものですが、そこから繰り広げられるストーリーはミステリアスで、テンポも良いのでどんどん先へと読み進めてしまうでしょう。また、然子のたくらみによって自分の体を失ってしまったあゆみですが、そんな状況においても心優しく素直なので感情移入もしやすく、それも物語に引き込まれる要素となっています。
そんな主人公に対して、可愛い容姿を手に入れた然子の性格はかなりひねくれています。あゆみが素直な性格なぶん、余計にそう見えてしまうということもありますが、物語の当初は少し受け入れがたい印象を受けることもあるでしょう。しかしそれも、ストーリーが進むにつれて変わっていきます。
全3巻という長さなので読みやすく、また、一気に読むことでキャラクターの変化もより強く感じることができます。ぜひ、全巻そろえてひと息に読んでみてください。
『宇宙を駆けるよだか』について紹介した<漫画『宇宙を駆けるよだか』が3巻完結なのに面白すぎ!全巻ネタバレ紹介!>もおすすめです。
呼水千尋(よびみずちひろ)と姫野律(ひめのりつ)は幼馴染。そこに千尋の姉の百合と律の姉の鎮(しずか)を入れて、4人はまるで兄妹のように育ちました。律と鎮の家は日舞行谷流(にちぶなめがやりゅう)の家元で、律は16歳にして名取を継ぐ天才少年です。
律は16歳になった時、出演したPVがきっかけで芸能界デビューを果たし、その美しい女形の姿から「おいらん王子」としてブレイクしました。しかし、律の芸能界デビューを良く思っていない父親との確執は深まるばかりで、そんな律を千尋は心配しているのですが、何もすることができないでいました。
ある日、千尋は律を心配するあまり、近所の稲荷神社で律になりたいと思ったところ、何と本当に千尋と律の体が入れ替わってしまい……!?
- 著者
- 山田 南平
- 出版日
- 2009-06-19
少女向けの漫画雑誌「別冊花とゆめ」で連載されていた作品で、単行本は全13巻で完結しています。
主人公の千尋と1つ年上の律は幼い頃から兄妹のように過ごした間柄です。千尋は日舞行谷流の家元の息子で幼い頃から天才と呼ばれ、16歳になってからは芸能界でもすっかりブレイクして有名になった律に憧れを抱いていました。一方で、行谷流の跡取りとしてのプレッシャーや父親との確執に悩む律は、ちょっとおバカだけど天真爛漫でマイペースな千尋を羨ましく思っています。
そんな2人が入れ替わるので、お互いがお互いになり切るのはかなり大変です。ですが、そこにドタバタな笑いや遊び心が生まれ、テンポの良いストーリーになっています。加えて、この作品のもう1つの見どころはもちろん日舞です。ドタバタな入れ替わりと美しい日舞のシーンがそれぞれ描かれることにより、お互いの良い点をうまく引き出し合っています。入れ替わりものとしてはもちろん、日舞に興味がある方にもオススメの漫画です。
「わたし わたしは わたしは
17歳の秋にわたしは突然奪われた」
こんな書き出しから始まる本作は17歳の女子高生・葉菜と38歳の中年男性・木根がある日突然入れ替わり、そこから1年たったという時点から物語が始まります。お互いが自分の今の体に慣れてきたところで出会うのです。
ひょんなことから同じ職場で働くことになり、お互いの今を近くで観察するようになったふたりは、自分というものを見つめ直すことになり……。
- 著者
- ヤマシタ トモコ
- 出版日
- 2015-12-04
本作の魅力は個人の性というものがリアルに描かれている点です。38歳の中年男性から可能性でいっぱいの17歳の女子高生になった木根は、その入れ替わり後の体を活かして読者モデルとして活躍します。もとの冴えない女子高生から一転、キラキラと輝く世界で自信たっぷりに働くのです。
それに比べ、記憶喪失扱いされ、働いていた職場も辞めざるを得なかった葉菜の現状はわびしいもの。入れ替わったふたりの現状は対照的です。
一見詰んでいるように見える葉菜ですが、実はそうとも言えません。木根の働くモデル雑誌で雑用として働かせてもらうことになった葉菜。木根と編集室に戻る途中で、自分たちの陰口を言われている場面に遭遇してしまいます。
「木根さんてさー ぼさっとしてるからどーかと思ったけど
中年男性まれに見る素直さ
ま もうちょっとおしゃれして来てくれるといんだけど
問題はむしろ葉菜ちゃんだし
野心はいーけどやたら勝ち負けにこだわったり 男じゃないんだから」(中略あり)
葉菜(引用文での木根)は若者らしい素直さを認められ、一見成功してそうな木根(引用文での葉菜)はそのガツガツとした雰囲気を牽制されていたのです。
そしてこの悪口を聞いた時の反応もふたりは正反対。素直に「さっきの話聞いちゃいました でも おしゃれしなきゃなって お 思いました」と輪の中に入っていく葉菜と、悔しそうに顔を歪め、物陰から出ていけない木根。
体が入れ替わって自分のことを客観的に見られるようになったことで、より自分というものと向き合うようになったふたり。果たして彼らはどういう道を歩んでいくのでしょうか?
