志村新八(しむらしんぱち)は『銀魂』で欠かすことのできない貴重なツッコミキャラです。準主人公というメインキャラなのに存在感の薄さが特徴であり、作中ではかなりの常識人といえる人物。 普通がゆえに周りから雑な扱いを受けている彼ですが、知られざる一面がたっぷり詰まっている少年です。今回は、そんな愛されメガネ新八の魅力を13に分けて紹介していきます!
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2004-07-02
心の優しい大人しい少年で、周囲からは「新八」「ぱっつぁん」などと呼ばれ親しまれています。一人称は「僕」で、基本的に人と話す時は敬語を使うなど礼儀正しい性格がうかがえます。濃いキャラが多い『銀魂』のなかでもかなりの常識人であり、ツッコミのキレの良さはピカイチです。
袴を着こなし、メガネをかけているのが特徴ですが、メガネの方が本体という設定があり、作中では定期的にメガネイジりを見ることができます。ちなみに視力が悪くなった理由は本人曰く、幼い頃から姉である妙の作る殺人卵焼きを食べさせられていたからとのこと。
よく着ている袴やお通ちゃんの親衛隊ハッピの色から彼といえば青色と認識されており、彼のイメージカラーであるといえます。
母親は新八を生んですぐに他界しており、道場を営んでいた父親も幼少期の時に他界。姉の妙と2人で暮らしており、剣術を学ぶため万事屋で働いています。
流派は「天堂無心流」であり、父が生きていた頃は慕っていた尾美一(おびわん)を筆頭に門下生が多く存在していましたが、現在では廃刀令の関係でまったく人が集まらなくなり、道場の存続すら危ぶまれている状況です。
父の残した道場を何とか護るため、妙はキャバクラで働いていますが、新八は銀さんからまともに給料を貰っていないので、ほぼ妙の収入で生活しています。
そのどこでも馴染みそうな容姿から、『とらドラ!』の北村祐作や『ドラえもん』ののび太に似ていると言われています。『ドラえもん』ののび太に関しては、のび太だけでなく母親にも似ており、これについてはアニメでパロディにもなっており、本人も自覚しているようです。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2009-04-03
両親を亡くし、唯一血縁関係にある姉の妙とは非常に仲が良く、周囲から見るとその様子はシスコン・ブラコンそのものといえるでしょう。互いに「新ちゃん」「姉上」と慕っており、新八は妙のことを1人の人間として尊敬しています。
28巻ではインフルにかかってしまった妙を献身的に看病する様子が描かれており、ずっと妙の傍に居られる嬉しさから頬を赤らめる様子を見ることができますが、かなりのシスコンぶりに驚くどころか若干引いてしまう人も少なくないでしょう。
そんな仲のよい姉弟ですが、13~15巻の「柳生篇」は、2人が初めて姉弟喧嘩をする貴重な回です。
九兵衛のために家を出ていこうとする妙ですが、迷いがあることも新八には分かっていて、正直に妙に本心をぶつけます。彼女を取り戻すため、万事屋と真選組が九兵衛率いる柳生一門に闘いを挑むシーンもあり、新八だけでなく姉弟そろってみんなから大切に想われていることが分かります。姉弟愛だけでなく仲間との絆も描かれたこの回、読み終わると色んな感情が溢れて、あらためて周りの人たちの大切さを感じることができるでしょう。
妙については<『銀魂』志村妙の9の魅力!料理がダークマターって!?>で紹介しています。気になる方はあわせてご覧ください。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2007-12-04
新八は人気アイドルである、お通ちゃんこと寺門通の大ファンで知られています。ストリートミュージシャン時代からのファンであり、お通ちゃんのCDやアルバムは欠かさず購入している熱狂的なアイドルオタクなのです。
彼が中心になり結成された寺門通親衛隊というファンクラブは有名で、その界隈では知らない人はいないほどです。もちろん新八の会員番号は1番ですよ。寺門通親衛隊規則を定めており、親衛隊の活動時は人が変わったような熱血キャラに変身し、隊員たちをまとめあげているリーダー的存在です。
万事屋での時とは真逆であり、お通ちゃんのためなら何でもできるという精神を持ち合わせた彼は、もはやオタク界のボスともいえるでしょう。お通ちゃんを必死に追いかける新八の新しい魅力にハマってしまいますね。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2005-12-02
