佐藤健が出演した映画、テレビドラマを大解剖!実写化でキャラが【実物】になる理由

更新:2021.11.29

佐藤健と言えば、イケメン俳優の登竜門「平成仮面ライダー」に出演して大ブレイクした俳優です。端正なルックスだけでなく、確かな演技力と素晴らしい身体能力が魅力。主役から脇役まで、印象的な役柄を体当たりで演じてきました。 今回はそんな佐藤健について、プロフィールや過去に出演したドラマ、映画を原作と合わせて一挙にご紹介します。

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佐藤健のプロフィール

佐藤健は1989年3月21日生まれの31歳です(2020年5月現在)。身長170cm、血液型はA型。原宿でスカウトされたことをきっかけとして、現在の事務所アミューズに所属し、2006年に芸能界入りしました。デビュー作は『プリンセス・プリンセスD』。

2007年に初主演した『仮面ライダー電王』が当たり役となり、一躍有名俳優に。それ以来ドラマや舞台を中心に活動し、時代劇の剣劇アクションや料理人役の調理シーンを代役なしでこなすなど、多彩な才能を見せています。

大ヒットした映画『るろうに剣心』シリーズではジャパンアクションアワードで2度のベストアクション男優賞、天皇の料理番』で主演男優賞や橋田賞を受賞しました。この他にも助演男優賞など、10以上の賞に輝いています。

そんな佐藤健の趣味は意外にもオセロ。芸能界で1番上手いと公言しており、2014年にはテレビ番組の企画でオセロの世界チャンピオンとも対戦しています。結果的に佐藤健は敗北しましたが、実力伯仲の対決でした。

特技はブレイクダンスで、高校時代には勉強そっちのけで熱心に練習したとか。『仮面ライダー電王』などでも巧みなダンスを披露しています。

そんな彼の素顔や本音は、「公式LINE」や「SUGAR」という生電話アプリで垣間見ることができます。他の俳優があまり使わないこれらのツールでは、「ドラマのあのシーンはアドリブだった」という裏話も公開。作品以外でも見ることができる彼の表情に、夢中になるファンが後を絶ちません。

侍も、ドS医師も、本物にしてしまう佐藤健の魅力

出演作が次々大ヒットする佐藤健の魅力とは、いったいなんなのでしょうか? その魅力を分析していきます。

まずは外見です。中性的な整った顔立ちの中にも、どこか男っぽさのある色気が特徴的。デビュー作『プリンセス・プリンセスD』では女装も披露していますが、美少女と言っても通用するほどの美貌でした。

しかし佐藤健の魅力の本質は、ルックスではありません。佐藤健は出世作『仮面ライダー電王』でイマジンと呼ばれる怪物に憑依される主人公を演じましたが、初主演とは思えない開演でした。まさに憑依としか言いようがない、キャラクターになりきった演技が、見る者を魅了したのです。

ヘタレ男子から心に影のある侍、ドSの医者から理知的な天才、あるいは前述した女装……などなど、多彩な役柄を完璧に演じきる演技力こそ、佐藤健の最大の魅力です。

佐藤健にはこの演技力に加えて、ブレイクダンスで培った運動能力があります。名優と呼ばれる俳優は数多くいますが、佐藤健ほどキレキレのアクションが可能な俳優はそういません。

そして忘れてはならないのが独特の色気です。黒い大きな瞳に切れ長の目尻。動いていても止まっていても、目力に込められた色気が視聴者の心を掴んで離しません。時代劇や歴史ものの作品を実写化しても様になってしまうわけですね。

2016年に発売された写真集『X (ten) 』には、そんな佐藤健の魅力がたっぷり詰まっています。特典DVDには佐藤健の旅行に密着した映像が収録されており、普段見られない姿を見ることができます。佐藤健ファンなら、ぜひチェックしてみてください。

著者
黒瀬 康之
出版日

【映画原作】『仮面ライダー』(2007年~2018年)

 

運の悪い主人公の野上良太郎は、偶然「ライダーパス」を拾ったことをきっかけに、「仮面ライダー電王」に変身できるようになりました。彼は時間改変を企てる侵略者「イマジン」に対して、味方の「イマジン」達とともに過去と現代を行き来して、正常な時間の流れを守るための戦いに身を投じていきます。