小学4年生の木村佑太と大塚結依は、ある日、佑太が木から落ちて結依とぶつかってしまったことをきっかけに、体が入れ替わってしまいます。何とか元に戻ろうともう一度木から落ちてぶつかってみるなど試してみますが、一向に元に戻る気配はありません。
入れ替わったまましばらく過ごしていた2人でしたが、2人の他に事情を知る味方がいてくれたほうが良いと考え、佑太の親友である高岡和馬に入れ替わりのことを打ち明けます。しかし、和馬も巻き込みながら元に戻れない日々は過ぎ、2人はとうとう中学生になってしまい……。
- 著者
- 将良
- 出版日
- 2013-10-15
Webコミックサイト「COMIC ポラリス」で配信されている作品で、書籍化もされている人気作です。
主人公である木村佑太と大塚結依は、小学校4年生の時に中身が入れ替わってしまい、そのまま戻ることができず、中学、高校と進学していきます。物語は「小学生編」、「中学生編」、「高校生編」とあり、佑太と結依を取り巻く環境や人間関係が変わっていく中で、入れ替わったままの2人の日常が描かれています。戻ることができないまま長い年月を過ごしていくという展開は、他の入れ替わりものにはあまり見られない特徴でしょう。
入れ替わったことでもちろん困ったことや、戻りたいという気持ちがある反面、入れ替わることで自分と他人を比較して考えたり、お互いの体のことを思いやったりと得られるものもあります。入れ替わりという非日常から生まれる思春期の子供達の日常がどういう結末へと繋がっていくのか、ぜひ手に取って確かめてみてください。
『思春期ビターチェンジ』について詳しく知りたい方は<『思春期ビターチェンジ』を全巻ネタバレ紹介!長期入れ替わり漫画が切ない!>をご覧ください。
私立の進学校である朱雀高校に通う2年生山田竜は、遅刻早退は当たり前、成績も最悪という問題児。ある日、職員室で叱責された後、竜は腹立ち紛れにわざと荒っぽく上った階段で足を踏み外し、偶然居合わせた優等生白石うららとぶつかってしまいます。
そのまま意識を失ってしまった竜が目を覚ました時、そこは保健室で、そして竜は自分が白石うららになっていることに気が付きました。混乱する竜ですが、うららを探しに急いで教室に向かいます。
すると、そこで竜が見たのは、何事もなかったかのように授業を受ける竜の体をしたうららでした。
- 著者
- 吉河 美希
- 出版日
「やまじょ」の愛称で親しまれている少年漫画で、アニメ化や実写ドラマ化などもされている学園ものファンタジーラブコメです。
主人公の山田竜は、札付きの不良で学園内でも周りから避けられている存在でした。一方、メインヒロインである白石うららは、常に学年トップの成績を取る優等生である一方、いじめにあっており、学校という場所に愛想を尽かしていました。
物語は2人の入れ替わりから始まりますが、ストーリーが進むにつれ、その現象はうらら自身の「キスをした相手と精神が入れ替わる」という能力であることがわかってきます。そして、超常現象研究部副部長の宮村虎之介に2人の入れ替わりを看破されたことをきっかけに、朱雀高校にいる超能力を持った7人の魔女を探すことになります。