10巻で酔っぱらいに絡まれていた女の子を助けた新八ですが、その猫耳を付けた女の子の姿に一目ぼれしてしまいます。異性と付き合ったことのない彼は様々な人にアドバイスをもらいながら、何とかデートの約束をこぎつけるのですが……。もちろん自由にデートさせてもらえる訳がありません。
姉の妙を中心に、銀さんと神楽も影から2人の様子を見守ります。
女の子は相当な小悪魔で、彼は彼女の言動ひとつひとつにメロメロになってしまいます。様子を見ていた女性陣は大激怒で、今にも飛び出しそうな勢いです。
しかも11巻ではひょんなことから大人の雰囲気漂うホテルに入ることとなり、男としての一大決心をすることになる新八。この恋は無事に実るのでしょうか。
彼を見守る妙たちの様子は完全に親そのもので、そこには彼を心配に想う気持ちが表れています。気になる恋の行方、それを見守る(阻止する?)妙や銀さんたちの様子に注目しながら読んでみてくださいね。
ちなみにこの回では、お通ちゃんの新しいアルバムの写真が猫耳を付けたものになっており、それを見た新八が「萌えェェェェ!!」と即答していることから、かなりの猫耳フェチといえるでしょう。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2009-02-04
先ほど述べたように、お通ちゃんの大ファンである新八はお通ちゃんの歌を口ずさむことが日常化しています。
4巻では源外のカラクリを作る音がうるさいと住民たちが迷惑していたところに、対抗するようにラジカセを持参した新八がお通ちゃんの歌を大声で歌い始めました。
そのあまりの音痴さに周囲の人は耳をふさいでいましたが、当の本人だけは気持ちよさそうに口ずさんでいる様子が、何とも言えない気持ちになりますね。
27巻では万事屋たちが九兵衛の誕生日会に招待されます。新八は九兵衛のためにバーステーソングを歌い始めるのですが、ここでも衝撃的な音痴さで会場をある意味で圧倒することとなりました。
彼自身に音痴としての自覚がないのか、はたまた開き直っているのかは不明ですが、気持ちよく歌っている姿はもはや清々しいといえますね。漫画ですが、本当に彼の歌が聞こえてきそうな勢いを感じますよ。
いつものように万事屋へ出勤した新八ですが、何やら様子がおかしいことに気づきます。
そこには某有名漫画に登場するヤ○チャ風の銀さんとずいぶん大人になった神楽の姿がありました。休載から1週間しか経っていないにも関わらず、2年もの月日が流れているというぶっ飛んだ設定です。
万事屋だけでなく真選組など周囲のキャラクターも完全に変わってしまっており、彼の知らない世界があちらこちらで広がっていました。
実は、原因は江戸に突如現れたイボであり、自分自身の持つ向上心によってなりたい姿を映し出しているだけということが判明し、実際に2年経っているわけではなかったことが明らかになります。
しかし、みんなが変わっていくなか自分だけ元の姿のままでショックを受ける新八。この話にはいろいろなオチが存在しており、最後まで展開が読めない、ある意味ドキドキの回となっています。
そして映画「劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」は、5年後の『銀魂』の世界を描いている作品です。
気になる新八の姿ですが、身長も髪の毛も伸び一人称も「俺」に変わる別人ぶりでいつもの地味で冴えない彼とは180度変わった風貌となっています。クリクリの可愛らしい目元も大人びたものになっており、もちろんメガネもスタイリッシュです。一言で表すならただのかっこいいメガネですね。
そして一番の変化は、ツッコミをやめたことでしょう。新八といえばツッコミキャラでしたが、様々な心境の変化により5年後では自分自身でツッコミを封印している傾向が見られます。しかし、銀さんと絡むことにより自然にツッコミが復活するあたりは、いくら変わっても銀さんには敵わないんだなと言えますね。
戦闘レベルも格段に上がっており、1人で敵を一瞬にして倒す姿は新八ファンでなくても虜になってしまうでしょう。
ある怪しい占い師によって、かぶき町の住民たちの性別が変わってしまいます。それぞれのキャラクターが個性あふれる見た目に変わっていくなか、新八は性別も見た目もまったく変化しないままでした。