 

 

佐藤健が演じたのは、主人公の野上良太郎です。普段はとことん不運なヘタレ男子ですが、熱血俺様系やクールなキザ男のイマジンが憑依することで、人格が次々変わってきます。1人で5役、時には6役までこなすのがとにかく圧巻。子ども向けと思えない深いストーリーと合わせて、佐藤健の多彩な役が見所です。佐藤健の原点なので、彼を語る上で本作は絶対外せません。

『仮面ライダー電王』はその後も派生作品や映画、『クレヨンしんちゃん』とコラボした『しん王』なども作られました。佐藤健自身の出演は2008年が最後でしたが、2018年の公開の『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』に10年振りにカムバックして大変な話題となりました。

 

著者
石ノ森 章太郎
出版日

【映画原作】『ROOKIES』(2008)

 

不良の溜まり場と化した、かつての名門高校野球部。熱意だけは人一倍な新任教師・川藤幸一が顧問になったことで、不良部員は1人また1人と立ち直り、全員で甲子園を目指していくようになります。

ストーリーは原作とドラマであまり変わりませんが、展開の関係で一部の登場人物がドラマに登場しなかったり、学年が1年生ではなく2年生になっているなど細かい違いがあります。

 

 

佐藤健の役は、ドレッドヘアが特徴的な岡田優也です。この髪型のために、わざわざ長時間のスタイリングをして役作りし、撮影に挑んでいたとか。佐藤健の作品に賭ける熱意が伝わってくるようですね。

佐藤健は冷静な役柄上、出番は少なめでした。本作をバネにして役者として一皮剥けたと言われているので、現在の完成された役者とはちょっと違う、荒削りな佐藤健を楽しみたい方にはおすすめです。

キャラクターや原作の熱い名言が気になった方は、こちらもあわせてチェックしてみてください。

漫画『ROOKIES(ルーキーズ)』キャラの名言、ドラマのキャストを紹介
 

 

著者
森田 まさのり
出版日
2009-04-09

【映画原作】『BECK』(2010年)

 

平凡な学生生活を過ごしていた田中幸雄はある日、天才ギタリストの南竜介と運命的に出会います。南竜介を通して音楽の世界を知った田中幸雄は、仲間とともにバンド「BECK」を結成しました。「BECK」メンバーは失敗を繰り返しながらも、徐々に成功していきます。

佐藤健が演じたのは田中幸雄です。原作では田中幸雄が主人公ですが、映画版では水嶋ヒロ演じる南竜介の方がフィーチャーされています。映画は原作漫画全24巻のうち、10巻までの内容を抽出して再構成されました。そのためストーリー的には大差ありませんが、田中幸雄が高校生だったり、いくつか変更点があります。

見所は迫力あるライブシーンです。天性の歌声を持つ田中幸雄が、佐藤健の素晴らしい演技力と斬新な演出によって、見事に表現されています。スカッとする青春群像劇を楽しみたい方にぜひおすすめしたいです。

原作をもっと知りたい方は、魅力を紹介したこちらの記事もあわせてご覧ください。

漫画『BECK』6の魅力!あらすじ、最終回、名言をネタバレ紹介!【無料】
 

 

著者
ハロルド 作石
出版日
2013-12-12

【映画原作】『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(2012年~2020年)

 

幕末を生きた伝説の人斬り、緋村剣心。殺人を禁じた彼は、逆刃刀を手にして贖罪の旅を始めました。そして剣心は明治11年の東京で仲間と出会い、平和を守るために宿命の敵との戦いに身を投じていくことになります。

世界的にヒットした同名原作漫画の実写映画化です。映画は原作のエピソードを短縮し、東京編の一部と京都編をメインとして作られました。また2020年には人誅編を元にした、映画版最終章の2部作が公開を予定されています。

 

 

佐藤健は主人公・緋村剣心を好演。剣心は細面の優男、人並み外れた身体能力の持ち主なので、佐藤健のイメージにぴったりのハマリ役として評判になりました。本格的な剣劇アクションが魅力的で、ストーリーもわかりやすくまとまっているので、時代劇に馴染みのない人にもおすすめです。

本作をもっと楽しめる、こちらの記事もあわせてご覧ください。

漫画『るろうに剣心』の知られざる事実10選!剣心にはモデルがいた!?
 

