原作『無限の住人』5分でわかる6つの魅力!不老不死の隻眼剣士が大立ち回り【全巻ネタバレあり】

更新:2019.6.18 作成:2019.6.18

仇討ちを誓う少女と、不老不死の用心棒。2人とあまたの剣士が死闘をくり広げる時代アクション漫画が『無限の住人』です。独特なキャラクターや武器、派手なアクション描写は時代劇ものの型にはまらず、多くの読者を魅了しています。 この記事では、アニメや映画化も話題になった作品の6つの魅力をご紹介します。ネタバレも含んでいますので、未読の方はご注意ください。

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena
目次

『無限の住人』が面白い!原作漫画ならではの魅力を最終回までネタバレ紹介!【あらすじ】

時は江戸時代。浅野凛は2年前、剣各集団逸刀流の者に、実家の道場を潰され、両親を殺害されてしまいました。復讐を誓った凛は、自身で剣術の腕を磨きますが、圧倒的な力不足を痛感。隻眼の剣士で「100人斬り」の異名を持つ万次に用心棒を依頼します。 

万次(卍)はもともと旗本の同心でしたが、悪人だった旗本を切り罪人に。追っ手を振り切っているときに出会った老婆、八尾比丘尼(やおびくに)によって血仙蟲を移植され、不老不死となっていました。

最初は依頼を断っていた万次でしたが、救えなかった妹と凛の姿が重なり、用心棒を引き受けます。こうして少女と用心棒の、仇討の旅が始まるのでした。 
 

著者
沙村 広明
出版日
2016-08-23

沙村広明のデビュー作にして代表作となった本作。もともとは1993年に「アフタヌーン」の四季大賞を受賞した読み切り作品でした。1997年文化庁メディア芸術祭でマンガ部門優秀賞を受賞し、2008年にはテレビアニメ化、2017年に実写映画化されました。

特に実写映画は反響が大きく、三池崇史がメガホンを取り、木村拓哉を主演に、杉咲花や福士蒼汰、市原隼人といった注目の俳優陣がキャスティングされました。売上は公開2日で1億8900万でした。 

2019年より滝川廉治原作、陶延リュウ作画によるスピンオフ作品『無限の住人〜幕末ノ章〜』の連載が開始されています。

また、2019年には2度目のアニメ化と、その勢いはとどまるところを知りません。

 


杉咲花の出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。

杉咲花が出演した作品一覧!実写化した映画、テレビドラマの原作作品の魅力を紹介

福士蒼汰が出演した作品を見たい方は、こちらの記事もおすすめです。

福士蒼汰の出演映画、テレビドラマを解説!イケメンだけじゃない実写化キャラに注目

三池崇史が実写化した作品を知りたい方は、こちらの記事もおすすめです。

三池崇史の監督した作品一覧!実写化した38作品の原作と映像の見所を紹介!

作者・沙村広明とは

沙村広明(さむらひろあき)は、1970年2月17日生まれ。千葉県の出身です。小学生のころから漫画家を志し、多摩美術大学へ進学。美術大学を志望したのは、漫研に絵がうまい人がたくさんいそうだったからなのだとか。実際、漫研の先輩には冬目景、後輩に玉置勉強が在籍。漫画に力を入れる生活を送ったようです。 

大学在学中、OBの漫画家山田玲司の勧めにより、出版社へ持ち込みを始めました。その中に谷崎潤一郎の『刺青』を漫画化したものが編集者の目に留まり、本作を描くきっかけとなりました。1993年に漫画家デビューを果たします。 
 

著者
沙村 広明
出版日
2015-05-22

本作以外にも多数の作品を発表しています。ブラッドハーレー聖公女歌劇団を巡り、少女たちの過酷な運命を描いたサスペンス『ブラッドハーレーの馬車道』は、近代西洋風の世界が舞台。殺伐とした時代物という共通点はありますが、こちらは洋装でクラシカルな雰囲気があり、また違った印象を受けるでしょう。 

『ハルシオン・ランチ』は、ホームレスの男の前に宇宙からやってきた謎の少女が現れるというコメディ作品。『波よ聞いてくれ』は、北海道を舞台にした青春物語と、作風は統一されておらず、その幅の広さも魅力です。また、竹易てあし名義で『おひっこし』などの作品も発表しています。  

絵柄は鉛筆書きのような濃淡の描写が秀逸で、線に無駄がありません。デッサン力が高く、どの作品でも人物の動作が自然で、静止画なのに動いているような印象を受けます。 
 

沙村広明の他の作品については<沙村広明おすすめ漫画ランキングベスト5!映画化『無限の住人』を含む名作>で紹介しています。気になる方はぜひ!

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察1:登場人物、武器がかっこいい!誰が強い?