しかし、よーく見てみると彼の本体とも言われるメガネの色がピンク色に変わっていたのです!それを見た銀さんと九兵衛はメガネに向かって「こんなにも女の子らしくなっちゃって」などと話しかける始末です。人間を掛けたメガネと言われているだけあって、みんなからのイジられ方も一級品ですね。
この回は様々なキャラクターの新しい一面を見ることができる非常に人気のエピソードとなっています。
このまま戻らなくても何の支障もない気もしますが、果たして元のメガネ(新八)に戻ることはできるのでしょうか。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2006-02-03
ファミレスで慣れないバイトをしていた時に初めて銀さんと出会った1巻がきっかけで、新八は万事屋でともに働くようになります。普段はめんどくさがりで頼りない銀さんに呆れていますが、銀さんは彼にとっていざという時に自分たちを護ってくれる兄のような存在なのでしょう。
11~12巻の「紅桜篇」では、岡田似蔵によって重症を負わされた銀さんを助けるために必死で似蔵に立ち向かっていきます。楽しい時も苦しい時も、新八は常に銀さんの背中を見ていました。自分がピンチの時に助けてくれた銀さんの代わりに、今度は自分が銀さんを護るという気持ちが表れています。
戦いを重ねるごとに、より強くなりたいという想いを抱えている新八ですがその背景には確実に銀さんが関係しているといえるでしょう。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2008-09-04
実家が道場で、幼い頃から父から剣術を学んでいた新八。万事屋で働くようになってから彼の戦闘レベルはより上がっていっています。
25~26巻に収録されている長篇エピソードの「吉原炎上篇」では、強くてたくましい彼を見ることができます。吉原を取り仕切る鳳仙(ほうせん)によって長い間地上との交流を絶たれていた吉原の地を救うため、新八たちは敵地へと乗り込むのです。
そこで夜兎族である阿伏兎(あぶと)と戦うことになった新八と神楽。戦闘を好む夜兎族なだけあって、阿伏兎はかなりの強敵で、2人で闘っても一向に歯が立ちません。
さらに新八が絶対絶命に追い込まれたその時、神楽の中に眠っていた夜兎の血が目を覚ましてしまいます。正気を失い、タガが外れてしまった彼女は阿伏兎でも手がつけられません。
新八は必死に神楽の名前を呼び続け、目を覚ませようとしました。自らの命も危ういなか、神楽を護り続ける彼の姿は読んでいて胸が熱くなってしまいます。
妹のような存在でもあり、万事屋でともに働く仲間でもある神楽は新八にとって本当に大切な存在であることが伝わってきます。彼の声は無事に神楽に届くことができるのでしょうか。迫力のある戦闘シーンも必見です。
新八はある日海岸で手紙の入った小瓶を見つけます。そこには「文通しませんか」という文章とともに、可愛い女の子の写真が入っていました。
手紙の差出人はうららという人物だったのですが、本当は姉であるきららだったことが明らかになります。きららは病弱な上に引っ込み思案であり、妹のうららのふりをして手紙を出していたのです。
一方の新八も銀さんらに振り回されてしまい、彼ではなくメガネをかけた沖田の写真を送ってしまいます。お互い本当の姿を知らないまま会うことになった2人ですが、様々なトラブルに巻き込まれ、きららが自分自身の存在について思いつめてしまうことに。
もうダメだと思ったその時、「名前を教えてください 僕も今度はちゃんと君宛てに手紙を送りたいから」と書かれたスケッチブックを見て涙したきらら。差出人はもちろん新八です。
最初はお互いの顔をよく知らなかった2人ですが、様々なトラブルを乗り越えたことでお互いを想い合う気持ちが大きくなっていきます。
運命ともいえる出会いをした2人。物語のラストでは、文通が続いているかどうかはっきりとは描かれていませんが、もしかしたらまだやりとりが続いているのかもしれませんね。
新八にはきららのようなおしとやかな女性がお似合いだと筆者は勝手に思っているので、もしかしたらきららが彼の結婚相手になる未来もあり得るかもしれませんね。
ちなみに、この回では彼が文通をするにあたって銀さんや真選組のキャラクターたちがいろいろと手を貸しています。ありがた迷惑な場面も多々ありますが、みんな彼のことが大好きなんです。普段は雑に扱われることが多い新八ですが、周りの人たちから愛されている彼を見ると心がほっこりします。
新八のモデルは新撰組に存在していたことをご存じでしょうか。モデルとなった永倉新八は新撰組二番隊組長ならびに撃剣師範を務めた人物です。様々な剣術道場で腕を磨いたのちに近藤勇の道場に入門し、新撰組で活躍するようになります。