 

著者
和月 伸宏
出版日
2006-07-04

【映画原作】『完全なる首長竜の日』(2013年)

 

「センシング」という最新医療技術で、昏睡状態の患者と意思疎通ができる世界の話です。主人公は自殺未遂のせいで意識不明の大事な人を目覚めさせるため、「センシング」でずっと語りかけていました。他人の意識下に潜るうち、主人公は奇妙な経験をし始めます。それが果たして現実の出来事なのか、それとも……。

本作はミステリー小説『完全なる首長竜の日』を映画化した作品です。原作はいくつもの賞を受賞するほどの完成度の高いミステリーですが、映像化に当たって世界観の設定や人物の名前を除いて、大胆な改変が行われています。

 

 

映画版で佐藤健が演じるのは、主人公の藤田浩市。綾瀬はるか演じる恋人の和淳美を救うため、徐々に不可解な出来事の起こり始めるストーリーを熱演します。

海外映画『インセプション』を彷彿とさせる物語とCG演出が非常にスリリング。結末もまったく違うので、少しでも気になった方は、パラレルワールドとして原作も映画版もどちらも楽しむことをおすすめします。

 

著者
乾 緑郎
出版日
2012-01-13

【映画原作】『カノジョは嘘を愛しすぎてる』(2013年)

 

人気バンド「クリュードプレイ」の売れっ子作曲家の小笠原秋はある時、「クリュードプレイ」ファンの小枝理子と出会って一目惚れしました。秋は正体を隠したまま理子と交際し、やがて失いかけていた音楽への情熱を取り戻していきます。秋が理子のために曲を作るのと前後して、理子は音楽プロデューサーにスカウトされて……。

 

 

佐藤健は主人公の小笠原秋です。才能を持て余す作曲家役がかなりハマっており、原作どおりかそれ以上に感じられるほど。

原作は音楽業界の人間関係を軸にした恋愛漫画です。基本的に同じストーリーですが、映画版は原作にあった身の上話が省略され、すっきりしたイメージとなっています。そのため同じ話でも印象が違うのが特徴です。佐藤健がどれだけ小笠原秋になりきっているかなど、気になる方もぜひ見比べてみてください。

 

著者
青木 琴美
出版日
2009-09-25

【映画原作】『トイレのピエタ』(2015年)

 

末期癌で余命宣告された、ある無名の芸術家。死ぬまでに何かなそうとした彼は、あるインスピレーションを得て、突然病院のトイレに天井画を描き始めました。彼はなぜトイレにこだわるのか、どんな作品を生み出すのか。すべてがわからないまま、芸術家の筆だけが進んでいきます。

本作は「漫画の神様」手塚治虫が、病床で最後に書き残したメモ『トイレのピエタ』を元にした映画です。ほとんど走り書きでしかなかったメモから着想し、オリジナルのストーリーに仕上がっています。

 

 

佐藤健は病院の掃除夫、金沢役で登場します。主要人物ではありませんが、余命宣告されて苛立つ主人公と対比されて、印象深い役となりました。

死を目前にした主人公が、女子高生との恋愛を通して生を実感し、何かを残そうとピエタ(母子像)を描く展開が見所。手塚治虫のメモにはない独自解釈ですが、こちらは現代の視聴者に受け入れやすい変更となっています。

 

著者
松永 大司
出版日

【映画原作】『バクマン。』(2015年)

 

サイコーこと真城最高と、シュージンこと高木秋人。2人がお互いの長所を活かした2人組の漫画家、「亜城木夢叶」としてプロを目指します。サイコーとヒロインの亜豆美保とのほのかな関係、ライバル漫画家との熾烈な連載合戦を経て、「亜城木夢叶」は人気漫画家の道を突き進んでいくのでした。

 

 

本作はサイコー役・佐藤健、シュージン役・神木隆之介という豪華W主演で注目を浴びました。映画の基本的な設定は原作と変わらないものの、ヒロイン以外の女性キャラクターは登場せず、作中に登場する架空の作品もいくつか削られてわかりやすくなっています。