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察1:登場人物、武器がかっこいい!誰が強い?
出典:『無限の住人』1巻

本作の魅力と言えば、個性的なキャラクターとそれぞれが使用している武器でしょう。主人公、万次は不老不死という大きな特徴があります。身体中に傷があり、右目がつぶれています。着流し姿ですが、その中には複数の武器を隠し持ち、相手によって巧みに使い分けています。

作中の万次は主人公といえど、攻撃力などを考えると最強の存在とはいえません。ただし、やはり一番の武器は、倒れてもなお立ち上がることができる、不死身の身体。その点を加味すると作中でも上位の強さとはいえるでしょう。 

ヒロインであるも特殊な武器を使用しています。身体を反って短刀を放つ技を得意としており、着物の下には数十本の「黄金蟲」を隠し持っています。また、道場の宝刀だった蝦夷由来の刀「クトネシリカ」も主要な武器。しかし、他を圧倒するほどの実力を持つわけではありません。  

万次と凛の敵として登場し、圧倒的な実力を持っているのが、仇でもある逸刀流の2代目統主・天津影久(あのつかげひさ)でしょう。線の細い優男で、一見すると強そうには見えません。

しかし剣の天才で、武器は扱いの難しい一対の斧と直刀「頭椎(かぶつち)」を使用。重量のある武器で相手の刀ごと頭蓋骨を叩き割るという、見た目からは想像できない戦い方をします。 

武器は百琳が使用するボウガン状の「群踏(ぶらふま)」や、黒衣鯖人が使用する巨大手裏剣、偽一が使用する手錠のような形をした鎖鎌など、特徴的な物が数多く登場します。

ちなみにファンの間で「うんこソード」と呼ばれているのは、刀に排泄物を塗り付け、傷をつけることで破傷風にさせるというもの。形状がそのような形というわけではありません。天津影久は、破傷風により命を落としかけており、なかなか侮れない戦法です。  

さらに、居合の達人で太刀鴉鷺を使用する、純粋な剣術で言えば最強ともいえる吐鉤群(はばき かぎむら)や、町絵師ながら幕府の隠密・宗理という実力者も存在します。しかしやはり作中で最強という評価を得ているのは、乙橘槇絵(おとのたちばな まきえ)でしょう。

天津影久が師と仰ぐ人物で、武器は三味線型のケースに収められた三節槍「春翁(はるのおきな)」。剣の天賦の才を持っており、その実力は他の剣士を圧倒し身をすくませるほどです。 

名前が特徴的なキャラクターや武器が数多く登場しますが、中にはその由来が明かされているものも。万次や宗理は天才絵師葛飾北斎の歴代の画号から。北斎は30回画号を変えたと言われており、その一部が名前に使用されています。

また、阿葉山宗介の使用するナイフのような形状ながら異様な仕様となっている武器「断身九印(だんしんくいん)」は、スウェーデンの音楽グループ「ABBA」の代表曲「ダンシング・クイーン」ではないかと言われています。 
 

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察2:作り込まれたキャラクターの魅力とドラマ

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察2:作り込まれたキャラクターの魅力とドラマ
出典:『無限の住人』4巻

本作は基本的にアクションバトル漫画です。万次や凛だけではなく、敵たちもそれぞれの武器を駆使して戦いをくり広げており、多彩な戦闘シーンが魅力の一つといえるでしょう。戦っているキャラクターたちの設定も作り込まれており、行動理念や性格が、戦闘にも影響を及ぼしています。 

なかでも槇絵はかなり作り込まれているキャラ。作中でも最強と評される女性ですが、家族関係に恵まれず、遊女をしていた過去を持っています。最強であるのに他者を不幸にした過去から、人を斬ることを恐れる彼女。

そんな槇絵のように、過去があるからこその現在があるといえるキャラクターが多く、それぞれに背景を持つキャラクターと、彼らの織り成す深みのあるドラマに魅了されます。 
 

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察3:時代物だけど古くない!ネオ時代劇という世界観

時代物というと古くさい印象を抱く読者も少なくないかもしれません。型があって安定感はあるけれど派手さがないと思ってる方もいるでしょう。

その点、本作の舞台設定は江戸時代ですが、現代語やアイテムも飛び出すなんちゃって江戸時代。 

サングラスやピアスなどは明らかに存在しないものも登場し、時代を超えたアイテムを使用することで、キャラクターや世界観をより濃いものにしています。  武器も江戸時代に存在していたのか、と首をひねるようなものばかり。

しかし、それが作品に見事にマッチしており、ただの刀だけでは出せないであろう、無頼や無国籍のような雰囲気が生み出されています。江戸時代ではありますが、どこか違う世界を感じさせてくれ、まさにネオ時代劇ともいえる世界観だからこそ、万次たちの戦いも映えるのです。 

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察4:躍動感が抜群!戦闘シーンが美麗すぎる

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察4:躍動感が抜群!戦闘シーンが美麗すぎる
出典:『無限の住人』1巻

沙村広明は美大出身で、画力の高さは抜群。線に無駄がなく、濃淡が美しい画面です。そして作画はデジタルではなく完全に手作業で、ピグマというサインペンと鉛筆で描かれているそう。漫画と言えばペンで描くものというイメージですが、鉛筆を使用しているというのが驚きですよね。 

戦闘シーンなどで鉛筆ならではの描写を見ることができます。特筆すべきは「風」の描写です。淡い濃淡だけではなく、どこか柔らかい線が「風」を感じさせるのでしょう。

武器が振るわれることで起こる風、人が動くことで起きる空気の動きが、線によって表現されており、人間が動いているという、激しくも柔らかな躍動を感じさせます。 

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察5:名言ランキングベスト5!

