5分でわかる救急隊員!仕事や年収を現役隊員に調査した結果をご紹介

更新:2021.4.13

「救急隊員」ってご存じですか?救急車に乗っていて、傷病者の初期対応をして搬送しているあの方たちです。実際にお世話になったり近くで見たことはなくても、救急車に乗っている姿は見たことがあると思います。今回は現役の救急隊員に実態を調査し、その業務内容や年収、実際のやりがいや苦労話など、救急隊員の酸いも甘いもを徹底調査してきました。救急隊員を目指している方、必見の内容になっていますよ。

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目次

救急隊員とは?どうしたらなれるの?

救急隊員とは

救急隊員に普段お世話になることはあまりありませんが、きっと一度は目にしたことがある職業なのではないでしょうか。救急車に乗ってヘルメットをかぶって水色の白衣を着て、(実際にはその中にグレーの制服を着ています。)お仕事をしているあの方たちが「救急隊員」です。

消防署員のうち救急隊に属し、119番通報を受けて迅速に出動し、どのような現場でも最初に傷病者の状態分析・把握をして応急処置を施します。とても責任重大で大変なお仕事でもあります。

救急隊員の仕事内容は?

救急隊員の仕事は、わかりやすくいうと「119番通報があったら救急車で出動し、傷病者の初期対応・応急処置をおこなう」ことです。

基本的には何かしらの怪我や緊急事態がおきた時に、救急要請があったうえで出動することとなります。救急隊は3人1組のチームを組んで行動します。(隊長・隊員・機関員(運転手)の1組で1人の救急救命士を組み込むことを推奨)

現場についたら傷病者の状態を素早く判断し、医師の指示に基づいて適切な応急処置をおこないます。医療処置はおもに「救急救命士」がおこないますが、そのサポートはチーム全体で対応しなくてはなりません。

救急救命士になるには?5分で分かる、仕事内容や年収、資格、大学など
https://honciergejp/articles/shelf_story/5983

出動から現場に到着し、搬送と応急処置が出動時の仕事であるといえますが、必ずしも救急要請に該当する傷病者ばかりではないため、要請内容によっては、対応が異なることもあるようです。

また、どのような現場でも救急隊員は冷静に状況を判断し迅速に対応し救命処置をすることを求められます。体力だけではなく、常に落ち着いて行動できる精神力も求められます。
 

基本的に、前述した救急要請に対する対応が業務であることは変わりありませんが、消防士としての業務と兼任していることもあり、さらに予防や警防、庶務も職員内で分担しておこなうこともあります。

救急隊員の働き方とは

業務としては基本的に24時間拘束され、その間8時間の仮眠時間が設けられていますが、救急要請があれば仮眠時間でも関係なく出動する必要があります。

 

大前提として体力勝負の仕事となりますので、救急隊員を目指すならば、普段から基礎体力を向上させるのは必須といえるでしょう。

また、その他の時間では、体力維持のためのトレーニングや、救急車両の整備や点検、季節によっては、自治体で催される救急イベントに参加し、応急手当についての指導を地域住民に行ったりもします。

余談ですが、24時間出勤勤務であるため、消防士や救急隊員の人たちは、署内で自炊をすることも多いそうで、必然的に料理上手な人が増えていくそうです。

救急隊員の年収は?

救急隊員の年収は各自治体によって異なる

救急隊員を目指したいるならば、その年収を知っておきたいというのも本当のところではないでしょうか?

現役の救急隊員に聞いてみたところ、「各自治体によってバラバラです!」という答えが返ってきました。

救急隊員は各自治体に所属する「地方公務員」です。つまり基本的には各自治体の給与表で決められているのが給与となります。

救急隊員の年収平均値は?

平均値を調べてみると400万~600万円くらいのようですが、各自治体による有意差に加え、時間外手当や出動手当、危険手当、資格手当などにより個人差もみられるようです。

自治体により各種手当の取り決めがまちまちなので、所属している地方によりかなりばらつきがあるようですが、平均すると地方都市よりも大都市のほうが収入は高い傾向があるようです。

しかしながら、そのぶん出動回数も必然的に多くなり、業務は多忙になります。また、志願する希望者の数も増えるため、試験合格を勝ち取ることも難しくなるでしょう。

ただ、人員配置が比較的多くなるため、救急以外の雑務を請け負う機会は減るとのことでした。

大都市で収入も多くなり、専任業務に集中はできるけれども忙しい環境か、地方都市で少し年収は下がり、雑務も増えるが、大都市よりは比較的時間のゆとりが生まれやすい環境を選ぶか。個々人の好みとして分かれそうです。

救急隊員としてのやりがい、辛いこと

救急隊員としてのやりがいは?