その分、映画版のストーリーは明快なエンタメに徹しています。漫画家漫画というややニッチな原作に対して、映画版ではCGを駆使したアクションを盛り込むという、意外な演出が見所。本作は『バクマン。』を知っている人でも、そうでない人でも楽しめるのが魅力です。

原作をもっと詳しく知りたいという方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

漫画『バクマン。』の魅力を徹底考察!【ネタバレ注意】
 

 

著者
["小畑 健", "大場 つぐみ"]
出版日

【映画原作】『世界から猫が消えたなら』(2016年)

 

主人公の「僕」は1匹の猫と暮らす、郵便配達員です。ある時、体調を崩した彼は、医者から思いがけず末期の脳腫瘍を宣告されました。そして余命1週間となった「僕」の前に、突然「僕」そっくりの「悪魔」が現れて、彼の周囲から何かを消す代償に1日寿命を延ばすことを提案してきました。「僕」はそれからの1週間、寿命と引き換えに失ったものに思いを馳せながら、1日1日を大切に生きていくことになります。

 

 

佐藤健は「僕」と「悪魔」の2役を演じました。兼役は佐藤健の得意とするところなので、本作でも落差の楽しめる素晴らしい演技を見せてくれました。

原作と映画版の違いは「悪魔」の衣服や、木曜日以降に猫が人語を話さないといった点です。その他には、原作者の要望で名画のオマージュが随所に入れられているのも特徴です。

見所は原作の世界観をばっちり再現した雰囲気と、佐藤健の怪演。浮世離れした画面が非常にファンタジックで、非日常感を味わえるのが本作の醍醐味となっています。原作では心理描写や細かな行動の理由付けも明かされているので、映画で気になった人は原作もぜひどうぞ。

 

著者
川村 元気
出版日
2014-09-18

【映画原作】『何者』(2016年)

就職活動を控えた5人の大学生を軸にして、物語は進んで行きます。主人公は分析が得意な二宮拓人。5人はそれぞれ得意分野で協力して、就職活動の情報交換を行っていました。5人のうち1人に内定が出たことをきっかけとして、これまで隠してきた本音や嫉みが露呈します。彼らはその体験を通して、自分が何者かをあらためて考え直していくのでした。

 

 

佐藤健は主人公の二宮拓人です。他には菅田将暉、岡田将生、有村架純二階堂ふみなど、新進気鋭の俳優が揃ったことでも話題となりました。映画版は、一人称で進む原作とは主人公の性格が少し異なります。

原作、映画版ともに見所は就活生の現実を通した、今時の若者のリアル感です。視聴者が共感できるつくりで惹きつけた上で、ラストのどんでん返しであっと驚かされるのが最大の魅力。視聴後の感覚が少し違うので、ぜひ原作と合わせてご覧ください。

菅田将暉のその他の実写化作品が知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

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著者
朝井 リョウ
出版日
2015-06-26

【映画原作】『亜人』(2017年)

 

ごく普通の日常生活を送っていた永井圭は、ある日トラックに轢かれて死亡してしまいます。しかしすぐ復活したことから、彼が「亜人」という新生物だったと判明しました。彼は紆余曲折を経て政府の人体実験の被検体となり、壮絶な体験をします。圭は佐藤と名乗る「亜人」のテロリストに救出されますが、方針の違いから対立。人類の存亡を賭けて圭と佐藤、亜人同士の戦いへと発展していきます。

 

 

佐藤健は主人公・永井圭を演じました。原作では高校生でしたが、佐藤健をはじめとした主要なキャストに合わせて、登場人物の設定やストーリーが改編されています。

人外のキャラクターをメインに設定していながら、人間味を感じさせるのが本作の見所。冷徹な主人公が、「亜人」になってから人間らしくなっていくのが面白いです。原作は人間ドラマ、映画はアクションに重点を置いており、どちらも優れた部分があるので、ぜひ両方ご覧ください。

原作やキャラクターを詳しく知りたいという方は、こちらの記事もチェックしてみてください。

漫画『亜人』の佐藤が狂ってる!最新12巻までを登場人物からネタバレ考察!
 