永倉の剣術の腕は新撰組でもトップクラスと言われており、かの有名な沖田総司も永倉には敵わなかったそうです。我武者羅な性格で、その性格と名前から「がむしん」と呼ばれていたそう。『銀魂』の新八は穏やかで控えめな青年なので、モデルの人物とは真逆ともいえますね。
『銀魂』は歴史上の人物がモデルとなっていることが多く、真選組などはよく認識されていますが、新八のモデルは知らない人も多いのではないでしょうか。
モデルとなった人物が当時どんな活躍をしていたのかを知りながら読んでみるというのも、なかなかハイレベルな楽しみ方かもしれませんよ。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
初期設定については、6巻で設定のみ公開されています。先述通り、真選組の隊員の永倉新八として登場予定だったのですね。現在の髪型を少しハネさせたような容姿で、想像してみると今の新八とは少し違った雰囲気を感じます。
剣術修行のため、田舎から江戸へ上京し近藤たちと出会い真選組の一員に。ちょんまげや坊主などいろいろな案があったそうですが、作者の空知曰く結局彼はのび太だからメガネでよいというふうになり、今の新八が誕生したとのことです。
こういった初期設定は漫画の魅力の一つであり、作者の初期の考えを垣間見ることができる貴重な情報ですよね。万事屋で銀さんたちとドタバタ劇をくり広げる姿がすっかり板についている新八ですが、もし真選組に在籍していたら、今とはまったく違った『銀魂』だったかもしれません。
- 著者
- 空知 英秋
- 出版日
- 2004-04-02
5位
「意味分からないのが二次元の女の子に恋してる人達ですよね
結局二次元の女の子に恋焦がれても成就しないでしょ 時間の無駄でしょ」
(『銀魂』19巻より引用)
お通ちゃんオタクである新八が、「オタクサミット」というテレビ番組に出演した際のセリフです。アイドルとアニメオタクの両派に分かれて熱い討論がくり広げられるのですが、彼の発したこの言葉によってアニメオタク派から大批判をくらってしまいます。ちなみにこの回ではあの人気キャラクターがアニメオタクとして彼と討論していますよ!かなり異質なツーショットは必見です。
4位
「オイ そこ何ボケっとしてんだ声張れェェ!!
俺は生まれたときからお通ちゃんの親衛隊長だァァ!!」
(『銀魂』2巻より引用)
お通ちゃんのライブに来た銀さんと神楽ですが、新八の姿が見当たりません。すると、会場の一角に同じハッピを着た人たちが集まっていました。この集団こそ彼率いる「寺門通親衛隊」だったのです。普段の彼とは180度違う人格になっており、声を張り上げながら隊員を仕切っています。一人称も「俺」に変わっており、お通ちゃんへの愛がどれほど大きいか嫌でも伝わってきます。
3位
「新八の八は 八位の八です」
(『銀魂』31巻より引用)
ファンの間でも人気の高い、『銀魂』キャラの人気投票の回のセリフです。新八は準主役というポジションながら、気になる順位は何と八位。最初は結果を不服に思っていた新八ですが、しだいに読者が与えてくれた八位という順位に誇りを持つようになります。
このセリフには彼の優しい心がよく表れているのではないでしょうか。しかし、読者にまでイジられる才能を持ち合わせた新八には、本当に頭が上がりませんね。
2位
「童貞なめんなァァァァ!!三十歳まで童貞貫いた男はなァ
ゴットハンドと呼ばれ加藤の鷹という存在に転生できるんだぞ!!」
(『銀魂』25巻より引用)
ある日新八たちは晴太という少年に出会います。晴太は、実の母親で吉原一の花魁である日輪に会うため、お金で母を買おうとしていました。話を聞いていくうちに、晴太から童貞(ガキ)呼ばわりされてしまう新八。頭に血が上った彼が晴太に言ったセリフがこちらです。恋愛経験が少ない上、子供からも見透かされてしまう新八に切なさを感じてしまいます。
1位
「姉上ェ!!まだパンツははいていますか!!」
(『銀魂』1巻より引用)
父の死後、新八の道場は存続が厳しくなってしまいます。父は天人に借金をしており、返済の目処がつかず天人から目をつけられた志村家。姉の妙がノーパンしゃぶしゃぶ天国で働かされる危機に直面しました。しゃぶしゃぶされてしまう寸前のところで銀さんと新八が妙を助けるのですが、その時の彼のセリフがこちらです。
妙を護るために敵のアジトに乗り込む姿はよい弟だと言えますが、第一声が正直すぎて読んでいると思わず吹き出してしまいます。