入れ替わりをきっかけに話は進んでいきますが、それだけではなく、後々に判明する竜自身の能力も含め、ストーリーはどんどん広がって展開していきます。テンポも良いので飽きる暇もありません。次々に現れる魔女もそれぞれ個性的ですが、その能力のほとんどが「キスをしたら~」という条件があるので、竜を中心にしたハーレムもののような楽しみ方もできるでしょう。ちょっとエッチな要素もギャグ要素もあちこちに散りばめられているので、入れ替わり系にプラスしてラブコメやハーレムなどの面白さを求める方におすすめです。
累は名女優の子供として生まれたものの、母とまったく異なる容姿でいじめられ続けてきた醜い少女です。幼い頃に母を亡くし天涯孤独となった彼女ですが、ある日母の形見の口紅を塗って人とキスをすると、その相手の顔になれることを知ります。
もともと演技の才能があった彼女は、その口紅を使って母と同じように女優としての地位を確立していくのですが……。
- 著者
- 松浦 だるま
- 出版日
- 2013-10-23
本作はどんどん狂っていく累の様子が恐ろしい作品です。当初彼女は人の顔を奪うことに抵抗感を感じていました。自分の顔が醜いことを知っている彼女は、自分が他人の顔を使っている間にどんな辛い思いをするかを知っていたからです。演技が好きで、どうしても女優としての道を諦められない彼女は罪悪感を持ちながらも女優としてのキャリアを進めていきます。
しかし顔を利用させてもらっていた女性が自分を陥れようとしていることに気付いた時、累は変わっていきます。人の顔を奪うことに迷いがなくなり、人との繋がりを絶った彼女はますます演技にのめり込んでいきます。
その姿は演技に取り憑かれた夜叉のよう。冷酷になり、演技のことしか考えなくなってしまった彼女はどうなっていくのでしょうか?
『累』については<漫画『累』の魅力を最終14巻までネタバレ考察!女って本当に怖い……>で紹介しています。ぜひご覧ください。
神谷はニートで家でゲームばかりしているだらしない姉を見て、女で生まれた方が人生が楽だろうと思っている男子高校生。ある日、姉にの男の方が楽しているという言葉を聞いてつい感情的に喧嘩をしてしまいます。
その後神谷は感情的になり、自分のやっているブログに貼られた入れ替わりができるという怪しいURLをやけくそでクリックします。そしてそこに書いてある手順通りに眠りにつき目を覚ますと、彼は国民的アイドルの三九二になっていました。
彼女の体を借りている間に女性の大変さを知った神谷は、目を覚ましてから姉と仲直りしようとします。しかし彼女は入れ替わっている間の人格によって殺されていて……。
- 著者
- 馬鈴薯
- 出版日
- 2014-12-19
本作は姉を殺した犯人を探すというミステリーにスリルを感じる作品です。神谷は目を覚ましたあと、アイドルの三九二と何とかコンタクトをとります。
そして彼女の協力をとりつけ、目の前にいる相手と入れ替わる方法や、入れ替わり前に見る夢での扉が入れ替われる体の選択肢であること、入れ替わり後に使えるようになるそれぞれの体の持ち主の特殊能力の存在を知ります。
そして入れ替わりをしたという人から人へと事情を聞きにいき、ピンチに陥りながらも特殊能力を活かして、姉を殺された夜に神谷の体に入っていた犯人を探していくのです。様々な設定がキーとなり、謎が謎を呼ぶ展開。果たして神谷は姉を殺した犯人を見つけ出すことができるのでしょうか?
