気分が落ち込んでいる時、イライラしている時、疲れている時は笑って気分をスカッとさせたいものです。今回は個性的で突き抜けているからこそ笑える漫画10作品をご紹介します。
世界三大宗教といわれているのは、イスラム教、キリスト教、仏教。日本では信仰や宗教に根差した思考はあまり身近ではありませんが、「困った時の神頼み」という言葉があるように、「神様」にどこか頼っている部分もあるのではないでしょうか。
本作では、雲の上の世界である天上に神々が存在しています。
- 著者
- 中村 光
- 出版日
- 2008-01-23
滅亡すると言われていた世紀末を無事に乗り越えたブッダとイエスは、下界にバカンスにやってきました。東京都立川の安アパートを借りて、ふたり暮らしを始めます。
家事全般を担当するブッダと、ノリが良く天然気質のイエスが、興味の赴くままに下界の暮らしを満喫する様子が描かれています。
笑いのポイントとなるのは、やはり聖人ネタ。横になっているだけで動物が集まり、喜んだだけで水が葡萄酒に変わってしまうのです。
また特徴的な容姿をネタにしているものも多く、ブッダはおでこにあるホクロのようなもの(白毫)を子どもや酔っ払いに押されまくり、イエスの冠からは血が流れることも……神様なのにだいぶ体を張っています。
時事ネタや実在する人物の名を挙げたり、有名テーマパークに出かけたりするエピソードも多く、神様をより身近に感じられるはずです。ゆるくて笑える彼らの日常をお楽しみください。
『聖☆おにいさん』に関しては「漫画『聖☆おにいさん』25人のキャラと魅力をガチ語り。14巻ネタバレ注意」で詳しく解説しています。
本作は、不思議な少女と若手のヤクザが同居する物語。芦川組に所属する若手ヤクザ、新田義史のもとに、ある日楕円形の物体が飛来します。中にいたのは、ヒナという名前の少女。帰る場所が無いと言い、そのまま新田の家に巣みついてしまいました。
飛行物体に乗っていたヒナは当然ながら普通の少女ではなく、実は未来から飛ばされてきた超能力者。強力すぎる念動力を持っており、街をひとつ吹き飛ばしてしまったため元いた場所を追い出されてしまったようです。
無表情でズボラ、おまけにわがままなヒナですが、新田はそんな彼女を放っておけず、何かと世話を焼いていきます。
- 著者
- 大武 政夫
- 出版日
- 2011-07-15
一見心温まる物語かと思いきや、シュールなギャグが展開されていき、あの重い設定はどこへ……と読者が困惑するほど。とくにヒナが初めて登場するシーンはインパクトが強く、必見です。飛行物体に乗っている、という言葉から想像しているものを覆してくれるでしょう。
そのほかの登場人物たちも、個性的な人ばかり。なかでも注目は、ヒナと同じ超能力者であるアンズです。敵としてやってきたものの地球でホームレスとして生活することになるという驚きの展開。しだいにほかのホームレス仲間のアイドル的存在になっていくのです。
また、ヒナの同級生で冷めた性格をしている相沢さよや、苦労人の三嶋瞳などかわいい女の子もたくさん登場。ちょっといい話とギャグが混ざりあった不思議な空気を醸し出している作品です。
『ヒナまつり』に関しては「漫画『ヒナまつり』の中毒性ある面白さを14巻までネタバレ紹介!アニメ化!」で詳しく解説しています。
ギャグ漫画、とひと口に言っても、そのなかにさまざまなジャンルがあることをご存知でしょうか。本作は、「不条理ギャグ」のパイオニア的存在だといわれています。
セリフやストーリー展開に脈絡が無く、キャラクターが作者や読者の都合を考えずに動き回り、ツッコミが不在という特徴をもっていて、とくにシュールさが際立っているのです。
- 著者
- 吉田 戦車
- 出版日
- 1998-11-01
登場人物は動物や植物を模したものが多く、メインキャラクターのひとりはかわうそ君です。ふっくらした男子が着ぐるみを着ているようにも見える、どこか愛嬌のあるフォルム。直立歩行をし、日本語を話すことができます。ちょっと陰気で意地の悪いところがあり、友達のかっぱ君を振り回してばかり。
他にも、かえるやすずめ、しいたけや天狗と人外のキャラクターが普通に生活を送ります。
基本的には牧歌的でのんびりとシュール展開が描かれますが、子供が嫌いなシェフが作ったお子様ランチなどは、ちょっとしたトラウマもの。コップの底にミニカーを詰め、ケチャップライス、ししゃもの目刺し、大根葉などが盛られているのです。
またどう考えても下に人がいるのに頑なに存在を否定したり、ヤクザの落とし前の付け方が恥ずかしいペンネームでポエムを投稿することだったりと、作者の感性が光ります。不思議な世界観をご堪能ください。