救急隊員は救急要請があれば最初に現場に駆けつけて、状態を判断し、その初期対応をすることが仕事です。判断を誤れば傷病者の命そのものや、傷病者の予後、人生を変えてしまうこともあるでしょう。

プレッシャーや緊張感、責任感はとても高いのですが、その分やりがいも感じることができるでしょう。現役で働いている救急隊員に、従事してみて分かるやりがいを聞いてみました。

  • 隊の連携がうまくいき、よい活動ができたとき
  • 重症緊急事態が高い現場で限られた時間のなかで処置し、病院に収容できた時
  • いろいろな現場に行くことができ、さまざまなことを経験できるので飽きない
  • 困難事例で病院や傷病者との交渉がうまくいったとき
  • 仲間意識が強く、和気あいあいとしているとき
  • 傷病者やその家族から感謝されたり、手紙をもらったりしたとき
     
  • 心肺停止の傷病者の自己心肺が再開したとき
  • 年々できる処置が増えていって、さまざまな状況に対応できてきたという実感があるとき

基本的に救急隊は3人1組で動くので、人間関係が良好なことが大前提なようです。ですので、みんなが気持ちよく働いていくためにも、人間的な部分をしっかりと意識し、お互いにフォローし合えるような関係を形成できる社会性をともなっていることが、救急隊員に求められる基本となるでしょう。

救急隊員の仕事で辛いことは?

では逆に辛いことはなんでしょうか。こちらの現役の消防隊員に聞いてみました。

  • 自損系の現場への出動要請
  • 精神病患者に対する対応
  • 飲み屋街での救急要請(とくにみんなが楽しく飲んでいる時間帯は、救急隊員は疲労のピーク時間である……)
  • 暴力団関係の事例
  • 緊急走行は正直緊張します
  • 搬送先が決まらない時
  • 横柄な医者への対応や冷たい看護師への申し送り

救急隊員も人間です。やはり現場として気持ちが締め付けられるようなつらさを実感する場所や、自分自身の身の危険を感じる場所は、正直にいって気が向かないこともあるようです。

また、前述したように救急隊員は3人1組で行動するので、チームの人間関係がよくないとそれだけで連携がうまくいかなくなったり、よい処置ができなくなったりするようなので、職場の人間関係はやはりとても重要です。

救急隊員はどうやってなるの?あわせて取得したい資格

救急隊員になるには「消防士」を目指す

救急隊員は消防署に所属している消防士でもあります。ですので、「救急隊員」を目指すのであれば、まずは消防士を目指すことが、最初に掲げられる条件となります。

消防士になるにはまず、高校や短大・大学を卒業後、地方公務員試験を受けて消防士として合格しなければなりません。その後消防士学校で初任教育を半年かけて履修し救急標準科検収を受けて晴れて救急隊に配属となります。

◾️受験資格について

消防官の採用試験を受験するには、上記のように学校教育法に基づく大学を卒業している他、年齢の基準も設けられています。たとえば東京消防庁では29歳が年齢の上限とされています。

◾️採用試験の区分について

消防官の採用試験には区分があります。たとえば東京消防庁の採用試験には専門系、I類、II類、III類の4つの採用区分があり、それぞれに受験資格や採用予定者人数、試験内容が異なります。

1.Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類の試験内容

 

  • 教養試験:知能分野、知識分野から出題
  • 論(作)文試験:課題式により、Ⅰ類及びⅡ類は論文試験、Ⅲ類は作文試験
  • 資格・経歴評定:保有する資格やスポーツ・音楽の経歴に応じて評定をおこなう
  • 適性検査:消防官としての適性についての検査
  • 身体・体力検査:職務遂行に必要な身体、体力及び健康度の検査をおこなう
     
  • 口述試験:個人面接

 

Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類の採用試験の内容は統一されています。災害現場での消防活動に従事する消防官という点ではI・II・III類消防官との違いはなく、受験資格さえ満たしていれば併願も可能なので、複数受験しておくのはよいかもしれません。

2.専門系の試験内容

 

  • 教養試験:知能分野、知識分野から出題
  • 専門試験:消防行政事務に必要である専門分野の基礎知識を問われる。専門区分は建築、法律、電気、化学、物理など8区分におよぶ
  • 論文試験:課題式によりおこなう
  • 資格・経歴評定:保有する資格やスポーツ・音楽の経歴に応じて評定をおこなう
  • 適性検査:消防官としての適性についての検査
  • 身体・体力検査:職務遂行に必要な身体、体力及び健康度の検査をおこなう
  • 口述試験:個人面接

 

Ⅰ類・Ⅱ類・Ⅲ類の採用試験と違うのは、専門試験がある部分でしょう。専門系消防官は、高度の消防行政を担う中枢職員として活躍することが期待され、将来的には幹部のポストに就くことが一般的な流れとされています。

しかしⅠ類・Ⅱ類・Ⅲ類と同じく消防官という点では、業務に違いはありません。採用後、最初の数年は実践的な指導を受け、現場におもむき、経験とキャリアを積んでいきます。そうしていろいろ学んだ後、事務や広報の業務に携わっていくようです。

参照:東京消防庁

消防官採用試験の合格率は?

