木皿泉のおすすめ本5選!人気ドラマのシナリオを多数手がける!

更新:2017.5.9 作成:2017.5.9

『すいか』『野ブタ。をプロデュース』『Q10』など人気ドラマのシナリオを多数手がけたことで知られる脚本家夫婦、木皿泉。お互いに助け合いながら創作に取り組む2人の魅力がたっぷり詰まった5作品をご紹介します。

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目次

二人三脚の脚本家夫婦、木皿泉

「木皿泉」はともに脚本家である和泉務・妻鹿年季子夫妻の共同ペンネームです。

1990年に放送された『やっぱり猫が好き』の脚本で共作をはじめた二人は、代表作『すいか』を書き上げた後に和泉が脳出血を起こして倒れ、生死の境をさまよったことをきっかけに結婚。公私ともにパートナーとなりました。

以降『野ブタ。をプロデュース』『セクシーボイスアンドロボ』『Q10』など人気ドラマの脚本を次々に手掛け、ヒットさせたことで知られる実力派の脚本家です。2013年には初の小説『昨夜のカレー、明日のパン』を発表し、小説家デビューに至ります。同作はデビュー作にして本屋大賞2位にランクインしたことで話題となり、実写ドラマ化も成功しました。

今回は夫婦二人三脚で活躍を続ける脚本家兼小説家、木皿泉のおすすめ5作品をご紹介します。

心温まる、木皿泉のデビュー作『昨夜のカレー、明日のパン』

木皿泉初の小説にして山本周五郎賞にノミネートされ、本屋大賞2位を獲得することとなった本作。2014年には仲里依紗主演でドラマ化され、成功を収めたことでご存知の方も多い作品かと思います。

主人公は若くして夫一樹を亡くしたテツコと、一樹の父・ギフ。7年前に一樹がいなくなった後も、二人は変わらず、ともに暮らしてきました。本作は遺された二人が、マイペースなテツコの恋人・岩井さんや笑うことのできない一樹の幼馴染・ムムムをはじめとした周囲の人々と自然に関わり合うことで、ゆっくりとその死を受け入れていく姿を描いた作品となっています。

著者
木皿 泉
出版日
2016-01-07

「パンの焼ける匂いは、これ以上ないほどの幸せの匂いだった。店員が包むパンの皮がパリンパリンと音をたてたのを聞いてテツコとギフは思わず微笑んだ。たった二斤のパンは、生きた猫を抱いた時のように温かく、二人はかわりばんこにパンを抱いて帰った。」(『昨日のカレー、明日のパン』より引用)

上記引用は恋人に結婚を申し込まれたものの乗り気になれないでいるテツコが、ギフとの会話の中で一樹が入院していた頃の記憶を思い出すシーンでの一段落です。彼女はかつて一樹の死が差し迫った夜のパン屋で、悲しいのに幸せな気持ちにもなれるということを知ったのでした。

大切な人を失っても続いていく遺された者たちの日々。テツコとギフを含め、それぞれに問題を抱える登場人物たちは一樹が遺したあたたかい人間関係の中で自分を見つめ直し、ゆっくりと成長していきます。木皿泉の持ち味であるその豊かな表現力で前向きに生きる人々の姿が美しく描かれた優しい本です。ぜひ読んでみてください。
 

伝説的なドラマのシナリオ本『すいか』

2003年に小林聡美主演で放送されたドラマ『すいか』は木皿泉がオリジナルで脚本を書き、向田邦子賞やギャラクシー賞優秀賞など名誉ある賞をいくつも受賞し高い評価を得た代表作です。

夏の三軒茶屋を舞台に、悩みながら成長してゆく人々の姿がみずみずしく描かれており、現在でも多くのファンに愛され続けている伝説的な作品。今回ご紹介する本書はドラマ放送後に木皿泉によって刊行されたシナリオブックの文庫版となっています。
 

著者
木皿 泉
出版日
2013-08-06

主人公は信用金庫に勤めるOL、早川基子。34歳の彼女は結婚しておらず、親離れも出来ずに平凡な日々を暮らしていました。しかしそんなある日、同期の馬場ちゃんが3億円を横領していたことが発覚し、逃走を図ったことから物語がはじまります。

基子は馬場ちゃんが起こした事件を機に依存状態にあった母との決別を決め、下宿屋「ハピネス三茶」に転がり込みます。そこで出会ったのはエロ漫画家の亀山絆や大学教授の崎谷夏子、スリランカに行った父の代理で大家を務める女子高生の芝本ゆかなど個性豊かな同居人たち。他愛ない日常のシーンに散りばめられた登場人物の台詞にはジンとくるものも多く、台本形式で書かれた本書からは彼らとの交流によって徐々に変化していく基子の姿が見受けられます。

笑えて泣けて考えさせられて、最後には素晴らしい読後感を味わえる傑作。脚本家木皿泉の地力を感じます。疲れた時に是非読んでほしい、人生の夏休みみたいな物語です。

2人のルーツに迫る『木皿食堂』

本書は神戸新聞で2017年現在も連載中のエッセイ「木皿食堂」を中心に、木皿泉が各種雑誌に寄稿した文章やインタビュー記事、漫画家羽海野チカとの対談、京都精華大学で行ったシナリオ講座の内容などを加えて1冊にまとめ、刊行されたものです。