 

著者
桜井 画門
出版日
2013-03-07

【映画原作】『8年越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年)

 

本作は中原尚志と中原麻衣の共著で、実体験を元にしたノンフィクションです。2006年の年末、結婚を間近に控えた麻衣は難病の抗NMDA受容体脳炎を患い、意識不明の重体となりました。長年にわたる昏睡の末、目覚めた麻衣は尚志のサポートでリハビリを行い、ついに2人は結ばれることとなります。

 

 

佐藤健と土屋太鳳のW主演で、2人は中原尚志と中原麻衣をそれぞれ演じました。

幸福の絶頂から一転して、絶望のどん底に落とされた尚志。献身的な介護で麻衣の意識が戻る展開は、実話ならではの感動があります。苦労の末に2人がゴールインする結末は、涙なくしては見られません。

原作と映画版でストーリーに違いはほぼありませんが、原作で曖昧にされていた職業が映画では描写されています。原作には実体験を綴ったノンフィクションならではの感動があるので、気になった方はこちらもチェックしてみてください。

 

著者
中原 尚志・麻衣
出版日
2015-07-01

【映画原作】『いぬやしき』(2018年)

 

余命幾ばくもない初老の犬屋敷壱郎はある日、偶然居合わせた獅子神皓とともに、宇宙人の事故に巻き込まれて死亡しました。彼らは宇宙人の手によって、未知のテクノロジーを備えた機械の体で蘇ります。しかし犬屋敷が機械の力で人助けをする一方、獅子神は身勝手な暴力を繰り返していき、いつしか2人は衝突することとなります。

本作は『GANTZ』で有名な作者・奥浩哉のSFアクションです。原作は全10巻ですが、映画版は8巻までの流れを要約しているため、展開や結末が若干異なります。

 

 

佐藤健は本作で、悪役の獅子神皓に挑戦しました。木梨憲武の演じる犬屋敷と獅子神の対比は、要素を削った分だけ原作よりはっきりしていて、ヒーロー映画としてとてもよくできています。佐藤健の絶妙な悪役ぶりからすると、獅子神の扱いは映画の方が上かもしれません。

エンディングが違うので、ぜひ原作も映画版もどちらもお楽しみください。

原作の詳しい魅力は、こちらの記事でチェックしてみてください。

漫画『いぬやしき』の魅力を最終10巻まで全巻ネタバレ紹介!
 

 

著者
奥 浩哉
出版日
2014-05-23

【映画原作】『億男』(2018年)

 

莫大な借金を抱えて、昼も夜もなく働きづめの主人公・大倉一男。妻とは別居し、家族ともバラバラに暮らしていた彼はある日、宝くじで3億円当選します。突如舞い込んだ幸運に歓喜するも、不安になった一男は大学で友人だった古河九十九を訪ねて、相談しました。九十九の提案で酒宴が催されますが、気づけば一男は3億円を持ち逃げされていました。

本作はお金や人間関係を描いたヒューマンドラマです。作者が執筆に当たって、実際の大金持ちに取材した結果が遺憾なく発揮されており、浮世離れした物語にもかかわらずどこかリアリティがあります。お金を通して見えてくる、生々しい人間関係が魅力的。

 

 

佐藤健はお金に翻弄される大倉一男役です。悲喜交々な役を見事に演じきり、原作にはない味わいを加えました。映画版はストーリー展開の順序が原作と微妙に違います。両方を比べて見て、違いを確かめるのも面白いかもしれませんね。

 

著者
元気, 川村
出版日

【映画原作】『ハード・コア 平成地獄ブラザーズ』(2018年)

 

権藤右近は血の気の多いせいで、肝心な時に成功しない男です。右近はエリート商社マンの弟・左近の世話になりながら、舎弟のような牛山とともにあやしい埋蔵金発掘を行っていました。そんなある日、右近は廃工場で倒れている謎のロボットを発見。右近はロボオと名づけたロボットと、奇妙な共同生活を送っていきます。

 

 

佐藤健は弟の左近役です。世渡りが上手い反面、右近以外の人間関係に不満を持つ左近を見事に演じました。

原作は「伝説の奇書」とも呼ばれる、『ハード・コア 平成地獄ブラザース』です。主演の山田孝之と監督が原作のファンだったことから映画化が実現しただけあり、映画版は原作に忠実に作られました。しかしそれでも、映画版には省かれた部分がいくつかあります。また原作は連載の都合でラストが駆け足になっているため、結末も違った印象になっています。