後者の裏に亀の神様がいるという沼があると言われている亀沼高校。しかし今はその沼はカップルのいちゃいちゃスポット、もしくは喧嘩の場所になっていました。
そんな高校の生徒である健吾と蜜香は幼馴染。しかしある日、そこに住むという亀の神様を焦って蹴ってしまい、それに怒った神様に入れ替わりをさせられてしまいます。
- 著者
- 時計野 はり
- 出版日
- 2009-11-05
本作の特徴はとにかく入れ替わりが起こってもほのぼのしているところ。特に蜜香は全く焦る様子がなく、ある意味大物の風格を漂わせています。
男女逆転ものの醍醐味といえば体の変化。いつもと違う自分の体にドキドキ、なんて展開がお約束ですが、蜜香は違うのです。男子の生理的特徴である朝のアレも、トイレも、入浴も難なくこなします。ある意味男前です。
入れ替わりものの醍醐味を味わえないのでちょっと残念な感じもありますが、焦っている健吾が可愛いのでOKとしましょう。
重い話は好きじゃない、でも入れ替わりものが好きだという方にぴったりのほのぼのとした作品です。
男勝りの美少女・菜々子と、彼女に一目惚れした優しい性格のあきら。ふたりはひょんなことから菜々子の祖父・萬造が開発した機会の実験に巻き込まれ、中身が入れ替わってしまいます。
各々が見た目にぴったりの中身になったところで、なんとそのままふたりは精神的に同性の相手と付き合うことになって……。
- 著者
- 森永 あい
- 出版日
設定はオーソドックスであるものの、様々な要素で読者を引き込んでくる本作。入れ替わりを謳歌する気の強い女子に振り回される弱気男子、それまで親友だった相手と付き合うことになる展開、独特なテンポのいいギャグなど、随所に「読ませる」ポイントがあります。
何より面白いのは親友だった相手と付き合うことになるという設定。身体的にはなんら問題ありませんが、百合展開、BL展開を擬似的に楽しめるという1作品で2度おいしいものとなっているのです。
とにかく読者を楽しめるサービス精神満点の入れ替わり漫画をぜひ作品で楽しんでみてください。
女性の美に対する関心や執着は、男性にはなかなか理解できない部分もあるでしょう。美しくあること、自分の理想の姿であることに労力やお金をつぎ込む人は少なくありません。そんな人たちの最大の敵となるのが「老い」。歳をとるという逃げられない現実に、誰でも一度は苦悩するはずです。
恐怖要素だけでなく、人間の心理の奥底にある闇を描いてきた漫画家・楳図かずお。その精緻で美しい絵柄も相まって、美しくも恐ろしい物語を数多生み出してきました。
そんな楳図作品のひとつである本作は、とある美人女優が登場する物語。類まれなる美貌を持ったがゆえに、ある恐ろしい計画を実行に移そうとします。
- 著者
- 楳図 かずお
- 出版日
- 2008-12-26
上原松子は、若い頃は誰もが振り返るような美貌を誇り、大女優「若草いずみ」として人気を誇っていました。しかし、子役の頃から強いスポットライトを浴び、厚い化粧を施されてきたせいか、年齢を重ねるにつれて顔に深いしわが刻まれ、醜く大きな痣ができてしまいます。
人一倍美に執着していた松子は、自分の美貌が損なわれていくことを恐れ、ある計画を思い立ちました。
上原さくらは、松子の一人娘。母に溺愛され、母譲りの美貌の片鱗をのぞかせる少女です。彼女はケガをしないよう大切に育てられてきましたが、それには理由がありました。松子は自身の美貌を保つため、娘を産み、その脳みそを自分と入れ替えてしまうという、驚くべき計画を企てていたのです。そのことを知ったさくらは逃げ出すものの、松子の医者によって手術を施されてしまいます。
外見は可憐な小学生・さくらですが、中身は人生経験を重ねた女・松子である、というギャップが強烈なインパクトを持つ本作。さくらの背後に年齢を重ねた女のすごみが感じられ、身震いをしてしまいます。
愛を得るために暴走していくさくら(松子)の狂気じみた行動に、人間の恐ろしさを改めて実感することでしょう。小学生の身体を得た大女優の生と愛、美への執着がとにかく恐ろしい一冊です。
生まれ持ったものは、ちょっとやそっとでは変えることはできません。現代ではメイク技術をフル活用し、別人のように変身することも可能ですが、やはりスッピンを見せるのに抵抗がある、という女性は多いでしょう。なかには「違う誰かの顔になりたい」とため息を吐いた経験がある人もいるかもしれません。
自身の醜い顔が原因で家族にも疎まれ、行き場を失った少女・弥生ひろみ。人生を悲観して自殺しようとしていたところを、1人の医師に助けられます。ひろみを助けたのは、天才医師・巌俊明。彼はその明晰な頭脳から、禁忌の領域にまで手を伸ばし、医学界を追放されていました。
周囲が止める中、俊明はひかるにとある手術を持ち掛けます。
- 著者
- 高階 良子
- 出版日
- 2015-07-03
本作は、生まれながらに醜い容姿を持ち、産みの両親にすら疎まれて育ったひろみが、美しい身体を手に入れてモデルとして脚光を浴びる、というストーリー。冒頭のひろみに対する虐待の描写は容赦がなく、読者の気分を重くします。だからこそ美しい容姿を手に入れ、明るく生きようとするひろみの姿には安堵するでしょう。
それだけならばただのハッピーエンドですが、本作は一筋縄ではいきません。俊明はひろみに全身整形の話を持ち掛けますが、この手術を施した後も、ひろみの身体は本当にひろみ自身のものなのでしょうか?彼女に意地悪をする看護婦の存在や、暗躍する俊明の行動から疑問が湧き上がってきます。
容姿が醜いというだけで、不幸な人生を歩まなければならなかったひろみ。彼女の幸せそうな姿は、読者を安心させるとともに、その後の悲劇的な展開を増長させます。ひろみは、本当に美しい容姿がほしかっただけなのでしょうか。少しだけ足りなかった幸せのかたちと、彼女の身に起こった悲劇が、読者の胸に迫ります。
時間は同じリズムで流れ続けるもので、過去へ戻ることも、未来に向かって飛び越えることも出来ません。しかし、ひょんなことから過去に戻ることができたら、未来を見ることができたら……。そんな「タイムスリップ」というロマンに、心を震わせたことはありませんか?
