福祉住環境コーディネーターとは、「福祉」という観点から、高齢者や障がい者が自宅で快適・安全に生活を送れるよう、住みやすい空間づくりを提案するアドバイザーです。主な仕事は、新しい家を建てる際やリフォームの際に、住まいの設計プランを提案したり、福祉用具・用品についてアドバイスしたりします。資格自体の知名度は低いものの、高齢化が進む日本において徐々に必要性が高まってきている資格です。 本記事では、福祉住環境コーディネーターの資格取得の方法や、資格取得が役立つ職業について解説します。ほか、独学で試験勉強をする人におすすめのテキストについても紹介します。
福祉住環境コーディネーターとは、「福祉」という観点から、高齢者や障がい者が自宅で快適・安全に生活を送れるよう、住みやすい空間づくりを提案するアドバイザーです。
主な仕事は、ケアマネージャー、建築士といった住まいに関する専門の人々と打ち合わせを重ね、体の不自由な人たちにとってより住みやすい環境を作れるようサポートすることです。
高齢者や障がい者の方が不便なく暮らしていけるような住環境について、福祉的な観点からの知識を有しているのが福祉住環境コーディネーターなのです。
福祉住環境コーディネーターの専任として働いている人は少なく、多くの人が自身の職業のスキルアップを目的に福祉住環境コーディネーターの資格を取得します。
福祉住環境コーディネーターの資格が役に立つ職業としては、下記などがあげられます。
◾️介護・福祉業
ケアマネージャーや福祉用具専門相談員など、福祉の視点から生活についてアドバイスすることを仕事としている人のスキルアップの資格としてもおすすめです。
また、実際に介護職で現場に携わっている人にとっても、福祉住環境コーディネーターの資格を持っていることで、利用者さんの住まう施設についてプロの目線からよりよい施設環境へとアドバイスすることができるようになります。
◾️建築業
建築業では、住まいそのものを設計する建築士、住まいの外装や内装を生活スタイルなどに合わせて提案するインテリアコーディネーターといった職業とも相性がいいといえます。
福祉住環境コーディネーターの資格を有していることで「福祉」という観点から住まいを見ることができるため、幅広い視点で依頼者の暮らしを快適にする提案が可能になります。
福祉住環境コーディネーター専任で仕事を得ることは難しく、ケアマネージャー、建築士などの仕事の依頼と合わせて福祉住環境におけるアドバイスを求められるケースがほとんどです。
ケアマネージャーであれば、居宅介護支援事業所に所属している場合が多いため、まずは居宅介護支援事業所にケアプランの作成といった依頼が届きます。その際に、福祉住環境コーディネーターの資格を生かして、プロの目線からより的確なアドバイスをおこないます。
建築士についても住宅会社に所属している場合には会社へ直接新築やリフォームの依頼があり、依頼者の家族構成などに応じて福祉住環境コーディネーターの知識を生かし、住まいを設計していきます。
福祉住環境コーディネーターは、介護・福祉業で勤務する場合と、建築業で勤務する場合で、それぞれ年収が異なります。
◾️介護・福祉業で勤務する場合
介護・福祉業の中でケアマネージャーの次に福祉住環境コーディネーターの資格保有者が多いとされている理学療法士の平均給与は約34万円といわれています。このことから、介護・福祉業で福祉住環境コーディネーターの資格を持って活躍する場合の年収は380万〜450万円と考えられます。
◾️建築業で勤務する場合
対して、建築業では建築士やインテリアコーディネーター、福祉住環境コーディネーターの資格を取得していることが多いです。
建築士は一級建築士と二級建築士で給与額が大きく異なり、平均給与は約24万~43万円とされています。建築士の年収は280万~540万円とされており、実績や資格級によって給与が大きく変動します。
インテリアコーディネーターとして働く場合は平均給与は約20万円前後であることから、年収平均は300万~350万円と考えられます。
福祉住環境コーディネーター専任で働く場合には、年収は約150万円とされています。サラリーマンの平均年収を大きく下回る金額であることが、専任として働く人が少ない大きな理由でしょう。
福祉住環境コーディネーターは、1999年よりスタートした東京商工会議所主催の民間資格です。3級〜1級までの資格級が設けられています。
誰でも受験が可能で、現職のスキルアップとして資格取得を目指す人や、理学療法士や作業療法士の専門学校に通う学生なども多く受験しています。
福祉住環境コーディネーターの資格を取得する最大のメリットは、2級以上を取得していることで、「住宅改修が必要な理由書」を作成できるようになることです。
「住宅改修が必要な理由書」と住宅改修費支給申請書を合わせて自治体に提出することで、介護保険を利用して改修工事がおこなえるようになります。
「住宅改修が必要な理由書」は国家資格であるケアマネージャーや地域包括支援センター担当職員など作成者が限定されていますが、福祉住環境コーディネーターの2級以上の資格所有者であれば、理由書の作成が認められます。
