Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載第3回】

Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし【連載第3回】

更新:2021.11.28

9月末に結婚を発表されたHi-Hiの上田さん。これまで本連載では「ツカみ」が面白いノンフィクション小説を紹介してくれましたが、まさに「現実はフィクションよりも面白い」ことを上田さん自身が体現しているようです。 そんな上田さんに、またしても波乱万丈な人物による自伝的青春記を教えてもらいました!

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本気で怪獣探しにいっちゃう著者の『ワセダ三畳青春記』

どうもね!最近どう?みんなバーコード、ピっていかれてる?

紆余曲折あって上田です。今回の本はこちら、ぺろ~ん!  

『ワセダ三畳青春記』

今回のツカまれどころはっていうと、僕は元々著者の高野秀行さんの本の大ファンなのよ。この人簡単に説明すると、早稲田大学を7年かけて卒業。学生時代探検部に所属。無用な金は稼がない、無用な金は使わないが信念。

ジャングルの奥地に怪獣探しに行ったり、UFOの基地探しに行ったり、アマゾン川遡ったりとにかくワクワクする要素満載人間。どんな人なんだろうって思ってたら、ちょうどそんな高野さんの青春記があるってこりゃ読まない訳いかないでしょ?

だって怪獣ですよ!怪獣!周りにいる?本気で怪獣探しに行く人!

その高野さんが22歳から33歳まで過ごした家賃1万2千円の風呂なし共同トイレ、三畳間(途中四畳半に移動)のボロアパート「野々村荘」でのキテレツ極まりない物語がこれです。

著者
高野 秀行
出版日

しかも世の中がバブル真っ最中の出来事。学校から近いもんで行かなくても行った気になれるってことと、UFO基地を探検するきっかけになった出来事が絡んでここに住み始める。 電話も冷蔵庫もテレビもない。その当時誰でも知ってるキムタクもドリカムも知らない大学生。だけども貧乏を売りにしたチンケな話ではないところがイイ!

住人も、大家さんも、全員奇人の無法地帯!

なんてったって登場人物が全員奇人変人でさ。住人同士しょーもないことで揉めまくる。しばらく帰らないと勝手に部屋が変わってるなんて当たり前。ただその全てがなんだか温かい限りで、世界中の人が全員ここに住んでたら戦争なんて起きないんだろうな~って思っちゃうぐらい平和。

寝過ぎて疲れてまた寝るという永久睡眠法なるものを本気で検証してる人がいたり、普通に生活していたら絶対に出会うことない人ばっかり。芸人にしたら、この人達のエピソードが羨ましい限り……。

あと、とにかく大家さんのおばちゃんが最高!探検大好き高野さんは学校休んですぐに探検に行っちゃうもんで、半年以上部屋をあけちゃうなんてこともざらでして。その間家賃払うのもったいないってことで勝手に後輩に部屋を又貸ししちゃうんだけど、後輩もすぐに又貸し、その連続で部屋は無法地帯。帰ってきたら自分の部屋にまったく知らない人が住んでるなんてこともある。そうなったら家賃だって滞っちゃう、だけどもおばちゃん全く気にも留めないで全員面倒見ちゃう。一回誰も住んでない時期に野良猫がその部屋に住みついちゃうんだけど、その猫にせっせと餌をあげて猫まで面倒見ちゃう始末。

この本読んでると日々の生活で悩んでるのがバカらしくなってくること間違いなし。でも最後に野々村荘に一礼して部屋を去るくだりで不覚にもホロっとしてしまった。 クスって笑えて、ホロっとする「野々村荘」を是非覗いてみてみ~!


『ワセダ三畳青春記』の著者、高野秀行さんについてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

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今回のツカみは「著者」自身ということでした。誰も味わったことのない青春の物語を、ぜひ本作で追体験してみてください。

さて次回は、ホンシェルジュから上田さんに結婚祝いとして本を贈り、その感想を綴っていただきます!本連載『Hi-Hi上田浩二郎のツカみよければ全てよし』は来月も第3水曜18時に更新、どうぞお楽しみに。

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