本作は、都会に住む高校生と長閑な田舎町に住む少女が、時空を超えて関わり合いを持つSFラブストーリー。新海誠監督の長編アニメ映画作品で、モデルとなった土地を訊ねるファンが後を絶たないなど、社会現象にもなりました。
本作は公開から1年が経過しても人気が衰えない映画の、コミカライズ作品です。
- 著者
- 琴音 らんまる
- 出版日
- 2016-08-23
東京都四ツ谷に住む男子高校生・立花瀧(たちばなたき)は、目を覚ますと自分が別の人間になっていることに気づきます。男であるはずの自分が、なぜか同じ年頃の少女に。同じころ、岐阜県飛騨地方の小さな町に住む少女・宮水三葉(みやみずみつは)も、自分が見知らぬ男の子に代わっていることに気が付きました。
どうせ夢だろうと、見知らぬ誰かの1日を楽しんだ2人でしたが、どうやらこの入れ替わりは、たびたび発生しているようなのです。
2人とも確かな記憶が残っていないため、入れ替わりが起こったときのルールを決めます。日記や、スマートフォンのメモ機能でお互いの出来事を共有し、瀧は三葉に、三葉は瀧になりきらなくてはならない生活を送りながら、いつしかちょっとした楽しさすら感じるようになっていました。
しかし、突然入れ替わりは途絶えてしまいます。消息が断たれた三葉を心配した瀧は、記憶を頼りに彼女が住んでいる場所を探し、なんとか訪れましたが、そこで小さな村を襲った悲劇を目の当たりにするのでした……。
タイムスリップを利用したラブストーリーである本作。大ヒットアニメ映画を漫画で読むメリットは、自分のペースで読み進められることと、あれ?と思った時にすぐ読み返せるところにあります。
漫画ならではの描写もあり、漫画だからこその良さが詰まったコミカライズ版を映画版と見比べるのも、一つの楽しみかもしれません。
「別の性別に生まれたい」と考えたことはありませんか?性別が理由で可愛がられたり、逆に苦労したりすると、なぜ自分はこの性に生まれてしまったのかと深く考え込んでしまいます。生まれ持ったものは、早々変えることはできません。しかし、人の目を欺くことで、違う自分になることはできるのです。
本作は、その名の通り男女が入れ替わる物語。舞台は平安時代、優雅な王朝文化を築いていた頃の事です。この頃庶民は女子も働き手として重宝されていましたが、貴族の子女ともなると労働とは皆無。自分の背丈よりも長い髪を優雅に流し、やたらと重量のある着物を羽織って、歌や香、音曲などの遊興にふけっていた、などというイメージがあります。
対する男子は、宮廷に出仕し権力闘争に勝利していかなければなりませんでした。
- 著者
- さいとう ちほ
- 出版日
- 2013-03-08
人それぞれ向き不向きがありますが、権大納言藤原丸光の2人の子どもは、まさしく不向きな人生を選ばざるを得ませんでした。姉の沙羅双樹は才気煥発、物おじせず誠実な性格をしています。弟の睡蓮は、人見知りが激しく大の男嫌いで、優しい性格をしていました。
同日に生まれた異母姉弟の2人は、性別を取り違えられたかのように真逆の性格。その性質を利用し、入れ替わった生活を送っていました。しかし、異性への恋心や、結婚という避けては通れぬ事柄により、入れ替わり続けることが難しくなっていきます。
絵の描き込みがすさまじく、特に衣装の絢爛豪華さが目を引く本作。沙羅の持つ健康的な美しさや、睡蓮の憂いから生み出される艶っぽさは、読者をドキリとさせます。男女には体格差がありますが、睡蓮のビジュアルを見ると、騙されるかもと納得してしまうのが面白いところ。姉弟の絆の強さにも、ほろりとしてしまう場面もあります。
平安時代ならではのドロッとした人間関係も一緒にお楽しみください。
生き物にとって「脳」は、見たり、聞いたり、考えたりするための最も大切な機能です。しかし、脳が全てかと言われれば、決してそうではありません。生き物には「魂」があり、魂があるからこそ感情があって、誰かを想ったり、想われたりすることができるのです。魂の存在は証明されていませんが、「輪廻転生」といったオカルト的な要素からロマンを感じる人は多くいます。
