2008年に連載が始まって以降、アニメ、舞台、ドラマと様々なメディアに展開されるなど絶大な人気を誇っている『弱虫ペダル』。2020年には実写映画化もされます!オタク少年の小野田坂道がひょんなことから自転車競技部に入部し、様々な友人やライバルと競いながら自転車の才能を開花させていくスポーツ少年漫画です。 単行本が70巻(2021年1月現在)を超える長編のなかには極めて個性的なキャラクターもいて、その1人が京都伏見高校の自転車競技部に所属する御堂筋翔(みどうすじあきら)。勝つためならどんな非情な手段もいとわないキャラクターでありながら、一方でかっこいいと言う声も。 この記事では、そんな彼の魅力をエピソードとあわせてご紹介します。熱が入り、かなりのボリュームになってしまったので、目次からご自身の気になる内容をご覧ください。
『弱虫ペダル』に登場するキャラクターの中でも、その人間離れした容姿や言動でホラー扱いされることもある御堂筋翔(みどうすじ あきら)。独裁的で非情な性格なキャラクターですが、自転車競技の実力は確かな選手でもあります。
1年生の時、入部早々に3年エースの先輩を勝負で負かし無理やりエースの座を奪ったり、先輩をザク(雑魚)呼ばわりしたり、チームメイトに自分を君付けで呼ぶように強制したり……数々あるエピソードは、どれも御堂筋の強烈なキャラクターを印象付けるものばかりです。
また、その容姿も特徴的で、細長い体や虹彩のわからない真黒な目、整った歯並びから爬虫類や虫に例えられることもしばしば。反面、亡き母親をめぐる悲しい過去があったりもします。
不気味で独裁的で非情で、しかしその裏には母親思いな少年の心もある……そんなキモかっこいい御堂筋翔の魅力を詳しくご紹介していきましょう。
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「エースナンバーイチはボクがつける」
(『弱虫ペダル』16巻より引用)
御堂筋が京都伏見高校の自転車競技部に入部した日、3年生のエースである石垣に向かって勝負を挑んだ際に言った台詞です。その勝負で、御堂筋は石垣を破り、エースとなりました。さらには部内の実権を握り、チームを支配していくようになります。
御堂筋はとにかく勝ちにこだわり、勝利のためならどんな手段でも取るキャラクターです。しかし、ただ勝つだけではおさまりません。圧倒的に勝つ、自分がトップになるという強い考えが伝わってくる印象的な台詞といえるでしょう。
「勝利や勝利 勝利!!
勝利以外は意味ないわ!!」
(『弱虫ペダル』16巻より引用)
15、16巻では2日目、所定の区間を最速で走り抜けた者に与えられるグリーンゼッケンを争い、御堂筋と新開隼人が熱戦をくり広げます。
新開はたれ目で優し気な普段の印象とは異なり、本気の戦いを繰り広げる際には、舌を出し、形相を変えて戦う「箱根の直線鬼」と呼ばれている人物です。
御堂筋も同じく走るスタイルの恐ろしさが印象的な人物ですよね。さらにこの戦いでは新開の過去のトラウマを利用し、陽動作戦にも出ます。勝利のためなら人でなしになれるということを読者に再確認させた展開です。
この台詞は、新開と直線を争う際に発したモノローグ。2人の必死の形相で出たデッドヒートの迫力を、さらに増す言葉です。
「100コのことできるより
1コのことトコトンできる方が絶対エライやろ!!」
(『弱虫ペダル』18巻より引用)
御堂筋は小学生の頃、運動も勉強も苦手で、さらにその特徴的な容姿もあって、他の子供達からいじめられる存在でした。そんな時、将来はスポーツ選手になると言ったことで、御堂筋は周りからひどくバカにされてしまいます。
その時に御堂筋が1人思った台詞がこれです。自転車競技を極め、絶対に自分が勝つ、自分がトップになると自分自身に誓った台詞ともいえ、とても印象的です。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2011-07-08
その容姿や言動から、御堂筋は度々爬虫類に例えられることがあります。そんな御堂筋は、自転車で走る姿ももはや人外のようでとても不気味です。
自転車で加速する時は、長い舌がヘビのように出ていたり、背中を丸めた極端な前傾姿勢のフォームが人間離れしていたりするのはもはや序の口。自転車競技では栄養補給のため走りながら食料を食べるのですが、その食べ方はエモノに群がる獣のようですし、対戦相手の選手のトラウマを抉ったり挑発したりも当たり前のようにやってのけます。
極めつけは、レース中に見せた脱皮です。脱皮をした御堂筋はそれまでのフォームを進化させ、さらに速く走れるようになりました。
もちろん、これは実際に脱皮をしたわけではなく、「一皮むけた」ことを表現するための描写です。他の人間離れした描写も同じ理由で、御堂筋の実力の高さを表しているものなのでしょう。 しかし、それにしても絵のインパクトがすごいので、気になる方は『弱虫ペダル』30巻をご覧ください。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2013-10-08
「ザク」というのは、作中で御堂筋がチームメイトや対戦相手に向かってよく使う言葉で、「雑魚」という意味です。他にも、同じ意味で「量産型」などの言葉も使います。いずれも、相手をどこにでもいるような平凡な才能扱いしている言葉ですので、普通に考えれば悪口です。
しかし、御堂筋の場合は、どちらかというと自分の力に対する絶対的な自信を表しているようにも感じられます。ライバル選手だけではなくチームメイトや先輩に対しても言い放つのは、自分以外の選手の力を信じていないとも考えられるからです。
反面、実力を認めた相手に対しては、「量産型ではない」と言うこともあります。その1人が主人公の小野田坂道。坂道の実力に一目置いているのか、御堂筋は彼のことを「量産型ではない」と明言していました。
これらのことからも、御堂筋はただ自分の力を過信したりマウントを取りたくて「ザク」という言葉を使っているのではなく、自分の力に絶対の自信を持っているからこそ、周りの選手を下に見てしまうのだともいえるでしょう。
ちなみに小野田については以下の記事でさらに語っております!
