5分でわかる住まい方アドバイザー!仕事内容や年収は?活躍できる職業も紹介

更新:2020.7.6

個々人に合わせた「快適な住まい方・暮らし方」をアドバイスできるようになる資格「住まい方アドバイザー」。収納のコツや効率的な掃除の方法、電化製品や家具の配置など、あらゆる方面のノウハウを提供し、依頼者の暮らしをサポートするのが仕事です。 本記事では、住まい方アドバイザーという資格について、働き方や年収といった基本情報から、資格取得の方法などを解説します。住まい系の似た資格や、一緒に持っておくとスキルアップに繋がる資格などにも触れています。

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住まい方アドバイザーの仕事内容

「住まい方アドバイザー」は、2014年に「アメニティアドバイザー」が名称変更したことで誕生した資格です。仕事内容は名称の通り、個々人に合わせた「快適な住まい方・暮らし方」をアドバイスすること。収納のコツや効率的な掃除の方法、電化製品や家具の配置など、あらゆる方面のノウハウを提供し、依頼者の暮らしをサポートします。ほか、商業施設を快適に造るアドバイスなど、店舗のコンサルティング業務なども担います。あまり耳慣れない資格ですが、2022年時点では全国で150名ほどが資格を取得し、年々その数は増えています。

住まい方アドバイザーの働き方

住まい方アドバイザーは、大きくわけて3つの働き方があげられます

■フリーランス
住まい方アドバイザーを専業として、フリーランスで働くスタイル。

セミナー講師として「快適な住まいづくり」のノウハウを提供したり、個人や住宅会社から依頼を受け住まいの改善策、そして新築やリフォームの間取りのセカンドオピニオンを求められたり、展示場やショールームに暮らしを表現する時のディスプレイ商品の選定など、住宅会社で手が回らないお客様への折衝の依頼も増え、実績をつくっている方が増えました。

また受講をきっかけに全く違う業界だった人や主婦だった人が卒業後に社会復帰としてフリーランス同志でチームをつくり、同じ受講生の住宅会社の仕事をサポートしている実績もうまれています。

■住宅業界の会社に就職する
2つ目が、住宅業界の会社(住宅会社・工務店・賃貸業など)で給与をもらい働くスタイルです。

受講生の90%以上は、働いている会社から講座を受ける承諾を受けて受講しているので、新たに就職をしようとする人が少ない状況です。そもそも住宅業界内でスキルアップなど転職そのものが多いので、「住まい方アドバイザー」資格をもっていることは、雇う側から大変喜ばれており、転職時のアピールポイントになるようです。

また受講生の半数以上が、住宅会社や工務店の経営者の受講が多く、暮らしアカデミー事務局が受講後も交流する機会をもうけており、受講期をまたぐ交流があります。働く人が欲しい会社と働きたい人の間で情報交換がなされ、そのような交流が何よりも他の講座と違うと好評を受けているようです。そうしたことが転職活動をスムーズにしている点でも、「住まい方アドバイザー」はかなり有用な資格と言えます。

■賃貸経営に携わる
この資格を取得した方の中には、賃貸業を生業にしている方もおり、空き室対策に活かされている実績が報告されています。また賃貸管理会社が今後住まい方アドバイザー養成講座の卒業生を採用したい声もあがっているようです。

住まい方アドバイザーの年収

上記の通り、住まい方アドバイザーは専業のフリーランスとして安定的に働くことは難しく、他の資格をメインとして働く人がほとんどです。

フリーランスとして働く場合は、インテリアコーディネーターや整理収納アドバイザーの資格をあわせ持っている人で、年収300万円〜700万円程度が見込めるようです。

 


 

住まい方アドバイザーと整理収納アドバイザーの違い

住まい方アドバイザーと似た職業として、「整理収納アドバイザー」という職業が挙げられます。この2つの資格の大きな違いは、アドバイスの目的にあります。

整理収納アドバイザーは「整理・収納」のみに焦点を当て「片付けられない」といった悩みを解決することを目的としているのに対し、住まい方アドバイザーは「空間・人・時間」の3つの観点から、人が暮らしやすい住まいをつくりあげることを目的としています。

人が暮らしやすい住まいを作るために、

  • 限られた空間に適切な機能やサイズの収納スペース・家具を配置したり
  • 個々人に合わせた間取りや生活用品・家具の配置をアドバイスしたり
  • 時には整理・収納に関してアドバイスしたり

と、整理収納アドバイザーよりも幅広く高度な視点で、専門的な手法を持ってノウハウを提供します。

住まい方アドバイザーになるためには

住まい方アドバイザーになるためには、本資格の第一人者でもある近藤典子氏が代表理事を務める「一般社団法人日本住まい方アドバイザー協会(NSAA)」が主催する資格認定試験に合格する必要があります。そして、NSAA主催の認定試験を受験資格を得るためには、近藤典子氏が講師を務める「住まい方アドバイザー養成講座」のカリキュラムを受講しなければなりません。