本作は、死後の魂が違う人間に入り込み、今までの人生とは別の人生を歩む姿を描くラブコメディ作品です。言葉の印象だけでは、ホラー要素が多い作品なのかと思われますが、怖いところは一切なし。むしろ、失った人と目の前にいる人との間で心が揺れるさまを描く、純粋なラブストーリーです。
- 著者
- 八神 健
- 出版日
端島密は、高校の生物学教師。元教え子で、現在は同僚である星崎理都と結婚の約束をしていました。しかしプロポーズしたその日に、川で溺れる子供を発見。密は泳げないにもかかわらず、助けようと川に飛び込み、命を落としてしまいます。
密が幽霊となって目を覚ますと、そこには溺れていた少年・鳴神源五郎の身体がありました。すでに魂がない鳴神の身体に魂を移し替えたことで蘇った密は、もう一度理都と恋をすることを決めます。
中身は密とはいえ、外見は鳴神です。そのため密として理都に会っても信じてもらえず、鳴神として理都を訪ねても邪険な扱いをされたり、キツイ言葉を投げかけられたりしてしまいます。しかしそれも仕方がありません。鳴神は理都にとって、恋人の人生を奪った憎き相手なのですから。
しかし、その頑な心を解していく密の真っすぐさは、理都に、そして読者の心にも響きます。
身体は高校生でも、中身は考え方は酸いも甘いもかみ分けた大人であるためか、無邪気さはありながらも、老成した雰囲気が感じられます。鳴神に想いを寄せる女生徒が登場し、ハーレムな雰囲気がありつつも、密は理都一筋です。その一途さがたまりません。
第1部は恋愛重視、第2部はアクション重視と、路線が全く変わります。人の想いの強さを感じる作品です。
「女子校」。それは男子が覗くことを禁じられた秘密の花園。男子校が男子のみが入学を許されているように、女子校に入学することができるのは、もちろん女子だけです。右も左も前後360度全方向女子だらけという学生生活は、男性から見れば薔薇色かもしれませんが、同性から見ると少々味気なくもあります。
とはいえ、そんな同性だらけの環境に救いを見出す人も存在します。
恵まれたプロポーションを持つがゆえに、過去に体操服や縦笛を盗まれるといった被害に遭ってきた少女・宮前かなこ。そんな緊張を強いられる日々を送ってきたせいか、触れられれば蕁麻疹が出るほど、極度の男性恐怖症となってしまいました。
そんな彼女が、同性との薔薇色の出会いを求め、天の妃女学院附属中学高等学校に編入したところから物語は始まります。
- 著者
- 遠藤 海成
- 出版日
- 2007-02-23
かなこが出会ったのは、ツーサイドアップの髪型もかわいらしい衹堂鞠也。イタリア人のクォーターで、金髪に可憐な容姿をしています。
1学年下の鞠也に心ときめくかなこでしたが、鞠也は実は男。そう、本作の主人公・鞠也は、正真正銘男で、とある事情を抱え女装をして学院に通っていたのです。その秘密を知ってしまったかなこは、鞠也と強引にルームメイトさせられ、鞠也に監視されながらの学校生活がスタートします。
鞠也は、皆の前では成績優秀、文武両道、中等部では生徒会長も務めているなど、かなり優秀。人当たりもよく人望がある、学園のアイドル的存在です。しかし、正体を知る加奈子の前では、ドSで腹が黒い部分を隠そうともせず、その裏表の激しさにかなこが翻弄されることも珍しくありません。
しかし、見た目が美少女なせいか、鞠也に強く反発できないかなこ。そんな2人の関係性がだんだんクセになってきます。
女性同士の恋愛を描いた百合要素が入ってはいますが、基本はギャグ漫画なのでかなりソフトです。1人男が紛れ込んでいるとはいえ、女子ばかりの学校生活を読者も満喫することができます。
女生徒として暮らす鞠也の演技は完ぺき!男子にしておくのが惜しいくらいです。鞠也の過去といったシリアス要素もありますが、笑って楽しめるのが本作の魅力となっています。暴走するかなこと、様々な事情を抱えた鞠也の賑やかな学校生活をお楽しみください。
2020年には東京でオリンピックが開催されますね。2016年のリオオリンピックも、選手たちのパフォーマンスに多くの観客が胸を熱くしました。次のオリンピックは、2018年、韓国平昌で開催される冬季オリンピックです。
オリンピックでは新競技などが追加されることがありますが、2014年ソチオリンピックで女子のスキージャンプが正式種目となったのは記憶に新しいでしょう。
