麻雀漫画なのに、麻雀の見所はほぼ皆無!? ギャンブル漫画なのに政治漫画、さらに政界のパロディが盛りだくさんで、しかもバトルマンガの要素たっぷりで……?もうカオス!! 有無を言わせない力強い邪道感がクセになるのが『ムダヅモ無き改革』です。今回の記事では、そんな本作を最終回までご紹介。 スマホアプリからは無料で読むことができるので、ぜひご利用ください。
麻雀漫画でありながら政治漫画であり、そして、まったくそれらからかけ離れているともいえるカオスな漫画。それが『ムダヅモ無き改革』です。
小泉純一郎など実在の政界人のパロディキャラたちが毎回過激な麻雀のバトルをくり広げるのですが、そこは1話目から、もうパワーインフレの世界。
政治的、麻雀漫画的な緻密な戦略や駆け引きがあるというわけではなく、ただただ目の前でおこなわれている派手なショーを見せるという、読者を引きずり回すタイプの作品となっているのです。
- 著者
- 大和田 秀樹
- 出版日
- 2008-09-05
しかし、それがどうにも面白い。ギャンブル漫画でありながら、アクション漫画のように見入ってしまう展開を楽しむことができるのが、本作の魅力なのです。
その、あまりにカオスすぎる本作の魅力を、この記事ではご紹介していきましょう。
主人公のタイゾーは、小泉ジュンイチローの首相随行員。今日は、アメリカの大統領・ジョージ・W・ブッシュとの沖縄での首脳会談日です。ふたりは握手しながらも、凄まじい形相で睨みあっています。
そんななかブッシュに誘われて、初心者の彼に麻雀を教えることになったタイゾー。しかし、なんとブッシュは初心者と言う割に鬼強。そう、これは罠だったのでした。
高額な賭け金に驚き、とても払えないというタイゾーに、タバコの火を押し付けて蹴り上げるブッシュのお取り巻きたちは、まるでヤクザ集団。「キャンプ・シュワブで35mm砲の的にしてやろうか!?」と凄みます。
パンツ一丁で猿ぐつわをはまされている危機一髪のタイゾーの前に現れたのは、小泉でした。タイゾーのために麻雀を打つことになる彼ですが、ブッシュはやはり強い!
「パトリオットツモ」「先制攻撃(ブッシュ・ドクトリン)リーチ」という役よりも名前の方に目がいってしまう大技を次々とくり出し、勝利していきます。
敗色が濃厚になる小泉。しかし、彼は4枚ツモって3枚山に戻すというイカサマをして見事勝利。「技術立国ニッポン!!ツモ!!!」と言って国士無双で見事勝利するのです。
- 著者
- 大和田 秀樹
- 出版日
- 2009-08-07
すごすごと自国に引き上げるブッシュ。しかし、物語はそれで終わりではありません。
舞台は変わってアメリカ。ホワイトハウスに帰ったブッシュはセグウェイを超スピードで乗りこなしながら「うわあぁぁん悔しいよぅ!!小泉にF-15をとられたよぅ!!」と、子供のように泣きじゃくっています。
スピードの出しすぎで転んだブッシュの前に、「何が悔しいのだJr.よ」と登場したのは、ジョージ・H・W・ブッシュ、通称パパブッシュです。
そして彼は、息子の仇を取ることにして……。
日本海佐渡島沖370海里。そこにある米海軍ニミッツ級航空母艦「USSジョージ・H・W・ブッシュ」の上で小泉を待つのが、北朝鮮の国家主席・金将軍です。彼は豚足を骨ごと食いながら、3時間も遅れている小泉の到着を待ちます。
やっと到着した小泉ですが、雀卓につくなり倒れてしまうほど満身創痍。実はここに来る途中で、北朝鮮によって狙撃されていたのです。しらばっくれる金。なんでもありの世界です。
失血で目が見えなくなってしまっている小泉ですが、「負けた方が何でも相手の条件を呑む」というこの麻雀で世界を平和にできるならと、戦いを続けます。
それを見て立会人のパパブッシュも感動。「これはすでに闘牌の範疇にあらず 男の戦よ」と言って、その場を責任持って見守ります。
しかし、金ももちろん鬼強。「人民民主主義リーチ(親としてのダブルリーチ)」をキめます。そこに同席してしまった明らかにひとりだけ役不足のタイゾー。危機一髪の状況ですが、そこに麻生タロー外務大臣がやってくるのです。
- 著者
- 大和田 秀樹
- 出版日
- 2009-12-26
タイゾーの代わりに入った麻生のおかげで、辛くも日本の勝利が濃厚になってきた時、「やってられっかっつーの」と言って手をあげる金。すると、その合図を機に近くに潜伏していた狙撃手が小泉を狙うのです。
響く銃声。
しかし、タイゾーがその方角を見ると打たれていたのは狙撃手。麻生がいち早く気づいて、ライフルで仕留めたのです。彼は、本当にただの政界人なのでしょうか。
それによって小泉は役満。必殺技「国士無双十三面(ライジングサン)」でアガるのですが……。
必殺技「国士無双十三面(ライジングサン)」が最大の武器である日本のトップ・小泉ジュンイチロー。今までの戦いで無敗の強さを見せつけてきました。北朝鮮・金との戦いでもライジングサンで勝利します。
それに対して「負け分受け取れよ」と言って金が出したのは、アタッシュケース。中身は、なんとテポドンのスイッチだったのです。
頭上に近づいてくるテポドン。それを見て小泉は近くにあったジェット機に乗り込み、そのまままっすぐにテポドンへと飛んでいきます。
- 著者
- 大和田 秀樹
- 出版日