住まい方アドバイザーの養成講座とは

近藤典子氏自身が講師を務める「住まい方アドバイザー養成講座」は、2021年までは東京と大阪で、全10回のカリキュラムを月2回、毎年4月〜翌年1月までの10ヶ月間にわたり開講されていました。2022年からはオンラインでの開講となっており、10回分35万円(税別)の受講料が必要となります。

養成講座では、近藤典子氏が手がけるテキスト「住まい方ハンドブック」と、受講生しか得られないオリジナルの「サブテキスト」を用いながら授業がおこなわれます。住まい方アドバイザー独自の「住まい方計画:①ヒヤリング②整理方法③収納提案④プレゼンテーション」という4つの流れにのっとり、住まいの各エリア(キッチンやリビング、寝室など)に応じた快適な住まいの作り方にまつわるノウハウを解説。全10回の授業が終了した翌2月に、その年の住まい方アドバイザー資格認定試験がおこなわれます。

住まい方アドバイザーの資格試験の内容は?

毎年2月に開催される資格認定試験では、授業で使用される「住まい方ハンドブック」の内容や、講座内容を中心に問題が作られます。家の各部屋に求められる役割や機能、限られた空間を効率よく活用するための収納スペース、動線や見せ方に関してなど、まんべんなく講座・テキスト内容について問われます。

の資格試験は2020年までに計4回おこなわれています。合格率は、以下の通りです。

・2016年…92%
・2017年…91%
・2018年…87%
・2019年…100%
・2020年…95%

この数字を見るにかなり合格率の高い試験といえるでしょう。

住まい方アドバイザー資格試験の受験者は、住宅業界で働く人がほとんどです。住宅営業、一級建築士、リフォーム営業・設計、住設機器の商品開発・企画担当者といった住宅に携わる人や、店舗デザイナーなど商業施設設計に携わる人も。ほか、「自身の暮らしを快適にしたい!」と、住宅業界以外の会社員や主婦が受験することも少なくありません。

住まい方アドバイザーに向いている人
 

住まい方アドバイザーの資格取得は、住宅業界で働いており、さらにスキルアップを図りたい人にとっておすすめです。カリキュラムを受講する必要がありますが、得られる知識は依頼者の暮らしを豊かにするために役に立つはず。インテリアや住まい方・暮らし方という言葉に興味がある人も、住まい方アドバイザーに向いているといえるでしょう。

ほか、住まい方アドバイザーは自身の住まいを綺麗に片付けたいという人にもおすすめです。論理に基づいた住空間の使い方や効率的な収納・整理整頓方法も学べるため、片付けが苦手という人、家具が多くて家が雑多な印象になってしまう人にとって有益な資格となるでしょう。

住まい方アドバイザーと一緒に持っておきたい資格

住まい方アドバイザーは前項で紹介した通り、専業で安定した収入を得ることは難しい資格でもあります。住まい方アドバイザーの資格以外にあわせて持っておくと就職に有利になる資格を解説します。

インテリアコーディネーター

住宅やインテリアについて専門的な知識を有し、一般住宅や商業施設に配置する商品全体をプロデュースする仕事。資格を取得することで、住まいにおける色の使い方や、科学的根拠に基づいた住空間の作り方を提案できるようになります。

インテリアコーディネーターの資格とあわせて住まい方アドバイザーの資格を持っていることで、さらに依頼者それぞれに合わせた快適な住まいづくりのアドバイスができるようになります。

インテリアコーディネーターに関してはこちらの記事で詳しく解説しています。

インテリアコーディネーターになるには?5分で分かる、仕事内容や資格など

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居心地良い空間は、日常生活に潤いを与えてくれます。インテリアにこだわりたいけれどもイメージ通りにいかない、という時に頼りたいのがインテリアコーディネーター。ここでは仕事内容や給料、資格に関することを、おすすめの本とともにご紹介します。

建築士・宅建

建築士は建築物の設計や工事監理を行うための資格、宅建は不動産取引法務を行う際に必要になる資格です。「住まい方」という広い概念を考える際には、

詳しくは以下の記事で解説していますので、参考にしてください。

独学で合格したい人必見!宅建の人気おすすめ参考書&問題集【2020年最新】

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宅建の資格を取るうえで、どのような参考書が独学に適しているのか、試験内容や資格の詳細を知りたい人も多いのではないでしょうか。 本記事では、難易度や合格率など宅建に関する情報とおすすめの参考書や問題集を紹介します。宅建についての理解を深めて、参考書や問題集選びの参考にしてください。

