実写映画化やドラマCD化もされた三家本礼の代表作『ゾンビ屋れい子』。今回は「進化する」漫画として有名な本作の魅力をご紹介します!ネタバレを含みますのでご注意ください。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
ホラー漫画のなかでも人気のゾンビもの。王道ジャンルでもあるこのゾンビもので独特な魅力を放ってコアなファンを惹きつけてやまないのが三家本礼作『ゾンビ屋れい子』です。全11巻という読み応えのある内容になっています。
女性キャラが巨乳ばかりでメインストーリーに集中できなかったり、死んだ人間をゾンビとして復活させて事件解決する物語かと思ったらゾンビ召喚バトルゲームになったり、途中から劇的に画風が変わり「ジョジョ」に似ていると言われるようになったりと、いじりたくなるネタには事欠かず、それらすべてがごった煮のようになった読者を引き込む作品なのです。
今回はそんな本作の見所をじっくり紹介させていただきます。
姫園れい子はゾンビ屋を営む女子高生。ゾンビ屋とは魔王サタンの力を借りて死体をゾンビとして生き返らせる仕事で、代々姫園家はその能力を受け継いできました。彼女はその能力を使い、事件を解決していました。
しかしある時、自分以外にもゾンビ使いがいること、双子の姉・リルカがある野望を持っていることが判明します。そこかられい子は仲間のゾンビ使いを集め、リルカに立ち向かう戦いが始まるのです……。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
1巻ではれい子が依頼された仕事をこなしていくという1話完結の話がメインで、金にがめつい彼女の様子や他登場人物たちの頭のおかしいと思えるような言動が笑えるブラックコメディの要素があるストーリーがメインです。
2巻以降からはそれに加えて少しずつ話の路線が変わり、バトルアクションのようなストーリーとなります。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
1巻で一度は殺されてしまったれい子。しかし2巻で何か邪悪な意思を感じ取って他人の死体から体を拝借して復活。その意思とは生き別れの双子の姉・リルカが姫園家の能力を使って人間をゾンビに変え、自分を女王とする世界をつくろうとしているという目論見でした。
れい子はリルカの企みを阻止するために、ゾンビを召喚してリルカが刺客として送ってくる敵と戦うことになるのです。
また、進化するのはストーリーだけではありません。れい子の見た目も変化していき、赤毛は金髪に変わり、体型も良香という少女の体を借りたことで巨乳化し、ストーリーが進むごとに更に大きくなっていき、絵柄もどんどんナイスバディの登場人物が増えていきます。
展開が進むごとに新しい世界を見せてくれるストーリー構成に、主人公の変化。本当に時間が経っているかのような現実味溢れる経過が面白い、独特の世界観を持つ話です。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
そんな独特な雰囲気のある作品ですが、それに見事にマッチするのがエログロのシーンの数々です。1巻ではグロいシーンは多いですがエロ要素は少なめ。2巻からお色気を意識したと思われるシーンが多く出てきます。
女性キャラクターのパンチラや巨乳女性の登場率の高さ。特に巨乳キャラの多さについては、貧乳キャラが出てくると読者の間で男なのではないかと言われるほどです。
そしてそんなキャラクターたちがとにかくひどい方法で次々と殺されます。ゾンビによって引きちぎられたり、頭を串刺しにされたりと血みどろなシーンが目白押し。
かなりグロいシーンばかりですが、主人公のれい子が惨殺される様子を見ても心を痛める様子やおののく様子がないからか不思議とすんなり見ることができます。
独特のリズムが楽しいブラックコメディにバトルアクション、そしてそれらに不思議とマッチするエログロシーンも『ゾンビ屋れい子』の魅力のひとつなのです。
進化する物語としてご紹介した『ゾンビ屋れい子』ですが、そのホラー展開はあまり怖いものではないので典型的なホラーが苦手な方でも楽しめる作品です。
当初のホラー要素はサイコホラーがメイン。背筋の凍る怪奇的な怖さというよりは死人が殺された原因にヒヤリとさせられる人間の悪意の怖さが感じられます。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
実の娘に性的虐待を加えていた父親によって自殺に追い込まれた少女や友達だと思っていた相手に殺された女子高生……。彼らの恨みつらみ、それに対する生きている人間の反応を見ているとかんがえさせられるものがあります。
そして2巻からは双子の姉・リルカが送ってくる刺客たちとのバトルアクションにハラハラさせられます。れい子は自分が召喚できるゾンビ、刃物を使って相手を切り裂く百合川サキと、打撃系の攻撃が得意な百合川みどりを操って次々と敵を倒していきます。
