普段利用するお店には、お店のジャンルによって、衣類や食品、生活用品などさまざまな商品が並んでいます。商品をただ並べているのではなく、マーチャンダイザーという職業の人が商品計画や陳列などを考え、魅力的な売場を作っているのです。商品販売を統括する仕事であり、スキルや経験が売上に直結するのは大きな責任があるものの、多くのやりがいがあります。この記事では、マーチャンダイザーの仕事内容やなるまでの道のり、必要なスキル、役立つ資格、収入などを詳しく解説します。商品販売にいちから関わりたい方はぜひチェックしてみてくださいね。
マーチャンダイザーは、商品販売全般を統括する仕事です。商品販売というと、売場に陳列している姿やレジで会計をしている姿などを思い浮かべるでしょう。マーチャンダイザーは陳列や販売など一部だけでなく、商品計画から商品開発、売上・予算設計などお店作りの基礎から携わります。
顧客にとってどのような売場が魅力的か、どのような商品が求められているのかを考え、お店作りの中心となってプロジェクトを進める重要な存在です。お店のジャンルや規模によって異なりますが、マーチャンダイザーは主に以下の仕事をおこなっています。
マーチャンダイジングには「商品の合理的な流通管理」という意味がありますので、市場開発から商品が実際にお客さんに届くまでを総合的に管理・監督する多岐にわたる仕事をしているのです。
マーチャンダイザーには、メーカーや店舗に就職してすぐに任命されるということはほとんどありません。商品販売を統括するためには、商品開発や仕入れ、陳列などそれぞれの知識・技術を身に付けなければなりません。
そのため、マーチャンダイザーへの道のりとしては、服飾メーカーや百貨店、量販店などに就職し、経験を積み、マーチャンダイザーに任命されるというのが一般的です。
基本的には、総合職として入社し、幅広い業務を経験することになりますが、スキルやセンスが認められれば販売職からマーチャンダイザーに登用されることもあります。
MDアシスタントとは、マーチャンダイザーの補佐をする仕事です。マーチャンダイザーのアシスタントとして、初めは事務作業などが多いものの、商品開発や売上計画、陳列計画などに関わることができます。MDアシスタントとして経験を積んでいくことによって、マーチャンダイザーへの道が見えてきます。
マーチャンダイザーは、未経験からも目指せますが、求人の多くは即戦力を求めたものです。スキルや経験を積み上げ、業界での知名度が高くなったり、実績が認められたりすれば、マーチャンダイザーを求める企業からのヘッドハンティングを受ける可能性があります。
実力次第で、さまざまな店舗に関わったり、キャリアアップを実現したりできるのがマーチャンダイザーの魅力です。
マーチャンダイザーになるために必要な資格はないので、誰にでも目指すことができます。販売に関わる資格を持っていると、役に立つこともあるでしょう。マーチャンダイザーが持っておくと役立つ資格を2つピックアップしたので、ぜひチェックしてみてくださいね。
「ファッションビジネス能力検定」は、ファッション分野におけるマーケティングやマーチャンダイジング、流通戦略、マネジメント知識、ファッションビジネス知識を問う試験です。マーチャンダイジングの項目では、ファッション情報の収集・分析やアパレルメーカーの素材調達・生産管理など、多岐に渡る知識を身に付けることができます。
階級は3級、2級、1級にわかれています。受験資格はないので誰でも受験することができます。試験は筆記のみで、範囲は以下のようになっています。
マーチャンダイジング以外にも、幅広い知識を学ぶことができて、スキルの証明になるので、アパレル分野でマーチャンダイザーになりたい方はぜひ取得しておきた資格です。
「販売士」は、3級は販売スタッフ、2級は売場の管理者、1級は店長・経営者に向けて、販売に関わる知識を問う検定です。それぞれのレベルに応じて、接客業務や在庫管理、商品計画、予算の策定など幅広い知識を学ぶことができます。
販売職からマーチャンダイザーを目指す方は、販売全体を学びながら、店舗管理にも理解を深められるおすすめの資格です。
試験階級は3級、2級、1級にわかれています。1級取得者は経営に関する高度な知識を身に付け、商品計画から経営管理までを一貫しておこなえる人材として証明されます。
商品について知る、マーケティング技術を身につけるだけでなく、経営者目線でマーチャダイジングをおこないたい方は1級の取得を目指してみてもいいかもしれません。
マーチャンダイザーの収入は、平均年収で400~600万円程度となっています。販売に関わる職種のなかでは比較的高い水準です。マーチャンダイザーにいきなりなることはほとんどなく、数年間経験を積んでからマーチャンダイザーになることが多いことから、給与が高くなる傾向にあるようです。
マーチャンダイザーとして実績や経験を積むと、有名ブランドを担当できるチャンスも出てくるでしょう。働く場所によっても年収が変わってくるので、有名ブランドや人気店に活躍の場を移すと収入アップを期待できます。
マーチャンダイザーの仕事で600万円以上を目指すには、海外展開をおこなっている企業に就職する方法があります。
また大手企業であれば採用数は少ないですが600万円以上の年収で採用募集を出していますので、そのような企業の採用面接を受けるのもよいでしょう。
マーチャンダイザーは商品販売全体に関わるので、幅広いスキルが求められます。では、具体的にマーチャンダイザーにはどのようなスキルが必要になるのでしょうか?