【永久保存版】小野田坂道のすべてを最新展開まで解説!基本情報や戦績など
『弱虫ペダル』の主人公・小野田坂道(おのださかみち)は、急斜面の坂を鼻歌混じりで平然と登り、坂を見ると笑顔でハイになる、いろいろと規格外なロードレーサー。競技歴4ヶ月目にして、初出場のインターハイで優勝という偉業を成し遂げ、その後のレースでもチート級の強さを見せつけます。 しかしどこか憎めない雰囲気を持っており、ファンからは恐ろしいまでのペダルの回転数(=ケイデンス)を妖怪ペダル回しといじられることも。 この記事では、小野田坂道の強さについて、作中での活躍や最新章での展開を交えつつ解説します。熱がこもって長文になってしまいましたので、目次からご自身が興味のある内容をご覧いただければと思います! ちなみに『弱虫ペダル』は2020年8月に実写映画化。主人公のことを知っていれば原作も映画もより楽しめますよ!
「キモッ」というのは、御堂筋が自分の嫌いな努力や仲間といった言葉や、それを言う相手に対して言い放った台詞で、今では御堂筋を代表する台詞ともいえるくらい存在感のあるものとなっています。劇場版の『弱虫ペダル』では、御堂筋の唯一の台詞が「キモッ」だったこともあるくらいです。
この台詞は、どんな方法であっても勝利にこだわる御堂筋が、努力や仲間などの大切さなどを語る人に対し、それらを綺麗ごとと言い、嫌悪する意味で発するものです。レース中に、相手を煽るために「キモキモキモキモ」と連発することもあります。
御堂筋にとってはそういったことを重視して勝ち負けにこだわらないことが「キモ」いのかもしれません。勝利を得るためならどんな非情な手段でもためらうことなく実行する御堂筋のキャラクターを表す台詞といえるでしょう。
御堂筋はどうしてここまで勝利にこだわるのでしょうか? その秘密は、彼の過去にありました。
正確な家族構成は不明な部分もあるのですが、幼い頃、彼は母親が病気で入院し、親戚の家に預けられていました。闘病の甲斐なく母親は亡くなってしまうのですが、その時に言い残された「何があっても、前に進むんやで」という言葉が、御堂筋の勝ちにこだわる理由になっています。
そもそも御堂筋が競技を始めたのも、母親のいる病院を見舞うため片道2時間をかけて自転車を漕いでいたことがきっかけでした。そして、自分が頑張ることで母親が喜ぶのだと思った御堂筋は、自転車に打ち込むようになります。御堂筋の自転車人生は、病気の母親を喜ばせたいという少年らしい気持ちが始まりだったのです。
冷血で非情な言動が目立つ御堂筋ですが、もともとは母想いの優しい心の持ち主でした。根底にそんな優しい部分があるからこそ、御堂筋はただの嫌なヤツではなく、キモいけどかっこいいキャラクターになっているのでしょう。
彼の過去についてのエピソードは18巻で読むことができます。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2011-07-08
御堂筋が勝利のためなら手段を選ばないことや、力がないと見た相手は容赦なく雑魚扱いするキャラクターであることはご紹介してきました。そんな御堂筋は、登場したばかりの9巻で大胆不敵かつ挑発的な行動を取っています。
インターハイの会場で、その時の王者である箱根学園に対し、「箱学ブッ潰しまーす!」(『弱虫ペダル』9巻より引用)と、インタビュー中の司会からマイクを奪って高らかに宣言したのです。
礼儀も何もない挑発的な行動ではありますが、そこが御堂筋らしいともいえるでしょう。彼の登場を印象付ける挑発的なエピソードの1つです。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2009-12-08
1年生でありながら絶対的なエースで、京都伏見の自転車競技部に君臨する御堂筋は、部活の全権を握る存在です。そのため、トップダウンの軍隊のような部活になっています。
しかし、もともと京都伏見高校の自転車競技部は、アットホームな和気あいあいとした雰囲気でした。それが変わったのは、御堂筋が入部したその日に、その時のエースだった3年生の石垣に勝負をしかけ、勝利したことに始まります。
その後、御堂筋は、チームメイト達を「ザク」呼ばわりし、自分のことは「御堂筋君」と呼ぶように強制。さらにチームメイト同士には番号や苗字で呼ばせい、レースの戦略も全て御堂筋が握り、絶対的な君主として誰1人逆らうことを許さなかったのです。
こうして、京都伏見高校の自転車競技部は、アットホームなチームから軍隊のようなチームへと変貌していったのです。
