結婚披露宴や二次会のパーティーで、司会進行を務めるブライダル司会者。話しのプロとして、ナレーターや声優志望の方々も活躍している職業です。披露宴の時間配分を考えながら進行したり、予期せぬハプニングにも臨機応変に対応できる冷静さも必要とされる職業でもあります。 時代の変化とともに結婚式の形式も変わり、ブライダル司会者に求められる技術は多様性を見せています。今回は、ブライダル司会者の仕事内容や収入、おすすめの資格情報などを解説します。
一口に司会者と言っても、その種類はさまざま。イベント・お葬式・テレビ番組・コンサート会場といった場所で、その場に合った口調やテンションで場を取り仕切ります。
そのなかでも「ブライダル司会者」は、結婚披露宴やパーティーで司会進行をおこなう人のことをさします。司会者の他に、ブライダルMCと呼ばれることもあります。
結婚式が土日祝日に集中することから、副業としての注目も集めています。
司会者という仕事は、ただ台本を読めばいいという単純な仕事ではありません。会場の雰囲気に合わせた声のトーン・言葉のチョイスが必要であり、とくにブライダルは新郎新婦にとって、一生に一度の晴れ舞台です。そのムード作りの要となる重要な仕事をブライダル司会者がおこないます。
一昔前は、新郎新婦の友人などに司会を頼むことが多くありました。しかし、以前のような豪華な披露宴をおこなう新郎新婦は減り、規模は縮小されつつあります。現在は「結婚式は雰囲気を重視する」という新郎新婦も多いことから、披露宴自体は小規模であっても「司会はプロに任せる」という人がほとんどのようです。
ブライダル司会者として働く人の男女比は、おおよそ3:7。女性の方が多いようですね。活躍する主な場所は、ホテル・結婚式場・レストランなどがメジャーのようです。
バブル時代くらいまでは豪華絢爛な結婚披露宴、いわゆる「派手婚」と呼ばれる披露宴が主流でした。その後、バブル崩壊を受け「地味婚」「アットホーム婚」と時代の変化とともに、徐々に個性を活かした挙式や披露宴をおこなうのが主流となってきています。
これは「共有婚」とも呼ばれる形式のこと。シェアと聞くと、他のカップルと一緒に結婚式をおこなうの?と思われる方もいるかも知れませんが、それとは異なります。
シェアド婚とは、新郎新婦もゲストもみんなで一緒に式を作り上げるスタイルです。新郎新婦が全てのプランを決めてゲストを招くという形ではなく、会場にいるみんなが式の計画から参加し、感動を「シェア(共有)する」というところから名前がついています。
大人数が参加するゲームがおこなわれたり、食事がビュッフェ形式だったりと、従来の結婚式とは異なる点も多いのが特徴で、司会者の手腕が問われるタイプの結婚式ともいえるでしょう。
ブライダル司会者には、いろいろな働き方をしている人がいます。
結婚式場やホテルの専属司会者の場合は、正社員として雇われていることが多いようです。派遣会社やプロダクションに所属している場合、その都度、披露宴やパーティーがおこなわれる場所へと出向いて仕事をおこないます。
フリーランスで働くことも十分可能な職業ですが、多くのブライダル司会者はしっかり経験を積んでからフリーランスへと転向するようです。
働き方の多様さ、専門性の高さから転職先としても人気のブライダル司会者ですが、転職をするならばスクールで講習を受けてから判断するのがよいでしょう。
ブライダル司会者はあくまでも黒子。いくら話術に長けていてもその点を忘れてしまうと結婚式は成り立ちません。
話が得意だから、盛り上げるのが得意だからといった理由ですぐに転職活動を始めるのではなく、スクールで講習を受けて基礎を身に付けてから転職するのがよいでしょう。また講習を受講することで、自分の向き不向きも判断することができます。
ここでは、結婚式場やホテルの正社員のケースをご紹介します。
ブライダル司会者の平均年収は370万円前後と言われており、初任給は22万円前後が相場です。フリーランスや派遣の場合も単価は高く、一回の披露宴(3〜4時間)につき1〜1.5万円ほどの給料がもらえます。
また式場や事務所から派遣される場合は、司会者料金が6万〜20万円ほどが相場となっています。金額は知名度や経験値で差がありますが、この金額の4分の1が司会者に支給される額と考えてよいそうです。
ブライダル司会者を専門としている人もいれば、将来的には声を使う仕事であるナレーターや声優を本業にするために、ブライダル司会者をしている方もいます。ナレーター・声優の仕事が気になる!という方は、「5分でわかるナレーター!」「5分でわかる声優!」の記事も参考にしてみてくださいね。
