「次にくるマンガ大賞2022」ノミネート作から注目のおすすめ作品を紹介!受賞作は大ヒット必至!

更新:2022.8.11

さまざまな漫画賞がある中、「次にくる」という先取り漫画賞として唯一無二の存在「次にくるマンガ大賞」。殿堂入りシステムを採用していることもあり、歴代作品が被ることがありません。受賞作の多くがメディア化され信頼度も厚い漫画賞。そんな「次にくるマンガ大賞2022」を紹介します。

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「次にくるマンガ大賞2022」受賞作は大ヒット確実か!【ヒロアカ、スパイファミリーも!】

2022年で第8回目を迎える「次にくるマンガ大賞2022」。2014年、本とコミックの情報誌である「ダ・ヴィンチ」と動画や漫画などを配信する「ニコニコ」が創設したマンガ賞です。

この賞の大きな特徴は「ユーザー参加型」となっているところ。また、今きているマンガではなく、「次にくる」と思うマンガを選ぶというところも非常に特徴的です。

記念すべき第1回目の大賞は、コミックス部門では『僕のヒーローアカデミア』、Webマンガ部門では『ヲタクに恋は難しい』という結果に。いずれもアニメ化ないし実写化されており、受賞作は確実に注目されてきたという実績もあります。

毎年のエントリー総数を見る限りでも、867作品、1,681作品、2,140作品と続き、実際の投票数も27,692、73,602、154,060といずれも右肩上がりで着々と増え続けているのがわかります。今年2022年のエントリー数は4,787作品となっており過去最高数となりました。ノミネート100作品も決定し、6月24日から7月11日までユーザー投票を受け付けています。

開催当初のノミネート数は、コミックス部門が50作品、Webマンガ部門が20作品という内訳でした。しかし今回は、コミックス部門40作品、Webマンガ部門60作品とWebマンガ部門が上回っており、この数年のうちに逆転したというのが現状です。

昨今のマンガの傾向もわかるのが「次にくるマンガ大賞」。この記事では、現在ノミネートされている作品の中から、筆者が選んだおすすめ作品を紹介します!

著者
["赤坂 アカ", "横槍 メンゴ"]
出版日
著者
松本 直也
出版日

【コミッコス部門】『あかね噺』

『あかね噺』は、「週刊少年ジャンプ」にて連載中の落語を題材とした物語です。

落語家だった大好きな父の背中をみて育った女子高生の朱音。6年前、真打昇進試験に臨むもその場で破門を言い渡された父に代わって、真打を目指しています。そのため、父の師匠であった阿良川志ぐまに、子どもの頃から稽古をつけてもらっていました。

17歳になった朱音は、いよいよ志ぐまに弟子入りすることに。様々な試練をくぐり抜け、成長していく朱音を描いています。原作は末永裕樹、作画は馬上鷹将。落語監修を林家けい木が担当。

登場人物たちが実在する演目を演じ、実際にあった事件や場所をモデルとしているところなど落語を知っている人はもちろん、知らない人でも興味深い作品です。落語一門の厳しい世界を描きつつも、親子の絆や少女の成長譚としても人間ドラマが面白い作品。

特に朱音の熱いキャラクターは本作の魅力のひとつです。壁にぶち当たっても、周囲の助言や協力をもとに、持ち前の強さと努力で突き進んでいく朱音の姿に、読み手も心動かされることでしょう。今後の朱音の活躍が楽しみな作品です。

著者
["馬上 鷹将", "末永 裕樹"]
出版日

【コミッコス部門】『琥珀の夢で酔いましょう』

美味しい酒と料理をテーマにした漫画『琥珀の夢で酔いましょう』。WEBマンガサイト「マグコミ」にて連載中です。原作は村野真朱、作画は依田温、監修には『白熱ビール教室』の著者である杉村啓が担当しています。