生きとし生けるものは皆、生まれた時から死ぬことが決まっています。日本では、死んだ人の魂は天国や地獄といった冥界へ向かうと考えられているのが一般的でしょう。生前に善いおこないをした人は天国へ、悪いおこないをした人は地獄へ行くとされていますが、向かった先で何が起こっているのか、知っている人はもちろんいません。
本作は、ありそうでなかった地獄を舞台にしたギャグ漫画。いったい地獄はどんな場所なのか、死後の人間たちはどうなるのかが詳しく描かれています。
主役は、地獄に落ちた人間たちを痛めつけ管理する「獄卒」たちです。
- 著者
- 江口 夏実
- 出版日
- 2011-05-23
地獄の王であり、最高責任者の閻魔大王がいる閻魔庁には、事務仕事から現場の調査までなんでもおこなう有能な補佐官、鬼灯(ほおずき)がいました。彼は上司である閻魔大王を叱咤しながら、地獄の円滑な運営に努めています。
地獄内のさまざまな部署が登場し、さながらお仕事漫画のよう。登場するキャラクターは、人間や鬼以外にも、桃太郎やカチカチ山のウサギなど、個性的なものばかり。彼らに対する鬼灯のツッコミが冴えわたります。
痛めつけられる人間も登場しますが、罪状を見てみれば自業自得。笑って読み進めることができるでしょう。
かっこいい男の子、かわいい女の子はお好きですか?容姿の整った人を見れば、異性であれ同性であれ、目を引かれるはずです。
本作は、タイトルが示しているとおり、美男美女ばかりが登場する設定。しかし……。
- 著者
- 地獄のミサワ
- 出版日
- 2010-10-04
大きな輪郭に、中央に寄った顔のパーツ、ガタイのいい体……もはや見たことのない人のほうが少ないのではないかと思いますが、ひと目でわかる地獄のミサワの作品です。
かっこよくもかわいくもないじゃないか、と冒頭からツッコミを入れたくなりますが、主人公のかおちゃんは世界で1、2を争う美女。ハリウッドの有名俳優と交際しているのだとか。
天然を装った腹黒という性格で、現在は7人の男性に貢がせながら生活をしています。初登場シーンは、8億円をかつぎながら「8億円どこー?」と言っているぶっ飛んだものでした。
かっこよくもかわいくもないキャラクターたちが、やたらと凛々しいセリフを言うのもミサワワールドの特徴。未経験の方、ぜひ体験してみてください。
「人の数だけ個性はある」とはよく言いますが、それでも周りの人と大きくズレた行動や考えは謹んでしまいがちですよね。自分自身を包み隠さずに生きるのは難しいのではないでしょうか。
ただ本作の主人公、野田さんは違います。眼鏡に黒髪の三つ編みというだいぶ地味な姿をしていますが、彼女は好奇心旺盛。気おくれせずに興味の赴くままに行動し、独自理論を展開していきます。
- 著者
- 柘植 文
- 出版日
- 2009-07-13
野田さんは群馬県出身。埼玉県にある大学に通うため、親元を離れてひとり暮らしをしています。趣味は読書。ロシア語学科専攻の彼女は勉強が大好きで、ファミリーレストランでアルバイトをしながら過ごしていました。
見た目は地味ですが、自分と同年代の若者の暮らしには興味津々。出会い系サイトで知り合った人と連絡を取ってみたり、カリスマ美容師のいる美容院を訪ねたり、ネイルサロンに行ってみたりと、積極的に自分の世界を広げていきます。
ちょっと気後れしそうな場所にも積極的に飛び込んでいく姿には、ある意味羨望を覚えるのではないでしょうか。そんな彼女を誰もバカにしないのもいいですね。友人たちは、彼女の言動が少し変わっていると認識しつつも、あたたかく見守っていきます。
またモノローグはどこか文学的な表現で、野田さん独自の世界観を展開。くすりと笑えつつ、勇気と元気をもらえる作品です。
世界三大美女といえば、中国の楊貴妃、日本の小野小町、そしてエジプトのクレオパトラ。いずれも絶世の美女だったといわれています。
アジア系の楊貴妃や小野小町と比べ、クレオパトラにはエキゾチックなイメージを抱いている方も多いのではないでしょうか。
本作は、「エジプト系」の女子高生とイケメン男子高生の恋愛を描いたラブコメ漫画です。
- 著者
- ナオダ ツボコ
- 出版日
- 2017-09-12
ただのエキゾチック美女とイケメン男子の恋なら、ラブコメにする必要ないじゃないかと思われるかもしれません。
ヒロインの三角呉緒(みすみくれお)は、まるでピラミッドの壁画に描かれているような外見をしている女の子。そんな彼女に、イケメンながら女子と接することが苦手な煌という少年が惹かれてきます。
出会った場所はエジプト展で、まるで壁画のような少女に一目ぼれをしてしまい、その後は外見だけでなく優しい性格をした彼女にほれ込んでいくのでした。
物語の視点は、煌の親友のテツ目線で進んでいきます。ラブコメを外野から冷静な目線で眺めていて、どんどんエジプトナイズされていく煌と、どうしても壁画感が抜けない呉緒に的確なツッコミを入れていきます。
