寺田寛明のどる×こみ!【連載第4回】

舞台に立って曲が流れたら「別人」になる

こんばんは。R-1グランプリが終わったのでもう今年は夏フェスをやるかどうかのことしか考えていないアイドルオタクです。

決勝最下位をとってからというもの、MIC RAW RUGA(laboratory)さんやukkaさんといった推しグループの方々からからメッセージ動画を頂いたり、「えっ!なんで!」っていう方からフォローして頂いたりと嬉しいびっくりが続いています。しかしこのコラムは今回含めあと3回。書きたいアイドルさんはざっと考えただけでもあと9組います。しかも現場に行ったら行ったで推しが増えていって、こないだも対バンでようやく見ることができたNaNoMoRaLさんに一目惚れしたりしてるので書きたいことは無尽蔵に増えていきます。どうにかして来月の記事で5組くらい入れられないか考えています。

さて、本を紹介するメディアにも関わらず冒頭から本には一切触れていないのですが、本日も僕の好きな漫画とアイドルを同時に紹介させて頂きたいと思います。

本日ご紹介したい漫画は「アフタヌーン」で連載中『ワンダンス』というダンス漫画です。

吃音症持ちで喋ったり自己表現するのが苦手な男子高校生・カボが、一人でダンスの練習をする同級生・ワンダとの出会いからダンス部に入り、部員たちとともに成長していく青春物語です。

映画化もされた『のぼる小寺さん』という漫画を描かれていた珈琲先生の作品なのですが、僕は個人的にこの方の絵が昔から好きでして、ダンス漫画ですし人体を描くのがお上手で、はい、好きなんです。つまりそういうことです。

吃音症という、どもってしまって音がなかなか口から出てこない症状は僕も小学生くらいまでありまして、いまだに焦ると出てきてしまうときがあります。第一声がなかなか出せなくて相手に不審に思われてしまったり、さらに焦って変なことを言ってしまう描写、本当に身に覚えがありすぎるのですが、この漫画ではカボは「ダンスなら喋らなくても表現できる」ということに気付いてダンスの世界にのめり込んでいくわけですね。そんな少年がダンスを通して恋をしたり、ダンスバトルでライバルとしのぎを削ったりする心理描写。そして漫画で表現するのが難しいダンスの描写。これらを見事に表現されているのが読んでて心地良いんです。

 

『ワンダンス』1巻

 

さて、そんな『ワンダンス』とともに紹介したいアイドルがこちら。

「MIGMA SHELTER」です。

ミグマシェルターと読みます。通称ミシェル。

コンセプトは「サイケデリックトランスでアタマぶっ壊れるまで踊れ!」

音楽ジャンルが多様化するアイドル界の中で、ぐわんぐわんのサイケデリック・トランスを持ち時間いっぱいノンストップで踊り狂うアイドルグループです。ロゴマークを見ると完全に大麻の葉っぱが描かれています。

ももクロ以降、ノンストップライブって色んなグループがやってて、MCを挟まずに曲をやり続けるっていうのはまあ見かけるんですけど、MIGMA SHELTERの場合はそれともちょっと違います。レイヴ(ミシェルではライブでパフォーマンスすることをレイヴと呼びます)でやる曲がすべて繋げてあって、持ち時間が30分だったら30分間、音が鳴ってない時間がないまま常に踊り続けるんです。しかもレイヴ毎にセットリストも違うので、毎回運営さんが編集し直してるんです。曲の繋ぎ方もかっこいい。

昨年のクリスマスは80分間ノンストップレイヴを行ったのですが、途中メンバーのミミミユさんが足を捻挫してしまいながら片足ケンケンで完走するという、ロス五輪で脱水症状になりながら最後まで走り切った女子マラソンのアンデルセンのような感動と心配を与えてくれました。

そんな感じでまさに「踊り狂う」「トリップする」といったコンセプトなので、ミシェルを紹介するときの正しい作品は本来映画の『ミッドサマー』とかだとは思うんですけど、『ワンダンス』を選んだのはちゃんと理由があります。

 

漫画『ワンダンス』×MIGMA SHELTER

たとえば先ほど足を怪我されていたミミミユさん、MCやラジオなどで喋っているところを見るととにかく変で、不思議っ子とか挙動不審といった言葉で片づけるのもなんか違うし、感情がこもっていない喋り方で口数も少なく、とにかく独特。

でもそんなミミミユさんが、レイヴになると豹変。めちゃくちゃカッコよく踊りまくる。

吃音のカボがダンスで人々を圧倒するように。

ミミミユ以外にもMIGMA SHELTERは、なんかそんな子ばっかりです。

ライブ中に自前のぬいぐるみを吸って精神を落ち着かせる子が居たり、ライブ中に床を掘ろうとして突き指する子がいたり、クラウドファンディングの私物プレゼントのリターンでそのとき家で使ってた炊飯器をあげる子が居たり、自分がやってるラジオにゲストで来たメンバーがボールペンをカチカチやって遊んでいるのに一切つっこまずに「鳥みた~い」と喜んでる子が居たり。

ちょっとずつ普通じゃない子たちが、舞台に立って曲が流れると別人のようにダンスで気持ちをぶつけてくる。そんなステージなので30分だろうと80分だろうとまったく長く感じないんですね。

『ワンダンス』とMIGMA SHELTERはダンスのジャンルでいうとまったく違うのですが、そういった点で共通するものがあると思います。よかったらぜひ、ご覧ください。

著者
珈琲
出版日
2019-05-23

 

 


編集追記(編集者より)

今回紹介いただいたMIGMA SHELTER、動画を見てみたらとんでもなくかっこいい!生で見てみたい方、出演最新情報は<MIGMA SHELTER公式サイト>をご覧ください。

『ワンダンス』も寺田さんがおすすめしてくれていることにグッときますね。「マガジンポケット」や「コミックDAYS」で試し読みができます。

さて、おすすめしたいアイドルが渋滞中というこの連載、次回も第1水曜の18時に更新予定です。ホンシェルジュTwitterで最新情報をご確認いただけます。寺田寛明さんのTwitterも要チェック。

過去のどる×こみ!はこちら。

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青インク ~R-1 グランプリ 2021 ファイナリストのリアルタイム日記も収録~ 【売れてない芸人(金の卵)シリーズ】

2021/4/18
寺田寛明 (著) 
代官山ブックス

 

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R-1 2021の予選を勝ち進むのと同時期に書き溜めていたという日記が最大の見所。2回戦、準々決勝……と1マスずつ駒を進めていく姿を応援していた方にとっては「なるほど!」と答え合わせできるような裏話がこぼれています。

そして自身のお笑い観から、「悪口」観や「お金」観まであまり芸人さんが赤裸々にしないようなテーマに関しても臆せず綴っている点も必見。意外な高校時代の生活や、塾で受け持っていた生徒に対する思いなど、芸人としてだけではない寺田さんの一面も魅力の1冊です。

劇場に足を運んだことがあるファンにとどまらず、「賞レースだけ見てネタのダメ出しを送る」タイプのファンの方もぜひ手を伸ばしてみてはいかがでしょうか?

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