これだけ聞くと今にも反乱が起きそうな感じもしますが、それでも強い部活となりチームとして成立しているのは、御堂筋の圧倒的な実力があるからこそなのかもしれません。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2011-03-08
勝利のためには手段を選ばない御堂筋は、時に対戦相手のトラウマを調べ上げ、それをえぐるような方法を取ることもあります。そのひとつが、主人公の坂道も所属する総北方向校の自転車競技部に所属する今泉俊輔に対しての作戦。
御堂筋は今泉と対戦した際、今泉に「母親が事故にあったらしい」と嘘をついて動揺を誘ったのです。結果、今泉はまんまと作戦にはまり、失速。敗北してしまいました。
何とも姑息な嘘ですし、悪質な作戦だといえるでしょう。しかも、御堂筋はそんな姑息な嘘をついたことに悪びれる様子はもちろんなく、むしろ自分なら母親が死んだくらいでペダルを緩めたりしないと言いのけるのです。
これだけ聞くと、なんてひどいヤツだとも思えます。しかし、彼の勝利に執着する理由が、亡くなった母親が残した「何があっても前へ進むんやで」という言葉だということを考え合わせると、御堂筋の覚悟や強さを感じることもできるでしょう。
御堂筋にとって「母親が事故にあたらしい」という嘘は、姑息でも悪質でもなかったのかもしれません。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2009-12-08
他にも、御堂筋がレース中に仕掛けたやばい心理作戦があります。それが、箱根学園の選手である新開に対して行った心理作戦です。
新開は、過去レース中にウサギをひき殺してしまったことがありました。その時、左を抜こうとした際にウサギをひいてしまったことから、「左を抜く」ことが出来なくなってしまったのです。
御堂筋は事前の調査でそのことを知っていました。そこで、わざと「左を抜く」状況を作り出して新開を追い詰める作戦を取ったのです。
相手の弱点を突くというのは、作戦としては間違ってはいません。しかし、相手のトラウマを抉るこの方法はかなりえげつない心理作戦といえるでしょう。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2010-12-08
ここまで、とにかく勝利に固執する御堂筋のエピソードをご紹介してきましたが、最後に少し温かめのエピソードもご紹介します。彼にも、勝ち負けだけではなく、自転車競技そのものが楽しい、好きだという気持ちがあるのだと感じられるエピソードです。
1年目のインターハイ。全部で3日あるうち、2日目を終えた時点で総合優勝の可能性がなくなってしまった京都伏見高校。その時点ですっかりレースに興味を失ってしまった御堂筋は、自転車で京都へ帰ろうとします。
その道すがら、薬局へ買い出しに行くという坂道と一緒になり、ひょんな流れから薬局まで勝負をすることに。結果として、勝負は御堂筋の勝ちでした。しかし、終始笑いながら自転車で走っていた坂道を見て、御堂筋はかつて母親に言われたことを思い出します。
自転車に乗り始めた少年の頃、御堂筋は母親から、自転車に乗るようになってよく笑うようになった、と言われたことがあったのです。
高校生になった御堂筋は勝つことだけを目的に自転車に乗っています。しかし、その根底にはもっと単純な、自転車が楽しいという気持ちも確かにあったのでしょう。御堂筋が、少年の頃の純粋な気持ちを少しだけ思い出したことがわかる他とは違う温かめのエピソードです。
- 著者
- 渡辺 航
- 出版日
- 2011-09-08
いかがでしたか? 『弱虫ペダル』は有名な作品なので、読んだことはなくてもタイトルを聞いたことがあるという方は多いのではないでしょうか? ここでご紹介した御堂筋翔以外にも、他にもたくさんの個性的なキャラクターが登場します。これを機会に、ぜひ『弱虫ペダル』を手に取ってみてはいかがでしょうか。きっとお気に入りのキャラクターが見つかるはずです。
『弱虫ペダル』についてもっと詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
漫画『弱虫ペダル』の魅力を既刊54巻までネタバレ紹介!
『弱虫ペダル』は自転車競技部に所属する小野田坂道をはじめとする総北高校のメンバーの自転車に懸ける青春を描いた作品です。インターハイ優勝を目標に掲げた各高校の熱いバトルに心を動かされます。自転車を知らない方でも楽しめますよ! 2020年8月にはKing & Princeの永瀬廉主演で実写映画化もされ、話題になりました。