ラブレターはもちろんヒエログリフ。ギャグと恋のきゅんきゅんを楽しんでください。
『えじぷり!』に関しては「無料で読める『えじぷり!』クレオが面白すぎるw エジプトギャグ漫画って?」で詳しく解説しています。
本作の主人公は、とにかく中年男性が好きな21歳の女子が主人公。しかし、なるほどおじ専かという読者の予想を大きく裏切った展開を見せてくれます。
恋のお相手に、驚かされるはず。
- 著者
- 柴 なつみ
- 出版日
女子大生の七森結は、中年のおじさまが大好き。理想の男性は俳優の阿部寛で、恋をするなら中年男性と決めているほどの筋金入りです。
そんな彼女はある日、酔っぱらってスマホを落とし、財布も無くし、電柱にスカートを絡ませるという散々な目に遭ってしまいました。そこを助けてくれたのが、通りすがりの中年男性。マフラーとお弁当を渡してくれます。
彼に恋をしてしまった結は、もらった弁当を頼りに男性を発見。太い眉と彫りの深い顔立ちをした彼は、弁当屋で「てんちょう」と呼ばれていましたが、実はまだ16歳の高校生でした……。
年下、しかも未成年ということで失恋確定してしまいましたが、結はその弁当屋でアルバイトをすることに。「てんちょう」は見た目はごりごりのおじさんなのに、中身は女子と話すと赤面してしまうようなシャイな少年。
そのギャップが激しすぎて、可愛いのか面白いのか、絶妙なバランスを保ちつつもつい笑ってしまうのです。結とてんちょうの恋の行方やいかに?
雪が降っても休めない、熱が出ても休めない日本のサラリーマン。会社のために働き続ける存在を揶揄した「社畜」という言葉も、当たり前に使われています。
読者のなかにも、日々押し寄せる仕事や、上司や同僚との関係に神経をすり減らしている方も多いのではないでしょうか。
本作は、社畜的環境を笑い飛ばしてくれる物語です。
- 著者
- 江戸 パイン
- 出版日
- 2016-09-20
武辣苦(ブラック)商事東京本社に勤務している図画コーサク。ある日突然、Fuckokaの墓多死社へ転勤を命じられました。
そこは暴力が支配する無法地帯で、巨木には首を吊った人の影、無数の烏が空を覆いつくしています。「餓ェル噛ム」と書かれたゲートをくぐったコーサクは、これまでに培ってきた社畜スキルをフル活用して、無法の地を生き抜いていくのです……。
某有名なサラリーマン間がのパロディですが、本作の主人公は社畜。通勤ラッシュで鍛えられた能力を駆使して障害物をよけ、己の矜持をかなぐり捨てて教えを乞いますが、出世はしません。
悲しき社畜は、苦境に立ち向かうのではなく、とにかう回避するのです。コーサクの奮闘する姿を笑いながら、日々のストレスを癒しましょう。
『社畜!修羅コーサク』に関しては「『社畜!修羅コーサク』のすごさをネタバレ紹介!」で詳しく解説しています。
コミュニケーション能力を求められる昨今、周囲の人々とのかかわりに疲れてしまっている人も多いのではないでしょうか。
本作は、コミュニケーション能力が著しく低い美少女、古見硝子が主人公。コミュ症具合なら負けないと思っている読者の方も、彼女のコミュ症っぷりには驚くはずです。
- 著者
- オダ トモヒト
- 出版日
- 2016-09-16
スラリとした長身に艶やかな黒髪、誰もが見惚れるほどの完璧な美少女、古見さん。しかし極度のコミュ症で、日常会話もままならず、誰かと話すというだけで無表情のままぶるぶると震えてしまいます。
ただ彼女の不振な行動は、不思議とすべてよい方向へと解釈され、結果として神のように崇められる存在になっているのです。
しかしコミュニケーションをとれない古見さんは孤独なまま。
彼女が極度のコミュ症であることを偶然知った同級生の只野仁人は、友達を100人作りたいという古見さんの夢を叶えるべく、協力してあげることにしました。
またアガリ症、ヤンデレ、負けず嫌い、中二病とほかにも個性的なキャラクターがたくさん登場。誰しも少なからず問題を抱えていることがわかります。
ただすべて笑いに昇華されているため、共感しつつも深刻になりすぎずに読むことができるでしょう。古見さんがとにかくキュートなので、コミュ症女子にハマってしまうこと間違いありません。
『古見さんは、コミュ症です。』に関しては「漫画『古見さんは、コミュ症です。』の魅力を本気で考察【5巻ネタバレ注意】」で詳しく解説しています。
ギャグ漫画というとインパクトのある一発ギャグや下ネタというイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。さまざまなシチュエーションで展開される喜劇は、日ごろのうっ憤を吹き飛ばしてくれますよ。