豚肉とミュージックがあなたの感覚を刺激する、レッツパーリーなグルメ漫画『とんかつDJアゲ太郎』。少年が独自の感性と半端ない行動力でとんかつ屋とダンスフロアを盛り上げる異色の話題作をネタバレ紹介します。
『とんかつDJアゲ太郎』はイーピャオ(原作・原案)と小山ゆうじろう(作画)による漫画作品。「少年ジャンプ+」でWebコミックとして配信されていました。全11巻です。
渋谷を舞台に繰り広げられる本作は、ヒップでホップかつフライハイ(ぶっとんでいる)な気分が味わえる仕上がりとなっております。この記事では、とんかつとDJが織りなすカオスな世界観とその魅力について紹介いたします。
- 著者
- 小山 ゆうじろう
- 出版日
- 2015-02-04
流行の最先端を走る渋谷。その片隅に代々続くとんかつ屋「しぶかつ」の3代目、勝又揚太郎は家業の手伝いをしつつ退屈な日々を送っていました。
ある日、父から弁当の配達を頼まれるのですが、届け先はまさかのクラブ。そこで彼は大魔神・DJマスターフライと運命的な出会いを果たします。これを機に揚太郎の新たな人生が始まるのでした。
一言では語れない食と音楽で描かれるまったく新しい空間をぜひ一度、ご覧になってみてください!
物語の内容ですが、基本的に揚太郎がとんかつとDJ、この2つの修行をメッチャ頑張ります。揚太郎はいままで料理や音楽なんて勉強したことないので毎回のように壁にぶちあたるのですが、そのつど彼を救うのが「とんかつ屋とDJの共通点」なのです。
例えば、第1巻で揚太郎は妹・ころもに接客の基本である客が何を求めているかを探る「注意力」とそれを延々と継続させる「ノンストップ」を教わります。ここで彼は重要なことに気が付くのです。
フロアに集まっている客が求めている曲を的確に選ぶ注意力、そしてレコードを回し続けるノンストップな進行はDJにも必須であると!
他にもとんかつ定食で使うぬか漬けを取り出すことと、レコードを物色する(通称digる)ことにも共通点を見出します。つまり、とんかつもDJも素材によって結果が左右されることに気が付くのです。
もはや、こじつけを通り越して圧倒的な説得力を感じてしまいます。
これ以降、揚太郎が出会う人やイベントによって得られる発見によって、彼はレベルアップしていくのですが、この一連の流れが本作のお約束となっております。
とんかつを食べる時に欠かせないものといえばソース。お店によっても濃かったり、甘かったり様々な味がありますが、揚太郎はソースにもDJとの共通点を見出します。
第6巻で揚太郎は浅草にとんかつ屋を構える伊奈瀬洋一と出会うのですが、この洋一の特技がすごい。
洋一は、やってきた客の状態を瞬時に判断し、あっという間に材料をミックスしてオリジナルなソースを作ることができる料理人だったのです。
ソース、ミックスと聞いてハッ!と揚太郎は理解します。
「これってDJのあるべき姿じゃんかよ......」(『とんかつDJアゲ太郎』第6巻から引用)
DJも色々なレコードの曲をカットしたりつなげたりして、独自の音楽でフロアを賑わせますよね。彼はそこに着目するわけです。「そこに気が付くとは......天才か!?」と感動することでしょう。
実際、キッチンでとんかつを揚げてから客に提供するまでの描写とディスクを次々と入れ替えながらターンテーブル(DJが操る楽曲を演奏するときに使用する機械のこと)を駆使して演奏するDJの描写には相通ずるものがあります。
あれ、ひょっとしてとんかつ屋とDJって同じなのかも......。少しでもそう感じたのならあなたも立派なとんかつDJ。テンションをアガること間違いなしです!
本作では、絵も芳ばしい魅力を放っております。大げさではあるが圧倒的に見やすい構図、所々歪んではいるものの、シンプルな形と線で描かれた個性的なキャラクター達。人によっては見慣れない絵柄かもしれません。不思議に感じる方もいるでしょう。
しかしながら、そうした違和感がとんかつ×DJというカオスな本作にはマッチしているのです。
とんかつを揚げるときに聞こえるジュウワワ~という音と、DJが刻むドゥイドゥイ、ズッチャズッチャなリズム。本来相容れない二つの音が、独特の絵によって見事に融合しているのです。この絵にしてこの漫画ありといったところでしょうか。
端的に魅力を言い表すことができない、まさに味のある画風であるといえるでしょう。
とんかつも揚げてクラブもアゲる究極のスタイル、とんかつDJをめざし奮闘する揚太郎。
親父である揚作から美味いとんかつの作り方を教わるだけでなく、神戸や兵庫にも出向き彼は様々なとんかつを食すことで刺激を受け、第8巻では特製カツサンドを完成させます。
また、DJオイリー(本名:尾入伊織)からDJの基礎を学んだり、神戸や兵庫、大阪に遠征し、独創的なスタイルをもつ強敵DJ達とも熱いバトルを繰り広げたりと充実した日々を送ります。
次第に一人前のDJとして頭角を現していく揚太郎。第10巻ではIT会社の社長で実力派DJとしても注目を集める若き新星、屋敷蔵人と互いの音楽性を分かち合うのですが、非常に心打たれるシーンです。戦いの後に必ずリスペクトがあるのが本作における大きな魅力であります。
第11巻では、揚太郎はとんかつ修行に励む中、東京の老舗とんかつ店を中心に組織された同業団体「東都とんかつ登録店組合(通称:東とん登)」に所属しているとんかつ屋が一堂に会する料理フェスティバルを催す計画があることを知ります。
そして、同じ時期に師匠である尾入から、渋谷中の人間が来てもらえるくらいのインパクトのあるイベントをやりたいのだが何かアイディアはないかと尋ねられるのです。
とんかつ屋でもあり、DJでもある彼が何を考えたか?そう、MIXです!二つのビッグイベントを渋谷で同時に開催してしまおうと思い立ったのです。
こうして、揚太郎が物語で培ってきた技術と出会いの集大成といってもいいビッグイベント、「渋谷大とんかつ祭り Juicy&Crispy」が開催されることになります。
これまで登場したキャラが一致団結してプロジェクトを盛り上げていく描写がたまらなくイイ!とんかつ界と音楽界の主要人物がもてるパワーを結集し、超大な成果をあげる様子は読者に大きな喜びと達成感を与えることでしょう。
果たして揚太郎はとんかつを、渋谷をアゲることができるのか?ビッグイベントの結末はどうなるのか?本作の仕アガりっぷりをぜひ、ご自身の目でも確かめてみてください!
『とんかつDJアゲ太郎』が実写映画化し、2020年6月19日から全国で公開になります。
主役・アゲ太郎は、数多くの作品で主役演じ俳優としても人気がある北村匠海に決定!アゲ太郎の憧れである服部苑子役を山本舞花が、ライバル・屋敷蔵人役を伊藤健太郎が演じます。
監督を務めるのは映画『チワワちゃん』でリアルな若者の姿を描き切った、二宮健。
伊勢谷友介や加藤諒、朝香航大の出演も決まっており、期待が高まります!
映画『とんかつDJアゲ太郎』オフィシャルサイトで、ビジュアルや出演者のコメントが公開されていますので、ぜひご覧ください!
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