福祉住環境コーディネーター検定試験は、毎年7月と11月の2回開催されます。申し込みは受験日の約2カ月半前から開始となります。
受験エリアは毎年更新されますが、全国各地に試験会場が設けられています。東京商工会議所が主催であることから、多くは商工会議所が試験会場となっています。
▶︎受験料
3級:4400円
2級:6600円
1級:1万1000円
3級・2級に関しては併願受験も可能です。1級は2級合格者のみ受験可能で、申込登録時に2級証書番号が必要となります。試験時間は、3級、2級は2時間ですが、1級に関してのみ前半2時間、後半2時間の計4時間おこなわれるため、体力と集中力を鍛えておくとよいでしょう。
試験範囲は級によって異なりますが、基本的には福祉に関する幅広い知識が問われます。合格基準はどの級も100点を満点として、70点以上をもって合格となります。
3級、2級はマークシート形式ですが、1級のみ前半はマークシート形式、後半は記述式となります。
そのため試験時間は、3級、2級は2時間ですが、1級に関してのみ前半2時間、後半2時間の計4時間おこなわれるため、体力と集中力を鍛えておくとよいでしょう。
合格率は級によって大きな差がみられます。2018年度、2019年度の試験結果は下記となっています。
▶︎2018年度
3級:56.0%
2級:28.6%
1級:11.8%
▶︎2019年度
3級:58.0%
2級:37.7%
1級:13.8%
3級と1級に関してはそれぞれ60%前後、10%前後と一定して推移していますが、2級は開催される回ごとに多少のばらつきがみられます。ですので2級を受験する際は、過去問やテキストだけを覚えるのではなく、細かい事項までしっかり頭に入れて試験に臨む必要があるといえます。
福祉住環境コーディネーターの資格取得は、独学でも十分に目指せます。公式テキストをはじめとしたさまざまなテキストを使い勉強することで、試験範囲をしっかり網羅できます。
また、医療・福祉系の専門学校であれば、学校として福祉住環境コーディネーターの試験を団体で受験するところもあるようです。学生のうちに団体受験で3級を取得しておき、社会人になってからスキルアップのために2級〜1級を独学で学び受験するというパターンも多くみられます。
福祉住環境コーディネーターと似た資格や、あわせて取得している人が多い資格として、「介護福祉士」「社会福祉士」「ケアマネージャー」があげられます。
◾️介護福祉士
介護福祉士とは、介護に関する専門の国家資格です。福祉住環境コーディネーターが住環境についてのアドバイザーであるのに対し、介護福祉士は、介護が必要な高齢者や障がい者に対して介護に関するサポートをします。
たとえば日常生活がスムーズに送れるように介助を手伝ったり、介護者へ介護の指導をおこなったりと、介護にまつわる実務的なサポートをします。
5分でわかる介護福祉士(ケアワーカー)!仕事内容や資格の難易度・活用法など詳しく解説!
→https://honcierge.jp/articles/shelf_story/9052
◾️社会福祉士
社会福祉士も介護福祉士と同様の国家資格ですが、福祉系の大学や専門学校などの課程を修了していなければ受験ができない資格です。
主な仕事内容は、福祉の現場において支援を必要とする人の相談に乗ったり、アドバイスすること。高齢者や障がい者の介護支援に関するアドバイスはもちろん、生活保護、児童福祉分野なども対象であり、より幅広い知識が必要となります。
5分でわかる社会福祉士!仕事内容や試験の難易度、おすすめの本を紹介
→https://honcierge.jp/articles/shelf_story/9117
◾️ケアマネージャー
ケアマネージャーは正式名称を「介護支援専門員」といい、介護サービスを円滑に実現させるための役割を担います。利用者のケアプランを作成したり、利用者と施設などのサービス事業者との調整をおこなったりといったことが主な業務です。
介護福祉士、社会福祉士と同様に、国家資格であり、介護保険法に規定されている専門職です。ケアマネージャーになるためには介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要がありますが、指定業務を5年以上かつ、900日以上経験しなければ受験資格は得られません。
ケアマネージャーになるには?5分で分かる、仕事内容や役割、給料、試験など
→https://honcierge.jp/articles/shelf_story/5917
福祉住環境コーディネーターと似た資格や、あわせて取得している人が多い資格として、「介護福祉士」「社会福祉士」「ケアマネージャー」があげられます。
介護福祉士とは、介護に関する専門の国家資格です。福祉住環境コーディネーターが住環境についてのアドバイザーであるのに対し、介護福祉士は、介護が必要な高齢者や障がい者に対して介護に関するサポートをします。
たとえば日常生活がスムーズに送れるように介助を手伝ったり、介護者へ介護の指導をおこなったりと、介護にまつわる実務的なサポートをします。
5分でわかる介護福祉士(ケアワーカー)!仕事内容や資格の難易度・活用法など詳しく解説!