どんどん人が死に、リルカの刺客は強いことには強いのですがほぼ自滅エンドという、B級映画のようなあまり怖くないホラーストーリー。しかしその荒っぽさがなぜだか癖になるのです。
おすすめのホラー漫画を紹介した<超怖い厳選おすすめホラー漫画40選!怪奇からゾンビまで隠れた名作も>もあわせてご覧ください。
れい子が使役するゾンビの中でも人気が高いのが百合川姉妹。れい子とは姉のサキが引き起こしてきた幼女の連続殺人事件をきっかけに知り合います。
実はサキは幼い頃に妹を亡くしたと思っており、彼女の代わりを探して幼女たちを誘拐し、自分の言うことを聞かなくなると逆上して彼女たちを殺していたのでした。
実は妹のみどりは生きており、サキから虐待を受けていた彼女は階段から突き落とされて頭を打ったことから植物人間になっていたのでした。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
それぞれ結局亡くなってしまうのですが、そのあとにれい子にゾンビとして召喚されます。そしてそこてらのバトルシーン、コスチュームのセンスに人気があるキャラです。
みどりは肉弾戦で体を使った直接攻撃で戦い、サキはナイフで相手を切り裂いて戦います。その戦いも自分の体が半壊しても両腕がなくなっても戦うというなんともグロいもの。そこが妙な魅力を感じさせるものなんです。
そしてさらにそのフェティシズムを加速させるのが彼女たちの衣装。お色気満載の胸を強調したものだったり、オタク心をそそるものだったりと三家本礼独特のものがあるのです。
巨乳だらけのれい子のゾンビのなかでもひときわ魅力的な百合川姉妹をぜひ作品でご覧ください。
百合川姉妹もいいですが、本作の魅力を語る上でか返せない存在がリルカ。れい子の双子の姉であり、父親にもともと持っていた悪い資質を見抜かれ、それぞれ別の養護施設で育てられました。
しかしそのことによって家族から抹消されるのではないかと危ぶんだ彼女は両親を殺すことになってしまうのでした。そこから施設で寂しい日々を過ごすなかでれい子への嫉妬心を育てていました。
そんなある日、キルミスターたち他のゾンビ使いに誘われたことをきっかけにゾンビで人々を支配するゾンビ帝国の建国を目論むようになるのです。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
- 2002-05-18
当初はヒールに徹していた彼女ですが、「QUEEN」をキュエーンと読むなど、徐々に可愛らしくなっていきます。そして最終的には協力関係になるのです。
リルカは悪役から仲間になるまでの変化、ゾンビとしてエロくなった姿、そして最後の潔い死に姿など、とにかくエロカッコイイ。
ぜひ最後まで注目して頂きたい、物語と同じく、変化していくキャラクターです。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
- 2002-10-17
スプラッタホラーで少しだけお色気もあり、などいろんな魅力的な要素がある本作。「ジョジョに似ている」というのも、ひとつの魅力的な要素といえるでしょう。
なぜジョジョに似ていると言われているのでしょうか?
その理由とは、作者が大のジョジョファンであるということ。特に「魔女の石」編ごろから、絵柄がジョジョっぽくなってきたり、おなじみの効果音が作中に登場したりするのです。
絵柄が急激に変化した作品としても話題になりましたが、それでも物語の雰囲気そのまま、ジョジョの要素を取り入れてさらにパワーアップしていきます。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
- 2003-04-17
なんといっても、最終章となる「カーミラ」編は外せません。ここでは少しだけ、あらすじを紹介いたします。
魔女のカーミラが巻き起こす事件。彼女の本体は「魔女の石」であり、この石に触れたものに乗り移ることができるのでした。本来ならば博物館で封印されているものでしたが、盗賊が入って外に出され、魔女が復活しまったのです。
カーミラの暴走を止めるため、賞金稼ぎであるれい子たちが奮闘していきます。はたして邪悪な魔女の暴走を食い止めることができるのでしょうか?
最終章となる「カーミラ」編。最後にふさわしく、面白い展開でページをめくる手が止まりません!最終回まで、ぜひ本作でお楽しみください。
- 著者
- 三家本 礼
- 出版日
前半と後半で変化するストーリーと絵柄、エログロシーンてんこ盛りなのに怖くないホラー展開という、独特の魅力を持つ『ゾンビ屋れい子』。その雰囲気は見たことがないのにどこか私たち読者の面白いという感性にフィットする不思議なものです。
ぜひその魅力を全11巻の作品本編で確認してみてください!唯一無二の魅力にハマること間違いなしです。
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