本作で登場する酒はクラフトビール。日本の醸造所を中心に実在するクラフトビールとそれに合うお料理がたくさん登場します。

主人公の剣崎七菜は、京都にある広告会社に勤めています。正社員ではなく派遣という立場からか、なかなか仕事を認めてもらえずに苛立っていました。そんな折、たまたま見つけた「白熊」という名の居酒屋。そこで、店主の野波隆一とカメラマンの芦刈鉄雄、そしてクラフトビールと出会います。そこから七菜の生活も変わっていくことになるのでした。

みなそれぞれ自分の生き方や人生に悩みつつも、なんとか前に進もうともがいていくもの。そんな人間模様を描きながら、彼らを癒してくれる美味しいビールと料理は、読者の目も楽しませてくれます。

公式サイトでは、登場するビールの醸造所リンク集もありますので、作中のビールを飲みながら作品を楽しむのもいいかもしれませんね。

『琥珀の夢で酔いましょう』登場ビールの醸造所リンク集   https://magcomi.com/article/kohayume-brewery-links

著者
["村野真朱", "依田温", "杉村啓"]
出版日

【コミッコス部門】『多聞くん今どっち!?』

 

「花とゆめ」にて絶賛連載中のラブコメ漫画『多聞くん今どっち!?』。原作は『高嶺と花』の師走ゆきです。現在、既刊2巻。

大人気アイドル、F/ACE(フェイス)の福原多聞を推しとし、推し活に励む女子高生の木下うたげ。推し活には先立つものが必要とハウスキーピングのバイトに励んでいます。

急な依頼で向かった先は、なんと推しと同姓同名の家。まさかと思いきや、そこにいたのはまさしく福原多聞本人でした。しかし、アイドル時のキャラとは真逆の陰キャラの多聞。そんな彼を全力サポートしていくうたげの奮闘を描いたラブコメディです。

普段の推しと本当の姿の推しの両方を応援できるなどという夢のような設定と推しキャラのギャップ萌えが本作の面白さであり魅力の部分。今や推し活はただの趣味ではなく、経済効果にも多大なる影響を与えています。

Z世代はもちろん中高年までもその波は広がっていくほど。自分の好きな人を応援したいという純粋な気持ちに思わず共感してしまうそんな物語です。

著者
師走 ゆき
出版日

【Webマンガ部門】『エクソシストを堕とせない』

『エクソシストを堕とせない』は、WEBマンガサイト「少年ジャンプ+」にて連載中のバトルアクション&ラブストーリー漫画です。原作を有馬あるま、画をフカヤマますくが担当しています。

神の教えを叩きこまれ、最強のエクソシストとして育てられた少年神父。彼はその強さを確実なものにするため、常に清らかでなければいけないと教えられてきました。人を愛することは堕落への第一歩。そんな彼が人類の命運をかけ、1人の少女を守ることになります。過酷な運命を背負う少年神父と少女との物語です。

バトルシーンも多くみられますが、ベースの物語はラブストーリー。本当はお菓子作りが大好きで温和な少年神父にいつしか惹かれていく少女。そんな2人が結ばれることはあるのか気になるところです。

また、ジャンプ作品のエクソシスト漫画『青の祓魔師』と比較する読者も多いようですが、本作はまた違った面白さがあります。敵となる悪魔のキャラクターにも魅力を感じられるような設定となっており、バトルひとつとっても非常に面白く描かれています。

著者
["フカヤマ ますく", "有馬 あるま"]
出版日

【Webマンガ部門】『サラダ・ヴァイキング』

WEBマンガサイト「少年ジャンプ+」にて連載中のバトルコメディ漫画『サラダ・ヴァイキング』。宇宙からやってきた侵略者たちが地球の野菜作りに目覚めていく物語です。原作はソウイチロウ。コミックスは既刊2巻が発売中です。

地球の人間を食料にするため宇宙からやってきた超狩猟民ヴァルマン族。その調査員であるレオは偶然、出会った少女から野菜の美味しさを教わることに。これまで食べたことのないその美味しさに心奪われたレオは、自分の一族にも野菜作りで革命を起こそうと農業に挑みます。そんな新感覚なハートフル野菜コメディです。