本作は、スキージャンプに打ち込む女子が主人公の物語です。女子のスキージャンプは、ソチで正式種目となった以前から、国際大会やツアー等が開催されるなど、実は競技人口は少なくありません。日本からもメダルを狙える選手が多数出場したことから、注目を集めました。
しかし本作は、「女子のスキージャンプ」という競技が存在しない頃の物語です。
- 著者
- 岡本 倫
- 出版日
野々宮悠太は、スキージャンプ界に彗星のごとく現れたジャンパー。過去の成績はパッとしないものばかりでしたが、出場した大会でジャンプ台記録(バッケンレコード)を更新する大ジャンプを見せたことから、注目を集めるようになります。
容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、クールな悠太でしたが、その正体は野々宮ノノ。家に火を放ち、自ら命を絶った野々宮悠太の双子の妹でした。
野々宮兄妹の父親は、かつてスキージャンプで金メダルを期待されながら、失敗しメダルに手が届かなかった過去を持ちます。そのせいか、2人の子どもを厳しく教育してきました。この厳しくとは「熱血」や「スパルタ」という意味以上の、もはや虐待かというような激しいもの。血を吐くような思いでジャンプに打ち込んできた野々宮兄妹の境遇に、同情を禁じ得ません。
本作の世界では女子のスキージャンプはないため、兄になり代わったノノが競技に出場するのですが、さまざまな試練が彼女を襲います。性別がバレそうになったり、ケガをしたり。そのたびに絶望することなく這い上がろうともがくノノの精神力には脱帽するでしょう。
並々ならぬ強い想いで飛び続けるノノ。彼女は金メダルを手にすることができるのでしょうか?
性行為は子孫を残していくうえで必ず必要になるものです。現代では子孫を残すという観点よりも、欲望を満たすという意味合いが強くなり、どこか禁忌なものとしがち。だからこそ、ちょっとエッチな描写の作品に遭遇した時に、ドキドキしたり、後ろめたい気分になったりするのでしょう。
保健体育の授業で男女の性差や、子どもが生まれる仕組みなどを学びますが、現在の学校の授業で行われる性教育は不十分である、という意見もあります。そんな時にも役立つのが本作です。
まさに花開こうとする、小学生の少女たちの性教育のために描かれた作品。基本的に性的なことに関する知識や成長期ならではの精神的なことを、物語仕立てで学んでいくことができます。
- 著者
- やぶうち 優
- 出版日
- 2005-04-01
収録作のひとつに、母親が妊娠し、弟か妹ができることになった立花つぼみの物語があります。彼女はクラスメイトに、両親がエッチなことをした、と言われて硬直してしまったり、エッチな事とは何か、と考えを巡らせたります。
直接的な話から、異性への恋心など、物語によって性質は様々です。しかし誘拐されそうになったり、ホテルに連れ込まれそうになったりするなど、小学生女子が遭遇する可能性のある事件もしっかりと描写がされ、読者に危機感を植え付ける工夫がされています。
本作に登場する少女たちの名前は、すべてつぼみ。名字や外見は違いますが、皆が「花開く前の少女」という感じもあり、初々しい印象を受けます。さまざまなつぼみたちの性の疑問と日常が描かれますが、宇宙人が登場したり、タイムスリップしたりと漫画らしい展開も見どころです。
性の話題は、身近な人にほど相談しづらいもの。本作は何か困ったことが起こったときに、少女たちのための教科書となるでしょう。しかし、対象年齢が10代の少女と言うだけで、大人が読んでも問題はありません。自分の経験を重ねて読むもよし、育児に役立てるもよし。
心と体の変化に戸惑う少女たちの成長を、見守りましょう。
どのスポーツも、確約された結果などなく、勝敗は終わるまでわかりません。また、どんなに強くても、永遠に勝ち続けることもできません。肉体の衰えやケガを原因とした不調、多くの理由から選手は自分の力を出し切れないことがあり、いつかは引退することになります。
しかし、勝敗に大切なのは、競技をしている人の身体だけなのでしょうか?