マーチャンダイザーには幅広い仕事があり、ひとつの仕事に特化するのではなく、全体を俯瞰することが求められます。企画だけにこだわったり、商品開発に注力しすぎたりするのは望ましくありません。ひとつを突き詰めるよりも、広い視野を持ち柔軟に取り組める人がマーチャンダイザーに向いています。
顧客のニーズや商品の人気などは、日々変化しており、小さなきっかけで大きく変わることもあります。流行・トレンドを捉えられないと、売上に影響が出たり、ファンが離れたりするかもしれません。商品販売を取り仕切る存在として、流行・トレンドには常にアンテナを張り、企画や陳列などに反映していく姿勢が必要です。
商品販売には、マーチャンダイザーを中心にさまざまな人が関わっています。マーチャンダイザーだけでなく、すべての仕事をおこなうのではなく、スタッフそれぞれが役割を果たすことが大切です。進捗管理やフォロー、モチベーション管理、情報共有などが必要になるので、他の人と連携できるコミュニケーション能力が求められます。
チームのメンバー以外にも、外部とコミュニケーションをとる機会もあり、円滑にやり取りできることが必要です。
- 著者
- 山村 貴敬
- 出版日
こちらの1冊は、ファッション業界でのマーチャンダイザーを目指している方、マーチャンダイザーの基礎を身に付けたい方におすすめの本です。
ファッション・アパレルメーカーを中心にして、マーチャンダイザーの業務内容を詳しく解説されています。職種の概要から業務内容、情報収集・分析、商品構成など細かい章構成で、マーチャンダイザーについて漏れなく学べるでしょう。
ファッション業界で活躍したいと考えている方には、ファッション提案やライフスタイル提案を学べる1冊です。
- 著者
- 田村登志子
- 出版日
マーチャンダイザーとして、視覚で訴えかけるビジュアルマーチャンダイジングにも必要な技術です。こちらの1冊は、ビジュアルマーチャンダイジングの基本がまとめられています。
陳列の方法や演出方法などの実践テクニックをカラーイラストでビジュアル化しているのが特徴です。用語の解説も丁寧にされており、マーチャンダイジングの基礎知識を身に付けたいときにも役立ちます。基本編だけでなく、応用編も出版されているので、合わせてチェックしてみてくださいね。
- 著者
- 服部吉伸
- 出版日
インターネット通販のシェアが拡大したことによって、リアル店舗の位置づけが変わり、競争が生まれてきています。こちらの書籍では、マーチャンダイジングと流通が置かれる現状を踏まえて、2050を視野に入れた展望を解説しています。
マーチャンダイジングの高度化や新商品の開発、オペレーションのシンプル化など、リアル店舗とそこで活躍するマーチャンダイザーに必要なことに触れられるのが本書の特徴です。これからマーチャンダイザーを目指す上で、キャリアを考えるきっかけにもなるでしょう。
マーチャンダイザーは、商品の開発から企画、陳列まで全体を統括する職業です。服飾メーカーや百貨店などの総合職として幅広い仕事を経験したり、販売職として実力を示したりすることによって、マーチャンダイザーに任命されます。
商品販売全体に関わるので、広い視野で俯瞰できる力や商品販売に携わる人とのコミュニケーション能力などのスキルが必要です。必要な資格はありませんが、ファッションビジネス検定や販売士といった資格はマーチャンダイザーに生かすことができるでしょう。
おすすめの本も合わせてチェックして、マーチャンダイザーについてさらに詳しく知ったり、目指したりするきっかけにしてみてくださいね。