→https://honcierge.jp/articles/shelf_story/9052
社会福祉士も介護福祉士と同様の国家資格ですが、福祉系の大学や専門学校などの課程を修了していなければ受験ができない資格です。
主な仕事内容は、福祉の現場において支援を必要とする人の相談に乗ったり、アドバイスすること。高齢者や障がい者の介護支援に関するアドバイスはもちろん、生活保護、児童福祉分野なども対象であり、より幅広い知識が必要となります。
5分でわかる社会福祉士!仕事内容や試験の難易度、おすすめの本を紹介→https://honcierge.jp/articles/shelf_story/9117
ケアマネージャーは正式名称を「介護支援専門員」といい、介護サービスを円滑に実現させるための役割を担います。利用者のケアプランを作成したり、利用者と施設などのサービス事業者との調整をおこなったりといったことが主な業務です。
介護福祉士、社会福祉士と同様に、国家資格であり、介護保険法に規定されている専門職です。ケアマネージャーになるためには介護支援専門員実務研修受講試験に合格する必要がありますが、指定業務を5年以上かつ、900日以上経験しなければ受験資格は得られません。
ケアマネージャーになるには?5分で分かる、仕事内容や役割、給料、試験など→https://honcierge.jp/articles/shelf_story/5917
福祉住環境コーディネーターを独学で目指す人におすすめしたいテキストを集めました。公式テキストでは物足りないという人や、過去問にももっと触れたいという人におすすめです。
- 著者
- 渡辺 光子
- 出版日
福祉住環境コーディネーターの短期合格を目指す人におすすめしたいテキストをご紹介します。
この本では、各章について「要点整理」「確認問題○×チェック」「実践問題」がそれぞれ設けられており、効率的な学習をサポートしてくれます。
「要点整理」は原則2ページの読み切りで構成されており、2ページ分を確認してから過去問の選択肢を掲載した「確認問題○×チェック」で要点を理解できているか確認します。そして最後に「実践問題」で実際の出題形式に即して作られた問題を解くという流れで、テキスト内容を効率的に理解することができます。
ただし、一部情報が公式テキストの改訂に追いついていないといった口コミもあり、公式テキストとあわせての活用がおすすめです。
- 著者
- ["ユーキャン福祉住環境コーディネーター試験研究会", "ユーキャン福祉住環境コーディネーター試験研究会"]
- 出版日
公式テキストや過去問題集などさまざまなテキストに加え、サポートポジションで持っておきたい1冊がこちらです。移動時などの隙間時間や、試験直前の最後の詰め込みなどにぴったりな一問一答の問題集です。
公式テキストに完全対応した問題集で、過去問を徹底的に分析し厳選した800問が収録されています。
問題の隣ページに解説が記載されており、見開きで簡単に要点ごとの学習が可能。試験前や公式テキスト学習後の各章の要点整理などにも活用できます。
- 著者
- HIPS合格対策プロジェクト
- 出版日
試験対策のひとつである過去問対策を集中的におこないたい人におすすめの過去問題集もご紹介します。
最新の過去6回分の問題全てを収録し、かつ解説はすべて公式テキストに対応し作られているため、過去問それぞれの問題の意図や要点をおさえることが可能です。
また各章ごとに「学習対策とポイントチェック」のページが設けられており、章ごとの重要ポイントを把握した上で問題に取りかかることができる作りになっています。
さらに本書には、録りおろしの音声講義データのダウンロードが読者特典として付いています。重要ポイントの解説と、2019年11月実施試験の全問題の解説を収録。専用のWEBサイトから講義の音声データをダウンロードすれば、移動中などに講義を聴きながら学習ができます。
福祉住環境コーディネーターは、医療や福祉・介護、そして建築という異なる分野を繋ぎながらアドバイスができる資格でもあります。他の職業と兼任している人がほとんどですが、今の時代におけるスキルアップの資格としては最適といえるでしょう。独学で合格を目指せることからも、ぜひスキルアップなどで資格取得に挑戦してみてはいかがでしょうか。