Ⅲ類採用予定者人数が、専門系10名、Ⅰ類110名、Ⅱ類40名、Ⅲ類80名と規定されているなか、応募者数は累計1万6728名(2019年度)にもおよびます。消防官になる道はかなり狭き門なのです。

そのため倍率も高く、最も難関なのがⅢ類です。

<2019年度倍率>
・専門系8.5倍
・Ⅰ類 1回目8.8倍/2回目16.9倍
・Ⅱ類10.3倍
・Ⅲ類27.4倍
・全体14.1倍
参照:東京消防庁

教養試験で出題される判断推理や数的処理、また論文などは論(作)文試験は独学では対策が難しいため、消防官を目指す人は公務員予備校や、公務員専門学校に入学して勉強することが一般的なようです。

救急救命士の資格の取得も

救急隊員の仕事内容をご紹介してきましたが、多くの方がその上の「救急救命士」の資格を取得することを視野に入れるとおもいます。

今回、筆者がインタビューした救急隊員の方も救急救命士の資格を取得して働いています。

◾️救急救命士の資格取得ルート

救急救命士は国家資格です。資格を取得するには、2020年7月時点で2つのルートがあります。
 

 

  1. 専門学校や短大で2年間必要科目を履修、もしくは大学にて指定科目を履修し、160時間以上の病院実習単位を取得後、救急救命士の国家試験に合格する
  2. 消防官として採用後、消防官として勤務しながら5年以上または2000時間以上の救急業務を経験し、さらに養成所で6か月以上の講習を受け、救急救命士の国家試験に合格する

 

救急救命士の国家資格取得を目指すならば、断然、後者の方が確実に取得できるということでした。実務経験後の資格取得は、自治体によっては受験希望をする職員が多いため、受験希望者をさらにふるいにかけるテストを設けているところもあるようです。

◾️救急救命士の国家試験の内容

救急救命士の国家試験は、毎年3月におこなわれます。問題の内容は下記のようになっています。

 

  • 一般問題120問
  • 必修一般問題30問
  • 必修状況設定問題10問
  • 状況設定問題40問

 

5択のマークシート方式です。一般問題を1問1点、状況設定問題を1問25点とし、必修問題80%以上、通常問題60%以上の得点を取得することが合格ラインとされています。

おおよその合格率は80~85%とされています。きちんと勉強していたならば通過できる内容となっているようです。

◾️救急救命士の資格取得のメリット

通常、3人一組で行動する救急隊ですが、その中に1人の救急救命士を組み込むようにしています。救急隊員と救急救命士では、できる業務に有意差があり、救急救命士は「特定行為」として一部の医療行為を傷病者に施すことを認められているのです。

また救急救命士は国家資格であり、取得すると自治体によっては「資格手当」として所得がアップする場合もあります。自分自身のできる処置範囲も広がりますし、それにより傷病者の救命率も上昇します。救急隊員であるならば、ぜひ取得しておきたい資格のひとつです。

救急車の不正利用が問題に?

近年「救急車の不正利用」が問題になっているのをご存じでしょうか?
 

筆者も救急外来で勤務していた時に、たびたび「この患者さん、本当に救急車でくる必要があった?」と思う事例がありました。ですが、今回インタビューしたことで、この状況は氷山の一角であると感じました。実際の救急要請で本当に救急車が必要な事例は1~2割程度だそうです。

問題視されている不正利用

実際に現場に到着したものの、腕のけがで歩行や会話は可能で、タクシーや家族の運転での自家用車での受診でも問題がなかったケースや、発熱がひどく1人で病院受診することが不安など、軽症であるケースが最も多く、次いでタクシー代わりに要請をするケースもあるそうです。

軽症例に関しては、医学の知識がない方で、不安を感じる状況であれば悩んだ末で救急要請を依頼してしまう気持ちもわからなくはありません。

ですが、「タクシー代わりに利用する」や「救急車で受診したら順番を待たずに診てもらえる」という悪質なケースが実際にあるのも事実です。この例は本当に悪質で、何度も同じ理由で救急要請をしているケースもあります。

適切な医療を受けられなくなる可能性も

救急車は、本当に緊急事態で命の危険があるような救急処置を必要とする人のためのものです。

救急隊員や現場の医師・看護師などのメディカルスタッフも人間です。当たり前のように不正を働く人に対し誠心誠意対応したり、きちんとした診療を提供するでしょうか?