また、本業はまったく別の仕事をしているけれど「週末だけ副業としてブライダル司会者をしている」というパターンも少なからずいるようです。
ブライダル司会者として働くために、必須とされる資格や免許はありません。
ただし、就職する際に技術や知識を証明するものとして、持っておくとよい資格、受けておくと役立つ講座をここでご紹介します。
司会者として基礎から身に付けたい方におすすめなのが「司会者認定資格」です。この認定資格には、ブライダル司会者・イベント司会者の2種類があり、ともに5〜1級まで用意されています。
ブライダル1級の取得者は、依頼内容から当日の進行表の作成、当日の司会進行までおこなえる実力があることの証明になります。受験料が5000円〜と挑戦しやすい金額ですので、まずはこの認定資格の取得を検討してもよいでしょう。
ブライダル司会者として今後はフリーで活躍したいと考えている方はこちらの認定資格がおすすめです。
能力検定振興協会では、司会進行だけでなくブライダル全般の知識を網羅している人を「ムヌールコンセイユ」と呼び、認定資格講座を開講しています。資格取得後は大手司会者事務所との契約が可能であったりと、デビュー後のバックアップも整っています。
デビュー率100%の実績を誇り、講座は経験やレベルに合わせた3コースを用意。入学金5000円、受講料3万5000円〜とこちらも比較的チャレンジしやすい価格設定です。プロの司会者として必ずデビューしたい方におすすめの講座ですよ。
参考:能力検定振興協会
ブライダル司会者は様々な人とのコミュニケーションで成り立っています。新郎新婦との打ち合わせはもちろん、初対面の式場スタッフともうまくやっていける力が必要です。
一生に一度の晴れ舞台だからこそ、ハプニングが付きもの。時間通りに進行していなかったり、予期せぬアクシデントが起きる場合もあるでしょう。そんな時、臨機応変に対応することができるのが人気司会者の秘訣です。
披露宴やパーティーには、新郎新婦のお互いの親戚や上司などが一同に集まります。そういったフォーマルな場での言葉使いやイントネーション、名前の読み方には十分に気を遣わなくてはいけません。
また結婚式やお祝いの席で「別れる」「切れる」「離れる」など、好ましくないワードを避けるといった、場にふさわしい言葉を選ぶことも重要です。プロの腕の見せどころともいえます。
司会者だからといって、好きな服で参加することは許されません。多少、個人個人の式に雰囲気の違いはあるかも知れませんが、奇抜な髪の色や派手過ぎるメイクなどは避けましょう。
上記の能力や工夫はどれも大切です。そして、ブライダル司会者はリラックスした雰囲気作りをできることも大切と覚えておきましょう。新郎新婦を含め、親族は当日ものすごく緊張していることが多いのです。そういった緊張感を和らげるような、司会者の印象や対応、声がけも心がけましょう。
- 著者
- 河合 達明
- 出版日
ブライダル司会者として大切な心構えや、司会者自身が式当日までにするべき準備などが綴られている現役司会者のインタビュー集。
「司会者で披露宴の良さが決まる」と言っても過言ではないほど、重要な役割だとわかる実際のエピソードも載っており、ブライダル司会者志望者が、将来働く現場をイメージするにはうってつけの1冊です。
これから披露宴を控えているカップルにもおすすめですよ!
- 著者
- 島田康祐
- 出版日
ある統計によれば「自分の声が好きではないという人は8割いる」ともいわれています。
本書では話し方のノウハウではなく、そもそもの自分の持つ「声」にフォーカスした、実用的な発声メソッドを多く掲載。声を出す前のストレッチなど、すぐに実践できるものも載っています。
それらを応用し、ビジネスの場で使う方法も書かれているので、人前で話す機会がある全ての方に受け入れられやすい内容です
- 著者
- 鳥谷 朝代
- 出版日
司会者レベルまで話すのがうまくならなくとも、「電話で話すのが苦手」「初対面の人とまったく話せない」という身近な悩みは結構多いもの。
「一般社団法人あがり症克服協会」 代表理事の超人気講師が教えてくれる、緊張しないコツがこの1冊にまとまっています。学校、職場、プライベートで相手とうまくいく話し方が身につきます。
ブライダル司会者は、ひとりで頑張る仕事ではありません。結婚式にはウエディングプランナー、カメラマン、証明、配膳スタッフなど、多くの人と協力しながら作り上げるもの。毎回、チームワークや一体感を感じることができるという魅力があります。
また、多くの笑顔や感動の場面に立ち会える希少な職業でもあります。興味のある方は、ナレーターなど声を使う仕事について調べてみるのもよいでしょう。今回ご紹介した書籍もぜひ参考にしてみてください!