- 2010-05-17
彼はジェット機を操縦しながら、いつか祖父に教えてもらった「本当に強い男」の条件を思い出していました。それは、必ず勝たねばならない勝負に勝つ男というもの。
見てるかじいちゃんよ オレは 強い男になれたか
(『ムダヅモ無き改革』1巻より引用)
満足げな顔で光の中へと消えてゆく小泉。見事粉砕されるテポドン。コマの中で流れるエンディングテーマ。
パパブッシュは小泉の最期を見て敬礼し、タイゾーは彼の名を叫びます。小泉が本当に強い男というものに近づいた時でした……。
これまでの流れだと、このまま感動の結末を迎えそうにも思われる本作ですが、この時点で、なんとまだ4話。そして、この作品は16巻まで続きます。
そう、なんでもありの戦いは、この後こそが本当のスタートなのです。
パワーインフレでスピード感ある展開、そして、もはや何者なのかも怪しいキャラクターたちに引き込まれること間違いなしのカオスな世界観も魅力の1つといえるでしょう。
上記で何人か登場人物を紹介させていただきましたが、この他にもまだまだ強烈なキャラたちが登場します。彼らの技は、一度見たら忘れられないようなものばかり。
ナチスがまだ存続している設定で、彼らが月に第四帝国をつくり、地球代表5人とナチスから5人で勝負して、どちらが人類を導くべきなのかというエピソード。
その際、それぞれ個性が強すぎる人物が出てくるのです。
- 著者
- 大和田 秀樹
- 出版日
- 2010-11-17
地球代表は「コルホーズリーチ」を得意とするロシアのプーチン首相に、プルトニウム牌を駆使し「2の2の核分裂」で相手を翻弄するウクライナの首相ティモシェンコなど。
雷に打たれたように黒焦げになったり、毒針で相手のゲームを妨害いたり、人造人間が登場したりと、もうなんでもありです。
どんどんびっくり人間ショーになっていく彼らの戦い、そして技も本作の魅力の1つでしょう。
この老いぼれの命一つで世界平和が買えるのなら 安いもの!!
(『ムダヅモ無き改革』1巻より引用)
小泉の言葉です。終始ふざけ倒しているように見えますが、やはり日本の首相。自らの命を犠牲にして国民を守ると宣言したその姿は、今までのふざけた姿を払拭できる……かもしれないほどのかっこよさです。
彼は他にも「この程度でいちいち倒れていたら 一国の宰相は務まらぬわ」など、首相としての魅力溢れた名言が多数存在します。ふざけているだけではない、アツい勝負だからこそくり出されるその言葉にも、ぜひ注目してみてください。
ちなみに、なかにはここで紹介するのははばかれるような問題発言も多数あるので、ブラックジョークがお好きな方は、そこにも要注目です。
本作が展開するにつれ、第2の主人公とも呼べる真田二佐という男が登場します。途中で小泉は彼に敗戦し、人造人間になって悪役として再登場するというカオスな流れになっていくのです。
最終回までの展開は、さらに上をいくカオスさ。ASIMOっぽいロボットが気合いを入れるために真田をバットで殴り、小泉の着ぐるみ(?)を着たレオントロッキー(ソ連を建国したものの、出世はできなかった人物)が登場し、最終的にはただの殴り合いのような戦いがおこなわれるのです。
おそらく、なんのこっちゃという感じかもしれませんが、そうなのです。
- 著者
- 大和田秀樹
- 出版日
- 2015-10-01
そして結末は一転、爽やかな男同士の絆を感じさせるもの。広い空、どこまでも青い海の中で、最後の戦いがおこなわれます……さらに困惑させてしまいましたでしょうか?
このあらすじだけを追うとかなりカオス、実際に読んでも、やはりカオスな流れは、ぜひご自身でご覧ください。
ジェットコースターに乗っているかのように振り回される面白さが、最後まで勢い衰えることなく続いたことには、どこか感動すら覚えるはずです。
本編とは少しずれてしまいますが、新章である『ムダヅモ無き改革 プリンセスオブジパング』も、この作品が気になった方には読んでいただきたい内容となっています。
新章は主人公が異なり、可愛らしい女子高生。彼女は、実は天皇「ミカド」の末裔。しかし作中では、頑なに天皇などの言葉は使いません。
- 著者
- 大和田 秀樹
- 出版日
- 2018-02-15
ミカド一族は、かつてあまりの強さからマッカーサーに麻雀を禁じられていました。しかし、作中でアメリカ大統領を務めるトランプは、とにかく心をアツくさせる戦いがしたいと彼女を招待。麻雀に誘うのでした。
そんな新章でも、カオスさは健在。なぜかJKの間で麻雀が大流行していたり、『ガラスの仮面』パロディから物語が動き出したりと、今回もよくわからないけれど面白い勢いで読者を楽しませてくれます。
ぜひ本編が気に入った方は、こちらも読んでみてはいかがでしょうか?
あまりにもカオスすぎる『ムダヅモ無き改革』。もはや麻雀漫画と言っていいのかわかりませんが、そのめちゃくちゃ加減こそが本作の魅力でもあるのです。1つの作品で麻雀、政治、アクション、ギャグとさまざまな要素が楽しめる本作。ぜひこの機会にご一読ください。
スマホアプリからは無料で読むこともできるので、ぜひそちらもご利用してみてはいかがでしょうか?
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