人気脚本家夫婦が語る自身の創作作品についての逸話やこだわり、日常の中で思う些細なことやそこから派生した教訓など、木皿泉の魅力と秘密が存分に詰め込まれた、豪華な内容の1冊となっています。

著者
木皿 泉
出版日
2013-05-21

本書の前半を占めている、神戸新聞に連載されたエッセイ「木皿食堂」のテーマは「食べる」です。脚本と同様に和泉務が各回のテーマを決め、妻鹿年季子が執筆するスタイルをとっての連載とのことですが、彼らの食に対する価値観がそのまま作品に反映されているように見受けられるため、非常に興味深い内容となっています。

「食は、自分が育った家のみっともない、恥ずかしい面、よそとは違うぶさいくなことと分かちがたく結びついてるし、時にはすごく切実やから。」(『木皿食堂』より引用)

エッセイ連載一周年を迎えてのインタビューで、和泉務はこう語っています。

木皿泉が描く物語の登場人物は私たちと同様に、皆どこかしら弱い部分や、自分では変えることのできないどうしようもない部分を持ち、時にはそれに悩んでいます。そんなリアルな人間らしさを魅力的に描く彼らの手腕は素晴らしいドラマを生み続けていますが、本書で語られる食に対する価値観こそが、彼らのルーツと呼べるものなのではないでしょうか。知れば、作品がさらに面白くなります。読後、木皿泉作品を見返したくなること間違いなしの1冊です。

ロボットと人間の切ない恋『Q10シナリオBOOK』

 

本書は2010年に佐藤健・前田敦子主演で放送された人気ドラマ『Q10』のシナリオブックです。

平凡な高校生活を送る冷めた高校3年生の深井平太は、ある日理科準備室で女の子の姿をしたロボットを発見し、起動させてしまいます。Q10(キュート)と名付けられた彼女は人間名「久戸花恋」としてクラスに編入することに。平太を「親」として慕い、人間について学んでいくロボットの彼女。ともに過ごしていくうちに、何事にも冷めていた平太の心にも、ある変化が訪れます。

 

著者
木皿 泉
出版日
2011-01-19

 

「僕が恋した転校生は、ロボットだった。」のキャッチコピー通り、この作品は恋愛ものです。そのテーマは間違いなく「愛」それも究極愛だと思います。ロボットと人間の恋というSF風味な設定ですが、木皿泉の手にかかればロボットにも人の心が宿り、彼女が発する純粋で切実な思いのこもった台詞は平太の心のみならず、読者の心をも動かします。また彼らを取り巻く人々にも人間味溢れる魅力的なキャラクターが多数登場し、名台詞が多いことで知られる本作ですので、台本形式で書かれた本書を読めばきっとドラマを観たくなるはず。

2人の恋は周囲を巻き込みながら進み、やがてQ10がやってきた理由に迫る、壮大なストーリーが展開されていきます。

かわいらしい2人のやりとり。心温まるストーリー。そして、涙なしでは見られないラスト。彼らが出会ったことは重要な意味を持つことだと、木皿泉は教えてくれます。ぜひ、この究極的な恋の行方を、自分の目で見届けてください。切なく愛おしい1作です。


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大ヒット学園ドラマ『野ブタ。をプロデュースシナリオBOOK』

本書は白石玄の文藝賞受賞作『野ブタ。をプロデュース』を原作として木皿泉が脚本を手掛けたドラマ作品のシナリオブックです。

クラスの人気者・桐谷修二(亀梨和也)とその親友を自称する草野彰(山下智久)が、クラスに転校してきた地味で冴えない小谷信子(堀北真希)通称「野ブタ」をプロデュースして人気者に仕立て上げる、という学園ドラマは大変な人気を博し、主演の亀梨と山下が組んだユニット「修二と彰」による主題歌「青春アミーゴ」は発売後すぐさまオリコン1位を獲得する大ヒットとなりました。2005年を代表する作品です。

著者
["白岩 玄", "木皿 泉"]
出版日

 

原作では男子であった野ブタは木皿泉の希望で女子に変更されています。またストーリー展開や登場人物の設定も原作とは大きく異なりますが、木皿泉の手腕により原作の良さを壊すことなく、物語は希望の持てるラストへと向かいます。

この作品は、単なる青春ドラマではありません。軽いノリと疾走感のあるストーリー展開で楽しく観られる作品ではありますが、舞台は教室、題材は「いじめ」です。

登場人物は皆それぞれに悩みや問題を抱えていますが、木皿泉はそれを繊細な表現力で的確に描写することで彼らの発言に深みを持たせています。読者は教室という閉鎖的な空間で織りなされ変化していく人間関係を前に、様々な思いを抱くことでしょう。彼らが交わすたくさんの言葉は、私たちに周囲を大切にすることは自分を大切にすることだと改めて気付かせてくれます。人間関係に悩みを抱えた時に是非、読んで頂きたい作品です。


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いかがでしたでしょうか。夫婦二人三脚で素晴らしい作品を生み出し続ける木皿泉。彼らが懸命に描くドラマは、人生に役立つ大切なことを教えてくれます。ぜひ読んでみてください。