 

作中に登場する数多くの名言の中から、ランキング形式で5つ紹介します。 

 第5位はこちら。

「私が…どうしても届かぬものが、あそこに舞っている」
(『無限の住人』4巻より引用)

戦う槇絵を見た天津の言葉です。天津自身も剣の天才として幼いころから鍛錬してきましたが、槇絵はそんな彼も認めた絶対に越えられない壁。憧憬とともに複雑な感情が感じられます。 

第4位はこちら。

「他人より強からんとつとめるなら、
一番大事なものさえ失くさねばならん」
(『無限の住人』6巻より引用)  

無骸流の偽一の言葉です。偽一自身が作中でもかなりの強者であり、大切なものを失った過去を持っています。敵には容赦がないものの、人情を解する偽一だからこそ口にできる言葉でしょう。 

 

著者
沙村 広明
出版日
1995-10-18

 

つづいて第3位はこちら。

「たまにいるんだ……己らのように
血を見た時だけ生きてる事を実感できる人種がな(中略)
唯な 人の上に立つことだけは諦めたほうがいい
そーいう輩が権力を手に入れた時 まずやる事はひとつ……
『虐殺』だ」
(『無限の住人』25巻より引用)  

協力を持ちかけられた際に、その男から嫌な気を感じた万次。それは、「性根っから人を殺すのが好きな人間」ならではの雰囲気でした。自分もそうだと相手に同調しながらも、自分の身の程をわきまえている者ならではの考え方にしびれます。 

第2位はこちら。

「お前はそれでも医者かッ!」
(『無限の住人』19巻より引用) 

異国で医術を学び、不死の力の解明のために300人近くの人間を殺めたという綾目歩蘭人(あやめ ぶらんど)に対し、凛が放ったセリフ。不死の実験体として万次が捕らえられていたという事情もありますが、医術は人を救うための術であるはずのもの。凛の怒りの叫びがダイレクトに伝わってきます。 

そしていよいよ第1位は、こちらです。

「私、こんなに生きたいと思ったの生まれて初めてです」
(『無限の住人』30巻より引用)  

病に侵され、寿命が幾ばくも無い状態の槇絵のセリフ。作中のキャラクターたちは命を賭して戦っていますが、生きることに貪欲です。対する槇絵は、どこか生に対する執着が薄く感じられるでしょう。

そんな彼女が生きたいと渇望する場面は、凛として美しく、戦いの場面でもあるはずなのに、安らぎすら感じさせます。 

 

『無限の住人』の魅力をネタバレ考察6:最終回が泣ける!結末は切ないラスト……

万次たち不死の秘密や、各流派の死闘がくり広げられてきました。家族すべてを失ってしまった吐と、激闘の末にほぼ壊滅状態となってしまった逸刀流の統主、天津が激突します。そこに現れる万次。

悩み、葛藤する凛は本懐を遂げることができるのでしょうか。

著者
沙村 広明
出版日
2013-02-22

最終回は最後の戦いから90年後。明治になってからの様子が描かれています。不老不死である万次は死ぬことはありません。自分と同じ時を生きているのは八百比丘尼だけ。

万次は彼女から、とある少女の用心棒の依頼を受けます。彼女は、奇麗な模様が彫られた刀を持っていました。刀に込められているのは、かつての持ち主である凛の想い。百琳の最後のセリフが現実となった姿に胸が暖かくなるラストです。

アニメ『無限の住人-IMMORTAL-』が2020年4月7日から放送開始!

 

『無限の住人-IMMORTAL-』は数々の映像化の完全版として、再アニメ化したもの。

アマゾンプライムビデオで独占配信されていたものが、ついにテレビで放送になります。

放送開始日は2020年4月7日深夜から。

不死身の侍・万次の声を津田健次郎が、万次を用心棒として雇う・浅野凛の声を佐倉綾音が務めます。

『無限の住人-IMMORTAL-』公式サイトでは、詳細な放送情報や主役お二人のインタビュー動画が公開されています。ぜひご覧ください!

 

戦闘シーンが多めなので血や残虐と感じる描写も多い作品です。しかし、コミカルな表現や恋愛描写もあり、人が生きているからこそ生まれるドラマがあるのだと実感することができるでしょう。作中で経過している時間は意外と短いのですが、綿密に描かれた濃密な世界にどっぷりと浸ってください。