明確な勝敗が決まる競技、ボクシング。己の拳を頼りに勝ち進んでいかなければならない、格闘スポーツです。日本でも国際的なタイトルマッチは全国放送されているなど、国民の関心度が高い競技のひとつでもあります。そんなボクシングと、人格入れ替わりと融合させた作品が本作です。
- 著者
- 福井 あしび
- 出版日
本作は、大地真と天堂誠、2人のボクサーが入れ替わったことで起きる苦悩や成長、そして熱い試合が描かれた物語です。
2人のマコトはどちらも主人公。大地真になった天堂誠と、天堂誠から大地誠。双方の人生が、同時に連載していくという手法で描かれました。入れ替わった2人それぞれの人生を、同じだけのボリュームで楽しむことができます。
タイトルマッチ戦において、ダブルノックアウトの末に互いの人格が入れ替わっていることを知った2人。大地真は莫大な借金を抱えながらリングに立つ若きボクサーで、対する天堂誠はキャリア10年を誇る無敗の絶対王者です。リングに上がれば、頼れるのは己の拳ひとつ。入れ替わったことにより、見えなかった互いの背景や人生を感じ、それぞれが苦悩していきます。
互いに入れ替わったことで、真の家庭の事情を知る誠と、誠の体の事情を知る真。自分の身体のままだったら知り得なかったことを体験することで、相手への印象が変わっていくという描写は、身体が資本であるスポーツならではの描写です。
最後には、入れ替わった体のまま戦うことになるのか、2人のボクサーの熱き戦いから目が離せません。
一口に「オタク」といっても、好きになる作品の傾向は違います。特に男女の違いは顕著。男性は女性がたくさん出てくる作品を好み、女子は男性がたくさん出てくる作品を好む傾向にあります。しかし「異性がたくさん出ている方がいい」という単純な理由とはまた違うのです。女性は、男性同士の恋愛を妄想しつつ、その作品を愛でるのです。
「BL(ボーイズラブ)」を好む女性と、「百合(女子同士のイチャイチャ)」を好む男性は、基本的に相容れません。他ジャンルへの侵攻は暗黙のルール違反。オタクは皆、波風立てずに自分が好きなジャンルで平和的に過ごそう、という考えを持っているものです。
そんな状況に、物理的な一石を投じたのが本作です。
- 著者
- アジイチ
- 出版日
主人公の吉田玲時は、百合をテーマにした魔法少女アニメの大ファンです。しかし、オタクを理由にばかにされることを恐れ、その趣味をひた隠しにしていました。もう1人の主人公の保科美鶴は、漫画研究会の部長も務める美少女。二重人格の主人公が活躍するバスケットボール漫画の大ファンで、クラスに自分の趣味趣向を明かしている、オープンなオタクでした。
同じクラスというだけが接点の2人は、ある日漫画研究会の部室に時折現れる幽霊・漫子さんの呪いのせいで、人格が入れ替わってしまいます。最初は慌てる2人でしたが、そのまま元に戻るまでこのままでいるしかない、と状況を受け入れることにしました。
しかし驚くべきことに、美鶴は今の状況を受け入れるだけでなく、楽しみ始め、玲時を振り回し始めます。
特定のジャンルが好きな代わりに、他のジャンルが苦手という方はいるかもしれません。しかし、本作にはそんなオタクの閉鎖的な心をこじ開けるようなセリフが数多く登場します。オタクネタだからこそ、共感し、笑える場面も多いでしょう。あまりオタクではない、という方も、見知らぬ世界を覗くような、新鮮な驚きを覚えるはずです。
人生は何でも楽しんだもの勝ち、振り回される玲時に同情しつつも、美鶴の暴走にワクワクしてしまう作品となっています。
いかがでしたか? 同じ入れ替わりものの作品でも特徴や雰囲気はそれぞれ異なっています。同じ設定でも切り口が違うだけで面白さも変わるので、読み比べてみるのもおもしろいかもしれませんね。