レオの相棒や刺客などとのバトルシーンも豊富ですが、レオ以外の宇宙人もみな野菜の美味しさに釘付けになっていきます。地球の誇る食の文化は星をも超えていくという物語が本作の面白いところ。ぜひ、野菜嫌いな子どもたちにも読んでほしい作品です。

著者
ソウイチロウ
出版日

【Webマンガ部門】『税金で買った本』

『税金で買った本』と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。この物語の舞台は図書館。『税金で買った本』とはこの図書館の本のことです。原作はずいの、漫画は系山冏という2人による図書館お仕事漫画が『税金で買った本』です。

図書館を訪れたことで、10年前に図書館で借りた本を返却していないことが発覚するヤンキーの石平くん。その本を弁償することになり、子どもの頃の純粋な気持ちを思い出します。そこから図書館に通い出し、アルバイトをすることになる石平くんの物語です。

図書館を舞台としたお仕事ストーリーは、読者にさまざまな図書館エピソードを教えてくれます。こんなに魅力的な場所だったのかと気付くはずです。

石平くんの同僚たちの熱い図書館愛や知識を得ることの楽しさ。これを読めば、身近にあって、いつでも行ける図書館の新たな魅力を知り、きっと行きたくなることでしょう。図書館の魅力の詰まった素敵な作品です。

著者
["ずいの", "系山 冏"]
出版日

【Webマンガ部門】『日本三國』

マンガアプリ「マンガワン」で連載中の架空の歴史物語『日本三國』。新人ながら抜群の画力と壮大な世界観で本作を描くのは松本いっかです。アシスタントを置かず、作者本人のみで連載を続けている話題の逸材、松本いっか。今後が楽しみな漫画家のひとりです。

現代日本は衰退の一途をたどり、文明も明治時代の初期のレベルまで後退してしまった近未来が舞台。再び戦乱の時代となった日本は大和、武凰、聖夷と3つの国に分かれ覇権を奪い合うことになります。

この三國を再び1つの国として統一するべく立ち上がる青年、三角青照。最愛の妻が処刑され、彼女への思いを胸に動き出す青年・青照を描いた物語です。この青照、後に奇才軍師となっていきます。

緻密な設定とリアルに描かれる人物描写。骨太の読み応えのある漫画作品が誕生しました。歴史好きには堪らない作品。ただ、現代の設定があまりにリアルで、冒頭からやるせない気持ちになってしまうのは筆者だけでしょうか。この先の展開が気になって仕方ない一気読み必至の名作です。

著者
松木 いっか
出版日

【Webマンガ部門】『光が死んだ夏』

『光が死んだ夏』は、WEBコミックサイト「ヤングエースUP」にて連載中の漫画です。同サイト内でも人気ランキングで1位を獲得し、コミックス第1巻は25万部を突破。続々と重版している人気作品です。原作は新進気鋭の漫画家・モクモクれん。本作で連載デビューを果たしました。

ある集落で暮らす中学生のよしきと光。いつも一緒だった2人ですが、ある日を境に、光が別の「ナニカ」に代わってしまったことをよしきだけが気付きます。とはいえ、すでに光は死んでしまいました。それなから、身代わりでも光と一緒にいたいと願うよしき。そんな2人の危うい日常を描いた物語です。

この作品で注目したいのが、なかなかジャンルが特定しづらいところ。怖さも謎もありますが、ここ数年注目されているブロマンス要素も多分に含まれているのが魅力のひとつです。

怖さとブロマンスが相まって独特な世界観が構築されています。作者の表現も秀逸で、恐怖を擬音で視覚に訴えかけるなど斬新な方法も取り入れています。ぜひ一度「体感」してほしい作品です。

著者
モクモク れん
出版日

まとめ

今年で7回目を迎える「次にくるマンガ賞」。まだみんなは知らないかもしれないけど、自分は面白いと思う漫画を応援することができるという画期的なシステムです。さまざまなタイプの漫画に出会うことのできる楽しい漫画賞ではないでしょうか。

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