不器用な登場人物と、素朴なロボットの交流。本作は特に、古き良き人情モノが好きな方におすすめです。結末の違いも含めて、ぜひ原作も合わせてお楽しみください。

 

著者
["狩撫 麻礼", "いましろ たかし"]
出版日

【映画原作】『幕末まらそん侍』(2019年)

 

1855年、安中藩藩主の板倉勝明は、藩士を鍛錬するために「安政遠足」を開催しました。江戸幕府はこれを謀反と勘違いし、板倉暗殺の刺客を送り出しました。主人公の唐沢甚内は、以前から安中藩に潜り込んでいた幕府の密偵です。すべてを知る彼は、果たして幕府のために動くのか、藩のために動くのか……。

 

 

佐藤健は悩める主人公、唐沢甚内を忠実に再現しました。『龍馬伝』や『るろうに剣心』で見せた時代劇との相性は、本作でも健在です。

「安政遠足」は史実で伝えられる、日本初のマラソン大会です。このマラソンを舞台として、どちらの義に生きるべきか、あるいは自分と家族のために生きるべきかという壮大なドラマが描かれます。命を賭けたマラソンの重みが見所。

原作は時代小説ながらエンタメ性に優れており、歴史に詳しくない方にもおすすめです。もちろん詳しい方ならより楽しめます。

原作を詳しく解説したこちらの記事もあわせてチェックしてみてください。

原作本『幕末 まらそん侍』の面白さ5分でネタバレ解説!佐藤健主演で映画化
 

 

著者
土橋 章宏
出版日
2015-06-13

【映画原作】『護られなかった者たちへ』(2020年公開予定)

東日本大震災から数年後。仙台市内のアパートで、不審な遺体が発見されました。状況から他殺の可能性が高いものの、警察の捜査は困難を極めます。やがて数日前に出所した利根泰久が捜査線上に浮かんできましたが、彼は彼で独自にある事件を追っていました。

佐藤健が演じるのは、不審死の殺人容疑のかかった利根泰久です。

原作は生活保護をテーマにした同名の社会派ミステリーです。警察と元囚人の2つの視点から、事件の実像が徐々に浮かび上がっていきます。読者を痛快に騙してくれる、予想外のどんでん返しも魅力。公開前から原作を読んで、予習しておくとあれこれ考えられて面白いかもしれません。

著者
中山 七里
出版日

それではここからは、テレビドラマのなかから原作のある作品を選んで紹介していきます。あなたが佐藤健を知る前の作品に、意外な掘り出し物があるかもしれません。

【テレビドラマ原作】『プリンセス・プリンセス』(2006年)

藤森学園は名門の男子高校です。この学園には伝統的に、見目麗しい新1年生の中から、学園生活を盛り上げる女装役「姫」を選ぶ特別な制度がありました。本作は「姫」に選ばれてしまった主人公らの戸惑い、友情や協力を描く学園コメディとなっています。

佐藤健は準主役の河野亨役でした。本来の主人公は河野亨ですが、ドラマ版では主人公が豊実琴に変更されており、ストーリーはドラマ版独自キャラクターを交えて生徒会選挙がメインに展開されていきます。

本作の見所はやはり、美男子のかけ合いでしょう。女装姿のちょっとした背徳感がアクセントになって、少年の美しい友情が楽しめます。あくまでコメディ中心なので、BLの描写が苦手な人にもおすすめです。

著者
つだ みきよ
出版日

【テレビドラマ原作】『しにがみのバラッド。』(2007)

白い死神のモモと仕え魔の黒猫ダニエル。彼らの仕事は人間の魂を奪うことですが、いつも関わる人間にお節介を焼いてしまいます。これはそんな死神の、優しくて悲しい物語。

佐藤健はドラマ版の7~8話に登場する市原カンタロウ役です。デビュー当時の初々しい演技は、ファンなら見逃せません。

本作は1話完結の同名ライトノベルが原作です。毎回、モモとダニエル以外の登場人物が入れ替わりで主人公となって、そのたびに異なる感動物語が描かれるのが魅力。生死が関わるため悲しい結末が多いものの、話によっては悲観的にならない、不思議な感覚のファンタジーとなっています。