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建築士は、建築の専門家です。一軒家やマンション、アパートや美術館、スポーツ競技場や学校など全ての建造物に必ず、建築士が関わっています。この記事では、そんな建築士になるために必要となる資格や仕事内容、年収などについて詳しく紹介していきます。

自宅で挑戦できる!家具と人のサイズから最適な収納を考える教本

著者
近藤 典子
出版日

日本住まい方アドバイザー協会の代表理事を務める近藤典子氏が手がけるノウハウ本。住まい方アドバイザーにとって避けては通れない「整理・収納」について、「サイズ」という観点から論理的にストレスフリーな収納術を教えてくれる1冊です。

たとえば、収納術のひとつとして、本書では「棚の奥行きは3つのサイズを用意する」という法則が紹介されています。3つのサイズに合わせて収納することで衣類もすっきりと片付くなど、著者の経験から導かれた具体例が満載。

要点を絞って掲載されているため、気軽に読み進められます。住まい方アドバイザーとしてさらに深く収納に関する知識を学びたいという人におすすめです。

近藤典子氏の自宅を解剖!住まいの作り方を学べる1冊

著者
近藤 典子
出版日

「収納のカリスマ」とも呼ばれる近藤典子氏の自宅を解剖したムック本。自宅を建てる際に参考として手に取る人が多いようですが、住まい方アドバイザーの資格取得を目指す人であれば、本書に掲載されているさまざまな住まいの工夫は参考になること間違いなしです。

本書では、豊富な写真とともに、近藤典子氏の工夫が散りばめられた自宅を紹介しています。実際に家づくりをおこなう家庭から、完成した住まいの内部を解説。使い勝手のよい収納、動く収納スペースなど、豊かな発想から生まれたさまざまな収納・暮らし方のアイデアが詰まっています。

住まい方アドバイザーを目指す人であれば、アドバイスをおこなう際の参考アイデアがたっぷり。アドバイスをする上での着眼点を養うことができます。

住まいを「暮らし」から考えられる1冊

著者
近藤 典子
出版日

「空間・時間・人間」という3つの「間」について知ることで住まいを考える、という1冊。「住まい方アドバイザー養成講座」でも使用されている書籍です。

講座でも使用されるだけあって、「人が作業するために必要な空間の具体的な寸法」「モノを捨てるために必要な順序」など、中身はかなり論理的かつ実践的になっています。写真や図もあわせて説明されているので、読みながら作業を進めるだけで慣れていない人でも快適な空間を作り出すことができるでしょう。

「今住んでいる家をどう快適にするか」だけでなく、家を新しく建てる際にも役立てることができます。

基本の技術を「プロの技術」へアップデートさせる1冊

著者
近藤 典子
出版日

上で紹介した『暮らしを整える 住まい方ハンドブック:1 片づけ・収納編』は片付けの基本事項や原則に関する説明でしたが、その続編となる『暮らしを整える 住まい方ハンドブック:2 LDK・洗面所編』ではさらに先の「職業としてのプロを目指すアップデート術」を学ぶことができます。

サブタイトルにもある通り、リビング、キッチン、ダイニングや洗面所にフォーカスし、場所に応じた「片付かない原因」を理解することで、生活に適した空間を作り上げる方法が解説されています。1冊目の『暮らしを整える 住まい方ハンドブック:1 片づけ・収納編』とあわせて読むことで、より専門的・論理的に「住まい」を考えることができるでしょう。

個々人にあった「住まい方」思考が身につく本

著者
京子, 石阪
出版日

住まい方アドバイザーとして依頼者に的確なアドバイスをするためには、個々人の暮らし方・住まい方にまで踏み込む必要があります。そんな時、本書は「しない家事を生み出す」というひとつの考え方を養ってくれます。

本書では、料理をする際には洗い物が増える調理をしない、掃除ではたくさんの道具を使わない、洗剤の使い分けはしない、日用品では来客用の布団は持たないなど、あらゆる観点から毎日の生活を簡単に快適にするポイントを紹介しています。

書かれたポイントを実践することで、自然とムダのないすっきりとした暮らし方が叶うという1冊。読んでおくことで、住まい方・暮らし方のアドバイスをする上でのヒントを得ることができるでしょう。

自分の市場価値をアプリで診断

家での快適な生活を送るために、幅広い視点からアドバイスをするのが、住まい方アドバイザーの役目です。昨今は収納などに悩みを抱える人が増えていることもあり、住まい方アドバイザーのニーズは高まっていると考えられます。仕事のスキルアップとして資格取得を目指す人が多いものの、しっかりと学べる養成講座を受けられることから、自分の快適な住まいづくりのために資格試験を受験するという人も少なくありません。気になった人はぜひ、関連書籍にも手をとって「住まい方」について知識を深めてみてはいかがでしょうか。

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