現代は電子カルテですから、そのような不正についての申し送りも簡単に周知されています。不正利用をしたことで適切な医療を受けられなくなる可能性が高くなり、損をするのは当事者自身です。

「タクシーで行ったらお金がかかるから」、「荷物が多くて、受診するのに大変だから」、「順番待ちするのが面倒だから」、実はこんな理由で救急車を利用して来院する人は実際に見かけます。

救急隊員の苦労は計りしれない

筆者は病院勤務なので、このような患者さんがいれば、医師にしっかりと指導を受けている姿も見かけますし、実際に救急隊からの要請段階でかかりつけの医師に連絡が入った段階で症状や状態を伺って、その内容によっては「救急車で来たら僕(医師)は診察しませんと伝えてください。受診したければ自力で来院してきてください。」と断るケースも多々あります。

それでも医学の知識がなければ、軽症かどうか判断するのも難しいでしょう。もし呼ぶかの判断に困ったら、お住まいの市町村に救急相談窓口があります。 成人の場合「#7119」で、小児の場合「#8000」で小児救急相談ができます。

病院にいれば医師が正しく指導をしてくれますが、救急要請があればまず現場に赴かなくてはならない救急隊員のその苦労は計り知れないなと今回のインタビューでとても強く感じました。

 


 

今回は救急隊員になるために知っておきたいことや、救急隊員の上級資格である「救急救命士」の資格取得を目指す際の対策問題集などの書籍をご紹介します。

現場で働く救急隊員の1日を知る

著者
["WILLこども知育研究所", "WILLこども知育研究所"]
出版日

こちらの書籍は『救急救命士の一日』となっていますが、救急救命士は救急隊に組み込まれていますので、救急隊員を目指す人にとっても、実際の現場に出動している救急隊の動きを知るのにはとてもわかりやすい内容となっています。

写真付きで救急要請から出動、実際に処置をしている現場など、リアリティのある内容がまとめられており、小さなお子さんでも救急隊員の仕事を把握しやすいよう、工夫されているのが魅力の書籍です。

とくに救急隊員の最重要業務である、救急要請に対しての業務がフォーカスされているので、「これぞ救急隊員」という内容を詳しく知りたい方にはうってつけの内容となっています。

救命士を目指す人のための対策問題集

著者
["田中秀治", "田中秀治"]
出版日

国家試験取得に向けてのおすすめ勉強方法としてのアドバイスは「過去問をひたすら解くこと」が重要だそうです。ほかの医療系資格も比較的過去問を重要視する傾向がありますが、救急救命士も同じ傾向であるといえそうです。
 

今回、お話を聞いた現役の救急退院の方も過去問をひたすら解きながら、自分の弱点を見出し弱点を克服するために教科書に復習しに戻るという勉強方法で試験を突破したそうです。

おすすめした『必修 救急救命士国家試験対策問題集2021』と教科書があれば十分対応できる内容といえそうです。

知っておきたい救急・救命処置の方法が分かる1冊

著者
安間 文彦
出版日

傷病者の命を救ったり、予後が少しでもいい状態になるためには、少しでも早く初期対応を開始することが重要です。救急車が到着するまで、現場に付き添っているご家族や、近しい方々には必要であれば初期対応をしてもらえると助かります。それが傷病者の救命率をあげることにもつながるのです。
 

『いざというときに役立つ マンガでわかる救急・救命処置:パワーアップ版』は漫画でわかりやすく救急救命の一時処置について書かれており、医学の知識がない方でもわかりやすい内容となっています。

あらかじめ、「救急の事態を想定しシュミレーションしておく」ことがいざというときの初期対応を迅速に始められることにつながるからです。

いざというときにあなたの大切な人を救うために、「救急車の適正利用」と「救急の現場での救命処置」は、救急隊員を目指す人でなくても一読しておきたい内容です。


 

いかがでしたか?まず最初に傷病者の初期対応をする救急隊員。責任は重大ですが、そのぶんやりがいも感じられる職業だとおもいます。災害や流行感染症なども多くある現代に、救急隊員の需要はますます高まっています。公務員でもありますので、安定性と将来性は抜群ですよね。救急隊員に興味があるようでしたら、ぜひ一度おすすめした書籍も手に取ってみてくださいね。

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