本作は現実を忘れて、物語の世界に浸りたい方におすすめです。

著者
["ハセガワ ケイスケ", "七草"]
出版日

【テレビドラマ原作】『ブラッディ・マンデイ』(2008年、2010年)

普通の高校生・高木藤丸の裏の顔は、「ファルコン」と名乗る天才ハッカーでした。公安調査庁で働く父親の仕事を手伝う彼は、やがて仲間達とともに、巨大な陰謀に巻き込まれていきます。

佐藤健は高木藤丸の親友、九条音弥を演じました。役どころは天才ハッカーの手に負えない、物理的なサポートです。

原作は「週刊少年マガジン」で連載された少年漫画ですが、少年漫画の枠を超えたスケール感と、テロとの戦いを中心に据えたハッカーの頭脳戦が非常に爽快。ほどよい謎かけとスリリングな展開も絶妙で、派手なサスペンス好きならハマること間違いなし。

著者
["恵 広史", "龍門 諒"]
出版日

【テレビドラマ原作】『メイちゃんの執事』(2009年)

ごく一般的な家庭で育ってきた本郷メイは、両親の事故死をきっかけとして、実は大富豪だった祖父に引き取られました。本郷家の後継者になった彼女は聖ルチア女学園に入学し、執事の柴田理人とともに波瀾万丈の学園生活を送っていくことになります。

佐藤健の役どころは、柴田理人の弟・剣人です。主人公メイが本郷家の跡取りになる前から、ひそかに片想いしていたツンデレ。キャラクター的にもストーリー的にも、なかなか素直になれないのが微笑ましいです。

本作の魅力はなんと言っても、ちょいエロのある逆ハーレム状態。少女漫画を敬遠してきたという方でも、ハラハラドキドキする展開が楽しめます。

著者
宮城 理子
出版日
2006-11-24

【テレビドラマ原作】『MW』(2009年)

15年前、沖ノ真船島で事故が発生し、毒ガスMWが漏れ出しました。事故で生き残ったのは、当時島にいた2人の少年、結城美知夫と賀来巌だけでした。結城は事故の後遺症で凶悪犯罪を繰り返し、賀来はそんな結城を止めるべく奔走します。

ドラマ版「『MW-ムウ-』 第0章 ~悪魔のゲーム~」は、手塚治虫の原作漫画を元にした映画版の前日譚です。佐藤健の演じた森岡隆志は、このドラマ版だけの主人公でした。

原作の魅力を一言で表すとすれば、それは「悪」です。恐ろしくも美しい精神異常者が、残酷な罪を重ねていく冒涜的快感。正義を説くありきたりの物語に飽きた方には、本作はうってつけです。

著者
手塚 治虫
出版日

【テレビドラマ原作】『とんび』(2013年)

市川安男は運送会社に勤務する、不器用で実直な男です。妻・美佐子との間に待望の長男・旭を授かり、幸せな毎日を過ごしていました。旭が4歳になる直前、美佐子は旭を庇って事故死してしまいます。それから不器用な父と幼い息子の二人三脚、悲しみを乗り越えて家族愛を育んでいくことになります。

ドラマ版は原作と時代設定、舞台が異なりますが、大筋ではほとんど一緒です。佐藤健は「とんびが鷹を生む」の例えどおり、優秀に成長した旭を情感たっぷりに演じました。

本作は幸福とは何か、家族とは何かを考えさせられる感動作品です。父と子でこぼこ具合がもどかしいですが、同時に親子愛を痛感させられます。思わずほろりとしてしまうので、感動に飢えている方にぜひ読んでいただきたいです。

著者
重松 清
出版日
2011-10-25

【テレビドラマ原作】『ビター・ブラッド』(2014年)

警視庁S署に配属された新人刑事の佐原夏輝。初めての出動に緊張する彼の相棒は、幼少期に離れ離れになった実の父・島尾明村でした。夏輝は上司で父親の明村に複雑な思いを抱えつつ、長らく知らなかった刑事としての明村から学び、自身も成長していきます。

警察小説かつ父と息子のバディモノという、娯楽色の強い作品です。佐藤健は青臭さの目立つ、佐原夏輝役でした。ドラマ版では明村役の渡部篤郎と佐藤健のかけ合いなど、全編コメディタッチの作風でしたが、原作は後半に行くにつれてかなりシリアスになっていきます。

本作の見所は、一見すると荒唐無稽な登場人物のあだ名が、後々の伏線に繋がっている点でしょう。導入部はコミカルにして、あっと驚く展開で締めるのがとても面白いです。ただ原作とドラマ版では印象がだいぶ変わるので、どれくらい違うか見比べるのも一興でしょう。

著者
雫井 脩介
出版日

【テレビドラマ原作】『天皇の料理番』(2015年)

物語の舞台は明治後期。秋山徳蔵は偶然食べたカツレツの美味しさにショックを受けて、料理人を目指し始めました。彼は周囲の反対を押し切って東京へ行き、一流の店「華族会館」で修行します。本場パリにまで渡った彼は腕を上げ、とうとう昭和天皇の料理番まで打診されるに至ります。

佐藤健が演じるのは実在する本人をモデルとした、ドラマ版の主人公・秋山篤蔵です。原作小説は秋山徳蔵の半生をベースにしたフィクションですが、ドラマ版ではさらにアレンジが加わっています。

実話を基にしたとは思えないほど、波瀾万丈な主人公の人生は必見。原作小説もドラマ版も、0からのスタートで昭和天皇付きの料理番になる過程、そして最後の仕事の見事さに感服します。明治から昭和を描いた時代小説、歴史モノが好きなら断然おすすめ。

著者
杉森 久英
出版日

【テレビドラマ原作】『義母と娘のブルース』(2018年)

有能なキャリアウーマンの岩木亜希子は、バツイチ子持ちの宮本良一と結婚し、宮本みゆきの継母となりました。しかし余命僅かだった良一は亡くなってしまい、血の繋がらない母と子だけが残されます。仕事以外融通の利かない亜希子は、慣れない家族関係でギクシャクするも、やがて実の親子以上に心を通わせていきます。

原作では亜希子の生涯が描かれますが、ドラマ版は亜希子とみゆきの出会いから10年間がメインとなりました。佐藤健の役は麦田章という青年で、未亡人の亜希子がパート勤務するパン屋の店長です。一回り年上の亜希子への片想いし、彼女の影響で大きく変わった青年でした。

本作の見所はズバリ、親子の絆。原作では亜希子がみゆきを引き取った真相まで明かされるので、未見の方はもちろんのこと、ドラマ版を視聴済みの方もぜひ原作を読んでみてください。ドラマ版以上の感動を味わえますよ。

原作が気になった方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

『義母と娘のブルース』を結末までネタバレ!ドラマ化された日常漫画が面白い
 

著者
桜沢 鈴
出版日
2011-02-14

【テレビドラマ原作】『恋はつづくよどこまでも』(2020年)

佐倉七瀬は運命を信じるピュアな女の子です。医師の天堂浬にハートを射貫かれた彼女は、彼を運命の人と思い定めて猛勉強し、看護師となって再会しました。ところが天堂は、出会った時とまるで別人だったのです。周囲から無謀と思われつつも、七瀬は天堂へ一心にアタックし続け、やがて……。

医療現場を舞台としたラブコメディです。ドラマ版で佐藤健はドSの天堂浬を完璧に演じ、2020年上半期の話題作となりました。

ドラマ版でもそうでしたが、本作の魅力はなんといっても、女性ファンを虜にする恋愛描写の数々。ドラマ版ではやや控えめでしたが、原作ではさらに心地よい甘々な展開を楽しめます。恋愛漫画好きなら原作は必見です。

原作の解説をした、こちらの記事もぜひチェックしてみてください。

ドラマ化され、話題!『恋はつづくよどこまでも』結末までネタバレ解説!
 

著者
円城寺 マキ
出版日
2016-09-09

佐藤健の出演作品一覧でわかる、いかに彼が実写化を任されてきたのか

 

佐藤健の出演作には、原作つきの作品が多いのが特徴。そのジャンルは多岐にわたります。

 

いかがでしたか? あらためて見ても、佐藤健の活躍ぶりはすさまじいですね。どれも面白い作品ばかりですが、原作ならではの魅力があるのも事実。ぜひ佐藤健の熱演で気になった作品は、原作も手に取ってみてください。きっとドラマが何倍、何十倍にも楽しめるようになりますよ!

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